イベント
「BiliBili World 2025」が,中国・上海にあるイベントホール国家会展中心にて,2025年7月11日から7月13日まで開催されている。
BiliBili Worldは,動画共有サービスやブログの運営,アニメ配信事業,ゲーム事業など,中国でさまざまなコンテンツを展開するbilibiliが2017年から主催するイベントだ。
bilibiliがニコニコ動画のようなコメント機能付き動画サイトとしてスタートしたことを知っている人からすると,「ニコニコ超会議の中国版?」といったイメージを持つかもしれないが,まったくそういう規模感ではない。さまざまなジャンルが入り乱れるカオスな雰囲気は似ているものの,イベントの規模も来場者の熱量も,日本人からすると驚くようなものだったりする。
昨年に引き続き,今年も現地で取材を行ってきたので,まずはイベント全体の様子をお届けしよう。
開幕日の天候はあいにくの大雨。なんなら昨年も雨だったし,一昨年はもっとひどい雨だったという。そもそも,7月の上海は台風シーズンなので,天候が崩れやすい
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今年のチケット販売数は,昨年を上回る
30万枚。チケット購入者だけで,1日10万人ほど来場する計算となり,これに出展者や筆者ら,招待で来ている来場者も加わる形だ。価格は一般入場券が128元,特典付きのIPコラボ入場券が328元,30分の先行入場が可能なVIP入場券が588元であり,販売方法はなんと先着順だ。
チケットの事前登録者数(先着なので,登録したからといって何かあるわけではないようだが)は70万人にもおよび,完売までの時間はわずか
35秒とのこと。ものすごく熾烈なチケット争奪戦が繰り広げられた。
会場はすごく混んでいる。本稿の“すいているように見える写真”は,開場前のVIP入場時間に撮ったものだ
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会場である国家会展中心は,
世界で2番目の規模を持つそうだが,昨年は8つあるホールのうち5つを使用していた。それが今年,参加人数が増えたぶん,8つのホールをフルで使用しており,会場はめちゃくちゃ広い。
国家会展中心はクローバー型にホールが配置されていて,1つの“葉”に2つのホールがある。筆者の体感ではあるが,1つのホールが,東京ゲームショウの行われる幕張メッセの2ホールぶんぐらいのサイズがあると考えてほしい。
クローバー型なので,それぞれの葉へのアクセスは一度会場の中央に戻る必要があり,ホール間の通路も非常に長い。会場面積,そして構造上の問題で,移動がものすごく大変なイベントだったりする。
おそらく,一般来場者の多くは好きなコンテンツの狙い撃ちで,会場全体を回ったりはしないと思うが,取材で来ているメディアの場合,そうもいかない。取材のしんどさとしては上位だ
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BiliBili Worldで扱われるコンテンツは多岐にわたる。さまざまな動画配信者がステージに登場することはもちろん,アニメ,ゲーム,ハードウェア,フィギュア,物販,コスプレ関連や意外なものまで,とにかくいろいろなジャンルの企業やら何やらが,中国のオタクに向けて発信している。出展社数は
700以上,ストリーマーも
1000人以上が参加しているという。
アニメや物販は,日本のIPが非常に多い。人でごった返すホールだが,日本人的には見慣れたものが多いはずだ。日本のメーカーも多数出展している
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痛車の展示も行われている。こちらは公式の展示スペースだが,外の駐車場にも一般来場者の痛車がたくさん止まっている
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なんでもアリ感の一例として,
コスプレ関連を紹介しよう。BiliBili Worldにおいて,コスプレイヤーはコスプレしたまま来場するので,現地で着替えない。たとえ電車だろうとコスプレしたまま乗ってくる。会場にはコスプレ広場的な場所は定められていないのだが,空いているスペースを自由にコスプレ広場化してしまうので,ホールの各所にコスプレイヤーが集まっているのが見られる。
さて,そんなスペースの前に出展するなら,どんなブースがいいだろうか。あるホールの一画では,すぐ隣が富士フイルムやキヤノン,ソニーだった。そう,カメラ系ブースが集まったコーナーだ。
空きスペースに勝手にコスプレイヤーが集まっていく
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すごくファンシーな撮影スポットもある。中国のオタク系ショップが集まる場所には,よくロリータ服のショップも一緒に入っていたりするので,親和性が高いということなのかもしれない
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コスプレイヤー専用の入場口が用意されている。あまりの数にびっくり
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そんな感じで,さまざまなところからオタク向けにプロモーションをしたい企業が集まっており,「これがある」と簡単には言い表せないイベントだ。ただ,
中国オタクの今を肌で感じられることは間違いない。
中国オタク最前線という意味では,
同人グッズのコーナーも面白い。HoYoverseのタイトルや
「ブルーアーカイブ」「アークナイツ」など,キャラクターの人気が高いタイトルのさまざまなグッズが販売されているのだが,昨年は
「原神」が非常に強かった。それが今年,原神が大きく数を減らし,その代わり
「崩壊:スターレイル」のサークルがその倍ぐらいある。コスプレイヤーの数を見ても,原神より崩壊:スターレイルのほうが多い印象なので,このあたりから,今の中国のトレンドを体感しやすい。
今年の会場で印象的だったのが,
ゲーム関連のブースがかなり増えたことだ。とくに,イベントの性質上“二次元”(日本でいうアニメ調な)タイトルが多く出展されており,日本でも期待している人が多いであろうManjuu Gamesの
「アズールプロミリア」など,初のプレイアブル出展となるタイトルもちらほら見られた。同作は,10分という短い時間の試遊となっていたが,それでも開場(9:00)からさほど経っていない9:20頃に足を運んだところ,整理券の配布が終了していて,中国でも注目度が高いようだ。
主催のbilibiliもさまざまなゲームを出展している。こちらは三国志系のシミュレーション「三国:謀定天下」
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整理券が一瞬でなくなる「アズールプロミリア」
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日本のメーカーも,コーエーテクモゲームスが
「紅の錬金術士と白の守護者 〜レスレリアーナのアトリエ〜」のステージイベントや初のプレイアブル出展を行い,
「ライザのアトリエ 〜秘密トリロジー〜 DX」を発表するなど(
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もちろん,既存タイトルのブースも盛況で,崩壊:スターレイルやアークナイツは開場直後から長蛇の列ができていたし,女性向けの
「恋と深空」にいたっては,人が集まりすぎて列の全容がまったく分からないほど。近寄ったら脱出困難なレベルだ。
「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」コラボやファイノンの展示をしていた崩壊:スターレイルブース。配布物で列がえらいことに
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こちらは「ゼンレスゾーンゼロ」ブース……ではなく,ファンタのブース。コラボしているらしい
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9:15頃に見た,アークナイツブースの列。開場早々に3時間待ち
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会場で一番混んでいるブースは,もしかしたら恋と深空かもしれない
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以上のように,拡大を続けていくBiliBili Worldにおいて,ゲーム系ブースが増えたため,ゲーム情報サイトである4Gamerとしても,まったく無視できないことになってきている。気軽に「行ってみよう」と言えるようなイベントではない(チケット取れないし……)ものの,それだけに,現地で見つけた新作の情報をできる限りレポートしていく予定だ。