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「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた
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印刷2020/11/16 16:52

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「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた

 4Gamer恒例(?)の最新ゲーム機分解レポート。今回はいよいよ「PlayStation 5」(以下,PS5)の分解に挑戦する。今回の分解に使用したのは,UHD BDドライブを内蔵する通常版のほうだ。

今回,分解するPS5(左)と製品ボックス(右)。筆者が某量販店の抽選に当選して入手した貴重な1台だ
画像集#002のサムネイル/「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた

 実のところ,今回のPS5ほど気が進まない分解もない。PS5は入手困難で,4Gamer編集部にすら片手で数えられる台数しかないのだ。そんな状況で,せっかく抽選に当選して購入した1台を分解してしまうのだから,気が進まないのも当然だろう。そのうえ,ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)が分解と内部の紹介を行う動画を掲載しており,動画だけで分からなかった部分を補足する解説記事も4Gamerで掲載済みとあっては,何のために分解記事をやるのかという疑問も出てくる。

 とはいえ,公式動画は分解プロセスや部品のすべてを明らかにしたわけではないので,独自に分解することで見えてくるものもあるだろうと考えて,実施することにした次第だ。本稿執筆時点で,分解したPS5の再組み立てはまだ実施していないのだが,組み立て後は無事に起動することを祈りたい。

※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は4Gamerが入手した個体についてのものであって,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」ことを保証するものではありません。



内部へのアクセスは容易なPS5


 先に分解レポートを掲載した「Xbox Series X」は,ネジ孔をシールでふさいでユーザーによる内部へのアクセスを一切認めてない製品だった。それに対してPS5は,ユーザーがPCI Express(以下,PCIe)接続のM.2 SSDを増設できるようにしており,筐体内にあるSSD用スロットにアクセスする程度であれば,外側のパネルを開けて内部に触れることが可能となっている。
 SIEは,PlayStation 4でもユーザーによるHDD交換が可能なように配慮した設計を採用していたので,その伝統を継承したというわけだが,パーツの交換が容易なPC分野で成長したMicrosoftが,ゲーム機では内部へのアクセスやストレージ交換を認めず,家電分野で成長したソニー系列のSIEがそれを認めているというのは,ちょっと面白い。

 そんなPS5の内部にアクセスするには,筐体にはめ込まれている左右側面パネルを手で外したうえで,右側面側から冷却ファンや基板のカバーパネルなどを外していく。SSD用スロットは,右側面パネルを外すだけでアクセス可能で,そこまではドライバーを使う必要はない。

PS5の左側面パネルを外したところ(左)。側面パネルは,中央のフレームから手で簡単に外せる。右は側面パネルの内側にあった刻印で,Foxxconnグループの企業「Foxconn International」の名がある。内部のパーツにも同じ名前があるので,PS5の製造を担当したのが同社であることがうかがえる
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左はPS5の左側面,右は右側面側パネルを開けた状態だ。右側面の写真で左側に見える大きな灰色のパーツはUHD BDドライブ,右に見える灰色をした丸い部品は空冷ファンだ
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SSDスロットを覆う金属製カバー。右に見えるプラスネジは,表面にPSの「△○×□」マークが刻印されていた
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 SSD用スロットは,灰色の金属製カバーで覆われており,カバーはありふれたプラスドライバーで開けられるネジで止められていた。つまり,「ここは,ユーザーが開けていいですよ」というわけだ。このネジと,SSDの固定用に用意してあるネジ以外,つまりユーザーによるアクセスを認めていないネジは,すべてネジ孔が「*」型をしたトルクスネジ(トルクスビス)が使われていた。

PS5のSSD用スロット。長さ110mmのM.2 22110仕様に準拠したSSDまで取り付けられる。スロット部分の深さは10mm以上あるので,ヒートシンク付きのSSDでも取り付け可能だ
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空冷ファンの金属製カバー。トルクスネジで止められている
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 中央フレームの上側を貫通している空冷ファンは,一般的なPC用空冷ファンとはまったく異なり,細長い板状の羽根がハブと平行に立ち並んだシロッコファンとなっている。厚みが45mmもあるので大きく見えるが,ファンの直径自体は120mmと,PC用空冷ファンで一般的なサイズとそう変わらないのは意外に思えるかもしれない。
 金属製のフレームには,ファンや電源ユニットのメーカーとして知られるDelta Electronicsの社名があったので,同社製と判断していいだろう。

筐体から取り出した空冷ファン。厚みはあるが,直径は120mmで,一般的なPC用空冷ファンと変わらない
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PS5の筐体内部をチェック


 それでは,内側のカバーを外してPS5のマザーボードに迫っていこう。
 空冷ファンを取り外したうえで,メイン基板を保護するプラスチックのカバーを開けると,UHD BDドライブの下に金属製のカバーで大半が覆われたマザーボードが見える。

プラスチックのカバーを取り除いた状態。中央に見える金属製カバーの下にマザーボードがある
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PS5のマザーボード上に取り付けられていた無線通信用モジュール「M19DFR1」。周辺には細いアンテナ用ケーブルが計4本あった
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 大きな金属製カバーに覆われていない部分のマザーボード上には,小さな金属製カバーに覆われた無線通信用モジュールと思われるものが載っている。米国連邦通信委員会(以下,FCC)の認証ID「AK8M19DFR1」が刻印されていたので検索したところ,ソニー製(※SIEではない)の無線通信用モジュール「M19DFR1」として登録されていた。
 M19DFR1が使用する周波数帯は,BluetoothやWi-Fiで使う2.4GHz帯と,Wi-Fi用の5GHz帯――正確には5.18〜5.32GHz,5.5〜5.72GHz,5.745〜5.825GHz――となっている。Xbox Series Xは,無線通信用モジュールを2つ内蔵していたが,PS5はM19DFR1の1つだけだ。

 マザーボードを拝むには,まずUHD BDドライブを取り外す必要がある。Xbox Series XのBDドライブは,外観こそPC用のスロットイン型BDドライブと大差がないもの(※電源コネクタは特殊形状)だったが,PS5のUHD BDドライブは,完全に本機専用に作られたスペシャルなものだ。形状自体が,ほかのパーツを邪魔しない形に最適化されている。

PS5のUHD BDドライブ(右)。黒い部分がドライブユニット本体で,灰色の金属板は,外側のカバーパネルだ。カバーパネルとドライブユニットはネジ止めされておらず,開くと中身がむき出しになる(左)
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 汎用品に近いUHD BDドライブを使うのではなく,PS5専用設計のドライブをわざわざ作るというあたりは,いかにもソニーらしい工夫というか,手間のかけ方ではないだろうか。

 さて,マザーボードへのアクセスに戻ろう。
 UHD BDドライブを外したら,続いては大量のトルクスネジで止められたアルミニウム合金製のシールドを外す。

UHD BDドライブを外した状態。マザーボードを覆う金属製のシールドが見えた
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 このシールドは放熱パネルを兼ねており,シールド内側には電源回路の熱を外側に露出したヒートシンクに送る銅製のヒートパイプが組み付けられていた。このヒートシンクも特殊なもので,カーブを描いたPS5の側面形状に合わせるためか,外側が階段状になっているという凝った形をしている。

マザーボード上に被せられていた金属製のシールド(左)。右下に小さめのヒートシンクがある。シールドの内側(右)には,銅製のヒートパイプが取り付けられていた。電源回路の熱をヒートシンクに伝えるためのものだ
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 シールドを取り外すと,マザーボードの裏面側,SIEが言うところの「B面」側全体を確認できる。PS5のメインプロセッサであるAPUの裏側を取り囲むように,8個のGDDR6メモリチップが並んでいる。APUからメモリチップまでの配線長を等しくするためだろう。弧を描くように並んだ配置が面白い。
 メモリチップのほかにも,SSDスロットの近くに3個のチップが配置されていた。これはフラッシュメモリチップのようだ。

PS5マザーボードのB面側全体が見えた
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マザーボードの型番らしいEDM-010の文字
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 この状態になると,あとはトルクスネジをいくつか外すだけで,マザーボードを中央フレームから取り外せる。これでようやくマザーボードの表面,SIEの呼び方で「A面」側を確認できた。マザーボード上にはPS5のロゴと,「EDM-010」というマザーボードの型番らしきものが刻印されている。

PS5マザーボードのA面(表側)。中央に,黒いスポンジ状の素材を貼り付けたAPUがある
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PS5マザーボードのB面
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APUのダイサイズは約308.2mm2


 注目のAPUには液体金属が付着しているので,APUのダイ本体を傷付けないように,ていねいに除去する必要があった。液体金属といえ粘り気があって表面に貼り付いていたので,注射筒では吸い出せそうもなく,慎重にこすって落としていく。完全に除去できたわけではないが,しばらく時間をかけてようやくダイ本体が姿を現した。再組み立てのときには,除去した分の液体金属を足さなくてはなるまい。

スポンジに覆われたPS5のAPUダイ。表面に若干だが液体金属が残っている
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 Xbox Series Xのダイには,シンボルマークや開発コードネームの刻印があったが,PS5のダイにはとくに何もない。デジタルノギスで測ったところ,サイズは23×13.4mmで,ダイ面積は約308.2mm2となる。Xbox Series XのAPUは,ダイ面積が約360mm2だったので,約86%のサイズといったところか。

APUの周囲を囲むMicron製GDDR6メモリチップ。「D9XKV」と刻印されている
画像集#023のサムネイル/「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた
 APUの周囲を囲むB面側のメモリチップには,GDDR6メモリチップが8個使われている。メインメモリ容量が16GBなので,1チップのメモリ容量は2GB(16Gbit)であると想像が付く。
 メモリチップのパッケージに付着した熱伝導材を除去すると,Micron Technology(以下,Micron)製のシンボルマークと,「D9XKV」という刻印があった。しかし,Micronが公開しているGDDR6メモリチップのパーツカタログを確認しても,16Gbitの製品にD9XKVという型番(FBGAコード)を有する製品がないのだ。あくまでも推測だが,PS5が使っているGDDR6メモリチップは,Micronが特定顧客向けに提供しているバージョンなので,同社の製品カタログに存在しないのではないだろうか。

PS5のSSDコントローラ。写真右に見えるのはSamsung Semiconductor製のDDR4メモリチップで,記憶容量4Gbit(512MB)であった。SSDコントローラ専用のメモリだろう
画像集#024のサムネイル/「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた
 A面側にはほかにも,目を引くチップが2つあった。1つはフラッシュメモリチップに囲まれた大きめのチップで,熱伝導材を除去すると,ダイの上にSIEの名称と「CXD9006266」という型番が刻印されているのが分かった。このチップは,PS5向けのカスタムSSDコントローラであることが明らかになっている。SIEによれば,一般的なSSDコントローラが,8/16/32チャネル構成なのに対して,PS5のSSDコントローラは12チャネル構成の特別なものであるそうだ。

PS5のマザーボード直付けフラッシュメモリチップ。キオクシア製だった
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 SSDコントローラを囲むフラッシュメモリチップは,A面とB面合わせて6個ある。チップのパッケージ上には旧東芝メモリ(現 キオクシア)のシンボルマークと,「TH58LJT0T24BA4M」という型番が刻印されていた。これはキオクシア製の96層NAND型フラッシュメモリであるようだ。
 6個のメモリチップで総容量825GBを実現しているので,単純計算すると1チップあたりの記憶容量は137.5GBという中途半端な数字となる。これもまた推測だが,本来はより大きな記憶容量を有するが,あらかじめSSDの信頼性を確保する予備領域を確保しているため,システムソフトウェアやアプリケーションで使える領域は825GBという計算になるのではないだろうか。

SIEの名前が刻印された謎のチップ
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 A面側で目を引いたもう1つのチップは,SIEの名称が刻印されたやや大きめのチップで,「CXD90061GG」という型番らしい文字列が刻印されている。これもPS5向けの特製チップのようで,このチップが何をするものかは分からなかった。基板をよく見ると,配線がSSDコントローラや無線通信モジュールのほうに伸びているので,PCで言うところのチップセット(サウスブリッジ)にあたるものかもしれない。

そのほかの目を引いたチップをあげておこう。Panasonicのロゴが目立つ左のチップは,現Nuvoton TechnologyのHDMIトランスミッタ「MN864739」のようだ。右のチップは,Dialog Semiconductor製の電源管理IC「DA9081」である
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 さて,マザーボードを中央フレームから取り外すと,フレーム側には大きな金属のプレートが残った。プレートは銅製で,APUに接する部分には液体金属が残っている。

マザーボードを取り外すと,大きな金属製プレートが現れた
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 このプレートはヒートシンクを構成するものだ。以下の写真を見てのとおり,広い面積を覆う銅製プレートは,長辺の長さが約27.6cmもあり,その上にはびっしりとフィンが並んでいる。APUから出る熱を拡散するためのヒートパイプもあるなど,かなり複雑な作りだ。

PS5の巨大なヒートシンク
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ヒートシンクの実測重量は約657gだった
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 ためしに重さを量ってみたところ,約657gと出た。Xbox Series Xのヒートシンクは,ヒートシンク本体と金属製のフレームを組み合わせて約918gもあったが,それよりは軽い。ヒートシンクは体積こそ大きいものの,フィンの隙間は空気が流れるだけなので,見た目のイメージほど重くないというわけだ。

 最後に,PS5の内蔵電源ユニットも見ておこう。筐体の下側に位置する電源ユニットは,PS5の奥行きとほぼ同じくらいの長さがある。出力は372Wで,公称値である350Wよりも少し余裕があるようだ。
 据え置き型ゲーム機で372Wというのはかなりの電力食いと言えるが,PlayStation 3の初期型も同程度の最大消費電力を要したので,特別に高いというわけでもない。PC用グラフィックスカードになると,「GeForce RTX 3090」がカード全体で350Wという消費電力を要するので,最近は消費電力に関する感覚が麻痺してきた感じもする。

PS5の内蔵電源ユニット(左)。保護カバーの上には,SIEの社名と「ADP-400DR」というモデル名が書かれていた(右)
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ソニーらしいこだわりの溢れるPS5の設計


 さて,駆け足だがPS5の分解レポートをお送りしたわけだが,Xbox Series X以上に専用設計のパーツを多用したゲーム機であることがよく分かった。とくに,独特のデザインを採用した筐体に収めるために,UHD BDドライブや電源部ヒートシンクにも特殊な形状を採用していることには,ソニーグループの製品らしいこだわりが感じられるように思う。
 また,PS5のメカ設計を担当したSIEの鳳 康宏氏が述べたとおり,サブ基板の類を極力使わないようにして,独特なデザインの筐体に収めながらコストを削減した構造もよく分かった。ほとんどすべてのコンポーネントを1枚のマザーボード上に実装しているのだから基板設計は難しくなるだろうが,トータルでのコストを削減できるとなれば,難しい設計でも挑戦する価値はあると,SIEの開発陣は判断したわけだ。

PS5の全部品(ネジは除く)
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 ただ,少し気になるのはマザーボード上にフラッシュメモリチップを直付けした構成は,将来的な内蔵ストレージの増量時に基板の再設計が必要となりはしないかということだ。Xbox Series Xは,M.2接続の小型SSDを内蔵しているので,マザーボードをいじらなくてもSSDを変更することで,大容量モデルを展開できる。しかし,PS5では大なり小なりマザーボードを再設計する必要がありそうだ。
 あるいは,「内蔵ストレージの増量モデルをリリースするときは,ストレージ以外の部分も含めてマザーボード自体の再設計による最適化も行い,より洗練されたマシンにしよう」と,開発陣は考えているのかもしれない。

 SIEの開発陣が,将来のPS5でどんな改良を加えてくるのか。そのときはまた,実機を分解して中を確認してみたいものである。

PlayStation公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    PS5本体

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