コーエーテクモゲームスがサービス中の
「信長の野望 201X」(
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「歴史上の有名人物が巨大な武器を持って戦う」というユニークなイベントの模様をレポートしよう。
まず「『魔界』とは何か?」というところから説明しよう。
こちらのリリースによれば,“「演劇」「音楽」「格闘」を組み合わせた新進気鋭のハイブリッドエンタテインメント”とのことだが,筆者が実際に見た感想としては「ゲームや漫画のような世界観で展開される,格闘家のバトルにフォーカスした演劇」といったところだろうか。
陰陽師の安倍晴明が念力を操り,傾奇者の前田慶次が朱槍を構え,宣教師のルイスフロイスが巨大な十字架を振り回す……といった世界が現実で展開されるのだ。
観客席と舞台(リング)の距離がかなり近いのも魔界の特徴
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左から,高山右近(土屋大輔さん),滝夜叉(浦えりかさん),鶴姫(志田 光さん),ルイスフロイス(レディビアードさん)
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格闘家が繰り広げるバトルは,巨大な武器での剣戟や投げ技の応酬など迫力満点。また,演奏者どうしが音楽で対決するという演出もある。
個人的な話になるのだが,筆者はかつて小劇場演劇にハマっていた時期があって,魔界の奇想天外さや少年マンガ的なノリは,かつて存在した劇団「惑星ピスタチオ」に近いと感じられた。
巨大な武器を振り回す様は,まさにゲームのノリ
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左から,安倍晴明(にいみ啓介さん),猿飛佐助(本田アユムさん),真田大助(三富政行さん),霧隠才蔵(朱里さん)。時空を越えた夢のバトルだ
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そんな魔界は,連続したストーリーがあるのも特徴で,過去に非業の死を遂げた者が永遠に戦い続ける「魔界」という空間を舞台に,3つの勢力が入り乱れて争い続けるという設定になっている。
安倍晴明とお市の方が「五芒星軍」を結成。魔界を乗っ取らんとする「黒魔術軍」は,キリシタン大名の高山右近に宣教師のルイスフロイス,忍者の猿飛佐助など曲者揃いだ。そして「魔界水軍」は史上最大の怨霊・平 将門の復活を目論み,将門の娘である滝夜叉や,かつて将門と連携して乱を起こした藤原純友らが暗躍する。
公演の前には,案内役かつ場外乱闘から観客を守る「魔界衆」が,明るい雰囲気のライブを行う。中でも,河童(宇都宮快斗さん)のインパクトが凄い
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39回目となるこの公演では,前述のとおり「信長の野望201X」とコラボ。五芒星軍と魔界水軍が手を組み,黒魔術軍と戦う。
まずは,新木場に現れた「魔境」を調査するということで,「信長の野望201X」ではおなじみの
石動理事(渡 猛さん)とエージェントの
芦上まつり(セリーナ比嘉さん),そして二人を護衛する武将の
里見義堯(新井健一郎さん)が登場。魔境ならぬ魔界に迷い込んでいた3人だが,日本を守る特地解放機構としては,魔界も放ってはおけない……ということで,まつりと義堯が調査を命じられた。「星と“海”の反撃」というタイトルにちなんでか,里見水軍を率いた義堯が出てくる辺りが渋い。
左から,「信長の野望 201X」に登場するエージェントの芦上まつり(セリーナ比嘉さん)と石動理事(渡 猛さん)。ロス出身の比嘉さんが演じたためか,英語がペラペラの帰国子女という設定だった。ゲーム本編にフィードバックされるかも
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芦上まつりに同行する里見義堯(新井健一郎さん)
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その頃,魔界では
安倍晴明(にいみ啓介さん),
鶴姫(志田 光さん),
滝夜叉(浦 えりかさん)の五芒星軍&魔界水軍の連合軍と,黒魔術軍の
高山右近(土屋大輔さん)と
ルイスフロイス(レディビアードさん)が死闘を展開していた。
フロイスの巨大な十字架と鶴姫の剣,そして清明の陰陽術と右近の妖術が交錯するバトルは,良い意味での厨二病テイスト全開。客席と舞台の距離が近いこともあって,かなりの迫力だ。長髪を振り乱しつつ,身長ほどもある十字架を縦横に振るうフロイスの存在感が凄く,思わず目で追ってしまう。連合軍も必死に戦うものの,形勢は逆転できず,ついには要である清明をさらわれてしまう。
左から,フロイス,鶴姫,滝夜叉
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敗れた清明は謎の美少年(朱祟花さん)にさらわれてしまう
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まつりと義堯は落胆する連合軍に遭遇し,清明を取り返す戦いに協力することになった。まずは力を試すための模擬戦ということで,鶴姫・義堯・
夕顔(夕顔さん)組と,
藤原純友(TARUさん)・
陶 隆房(AKIRAさん)・
俵 藤太(バッファローさん)組が相まみえる。
手前から,藤原純友(TARUさん),陶 隆房(AKIRAさん),俵 藤太(バッファローさん),義堯,鶴姫,夕顔。「信長の野望 201X」のゲームを再現した,陣形を組んでのバトルを繰り広げた
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お互いに陣形を組み,直接攻撃と支援に役割を分担。そして武将たちは戦況に合わせてマス目があるかのように移動する……という,信長の野望201Xを再現したバトルが展開した。純友が巨大なイカリを叩きつけた衝撃波で周囲の者を吹っ飛ばし,夕顔の支援を受けた鶴姫と義堯が隆房と藤太にダブルドロップキックを叩き込む。ゲーム的要素と格闘家たちの肉体表現がうまくかみ合う様子は,まさにコラボの醍醐味。
続く
鬼一法眼(ISAOさん)対
ウジェニー(星野沙織さん),
バージニア(SAKIさん)の戦いは,演奏の応酬となる音楽バトル。鬼一法眼のギターやバージニアのバイオリンが武器のように見えてくるのが凄い。ラノベの世界が現実になったようで,ただただ圧倒されるばかりだ。
左から,ウジェニー(星野沙織さん),バージニア(SAKIさん),鬼一法眼(ISAOさん)
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そこに五芒星軍の
霧隠才蔵(朱里さん)と,黒魔術軍の
真田大助(三富政行さん),
猿飛佐助(本田アユムさん)。そして,黒魔術軍に虐げられる「魔界衆」の
馬頭(趙雲子龍さん),
ひのえんま(安井真理子さん)が加わって戦いは激化する。ここでは大助の邪悪ぶりが際立つ。佐助と二人がかりで才蔵を攻め,傷ついた馬頭をいたぶり……と大暴れ。ひのえんまを斬り倒し,その血をすするシーンは場内が一瞬静まりかえるほどのインパクトで,筆者も見ていてゾッとしてしまった。
左から,佐助,大助,才蔵。魔界での佐助は,忍びに徹するため自らの声を潰したという設定
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清明をかばったひのえんま(写真中央・安井真理子さん)を斬り,その血をすする大助
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そして戦いは最終局面へ。右近が清明から霊力を奪おうとしているところに連合軍が戦いを挑む。
前田慶次(藤田峰雄さん),
越智安成(新納刃さん)を助っ人に加えた連合軍を,右近,大助,佐助,風魔小太郎(木髙イサミさん)の黒魔術軍が迎え撃つ。
慶次の朱槍と安成の二刀流が黒魔術軍を攻め立てれば,小太郎が時間を止めて連合軍を翻弄するという,いい意味での「何でもアリ」バトルだ。
左から,前田慶次(藤田峰雄さん),フロイス,越智安成(新納刃さん)
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フロイスの念力で,慶次と安成が宙を舞う!
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風魔小太郎(木髙イサミさん)が慶次と安成にトペ・コンヒーロを放つ!
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戦いは一進一退を繰り返したが,まつりの力でパワーアップした鶴姫と,ひのえんまの敵討ちに燃える魔界衆の
鬼道丸(望月 彩さん)と
児雷也(タンク永井さん)が加勢し,まつりが指揮を執ると連合軍が有利に。
児雷也が大助をボディスラムで叩きつけると舞台が揺れ,鶴姫の大剣が黒魔術軍をなぎ払えば歓声が沸き起こる。気力を取り戻した清明も戦いに加り,指を立てた独特の構えから,陰陽術で敵を吹っ飛ばした。
児雷也(タンク永井さん)は,黒魔術軍を相手に一歩も引かぬ大暴れ
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気力を取り戻した清明も大活躍
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戦いは連合軍が勝利を収めた。黒魔術軍が逃げ去った後,一人残された大助は悲鳴を上げつつ無様に逃げ回るが,安成がこれをめった斬りに。大助の運命も極まったかと思われたが,黒魔術軍のガラシャ(虎南有香さん)が妖術でこれを救出してしまう。詰めの甘い五芒星軍に,魔界水軍の面々は大いに失望。同盟決裂の可能性を臭わせつつ,「星と海の反撃」は幕となった。
悪の限りを尽くした大助もめった斬りにされてしまう
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ゲームやアニメを舞台化する「2.5次元」的ムーブメントが流行している昨今だが,魔界は連続するストーリーと格闘家の力で差別化が図られているように感じられた。バトルでは,巨大な武器による剣戟と,ボディスラムやドロップキックといった格闘の技が組み合わされており,良い意味でゲーム的。ゲームの世界が格闘家の肉体で表現されているというわけで,ゲーマーであれば楽しめるのではないだろうか。
また,信長の野望201Xと魔界は世界観が近いうえ,舞台でも陣形や支援といった要素が巧みに取り込まれており,コラボならではの面白さが感じられた。コーエーテクモゲームスでは,3月に戦国武将の戦いを再現したプロレスを開催するなど,ユニークなコラボを展開しているが,今後も個性的なコラボに期待したいところだ。