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印刷2026/03/09 10:59

プレイレポート

開発7年以上の注目作「Never's End」,バトル体験版をプレイ。じっくり情報を見て戦略を練りたい,コアなSRPGファンにこそ遊んでほしい力作

 2026年内にリリースが予定されている新作タイトルNever's Endは,2025年6月のゲームショーケース「MIX Summer Game Showcase」で発表されたシミュレーションRPGだ。

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「BitSummit the 13th」出展時の写真。なお4Gamerは,同イベントのアワードの「4Gamer.net賞」に本作を選ばせていただいた(関連記事
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 実に7年以上もの歳月をかけて開発されているという作品で,特にビジュアル面ではそれに相応しいクオリティを備えている。ピクセルアートの世界がそのまま3D空間に現れたかのようなアートは,それだけで多くのゲームファンを驚かせた。

 2025年7月に掲載した「BitSummit the 13th」での試遊レポートでも伝えたとおり(リンク),ビジュアルに負けず劣らずの奥深いゲームメカニクスが採用されている。そんな本作の“戦闘シーンに特化した体験版”に触れる機会を得たので,今回はシステム面をより詳しくチェックしていく。

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約7年の開発期間を経て放たれた「Never's End」は,それに見合う実力を秘めたSRPGだ。コマンド1つが多様な戦略を生むバトル[BitSummit]

約7年の開発期間を経て放たれた「Never's End」は,それに見合う実力を秘めたSRPGだ。コマンド1つが多様な戦略を生むバトル[BitSummit]

 日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit the 13th」で,Hypersectが手がける新作タイトル「Never's End」の体験版が初出展されていたので,さっそく遊んでみた。約7年間もの開発期間を経て発表された本作は,それに見合うだけの奥深さを秘めたシミュレーションRPGだった。

[2025/07/18 21:24]


接敵システムを中心とした

カスタマイズ性の高い戦略バトル


 Never's Endの戦いが繰り広げられるのは,人類が「ネヴァー」と呼ばれる存在に飲まれようとしているファンタジー世界。プレイヤーはネヴァーに抗う霊体となり,人間を支配して戦わせることになる。

どうやらプレイヤーは,銀を媒介にして人を支配しているようだ。このあたりのストーリーについては製品版で語られることだろう
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 本作の世界は正方形のマップで表現され,隣接するマップへと移動しつつ探索を進めていくことになる。
 このマップはそのまま戦闘マップとしての役割があり,敵(ネヴァー)が支配しているマップに侵入すると即座に戦闘に突入する。

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 戦闘シーンはターンベースSLG形式で展開されるが,敵を全滅させればマップを自由に歩き回れるようになる。
 ただし,休息などで時間が経過するとマップの“穢れ”が増加し,最大になると再び敵が出現してしまう。世界がすべて穢れに飲まれる前に,ネヴァーを倒す方法を探らなければいけない。

本来は町をカスタムして成長させる要素もあるようだが,今回は戦闘に特化した体験版ということで,そのあたりには触れられなかった
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 シミュレーションRPGといえば,敵を倒してキャラクターを強化していくのが王道だが,本作のシステムはある意味でその真逆をいっている。

 本作におけるキャラクターは単なる依代であり,肉体的な基本性能以外はあまり重視されない。キャラクターに設定されている能力は以下がほぼすべてで,具体的な“キャラクターができること”の大半は,装備品によって決定されるのだ。

HP 0になるとキャラクターが消失する(復活手段なし)
タイム上限 移動を含む各種アクションに用いるリソース「タイム」の最大値
スタミナ上限 攻撃や防御など,戦闘に直接影響を与えるアクションに用いるリソース「スタミナ」の最大値
スタミナ回復力 ターンごとのスタミナ回復量
回避率 高いほど攻撃を回避しやすい
行動速度 高いほど早く行動順が回ってくる
武器習熟 特定武器種の扱いの上手さ
職業 上記ステータスの特徴を示す

 戦闘中に実行できるコマンドは武器ごとに規定され,その性能は装備ごとに固定されている。ショートボウを持てば誰でも威力2の遠距離攻撃ができるし,モーニングスターを持てば誰でもスタン攻撃を発動できるわけだ。

行動に必要なリソースは「タイム」と「スタミナ」の2種類。タイムは移動を含むすべてのアクションに必要で,スタミナは武器を振る際などの重要なアクションに用いられる
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タイムはターン経過で全回復するが,スタミナは「スタミナ回復力」までしか回復しない。リソースを支払える限り1ターンに何度でも動けるが,常にスタミナを全消費していると逆に効率が悪化することもある
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 同じ武器種を使い続ければ武器習熟が上がって多少は扱いやすくなっていくが,同じ装備を使い続けているとガンガン壊れるので,そもそも同じ武器を使い続けるのが難しい。手持ちの装備を適切に持ち替え,カスタムしながら戦うのが基本的な考え方になる。

武器習熟はレベルというよりバフに近い扱いになる。多少命中率が上昇するだけでも意味があるので,できるだけ習熟度の高い武器を用意したい
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装備品で攻撃を受け止めた場合,対応する装備品の耐久力が削れていく。盾を構えれば真っ先に盾が削れるので,ほかの装備品を守れるのが嬉しいところ
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 武器ごとに設定されたアクションを使って戦う――となると戦闘自体はシンプルでスッキリしたものになるかと思いきや,実際には考えられることが非常に多い。ステータスまわりがシンプルなぶん,基礎システムと環境の側に独自要素が複数用意されているのだ。

 最も重要なのが,敵対キャラクターが隣接すると発生する「接敵」に関する仕組みだ。これは,隣接した敵対キャラクターの移動を封じるシステムだが,いわゆるゾーンオブコントロール(ZOC)とは毛色が異なる。

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 まず,接敵状態のキャラクターは自発的な移動が行えなくなる(一般的なZOCは離脱が可能)。さらに,複数のキャラクターと同時に隣接すると効果が強化され,囲まれている側の回避率と命中率が低下する仕組みになっている。

 先述のとおり,攻撃アクションの性能(命中率も含む)は武器に依存しているので,確実に攻撃を当てたい場合は接敵システムを使うのが手っ取り早い。四方をぐるっと囲んでしまえば,命中率が低い高威力攻撃も当て放題だ。

2体の敵対キャラクターに隣接されると「挟撃」,3体に隣接されると「制圧」,4体に囲まれると「包囲」となり,どんどん効果が大きくなっていく
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 有利な接敵状況を作るツールとして用意されているのが,全キャラクターが使える共通アクション「押し出し」と「入れ替え」だ。これらの“移動を伴うアクション”は接敵状態を引き剥がす効果を持ち,うまく使えば一方的に敵を囲むことができる。

 押し出しで敵を壁にぶつけたり,接敵された仲間を押し出したりと,使い方は多岐にわたる。そこに地形やオブジェクトの要素が加わることで,多彩な戦略を展開できるSLGらしい思考が楽しめるというわけだ。


熱が移れば風が巻き起こる

環境を操作して戦場を支配せよ


 ここまでなら“硬派なシミュレーションRPG”という印象に落ち着くが,これで終わらないのが面白いところ。そこに「環境要素」が加わることで,一気に戦略の複雑性が増していく。

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 本作における環境要素とは,戦闘マップの各マスに設定されたステータスと,それぞれの相互作用を指す。すべてのマスには「高度」「温度」「湿度」「移動難度」など,複数の環境ステータスが設定されており,その数値によってさまざまな効果が発生する。

 たとえば,湿度が一定以上,かつ温度と同等であった場合は“霧”が発生する。霧があるマスに対する攻撃は命中率が低下し,視線を遮るため霧を介した遠距離攻撃は行えない。また,霧の内部にいるキャラクターは接敵の対象から外れてしまう。

 これらの要素を活用し,配置を工夫すれば一方的に攻撃を叩き込むのも不可能ではない。ダメージを受けた味方を霧の中に隠したり,高温のマスに敵を誘い込んでスタミナ消費量を増やしたりと,プレイヤーが考えられることは爆発的に増える。

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 なにより面白いのは,そうした環境をプレイヤー側が操作できるということ。仲間キャラクターが扱う特殊アクション「魔法」は,この環境ステータスに影響を与えられるのだ。

魔法は対応する施設で習得させられる。習得したキャラクターが死亡したら,改めて別のキャラクターが習得可能になる仕組みだ
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 最初に使える「炎の魔法」は“指定したマスから熱を奪い,別のマスに移す”という効果を持っている。これを使えば,直接的に敵ユニットを熱で攻撃したり,任意の地点に霧を発生させたりと,戦場にさまざまな変化を与えられる。

 また,熱の変化は空気の流れも変化させる。熱が隣接マスと2段階以上異なる場合,高温なら吸い込み,低温なら押し出すように突風が吹く。これによってキャラクターの位置を動かし,遠距離から優位な環境を作り上げられる。影響の種類は多岐にわたり,とてもひと言では説明できない。

高温の影響
・空気を引き寄せ,水分を蒸発させる
・熱を送り込むと高温になり,さらに送り込むとマス内のキャラクターが炎上する
・高温時はスタミナ消費量が上がる
・炎上時は継続ダメージを受ける
・湿度が温度と同等なら霧が発生する
・視界を遮り,内部への命中率が下がる
・温度が湿度より高いと雨が降り,移動タイムが増える

低温の影響
・空気を吐き出し,水分を凝固させる
・熱を奪うと低温になり,さらに送り込むと凍結する
・低温時はスタミナ消費量が上がる
・凍結時は一定ターン行動不能になる
・温度が湿度より大きく低いと雪が降る
・積雪マスではタイムとスタミナの消費量が増える

こうした変化は敵味方関係なく作用する。考えなしに変化を濫用していると,戦場がめちゃくちゃになって逆に不利になることも
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 なんとなく察せられるかもしれないが,本作の環境システムは扱いが難しい。管理する変数がマスごとに複数あるだけでなく,隣接マスとの相互作用もあるので,慣れない間は予期せぬ相互作用で不利益を被ることも少なくない。

 ただ,扱いに慣れると戦略を練るのが一気に楽しくなる。パッと見以上にできることが多く,複雑な戦況でも状況をよく観察することで“抜け道”が見えることも少なくない。単に難しいだけでなく,それを理解した先には,しっかりと本作ならではの楽しさが待っている。

 ちなみに,システムの難しさは開発側も認識しているようで,チュートリアルは非常に丁寧に作られている。
 ヘルプ機能も充実していて,画面上の情報が何を意味しているのかをいつでも参照可能だ。何度かミスを重ねつつ,情報をしっかり検討していけば,数回のプレイで勘所を掴めるようになるだろう。

接敵時に大きめの効果音が鳴り,ログに情報が提示されるなど,プレイアビリティを高める工夫はそこかしこに見られる
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 誰にでもオススメできる……とは言いにくいが,画面の要素をじっくり検討し,戦略を練る時間を楽しめる人にとってはこれ以上ない至高の1本になる可能性を秘めた作品だと感じられた。

 今回の体験版で触れられたのは「炎の魔法」だけだったが,製品版では地形そのものに影響を与えたり,湿度(水分量)を変化させたりと,魔法で操作できる環境ステータスが増える模様。それによってどんな新しい戦略が生まれるのか,いまから楽しみでならない。

 発売時期は不明だが,SNSなどでは活発に情報発信が行われている。続報が気になる人はアカウントをフォローしつつ,Steamストアページをウィッシュリストに加えておこう。

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