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空間を切り裂くエア操作! セガが放つ新感覚音楽ゲーム「CHUNITHM(チュウニズム)」の秋葉原でのロケーションテストをレポート
筆者が到着したロケテ初日の午前9時頃には,開店前にもかかわらず50名ほどが列をなしており,昼過ぎには150人ほどの順番待ちに。平日とは思えない盛況ぶりとなった |
フロアには,プレイヤーのサポート役としてゲーム中に登場するキャラクターの設定画や,担当イラストレーター直筆の色紙が展示されていた |
変化するノーツの幅と“エア操作”でこれまでにないプレイ感覚を実現
まずはロケーションテストでのプレイを基に,ゲーム内容を説明しよう。CHUNITHMの特徴は大きく二つ。一つは,GROUND SLIDERと呼ばれる板状のタッチセンサーだ。
本作の基本ルールは,画面奥から流れてくるノーツ(譜面)が判定ラインに重なったタイミングにあわせて入力するという,音楽ゲームとしてはオーソドックスなもの。しかし本作ではボタンではなく,このGROUND SLIDERで入力を行うのがポイントだ。
どのように入力するのかというと,本作にはノーツが流れてくるレーンの分割数が変化するというギミックが用意されている。GROUND SLIDER上の入力範囲はレーンと同じ幅になっているので,分割されたレーンに対応する場所をノーツのタイミングに合わせて触れて操作すればいいというわけだ。これは,ボタンを使ったゲームでは不可能なシステムだろう。
スライダーの操作は,TAP(叩く),HOLO(押さえる),SLIDE(左右に動かす)と複数を用意。難度の高い曲では,左右に弾く操作も用意されるなど,こちらもボタンとは一味違った操作を活かしたものとなっている。
TAP操作。ノーツが判定ラインに差し掛かったタイミングで,対応する位置のスライダーをタッチ |
HOLD操作。オレンジ色のノーツが流れている間,対応する位置に触れ続ける |
SLIDE操作。水色のノーツの左右の動きに合わせて,スライダー上の指をスライドさせる |
もう一つの特徴が,“AIR STRINGS”と呼ばれる空間操作だ。筐体の左右にある空間センサーが,プレイヤーの手の上げ下げといったアクションを検知。これに対応する“AIR”や“AIR-ACTION”ノーツが用意されているのだ。プレイ時の一例をあげると,HOLD操作の最後に両手を「バッ」と上に上げるといったものがある。操作パネルから手を離すことが入力アクションになるという,こちらも独特のものとなっている。
さて肝心のプレイした感想だが,正直,プレイ前は「ボタンがなく(押し込む操作がなく)て不安」に思っていたのだが,それはいい意味で裏切られた。画面とスライダーとがピッタリとくっついていることもあり,画面を見たままの直感的な操作が可能というのも良い。むしろ,ボタンの位置を覚える必要がない分,初心者に優しい入力システムかもしれない。
AIR STRINGSによる操作は,空中で手を動かすというこれまでにないアクションが,なんとも不思議な感覚だ。最初こそやや戸惑ったものの,リズムに合わせて手を上下するにつれ,自然と体がリズムに乗っていくという,またも予想外のプレイ体験に。音楽ゲームでありがちな“もぐらたたき”にならないアクセントになっており,最終的にはサビ終わりでの“キメポーズ”的な気持ちよさまで味わえた。
ほかにも,プレイ後にすごろく状のマップを進んでいくことで,オリジナル楽曲が開放される仕掛けや,プレイヤーをサポートするキャラクターの要素などがあるようだが,残念ながらロケーションテストでは,そのほんの一部を体験できたのみ。このあたりにもプレイヤーを飽きさせない仕掛けがある予感がするので,早く次に触れられる機会が楽しみだ。
開発ディレクター小早川 賢氏へのミニインタビュー
最後に,ロケーションテストを視察に来ていた,セガの本作ディレクター小早川 賢氏に話を聞くことができたので,ミニインタビューとして掲載しよう。短い時間だったが,興味深い話が多数聞けたので,注目して読んでほしい。
4Gamer:
GROUND SLIDERはこれまでにない操作感覚で,とても新鮮なプレイ感覚が味わえました。一方で,ボタンを取り払うという決断に不安はなかったのでしょうか?
今回のデバイスについては,画面との一致性を高めることができたり,ノーツのサイズを変えることができたりといった使い方を想定していたため,メリットのほうが大きいと感じていましたので,私個人としてはあまり不安を感じていませんでした。むしろ,多くの音楽ゲームにおいて「正しいボタンを押す」という当たり前の行為が,ライトユーザーにとっての障壁になっていると私自身が強く感じていましたから,その懸念を払拭できる可能性に賭ける気持ちの方が強かったのです。
4Gamer:
確かにボタンの位置を覚えるといった“慣れ”がハードルに感じる部分もあります。
小早川氏:
PC初心者にいきなり「ブラインドタッチをしてください」と言うのと同じことですよね。また,ノーツの大きさを変えることで,初心者から上級者まで幅広い層に向けたゲームデザインができることも魅力です。従来の音楽ゲームでは手数を増やすしか難度を上げる手段がありませんでしたが,今作ではノーツのサイズや配置を絡めた,さまざまなバリエーションの難度が作れると思っています。
4Gamer:
ではゲームデザインを煮詰めていった結果,GROUND SLIDERでの操作に行き着いたということですか。
小早川氏:
はい。「幅広いお客様に楽しんでいただく」というゲームデザインを突き詰めた一つの結果が,この“GROUND SLIDER”です。
4Gamer:
AIR STRINGSについてはいかがですか?
小早川氏:
音楽ゲームをプレイしている人を見ると,デバイスによる操作以外でも,足踏みをしたり,各々のやり方でリズムを刻んでいたりするんですよね。その「音楽にのる」という行為をゲームに取り入れられないかと思って実装したのが“AIR STRINGS”です。ちょっと大げさなアクションで手を離したり,乗りながらリズムを刻んでみたりといったアクションを検出して演出してあげることで,いままでの音楽ゲームになかった気持ちよさが実現できたのではないかと思っています。
また,音楽ゲームには「手順を考える」という,やりこんだ人が感じるちょっとマニアックな遊び,楽しさがあるのですが,このAIR STRINGSを使うことで,マニアックな楽しさも手軽に楽しめるようになります。
4Gamer:
確かに両方の操作は独自性が強く,とても新鮮に感じました。
小早川氏:
難度の幅広さに加えて,音楽ゲーム一番の楽しさである“曲と一体となってリズムを刻める”ということが表現できる,良いデバイスができたと思っています。
4Gamer:
ゲームタイトルはどう決まったのでしょう。やはり中二病から?
小早川氏:
おっしゃられるように中二病+リズムだったり,ほかにも綴りは違いますがチューニングだったり,空中のチュウだったり,さまざまな意味を込めました(笑)。インパクトのある名前ですし,いろいろと意味を考えたくなるタイトル名にもなったと思っています。
4Gamer:
楽曲についてはいかがでしょうか。パカパカパッションの曲があったりと,収録曲はかなりバラエティに富んでいますよね。
小早川氏:
ライセンス楽曲ではアニメ曲やJ-POPなども含めて,かなり幅広いラインナップを揃える予定です。また,先日のニコ生の配信で発表しましたが,著名コンポーザーのオリジナル曲もかなり力を入れて制作を行っています。ジャンルを問わず,プレイヤーの皆さんがほしそうな曲を入れたい放題入れちゃおうと思って作っています(笑)。
4Gamer:
では,本作の稼働時期はいつ頃になるのでしょう?
小早川氏:
現状では未定です。今回のロケテストは,このゲーム性がプレイヤーに喜ばれるかを受け止めるためのものです。とはいえ,なにも情報がなくては忘れられてしまうので,それほど遠くない時期にまた皆さんにお見せできる機会ができたらいいなと思っています。
4Gamer:
最後に,音楽ゲームファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
小早川氏:
本作には,maimaiの開発で得たノウハウや,より楽しい音楽ゲームを作りたいという気持ちをいろいろな場所に詰め込んでいます。今回のロケテストでお見せしたのは,あくまでその一部です。まだまだ皆さんの想像を超えるような仕掛けを考えていますので,期待していてください!
4Gamer:
ありがとうございました。
「CHUNITHM」公式サイト
- 関連タイトル:
CHUNITHM
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