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6夜限りの伝説がここに開幕。「放課後ライトノベル」第98回は『レッドドラゴン』で最高のフィクションを堪能せよ!
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印刷2012/06/30 10:00

連載

6夜限りの伝説がここに開幕。「放課後ライトノベル」第98回は『レッドドラゴン』で最高のフィクションを堪能せよ!



 アニメ版「Fate/Zero」が終了した。4月からの3か月間,毎週の放映が本当に楽しみだった。まるで映画のようなクオリティを保ったまま,最後まで走り切った全25話。その集大成である最終回も期待に違わぬ出来で,30分がとても短く感じた。結末自体は原作を読んで知っていたものの,絵と音楽がついた状態で見るクライマックスはやはり格別のものがある。そんな感動的な最終回だが,話の内容とはまったく関係なく,我々視聴者の心を震わせずにいられなかったものがある。

 画面が切り替わり,全裸のギルガメッシュが現れた瞬間,筆者はTwitterのライムラインを通じて,視聴者の間に得も言われぬざわめきが走るのを感じた。「奴は綺礼が起きるまでどのくらいその姿,そのポーズで待っていたのか?」とか,「すぐ近くに布があったのになぜマッパのままだったのか?」とか,「もしや黄金のサーヴァントだけに,己の金のナニかを見せつけたかったのか?」とか,もはやどこからツッコんでいいのか分からない勢い。最終回にもこんな予測不可能なネタが仕込まれていようとは,やはりアニメ「Fate/Zero」はただ者ではなかった……。

 ところで放映をきちんとリアルタイムで見ていた人は,原作の著者である虚淵玄や,「Fate/Zero」のさらに原作である「Fate/stay night」のシナリオライター,奈須きのこの名前が出てくる星海社のCMを何度か目にしたことだろう。それを見た誰もが気になったであろう物語が,このたび書籍の形を取って降臨した。英雄王ですら羨むに違いない,夢のような布陣で紡がれる,「最高のフィクション」――それが今回の「放課後ライトノベル」で紹介する『レッドドラゴン』だ。

6夜限りの伝説がここに開幕。「放課後ライトノベル」第98回は『レッドドラゴン』で最高のフィクションを堪能せよ!
『RPF(ロールプレイングフィクション) レッドドラゴン I 第一夜 還り人の島』

著者:三田誠
イラストレーター:しまどりる
出版社/レーベル:星海社/星海社FICTIONS
価格:1260円(税込)
ISBN:978-4-06-138830-7

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●出会いは死者が蘇る島。すべては,狂った竜を斃すため


 死者が蘇る「還り人」を始め,奇妙な現象や住人が多数存在する島,ニル・カムイ。かつて起こった七年戦争によって荒廃したこの島は現在,その戦で争った2国の緩衝地帯となっていた。1つは世界最強とうたわれる東の軍事国家・ドナティア。いま1つは,テクノロジーによって急速に勢いを増している西の黄爛(こうらん)。緊張しつつも均衡を保っていた島の情勢は,しかしある日を境に大きく動き始める。ニル・カムイを縄張りとする七竜の一柱,〈赤の竜〉が突如暴走し,各地の街を壊滅させ始めたのである。

 未曽有の危機に,ドナティアと黄爛,そしてニル・カムイの革命軍はそれぞれ使者を派遣し,調査部隊を結成。〈赤の竜〉の異変の原因を調査し,場合によっては討伐せんとする。各勢力の思惑を背負い,ニル・カムイに集ったのは以下の4名。

 黄爛の宗教組織・八爪会の僧侶にして暗殺者,婁震戒(ロー・チェンシー)
 ドナティア最強の黒竜騎士団に属する若き騎士,スアロー・クラツヴァーリ
 異形の魔物・ヴァルと命を共有する「つながれもの」の少女,エィハ
 そして,ニル・カムイの旧住民に崇拝される「皇統種」の末裔,忌ブキ

 ここに,6夜限りの伝説が幕を開ける――。


●謀略,陰謀,暗躍。竜退治の旅は前途多難!?


 ニル・カムイの北に位置する都市,シュカに集った4人はまず,〈赤の竜〉に関する手がかりを求めて,かの竜とのつながりを持つ不死商人,禍グラバ・雷鳳(ライホウ)・グラムシュタールと接触するべく,島の反対側にある街・ハイガを目指す。人知を超えた力を持つ竜と,場合によっては剣を交えねばならない過酷な旅――しかし,それ以前に,一行は大きな問題を抱えていた。

 婁とスアローの2名は共に,相手の国の人間には決して〈赤の竜〉を殺させるなという命を受けており,本質的に対立関係にある。まだ幼い忌ブキは己の力不足という大きな悩みを抱えており,エィハはエィハで自身に関係のあること以外は無関心な不干渉主義者。こんなことで無事に竜のもとにたどり着けるのか? と否応にも不安をあおられる。

 中でもこの第一夜で際立つのが婁の暗躍ぶり。開始早々,4人が合流する前から陰謀をめぐらせたかと思えば,その後もほかの3人を出し抜くように,己の目的のため縦横無尽に暴れ回る。第一夜の見どころの半分が婁にある,といっても過言ではないだろう。エィハと忌ブキも,戦いや交渉事を通して力の片鱗を見せる中,カップを割ったり,メイドのメリルにツッコミを入れられたりするだけの(ように見える)スアローのアホっぷりが笑いを誘う。

 禍グラバの身柄をめぐって黄爛とドナティア両軍も動きだし,事態が混沌とし始める中,衝撃の(あるいは笑撃の)展開で第一夜は幕を閉じる。今後この物語がどのように動いていくのか,今はまったく予断を許さない。


●すべては,最高のフィクションのために!


 さて,ここまでしれっと普段どおりに紹介してきた本作だが,この『レッドドラゴン』,実はいわゆる小説,ライトノベルではない。制作者サイドでは「ロールプレイングフィクション(RPF)」と銘打っている本作は,本連載の第50回でも触れたTRPGの体裁で綴られる物語であり,本書はそのリプレイなのである。

 TRPGということは,各キャラを演じるプレイヤーが存在するわけだが,これが実に豪華なメンバーとなっている。婁震戒,スアローはそれぞれ,前フリでも触れた虚淵玄奈須きのこ。エィハは第13回電撃小説大賞の受賞者である小説家,紅玉いづき。忌ブキはこの『レッドドラゴン』のイラストを手掛ける,しまどりる。そして,語り部である著者――フィクションマスターは,本連載第94回で紹介した『クロス×レガリア』などを手掛ける小説家,三田誠がそれぞれ担当。それ以外に『バッカーノ!』『デュラララ!!』成田良悟がプレイヤーとして参加しているのだが,一体どのようなキャラクターを演じているのかは,ぜひ本編で確かめてみてほしい。

 ゲームのルールは,この物語のためだけに一から作られたというもの。これだけでも十分に“贅沢”と言える本作だが,実はこれでもまだ足りない。今回書籍化されたセッションは,もともと星海社のサイト上に掲載されたものであり,そこではゲームミュージックファンなら誰もが知るコンポーザー,崎元仁の手による音楽が各シーンをさらに盛り上げている。それらの音楽はセッションの最中にも流れていたらしく,むしろこのWeb版が“完全版”と言えるかもしれない。公式サイトでは現在でも,今回書籍化された第一夜が読めるほか,その続きとなる第二夜の連載も始まっているので,ぜひ一度こちらにもアクセスしてみよう。

 一流のクリエイターたちによる「最高のフィクション」を目指す『レッドドラゴン』。この前代未聞の大プロジェクトがどんな物語(フィクション)を創造していくのか,期待と共に見守っていきたい。

■セッション参加メンバーが手がけた作品も合わせてチェック

『ミミズクと夜の王』(著者:紅玉いづき,イラスト:磯野宏夫/電撃文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
6夜限りの伝説がここに開幕。「放課後ライトノベル」第98回は『レッドドラゴン』で最高のフィクションを堪能せよ!
 小説家・シナリオライターを中心に,そうそうたる顔ぶれが関わっている『レッドドラゴン』。誰もが現在のライトノベルやアニメ,ノベルゲームの最前線に立つ書き手とあって,その多くは本連載でもすでに取り上げており,三田誠は本文にもあるように第94回で,虚淵玄や奈須きのこは第47回で簡単に,成田良悟は記念すべき第1回でそれぞれ紹介している。そこで今回のコラムは残る1人,紅玉いづきを簡単に紹介したい。
 1984年生まれ,石川県出身の紅玉いづきは2007年,第13回電撃小説大賞・大賞を受賞した『ミミズクと夜の王』でデビュー。同作はライトノベルらしからぬ童話的な内容や,それに合わせた装丁で話題になった(同作のカバーイラストを担当したのは「聖剣伝説」シリーズのビジュアルを手掛けた磯野宏夫)。その後も電撃文庫やメディアワークス文庫,児童文学レーベルである角川つばさ文庫などで活躍。そのほか「光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-」などのシナリオも担当した。星海社との関わりは,同社のWebサイト「最前線」にて『青春離婚』を発表したのが初めて。同作は2012年7月に「星海社カレンダー小説2012」所収の1編として書籍化予定であるほか,サイト掲載時にイラストを手掛けたHEROによるコミカライズが現在「最前線」にて掲載されている。

■■宇佐見尚也(ライター/ロボット研究部)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。連載第88回で,知人からギルガメッシュ(アーチャー)に例えられたというエピソードを披露した宇佐見氏。しかし,本人は相変わらずギルガメッシュとはほど遠く,金ぴかどころか金欠でゲームを買うお金にも困っている様子。「少しはギルガメッシュらしくなるためにお金をください。具体的には『ROBOTICS;NOTES』を買うための金を!」と,悲痛な叫びを上げておりました。早くこの世の富を独占できるようになるといいですね(棒読み)。
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