声優の小松昌平さんや川島零士さん，古田一紀さんがモーションアクターに挑戦！　「ポラポリポスポ」モーションキャプチャ収録レポート

　バンダイナムコアミューズメントが展開する「ポラポリポスポ」は，空想・創造・共創をキーワードに自由な世界を開き，ファンと一緒に成長していくことを目指したプロジェクトだ。2023年1月よりパイロット版が公開され，公式サイトやYouTube公式チャンネルで展開されている。


　物語は，それぞれの夢の実現を目指して活動する2つのバンド「WAKAZO」（わかぞう）と「chirp×chirp」（ちゃぷちゃぷ）を中心に描かれる。キャラクターデザイン担当は，イラストレータ―の赤倉氏。キャラクターボイスには，武内駿輔さんや西山宏太朗さんら声優陣をはじめ，VTuber ホロスターズの律可さんと影山シエンさんが起用されていることでも注目を集めている。

　また，アーティストたちの動きが，撮影後に人の手による加工を行わない「ゼロエディットモーションキャプチャー技術」によって生み出されているのも，本プロジェクトの特徴だ。YouTubeでは，その技術を利用したハイクオリティなMVやメンバープレゼン動画が公開されている。今後は，CG STAR LIVEやPOP UP STOREといったリアルな場での活動も予定されている。


　4Gamerは，そんなモーションキャプチャ収録の現場を取材する機会を得た。収録には，キャラクターボイスも担当する小松昌平さんや川島零士さんのほか，モーションアクターとして古田一紀さん，松田将希さんも参加している。今回はchirp×chirpのメンバープレゼン動画の収録の様子をレポートしていく。

“変”に向き合う物語。
「ポラポリポスポ」の世界を紹介！

　「ポラポリポスポ」では，それぞれの夢を追うWAKAZOとchirp×chirpの姿を，中学時代，芸術学校（アカデミー）時代，現代の3つの時間軸で描いていく。そのなかで関係性が変わっていったり，お互いに影響を与え合ったりと，彼らがあらゆる“変”と向き合っていく物語が，CG STAR LIVEやYouTubeのコンテンツなどで展開されていく予定だ。彼らの中学生時代を描くボイスドラマ“千夜一夜　京介編”は公開中なので，気になる人はチェックしてみよう。

■WAKAZO

KYOSUK [Vo.Gt.]
CV：武内駿輔

SO [Vo.Ba.] CV：律可（ホロスターズ）

AKARI [Dr.] CV：川島零士

■chirp×chirp

ヒナ[Vo.] CV：西山宏太朗

チアキ[Gt.] CV：小林千晃

イツキ[Ba.]
CV：影山シエン（ホロスターズ）

ゲッカ[Dr.] CV：深川和征

ロミオ[Kb.] CV：小松昌平

　公式サイトのアーティスト紹介では，現在および中学時代のキャラクタービジュアルが公開されている。まだ幼さが残る中学時代と，格好良く成長した姿，そのギャップは必見だ。なお，2つの間の時期である芸術学校時代のイラストは，現在は公開されておらず，どんな彼らが見られるのか楽しみだ。

　また，現時点での相関図も掲載されている。KYOSUKとヒナがこじれた関係だったり，SOとイツキが双子でありながら絶縁していたりと，彼らの過去に何があったのか，そしてこれからどうなっていくのか気になるものばかりだ。

　筆者のように登場人物同士の関係性にハマりやすい人なら，注目せずにはいられないコンビが何組もある。

本番中以外のお芝居にも感動！
モーションキャプチャ収録レポート

　今回は，chirp×chirpがお互いを紹介するメンバープレゼン動画のモーションキャプチャ収録を取材した。アニメやゲーム制作でおなじみのモーションキャプチャとは，モーションアクターに専用のセンサーを取り付け，動きをコンピューターに取り込んでキャラクターに連動させる技術のことだ。


　使用されたALiS ZERO（アリスゼロ）は，撮影されたモーションアクターのキャプチャデータ（動き，お芝居）を，リアルタイムで高精度CGデータとして表示する技術である。さらに，通常は撮影後に人力で修正作業が必要だが，「ゼロエディットモーションキャプチャー」では，加工一切なしの，生の動きが反映される。言葉にすると難しく感じるが，“アクターのお芝居がそのままキャラクターの動きになるスゴイ技術！”と思っていただければ，ほぼ間違いない（はず）。

　筆者はリアルタイム撮影といえど，モーションアクターの撮影した後に，表情や衣装の動きなど，ある程度調整しているのだろうと思っていた。しかし実際に取材してみると，モーションアクターのお芝居に合わせて，MVなどで見たままのハイクオリティでリアルな動きをキャラクターたちがしていて，驚いてしまった。

　今回ではなく別日で撮影するそうだが，バンドの楽器演奏も，リアルタイムでの表現が可能だという。時代はもうそんなところまで来ているのかと驚愕する。

■楽器演奏収録のお写真を公開！

　そんな次元を超えた映像を可能にしているのが，現場の皆さんの素晴らしい技術と，モーションアクターたちのお芝居だ。

　モーションアクター陣が芝居するスペースは，無数のカメラに囲まれており，光を反射する特別なセンサーを身体に取り付けることで，間接の位置などの情報を把握し，動きがコンピュータに取り込まれて，キャラクターのCGと連動される。


　モーションアクター陣は実際のキャラクターと体格は異なるのだが，技術者がバランスを見て調節するため，違和感のないものになっている（すごい！）。また，表情も専門スタッフがシーンに合わせてリアルタイムで調整することで，生き生きとしたキャラクターたちを生み出していて，まさに職人技だなと感動しっぱなしだった。


　今回は事前にボイスが収録されており，モーションアクター陣は，その動きに合わせてお芝居をこなしていくスタイルだ。プロのアクターだけでなく，今回のchirp×chirpではロミオのキャラクターボイスを担当する小松昌平さんが参加。また，声優の古田一紀さんがゲッカ，舞台俳優の松田将希さんがチアキのモーションアクターとして参加していることにも注目である。

　モーションキャプチャでは，指の動きが不自然にならないように開き方に気を配ったり，キャラの身体に重ならないようにしたりと，普通のお芝居とは異なる制約がいくつも存在する。しかし，モーションアクターに初挑戦の小松さんと松田さんは，自然にお芝居をこなしていてさすがだった。また，皆さん動きだけでなく，声はなくとも表情までしっかりと作っており，役者としての熱量の高さを感じた。


　小松さんが演じているロミオは，ロボットという設定のため，姿勢の美しさや規則正しい動きが求められる。もともとアクションが得意な小松さんということもあり，人間とは少し違うロミオの雰囲気を，見事に表現していた。本番が終了した瞬間に，ロミオが小松さん本来の人間らしい動きになるギャップも機会があれば見てほしいところだ。

　また，古田さんは本番以外でも，ダンスをしたり，手を振ったりして，画面に映ったCGキャラクターを見ながら，いろいろな動きの見え方を確認していて，動きの研究に熱心だった。ほかのアクターの皆さんも，休憩時間も演出家の方に指導を受けるなど真剣にお芝居に取り組んでいて，だからこそステキな本作の映像ができるんだなと感じた。


　なお，chirp×chirpのメンバープレゼン動画は，最初から最後までとおしで撮影された。もともとベースになるお芝居の映像があるそうだが，それでも動きを覚え，完璧にこなすモーションアクター陣はすごすぎる。

　そんな技術とモーションアクター陣の熱意が詰まった映像は，YouTubeにて11月15日より公開だ。chirp×chirpのことをもっと知ることができる楽しい映像となっているので，WAKAZOのメンバープレゼン動画とあわせてぜひチェックしてほしい。


オフィシャル写真カメラマン：中村ユタカ

「 ポラポリポスポ（メディアミックスプロジェクト）」公式サイト

「 ポラポリポスポ」YouTube公式チャンネル

モーションアクター陣の公式コメント

川島零士（AKARI役／CVも担当）
アカリの動きは既に動画で出ているので、今回アカリのモーキャプのオファーを頂いた際すごくドキドキしました…！だって既に動きも可愛いんだもん！笑
ですがアカリを演じた僕だからこそ、アカリの女性的とさえ感じる個性なども含めて表現出来るよう、
演じたアカリの呼吸に合わせて指の一本一本に至るまで意識を巡らせました！お楽しみに！

小松昌平（ロミオ役／CVも担当）
まさか自分がモーションアクターをやることになるとは…！
撮影は色々と新鮮でしたが、自分の舞台経験やスーツアクターの経験が活かせたような気がします。
おとなしい役なので、動きすぎないようには気をつけましたね笑
表情管理は他の方が担当してくれているというのもあり、多くの人が関わったチームプレーという感じでした。
完成形が楽しみです！

古田一紀（ゲッカ役）
セリフの語尾の残し方にCV担当の方の拘りを感じたので、見ている人にモーションでより伝わるよう心がけました。また、自分が関わっていない話題の時の居方や話の聞き方にゲッカの個性が出ると思ったので、そこも拘りました。手先が袖で隠れているシルエットだからこそ映える体の形など考えることが多く、貴重な経験になりました。

松田将希（チアキ役）
モーション撮影用のスーツを着るところから始まり、そこから沢山のマーカーをつけ、準備体操をし、沢山のエンジニアさんやディレクターさんの前で、身体ひとつで立って動き、その自分の動きがキャラクターに反映されるのをリアルタイムで見ることができる。それらの過程全てが自分にとって新鮮で、且つ自分がそのキャラクターに命を吹き込むことの責任を、改めて大きく感じました。そして、それにとてもやり甲斐を感じたので、これからもっとモーションの世界に携わっていきたいと思いました。