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インタビュー

「金色のコルダ」シリーズ20周年&「スタオケ」2.5周年! 横浜で生まれ育ち,名作となった「コルダ」の軌跡とこれからを襟川芽衣氏に聞く

 コーエーテクモゲームスの恋愛・育成シミュレーションゲーム「金色のコルダ」シリーズが,2023年9月19日に20周年を迎える。これを記念して,同シリーズを手掛けるコーエーテクモゲームス ルビーパーティーブランド長の襟川芽衣氏にインタビューを行った。

画像は「金色のコルダ」20周年特設サイトより
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 また,「コルダ」シリーズ最新作であるスマートフォンアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」iOS / Android。以下,「スタオケ」)も,2.5周年を迎えたばかり。熱い展開が続いている「スタオケ」のSecondo viaggioについてもお話をうかがった。

襟川芽衣氏(コーエーテクモゲームス ルビーパーティーブランド長)
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「金色のコルダ」20周年特設サイト



アニバーサリーのテーマは横浜!
原画展(9月2日〜19日)の開催も


4Gamer:
 「金色のコルダ」シリーズ20周年,おめでとうございます! 大きな節目であると思いますが,シリーズに携わられているチームの皆さんは今,どんなムードなのでしょうか?

襟川芽衣氏(以下,襟川氏):
 ありがとうございます。チームのミーティングなどでは「今年は20周年だね,めでたいね」という話はしているのですが,日々の「スタオケ」の業務と,この周年を記念した企画をたくさん用意しているので,変わらず忙しくしています。

 そんな日々の中でも,ファンの皆さんからのお祝いコメントを拝見すると,これからも頑張っていかなきゃなという気持ちが強くなります。本当に,周年を迎えられるということ自体にとても感謝していますしうれしいです。その喜びをくれたファンの皆さんに応えるためにも,さらにこの作品を大事にして,良いものを作っていきたいと思っています。やはり周年は,今後のモチベーションになる年です。

4Gamer:
 活気に溢れる様子が浮かびます。20周年企画も盛りだくさんですが,あらためて今回のアニバーサリーのコンセプトをお聞かせください。

襟川氏:
 コンセプトは“横浜”です。コルダの始まりの地となる星奏学院が横浜にあることはもちろんですが,港町なので昔から海外の文化がいち早く入ってきたということで,文化発祥の街にもなっています。

 それもあって横浜はエンターテインメントにも力を入れていて,美術館や音楽ホールも多くて。音楽を題材にしたイベントも開催されているので,「コルダ」らしい要素がたくさん詰まった街なんです。「コルダ」が20年前に横浜で生まれて,これからもどんどん大きくなっていく……というイメージから横浜を周年のテーマにしました。

4Gamer:
 ファンの皆さんにとっても,横浜は思い出深い場所になっている気がします。20周年の特設サイトも拝見しましたが,月森 蓮と九条朔夜のマリンルックもステキです。

襟川氏:
 港町から連想する衣装ということで,呉 由姫先生と高山しのぶ先生に「マリンルックでお願いします」とお伝えしました。衣装のデザインも先生方にお願いしたのですが,とてもステキに仕上がっています。それにポーズも細かく指定していなかったのですが,お二人とも月森と朔夜がバッチリ合うイラストを仕上げてくださいました。

4Gamer:
 やはり「コルダ」に長く携わられた先生方は,キャラクターがどうすれば生きるかよくご存知なんですね。

襟川氏:
 そうですね。呉先生は初代「金色のコルダ」から関わってくださっていますし,高山先生も「スタオケ」のキャラクターデザインをお願いする前から「コルダ」のことを好きでいてくださったそうです。高山先生は,呉先生をとてもリスペクトしていらして,今回のイラストも「呉先生のイラストと一緒に並べていただいていいんですか」とおっしゃってくださっていました。

4Gamer:
 イラストからもそんなリスペクトを感じます。個人の感想ですが「スタオケ」のキャラクターを最初に見たときも,違和感がありませんでした。

襟川氏:
 私もそう思ったんですよ。高山先生のお気持ちの強さかもしれませんね。そして呉先生も,今回の20周年メッセージの中で,「コルダ」をこれからも愛し続けるという気持ちを伝えてくださって,ありがたかったです。私たちも,呉先生は20年前からずっと一緒に「コルダ」の世界を作り上げてきた大事な仲間だと思っていますので。

 呉先生はこうした周年などの節目に必ずメッセージをくださるんですけれど,そこで「コルダ」に対する愛情を伝えてくださり,一緒に節目を喜んでくださっていることがうれしいですね。

4Gamer:
 呉先生の原画展(9月19日で開催終了)も注目を集めていますが,どういったいきさつで開催する運びとなったのでしょうか。

襟川氏:
 原画展は,「コルダ」のコミカライズを掲載している白泉社さんからご提案いただいたんですよ。呉先生の原画やグッズなど,長年の作品が蓄積されているということで,私たちも見てみたかったですし,「コルダ」20周年の節目に原画展が開催されるのは喜ばしいことなので「ぜひ!」と,実現しました。

4Gamer:
 ファンの皆さんも待望の企画ですよね。

襟川氏:
 そうですよね,私もすごくうれしいです。今回のアニバーサリーにあたり,過去のビジュアルブックや,スチルを見たりすると懐かしいなと当時を思い出すこともあります。

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[2023/09/08 12:00]


「コルダ」シリーズの開発秘話


4Gamer:
 「コルダ」シリーズの年表も公開されていますが,辿ってみると歴史を感じますね。歴代作品や,その中での出来事を振り返って思い起こされることはありますか?

襟川氏:
 それぞれのタイトルで思い出すことはたくさんあるんですけど,ああして年表の形で見ると,「コルダ」が星奏学院を中心とした1つの長い物語であることを実感します。あと,上の世代から下の世代に,つながるものがあるんだということもあらためて考えました。なんだか本当に,横浜のどこかに星奏学院があるような気がしてしまいますね。

4Gamer:
 ちなみに,20周年の今だから話せるエピソードなどはありますか?

襟川氏:
 今だから話せる……というわけではないんですが,20年の中であらためて,声を担当してくださったキャストさんと音響監督の菊田さんにも感謝しています。同じIPでキャストさんが同じで,それを20年続けながら演じ分ける,新しいキャラクターを音で作っていく……というのは想像できないほど大変なことだったと思いますから。

4Gamer:
 20年という年月で「金色のコルダ」シリーズが特に進化した部分,逆にブレていない部分とはどんなところでしょうか。

襟川氏:
 ブレていない部分は,クラシック音楽に真摯に向き合う高校生たちの青春,そして恋の群像劇というものですね。そこはこの20年間,まったくブレないです。音楽,学園,青春,恋愛。それが「コルダ」の核になっていると思います。

 進化した部分はゲーム性やシステム面です。ゲーム性だけでなく,表現方法は時代に合わせて変えています。この20年でプレイヤーさんの持てる自由な時間も変わってきました。20年前はゲーム1本あれば,家に帰ってじっくり遊べましたが,今はそうとも限らないですよね。

4Gamer:
 プレイヤーさんのライフスタイルも変わりましたよね。

襟川氏:
 女性向けゲーム業界において,スマホが出てきたのが時代の大きな転換期だと思います。家庭用ゲーム機も最初は据え置き型が主流でしたけど,だんだん手持ちのポータブルのものになりました。この時代の流れというのは無視できないです。何でも手軽に楽しめるようになっていますよね。

 ですから,開発チームには「なるべく面白いと体感するまでの時間を短く」と伝えています。そのあたりは進化なのか分かりませんが,変えていかなければいけないところだとスタッフも理解していると思います。その時代,時代に合わせてゲーム性,表現方法といったものを変えていくことが,長く愛される要素の1つとしてあったのかなと思います。

4Gamer:
 シリーズを続けるのは簡単なことではないのですね。あらためて20年の重みを感じます。

襟川氏:
 生まれたばかりの子が成人する年月ですからね。それだけ長いこと1つのコンテンツを続けられるのはすごいことだと思いますし,多くのファンの方に支えられてここまでこられたことに深く感謝しています。皆様の人生がもっともっと彩り豊かなものになるよう,これからも長きにわたりコルダの世界をお届けできるようがんばります!

4Gamer:
 ちなみに,「コルダ」を人間に置き換えるなら,どんな大人に育ったと思いますか?

襟川氏:
 音楽に真摯に向き合うところは昔から変わらないけれど,いろいろな経験をして柔軟な大人になったんじゃないかなと思います。少しのケガも許さない月森 蓮から,一ノ瀬銀河や金澤紘人のような,挫折を知った大人になったイメージです。

 細かくパラメータを調整していたコンシューマから,より親しみやすい遊び方をするスマートフォンになったけれど,本質は変わっていないという感じでしょうか。音楽を裏切らないという芯は変わっていないと思います。

4Gamer:
 なるほど,月森くんから,挫折を知る銀河や金澤先生へ……。

月森 蓮(「金色のコルダ」より)
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一ノ瀬銀河(「スタオケ」メインストーリー第1部第3章「漆黒の覇者」より
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金澤紘人(「金色のコルダ」より)
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襟川氏:
 ルビーパーティーだって20年の中ではいいことばかりではないですしね。いろいろなゲームや娯楽が出てくることで,女性向けゲームと言えばルビーパーティー,といった状況からは大きく変わりました。「コルダ」が変わったのと同様に,我々も変化に対応していく必要があります。現状に満足せず,これからもいろいろなことにチャレンジして,進化していきたいと思っています。


「コルダは私の人生」と
ファンに言わせしめる名作に


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4Gamer:
 SNSなどでファンの皆さんのコメントを拝見すると,「コルダは私の人生」「コルダで人生変わった」という声も少なくありませんでした。1作目発売当時は,ここまでプレイヤーに影響を及ぼす作品になると想像されていましたか?

襟川氏:
 クラシック音楽に興味を持ってもらえたらとは思っていましたが,これほど強いメッセージをいただけるほどの作品になるとは,当初は思っていなかったです。「楽器を始めました」「楽団に入りました」という方もいらしたりと,ユーザーが音楽と深く関わるきっかけを作れたことが嬉しいですね。

 でも,それと同時に人生を変えるほどの,強い思いを持ってもらえる作品を作ったということは,今後も作品を大事にして継続させていかなればいけない,という責任感のようなものを感じています。

4Gamer:
 それを聞いてファンの皆さんも安堵されるのではないでしょうか。

襟川氏:
 気持ちはいつもあるんです。形にするのに時間がかかってしまうんですが……。

4Gamer:
 では,「コルダ」シリーズの今後の展開として予定されていること,未定でも挑戦したいことはありますか?

襟川氏:
 今後の展開で今お話できることはないのですが,私の“野望”として過去作の移植やリメイクがあります。「コルダ」の1作目から,ここ最近のタイトルまでを何とかまた遊べるようにできないかなとずっと考えているんです。

4Gamer:
 それはぜひ実現していただきたく!

襟川氏:
 実は,数年に1度は試算もして検討しています。ですが,作りたいという気持ちだけでなく,ビジネスとして成り立つのかというのも無視はできません。言い方は良くないですが,単純に出すだけでは,ものすごくアコギな商売をしないと収益が出ないんです。そうではなくてもっと,今までのファンの皆さんに感謝の気持ちも込められたらなと思っているんですが……それなりの対価も考えなければならなくて。ベストな方法がまだ確立できていないんです。

4Gamer:
 ファンとしては新規プレイヤーさんにも「コルダ」を知ってほしいですから,手に取りやすい価格や形態であるとよりうれしいですよね。ストーリーに触れていただくなら,ボイスドラマのような手段もあるかもしれませんが……。

襟川氏:
 そういえば,「Renta!」さんではゲームをタテコミにする企画をされていて,オトメイトさんのタイトルなどが「絵ノベル」になっていますね。これを「コルダ」でできないかな,なんて考えたりもしたのですが,「コルダ」は自分たちで演奏を高めていくというゲームシステムの部分がないと話がつながらなかったりして,新規に追加しないといけない部分が多いこともあり,なかなかうまく形にできませんでした。

4Gamer:
 練習して成長するからこそ気持ちが乗るのは「コルダ」ならではですよね。それでは,そんな「コルダ」を愛するプレイヤーの皆さんへ,メッセージをお願いします。

襟川氏:
 いつも「コルダ」を応援してくださっている皆様,ありがとうございます。20年を経てもなお,たくさんのご意見やメッセージ,ご要望をいただけることに本当に感謝しています。

 今もスタオケでアンケートを取らせていただいているのですが,たくさんのご意見をいただいているという報告を受けています。良い意見でも,お叱りのお言葉であっても,我々に伝えたいと思ってくださることがまずありがたく,私だけではなくスタッフの励みになります。これからもどうぞ,音楽と学園と青春の物語「コルダ」の世界を見守っていただけたら幸いです。よろしくお願いします!


「スターライトオーケストラ」も2.5周年!
Secondo viaggioの行方は?

※ここからは「スタオケ」のストーリーに触れています。未読の方はご注意ください。

4Gamer:
 「スタオケ」も2.5周年,おめでとうございます! つい先日の2周年で宇賀神惟世,宇賀神七瀬の兄弟が新たに加わりましたが,彼らの反響はいかがでしたか。

襟川氏:
 ありがとうございます。宇賀神兄弟は皆さんに喜んでいただけたなという手応えはありますし,彼らの地元が金沢というのも,驚きつつも納得してくださったのではないでしょうか。ただ,七瀬はスタオケに対して悪いことをしてしまったので,それについてはお怒りの方もいらっしゃったかと思います。ですが,あれはあれで必要なこととして描いていました。七瀬も惟世のように,ゆっくりでもスタオケに影響を受けて成長していく形で描いていきたいので,見守っていただければうれしいです。

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宇賀神惟世
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宇賀神七瀬

4Gamer:
 そもそも,宇賀神兄弟の加入はいつごろからご準備されていたのでしょうか。

襟川氏:
 Secondo viaggio(以下,SV)の構造を考えたタイミングですね。まず,SVの根本的なところを考えたときに「銀河を外さないといけない」となりました。彼がいるとスタオケは変わらない,変わらずに済んでしまう。それはつまり,これ以上成長もできないということになるからです。では,彼を外したときにどうするかということで,宇賀神兄弟の加入が決まりました。

 銀河は天才性が高いのですが,その不在を1人で埋めてしまえるようなキャラクターが出るとまた変わりません。そこで,まだ成長途中で足りないところがあるキャラクターを2人,入れることになりました。

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4Gamer:
 あらためて,銀河の存在の大きさが分かりますね。

襟川氏:
 ええ,銀河が大事だからこそ,彼もまた成長させたいという思いがあります。順風満帆で来たスタオケを壊すのはそれしかなかったなという感じです。

4Gamer:
 銀河がいなくなってしまったのは寂しかったですが,そのいなくなった過程の話によってもっと彼が好きになりました。今はいないけれど,やはりまだ銀河の影が感じられるので,毎回読むのを楽しみにしています。

襟川氏:
 チームも,銀河ファンの皆さんのために,彼がお話に出ていなくてもどこかで感じられるように作ってくれていますね。

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4Gamer:
 ありがたいですね。そうした演出や,宇賀神兄弟の加入で少しずつストーリーにも明るさが戻ってきた感じがします。兄弟とメンバーとのやり取りも楽しく読んでいますが,今後はどんなキャラクターと親しくなっていくのでしょうか?

襟川氏:
 惟世は,銀河が戻ってきたときが本人も一番うれしいでしょうし,七瀬は甘やかされている子なので,ビシッと言ってくれる人と近づいていくかなと思います。せっかく中学生を出すならば,そうして学んでいく過程を入れたいなと思っていたんです。

4Gamer:
 七瀬については,ボイスを担当されている小林裕介さんもインタビューで同様のことをおっしゃっていましたね。

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 コーエーテクモゲームスが贈るスマホアプリ「金色のコルダ スターライトオーケストラ」が,本日(2023年8月24日)で2.5周年を迎えた。これを記念して,古川 慎さん(宇賀神惟世 役)と,小林裕介さん(宇賀神七瀬 役)のインタビューをお届けしよう。

[2023/08/24 14:00]

襟川氏:
 ええ,ハッキリと「お前が悪いよ」と言ってくれるキャラクターと相性が良いと思います。七瀬は優しくしてもらっちゃうと「あ,ハイ」と聞き流してしまうところがあるので(笑)。中学生時代に,ちゃんと言ってくれる人がいるというのは恵まれているのかもしれません。

4Gamer:
 彼らにまつわる新たな“リンクスキル”の登場も楽しみです。

襟川氏:
 ありがとうございます。彼らの関係性が明らかになるに応じて追加していければ……と思っています。

4Gamer:
 SVにお話を戻しますが,先日,第8章が配信されましたね。物語の進行としては現在どんなステージにあるとお考えでしょうか。

襟川氏:
 中盤をかなり越えたくらいです。最初の沈んだところから,だんだんと「こうしたらいいんだ」という道を,主人公もほかのキャラクターたちも見つけ始めて。それぞれの人生を考え,立ち上がるところに入ってきたなと思います。

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4Gamer:
 SVの展開はジェットコースターのようで,毎回先が気になって仕方ないのですが,ストーリーはどのように練られているのでしょうか。チームの皆さんで話し合って決められていくのですか。

襟川氏:
 最初に「こういう風にしたい」というのがシナリオチームから上がってきて,私と相談しながら大枠を作り,そこから各話の細かい部分を決めていきます。軸を決めるのはシナリオリーダーなのですが,アイデアだったり,物語が似たり寄ったりにならないようにスタッフの力を借りて,チームで話をしながら決めていくところもあります。誰か1人だけが物語を決めているわけではありません。

4Gamer:
 そのように作られていたのですね。SVではメインのストーリーの流れがありつつも,キャラクターそれぞれにスポットが当たっていますが,同じ人物が連続しないようにバランスの調整をするのは大変なのではないでしょうか。

襟川氏:
 そうですね。表を作って「この回はこのキャラクター」と決めたあとに,彼らが出てくる話を構成しています。メインストーリー第1部のときは,各章で新たなキャラクターが登場し,そのキャラクターたちが中心のストーリーになっていましたが,SVではちゃんと彼らが平等になるように,いい出番が必ずあるようにしています。

 私からもチームに「偏りがないように,なるべく平等な形で活躍させたい」とお願いをしたのですけれど,その時点でもうチームの中では当然のこととして動いてくれていました。若いスタッフたちはそのあたりの感覚に敏感で,平等性だったり,誰かを傷つけてしまうんじゃないかという表現を指摘してくれますね。

4Gamer:
 それは頼もしいですね。

襟川氏:
 ストーリーだけではなく,スカウトのカードもそうですね。第1部の,最初のころはバランスが若干悪くて……。キャラクターが連続してしまったり,なかなかスカウトに投入されないキャラクターがいるということで,ファンの皆さんからお叱りを受けたこともありました。そこはとても反省して,カードの展開も含めてどのキャラクターも平等に扱うことをチームとしても肝に銘じています。


好敵手グランツの航路はどこへ向かう?
あの“白い人”の秘密は!?


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4Gamer:
 SVからグランツ交響楽団と交流する機会も増えてきました。彼らの動向も非常に気になるところですが,再びグランツが主軸のストーリーなども見られたりするのでしょうか。

襟川氏:
 そうですね,SVではグランツのことも描いていきます。第1部で「なぜグランツが負けたの?」と思ったプレイヤーさんもいらっしゃると思いますが,彼らが足りなかったところは何なのかをちゃんと説明したいなと思っています。
 また,月城 慧と朔夜についてもしっかり描きたいなと。彼ら自身も解決しなければならないことがあるんですね。

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4Gamer:
 少しずつ月城と朔夜を知るピースが出てきていますが,まだまだ深いものがありそうですね。そしてグランツは,御門浮葉が退団されてしまいましたが,ここも気になるところです。

襟川氏:
 御門を退団させることも悩んだのですが,あの性格で諾々とグランツに居続けるというよりはピシッと手を払いのけるほうが彼らしいなと思い,その形にしています。彼は集団で影響を受けて変わっていくというより,1人で変わっていける人かなと思うので,その方向性を選びました。

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4Gamer:
 なるほど……。それにしても浮葉や銀河の身の振り方は思い切った展開だと思いますが,判断に悩むところではないですか。

襟川氏:
 御門に関しては「なるほど確かにそうだね,そういうキャラクターがいてもいいね」と,スルッと納得できたのでOKしました。ストーリーについてはチームに全幅の信頼を置いているので,先述したキャラクターがちゃんと平等に活躍しているか,個々をちゃんと描いてあげているかという点がしっかりしていれば,あとはチームに任せています。

 私が口を出すとしたら,自分がドキドキ,ハラハラしたり,泣いたりとか,感情を揺さぶられるような展開になっているかというところですね。

4Gamer:
 その賜物でしょうか,SVでは毎回泣かされています。

襟川氏:
 私もプロットの段階で涙ぐむことがあります。自分の気持ちを乗せられるようなプロットだと,泣きそうになったり,笑ったり。不思議なことに,仕上がったシナリオを読んでもまた同じ気持ちにさせられるんです。展開を知っているのに。これもスタッフの力です。

4Gamer:
 「スタオケ」のシナリオは2回,3回と読んでも泣けてしまうんですよね。ところで,メインストーリー第1部や,SV各章の最後,エクストラに登場するあのキャラクターはまだ謎に包まれていますが,いつか秘密が明かされるときが来るのでしょうか。

襟川氏:
 まだ秘密です。まずはSVを完走させるところに注力していますので,その後の展開にご期待ください。

4Gamer:
 いろいろと想像が膨らみますね。「スタオケ」は不思議な世界を体験するイベントストーリーも持ち味だと思いますが,今後やってみたい展開などがあればお聞かせください。

襟川氏:
 SVはシリアスなので,楽しい展開がいいなと思っています。以前の「赤ずきん」(変奏曲「赤いずきんと狼の森」)だったり,サメ(「ジャミング・ハミング・海底王国!」)だったり,ああいった脱力するお話も好きなんですよね。「こんなことに対応できちゃうんだ!?」という,キャラクターの新たな魅力が見つかりますし。

 やはり,チームとしてもキャラクターをさまざまな角度から描きたいというのがあるようです。もちろんそれが失望につながるのはまずいですが,「こんなところもあるんだ」というほうが,生きている感じがするなと思います。ですのでイベントストーリーはどんな形であれ,そういう部分を切り出せる話がいいなと思っています。

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4Gamer:
 そういえば2周年のときに,Twitter企画としてプレイヤーさんが「#アイアムネオマチコ」として配役を考えたり,キャラクターのチャートを作っていましたよね。あれもイベントストーリーがあったからこそ想像を膨らませて書けたんじゃないかなと思います。

襟川氏:
 そうですね,あの企画は皆さんも楽しんでくださってうれしかったです。そしてマチコを受け入れてくださってありがとうございます。やはり想像の世界は無限ですから,どこへでも行けるようにしたほうがきっと楽しいですよね。

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4Gamer:
 今後も貴宝院マチコ先生のご活躍に期待しています。さて,ここからはシステム面についてもうかがっていきたいのですが,まずは3周目に突入するキャラクターのバースデースカウトについて,あらためて詳細をお聞かせください。

襟川氏:
 バースデー3周目のストーリーは,あまり出し惜しみせずに甘くしたいなと思い,恋人になったらというシチュエーションが楽しめるようにしています。きっとプレイヤーさんも見たいと思ってくださるだろうなと。

 でもそれを成り立たせるには,やっぱり魔法しかないかなということで,ノノが魔法をかけてくれるわけですが,さすがにもうリリの魔法を越えている気もしますね(笑)。もうすでに,海外へ連れていってくれた時点で越えている感もありますけれど……。とにかく,彼らと恋人になったらこんな風な感じになるんだというのをお伝えできればと思っています。

4Gamer:
 さっそく,源一郎のバースデーカードのストーリーを堪能いたしましたが,最高でした。また,バースデー専用のクエストもやり応えがありました。

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襟川氏:
 ありがとうございます。クエストでのデッキ編成もよりやりやすくなっていますよ。カードの詳細から強化画面へジャンプできたり,カードのソート機能を向上させています。

4Gamer:
 ゲームのプレイフィールの向上や,UIの調整が絶えず行われていますよね。スキップチケットを使った時も,タップすれば一瞬で最終結果まで表示されますし,イベントのルーレットも一気にビンゴシートが開けられて快適です。

襟川氏:
 基本的には皆さんがプレイしやすくなるような機能をどんどん追加しています。今ある機能にもプラスアルファで喜んでもらえそうな部分を加えていっています。例えば自主練習やポスター機能などですね。また,称号を4つ付けられるようになったりとか,ストーリーメニューで自分のお気に入りのお話を登録できたりとか。こうした改善はゲームを便利にする機能と,作品愛やキャラクター愛を表現できる機能の両軸でやっています。

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4Gamer:
 今後もますます楽しみです。それではこれからの「スタオケ」の展望や,目標をお聞かせください。

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襟川氏:
 まずはSVを最後まで皆さんに楽しんでいただけるように,丁寧に作っていくことが一番の展望です。キャラクターたちが成長して,スターライトオーケストラという楽団がさらに素晴らしい楽団になるのを,ストーリーで成し遂げたいと思っています。

 そのあとに,あの“白い彼”でしょうか。彼に限らず,まだ明かされていない部分について,1つずつクリアにしていければなと。もちろん,プレイヤーの想像にお任せして,描きすぎないほうが良いものもあるでしょうから,バランスを見ながら掘り下げていければと思っています。

4Gamer:
 今後のさらなる展開を楽しみにしています。ありがとうございました!

――2023年8月29日収録

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