それは,インディーゲームイベント参加者の間でまことしやかに囁かれる怪異・都市伝説的存在。来場者のふりをしてブースで黙々と試遊したかと思いきや,「普通こうは作らない」「僕にはわからないなあ」「誰向けのゲームなのかが見えない」などと勝手に講評を始め,出展者を戦慄させるという……。
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インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン13」(以下,ゲムダン13)が,2026年8月8日,東京・浜松町の東京都立産業貿易センター浜松町館で開催された。
レポートの前編では郷愁をテーマに作品を紹介したが,後編は「夏だ! 怪奇だ! アナタの知らないかもしれない世界」と題し,またいろいろな作品をお届けしよう。
インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン13」レポート(前編)。夏の終わりが近づくなか,ノスタルジックなダンジョンに迷い込んだ……
インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン13」が,お盆や帰省時期も迫る2026年8月8日,東京・浜松町の東京都立産業貿易センター浜松町館で開催された。レポートの前編では,ノスタルジーを感じた作品を中心にとりあげていこう。
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- ライター:高橋祐介
ちなみにゲムダン13では,ウィットワンゲームス(公式サイト)から説教おじさんと戦うゲーム「DEBUNK QUEST」が参考出展されていたほか,「アドバイス人間大歓迎!」と自ら張り紙を貼って,説教を(?)誘っているブースまであった。
毎回欠かさず取材しているのに,説教の現場に遭遇したことのない筆者としては,いささか複雑な思いではある……。
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![]() 「IZEA:10puzzle Rogue-Lite RPG!」(Steamストアページ)のブースでは,あろうことか張り紙で「召喚」していた……? いや,説教おじさんとはまた別種の怪異かもしれない |
もし会場で本物の説教おじさんを目撃した方がいれば,ぜひご一報を。同意が得られれば取材してみたいと考えている。
さて,前置きはこのあたりで,説教される前に本題に移ろう。
生首コロコロパイロット
出展者:merao software![]() |
首と胴体が生きたまま分離!? その生首側をコロコロと転がす本作は,merao氏(@merao)が制作中の3Dアクションだ。
ゲーム中でやるべきことは,床を凹ませて,生首を転がすだけ。そうやって生き別れになった胴体を探すのである。
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生首といっても,出血をともなうようなグロテスクな表現はなく,設定的には怪奇というよりSFやシュール寄り。実際に遊んでみると床の反動を利用したジャンプ,コース上のギミックへの対処なども必要で,ゲームとしてちゃんと楽しめる。
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会場では,小さな子どもたちも楽しそうにプレイしていたのだが,生首を転がしてキャッキャ喜んでいる子どもたち……。なんという絵面だろうか。itch.ioでデモ版が公開中なのでぜひ遊んでみてほしい。
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itch.io(デモ版)
https://merao.itch.io/namakoro
公式サイト
https://namakubi.web.app/
おとうとクッキング
出展者:mumimumi![]() |
本作は,弟のセリフに潜む“欲望の言葉”を読み取り,魔力へと変える言葉遊びローグライクADVだ。セリフの一部をドラッグ&ドロップして語順を変えて詠唱し,そこから得た魔力をマジック注射器やマジック包丁に蓄えて使い,弟を人間から牛,牛から肉,肉から料理へと変身させて神へと捧げるという内容だ。
![]() 胸を大きくしたりもする |
しかしこうやって言語化してみると,なんでもかんでもテキストにしてしまうのも考えものだ。こんなにかわいい作品なのに,怖いゲームに思えるじゃないか。いや,後編のテーマ的には助かるのだけれど。
![]() やっぱり普通に怖い気も |
ただ,食欲とは関係ない変なワードが飛び出してきたときは,クリックして破壊しないといけない。さもなければ儀式は失敗だ。
![]() ポルノ!? はいアウト! |
![]() おいおいおい? |
![]() でこぽんにパッタイ!? ……いや普通にセーフか |
作者は,ゲームダンジョンのキービジュアルでおなじみのmumi氏(@mumimumi2000)だ。弟ネタや性別変化ネタで伝わる人には伝わってしまうとおり,「女装フィッシング」「モチ上ガール」などを手掛けた人物でもある。
氏は,ここ数回のゲームダンジョンで言葉遊びの試作ゲームを出展していたが,ついに手応えを得たのでリリースに向けて動くとのこと。Steamページはすでに開設済みで,ウィッシュリストも受付中だ。
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新宿異変
出展者:AMATA Games![]() |
ゲムダン7のレポートで紹介した「新宿異変」だが,今回も出展されていたので,久々に試遊してみた。
夜の新宿で怪異の写真を撮るアルバイトをする,という時点でもう不穏な短編ホラービジュアルノベルである本作。ルールはいたってシンプルで,「怪異を撮る」「適切な距離まで近づく」「近づきすぎない」「フィルムを使い切ったら帰る」の4つだけ。
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「これは怪異かな」と思ったら普通の人を撮って怒られてしまったり,「普通の女の子かな?」と思ったら靴を履いていなくてゾワッとしたりと,プレイヤーが置かれたシチュエーションのおかげで,登場する人を観察するだけでも面白みが感じられる。
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なにより「なにか変なところがないか?」と画面を凝視していると,急にヤバい要素に気づいたりするのが,いい意味でズルい。
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筆者は最初のうちルールを守りつつ,なるべく帰還できるように慎重にプレイしていたものの,それでもどんどん死ぬので,途中から諦めてゲラゲラ笑いながら遊んでいた。
そんなちょっと「スイッチが入ってしまった」感覚を味わえた本作だが,AMATA代表の高橋宏典氏(@fura)によれば「じつは死にゲーです!」とのことで納得。リリースは2026年内予定とのこと。
![]() 大ガード下,ホテル街……などと土地カンがあるとより楽しい |
あなた、転売ヤーですよね
出展者:雅開発![]() |
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いわゆる「転売」や「せどり」の世界もまた,アナタの知らないかもしれない世界のひとつにほかならないだろう。……もしかしたら「よく小遣い稼ぎしているよ」なんて読者もいるのかもしれないが。
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本作は,カードショップの1日店長を務める経営シミュレーションだ。プレイヤーは客の言動や商品の購入数,相場情報などをもとに,目の前の客が転売ヤーかどうかを見抜き,追い出すか,許容して売買するか,あるいは制裁するかを選んでいく。
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いわゆる入国審査ゲーム「Papers, Please」をアレンジしたような感じだが,転売ヤーは転売益目当てにある程度高値でも買ってくれるなど,売上と店の評判のバランスを模索するジレンマ要素もある。
![]() 明らかに怪しいので,高値をふっかけてみようか |
作者の雅氏(@Miyabi_Develop)によれば,年末から来年頭のリリースを予定しており,体験版も絶賛制作中らしい。
![]() 作中のカードゲーム,モノノケソウルのカードも展示されていた |
万物船団
出展者:不健康実験室![]() |
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降り立った地は冥王星のそのまた向こう,未開の星
――そんな気宇壮大な出だしから始まる「万物船団」は,おもちゃのような宇宙船に,4人のイカれたクルーが乗り込み,惑星を調査し,時には異星生物を殺す,控えめに見てかなり狂った惑星探査ADVだ。
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雰囲気こそ前衛的だが,実際に触れてみるとクルーたちの関係性やドタバタ劇がしっかり描かれていて親しみやすい……ような気もしたが,やっぱりどこかノリが普通ではなく,たまらないものがある。
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なんでも作者の不健康体氏(@fukenkou_tai)は,寺山修司の舞台などに大きな影響を受けているらしい。どこか馴染みあるアングラ感のあるノリだなと感じていたので,お話を聞いていて大いにうなずいてしまった。
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Project-SEaL
出展者:Project-SEaL![]() |
続いてもう一本,宇宙テーマの作品をご紹介しよう。ラジウム中華ショック療法(@radshockCN)が制作する,宇宙資源輸送管理作業系シミュレーション「Project-SEaL」だ。
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システムは実のところそこそこ単純なのだが,この宇宙船を意のままに操るのが困難極まる。紙のマニュアルを片手に,必死に宇宙船を操作していたプレイヤーの姿がなんとも味わい深かった。ただ,ボタン操作の気持ちよさにはこだわりがあるらしい。
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今回触れたのが試作バージョンで,これからさらに“宇宙度”を上げていくとのこと。日本だとややイメージしにくいかもしれないが,宇宙をテーマにした作品は海外では今まさにポピュラーなジャンルでもあり,今後の展開にちょっと期待したい。
会場ではデモ版展示のほか,「試遊ありがとうステッカー」の配布も行われていた。怪奇要素? えーと……ラジウム中華ショック療法というチーム名は怪しい。
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オピポピ
出展者:ぐらたんP![]() |
次は,ちょっとのんびりできそうな一本をお届けしたい。
「オピポピ」は,ぐらたんP氏(@GrutinP74000)が手掛けるノベルゲームだ。眠る前の部屋で,そこにあるモノを触りながら眠るまでの時間を過ごすという内容で,小さな幸福と記憶の気配を思い出していくマルチエンドとなっている。
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肩の力を抜いた,気張らない作りで,遊んでいるだけでよく眠れそうな気もしてくる。「眠る前の部屋でいろいろモノに触れて過ごす」というコンセプト自体,普段から「部屋でやってるかも」なんて人も多そう。
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作者は普段,規模の大きな作品のプランナーをしているそうで,仕事ではできない力の抜けた作品作りを楽しんでいるとか。1プレイ20〜30分ほどで,フリーゲームとして2026年4月に公開済みだ。
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ノベルゲームコレクション「オピポピ」
https://novelgame.jp/games/show/13767
美少女浮世絵師-HOKU
出展者:まろまろまろん![]() |
画面を見た瞬間,妖怪ぬらりひょんのゲームかな? かと思った「美少女浮世絵師-HOKU」は,あすまろ氏(@PHIDAE_HYDRO)が手掛けた,葛飾北斎が美少女VTuberになって神絵師を目指すビジュアルノベル(?)だ。プレイヤーは北斎のファン「版元」として,HOKUに描いてほしい絵を選んでいく。
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北斎は,とんでもない数の画風やペンネームを使い分けていた人物なので,現代にタイムスリップしたらこういう絵柄も普通に描きこなしていたのではないか,などと妙に納得してしまった。
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プレイ時間は10〜15分ほどで,英語にも対応している。また試遊アンケートには,ノベルティが用意されていた。Unityroomで遊べるので,気になった人は実際に触れてみてほしい。
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unityroom(無料公開)
https://unityroom.com/games/hokusai_kamieshi
REVOLVER GODDESS
出展者:Gregory IGA Games![]() |
「ポリビアス」などを手掛けるIGA氏(@iga_soft)の新作は,怪しげなディーラーと命を賭けたロシアンルーレットを繰り広げる「REVOLVER GODDESS」だ。Steamで流行っているロシアンルーレットゲームや,最近話題になった「女悪魔とウォッカ的なのを飲む」アレに似ている気配がしたが,たぶん気のせいだろう。
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弾倉が空のタイミングで自分に向けて撃つと,手番を渡さずターンを進めることができ,さらに相手に向けて撃つこともできる。
運だけでなく,確率計算と度胸も試されるこの手のゲームは,好き嫌いがはっきり分かれるジャンルかもしれないが,筆者的には好物寄り。
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アイテムを使ったイカサマで勝負を若干有利にできることもあるが,最終的にモノを言うのは,やはり度胸だ。まさに「狂気の沙汰ほど面白い……!」である。
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弾射少女 MAGIKA BOUNCE
出展者:わくわくゲームズ![]() |
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最後は台湾インディーゲームシーンからの刺客(?),「弾射少女 MAGIKA BOUNCE」を紹介したい。北極星の力を宿した少女エイミーが,彗星を操り,敵に跳ね返して倒していくシングルプレイ用のアクション・ブロック崩しバトルゲームだ。
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お上からの依頼により,星の力を宿す無法者たちと戦っていくというお話は,魔法少女ものというより,宿星たちが刃を交える「武侠もの」のような匂いがする。北極星ではなく「北辰の姑娘」などと書きたくなる(笑)。
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クラシックなブロック崩しと,弾幕シューティング,そしてソウルライク的な緊張感が融合した感覚は,斬新すぎず定番すぎずでなんとも不思議な心地よさ。星座をテーマにした敵やボスが登場するのだが,SteamのPVには「戦鬥? 正合我意」(バトル? 望むところよ)「這都是計算的結果」(すべて計算どおり!)などとキャラクターたちのセリフがあったりして,やはり勝手に武侠っぽさを感じてしまった。
なお体験版がSteamにて近日公開予定とのこと。
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以上,怪奇? なインディーゲームの数々,いかがだったろうか。
いろいろ書いているうちに思ったのだが,「これだけ取材に足を運んでいるのに説教場面に遭遇しない」というのは,筆者自身が「説教おじさん」と化しているのではないのか? という怖すぎるオチ。いやまさか……。
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なんて冗談めかしてみたが,良かれと思った忠告や,年の功的な知識の共有,そして親しくなりたくて距離を詰めた一言が,人を傷つけてしまうことは珍しくない。
説教おじさんという都市伝説の正体は,案外そんなところにあるのかもしれない。これを読んでいるあなたも,決して他人事とは思わないほうがいいかと思う。筆者自身も引き続き気をつけたい。
次回のゲムダン14の記事では「ついに本物の説教おじさんに遭遇してしまった!」などと書いていないことを祈るばかりである。それではまた次回!
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