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構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
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印刷2010/12/11 12:37

レビュー

構想10年,制作3年はダテじゃない。サイバーコネクトツー渾身の超大作RPG

Solatorobo それからCODAへ

Text by 小倉正也


画像集#001のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
 バンダイナムコゲームスより10月28日に発売されたニンテンドーDS用アクションRPG「Solatorobo それからCODAへ」。本作は,開発を手がけたサイバーコネクトツーの15周年を記念する作品であり,構想10年,制作3年もの時間を経て送り出されたというタイトルだ。
 構想10年,制作3年というところに驚く人も多いことだろう。サイバーコネクトツーのこれまでのタイトルと比較しても,かなり異例の長さである(例を挙げると,同社開発のPS3用タイトル「NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム」の続編となる「NARUTO−ナルト− 疾風伝 ナルティメットストーム2」PS3 / Xbox 360)が発売されたのは1年9ヶ月後)。
 本作にはもしかしたら,それだけの開発期間を要するほどの“仕掛け”が潜んでいるのではないか。それこそが,筆者が本作に興味を抱いたきっかけだ。果たして,このサイバーコネクトツーの野心作の中にはどんな“仕掛け”が待ち構えているのだろうか。

画像集#002のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
画像集#003のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー

「Solatorobo それからCODAへ」公式サイト



男の子の本能を刺激する,王道の冒険活劇


会話シーンでは,キャラクターの喜怒哀楽の表情や「!」「?」などの吹き出しが頻繁に切りかわるため,何気ない会話でも見ていて飽きることがない
画像集#004のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
 本作の設定は,サイバーコネクトツー(当時はサイバーコネクト)の第1作であるPlayStation用タイトル「テイルコンチェルト」とも共通するオリジナルの世界観,「リトルテイルブロンクス」構想に基づいている。雲海に浮かぶ島々に「イヌヒト」と「ネコヒト」が共存し,島と島を行き来するための飛行艇など,メカニックの技術が発達している世界だ。
 その中の一国「シェパルド共和国」が本作の舞台である。犬や猫を擬人化したキャラクターデザインや,ロボットが日常に溶け込んでいる世界観には,一定の年齢に達した男性なら誰もがワクワクするだろうが,残念ながら近年のアニメやゲームでは,そういった設定があまり見られない。そんな中で本作は,どこか懐かしい王道の冒険活劇に,真っ向から挑んでいるのだ。

 主人公・レッドは,ダハーカというロボを乗りこなすハンター。あるクエストで大型飛行船ヒンデンブルグに潜入したところ,思わぬ事態に巻き込まれて――といった導入部から,本作の物語は幕を開ける。全体のストーリーは2部構成となっており,謎のネコヒト「エル」との出会いから,世界の危機をめぐる冒険,さらなる強敵の出現,レッドの過去などが判明するエピソードなど,序盤から矢継ぎ早に展開していく。
 ちなみにキャラクターのボイスは,台詞がそのまま読み上げられる形ではなく,数種類の短いボイスが,台詞の内容に合わせて使われる形だ。シェパルド共和国はフランスをモチーフにしているため,音声も「Bonjour」などのフランス語だ。フランス語に馴染みのない日本人の耳には,フランス語の発音が妙に可愛らしく聞こえるため,本作のキャラクターデザインとの相性はとても良い。

 なお,リトルテイルブロンクスの世界で繋がりを持つ「テイルコンチェルト」のキャラクター達や,福岡県の防災キャラクター,まもるくんも本作にゲスト出演。物語に密接に関わるような役割ではないが,それぞれのキャラクターを知っていればニヤリとできるようなやり取りが,ちゃんと用意されている。

画像集#005のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
「テイルコンチェルト」の主人公ワッフルと,その幼なじみのアリシアが率いる黒猫団。プレーリー王国のテリア姫も,お忍びでシェパルド共和国へ訪れる
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遠く離れた「ニポン国」からやって来たまもるくんは,防犯・防災活動の一環として,あるクエストをレッドに依頼する

 物語は細かいエピソード単位で分けられており,第1部/第2部ともに各10話構成だ。1話あたりのプレイ時間は30分〜1時間といったところなので,自分のペースでゲームを進めやすい。集中して一気にプレイするも良し,逆に,テレビアニメを1エピソードずつ観るような感覚で,少しずつ進めるのも良いだろう。


操作は簡単,アクションは豪快,そしてシステムは丁寧


 ゲームの進行を簡単に説明すると,各話の冒頭で目的地となる都市が提示され,プレイヤーはその都市へ移動し,そこで起きるイベントやクエストなどをクリアすれば,ストーリーが展開して次の話に進んでいく……といった流れだ。だがその合間に,本筋とはまったく関係のないクエストを請け負って“寄り道”することも可能。クエストの内容はさまざまで,敵のロボと闘うものから,お使いのようなものまで,幅広く用意されている。

クエストは各都市の「クエスト屋」で受注できる。ランクの設定されたクエストを受注するには,レッドのハンターランクがそれを上回ってなければいけない。中には,ストーリーの進行に関わるクエストも
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 “アクションRPG”とはいえ,本作の操作方法は極めてシンプル。十字ボタンで移動,Aボタンで“つかみ”などのアクション,Bボタンでジャンプやダッシュ,Yボタンでロボの乗り降り,Xボタンでメニューの呼び出し,となっているため,基本的には十字ボタンとA・Bボタンだけで,ほとんどのアクションが可能なのだ。3DグラフィックスのアクションRPGではあるが,フライヤーモード(後述)以外では視点が固定(もしくは主人公を自動で追尾)であるため,わざわざカメラアングルを操作する必要もない。
 戦闘では,ダハーカの大きな腕を活かした豪快なアクションが楽しめる。敵を掴んでひっくり返し,持ち上げて思い切り投げ飛ばす,といった一連の基本攻撃はAボタンの連打のみで行えるため(空中コンボを行う時はBボタンも使用),簡単に派手な攻撃が繰り出せる。普通に敵を投げ飛ばすだけでもダメージが与えられるが,投げ飛ばされて空中にいる敵をうまくキャッチして連続で投げれば,より強力なコンボも発生。また,複数の敵に襲われたときは,掴んだ相手をほかの敵にぶつけることで,両者へ同時にダメージを与えられる。

敵の背後に回れば,通常よりも早く相手を持ち上げられる。投げ飛ばせないほど大きな敵に対しては,相手の撃ったミサイル等をAボタンでキャッチ&投げ返して反撃だ!
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 経験値によるレベルアップの概念もあるが,レベルアップによって上昇するのはレッドのライフ(体力)のみ。ステータスを上げるには,レッドの乗るダハーカにカスタム用のパーツをセットする必要がある。パーツをセットするスロットはマス目状に区切られており,ちょっとしたパズルのようになっている。小さなパーツを数多くはめていくほうが,マス目を綺麗に埋められるのだが,そう簡単にはいかないのが面白いところ。ステータスの上昇値の大きいパーツほど,大きくクセのある形をしているため,うまく配置しようと思うと,それこそパズルのように頭を使うことになるのだ。

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ふたの閉じているスロットを開けるには,ゲームの随所で手に入る「Pクリステル」というポイントが必要。どのスロットから開放するのか,そこにも頭を悩まされるはず
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ダハーカMk2最大の特徴は,各タイプごとに用意された特殊なアクション。戦闘では「ジャイアントスイング」「ハイパードライバー」など,さらに豪快な技が炸裂する

 物語の中盤に新ロボ「ダハーカMk2」が登場すると,パワーアップの選択肢がさらに増える。機体のタイプをチェンジすることで,ステータスが変化したり特殊なアクションが行えるようになったりするのだ。機体タイプによってそれぞれ上昇するステータスに違いがあるため,場面に応じて切り替えるのが良いだろう。また,「トランス」という特殊能力によって,レッドを変身させ一時的なパワーアップも可能となる。
 参考までに筆者のカスタムを紹介すると,スピード特化型の「タイプR」を主に使用し,カスタムパーツによって「ちから」(ものを持ち上げる強さ)と「はやさ」(移動速度)の二つを重点的に強化。素早く相手に近づいて,間髪入れずに連続で投げ飛ばすという,短期決戦に適した戦法をとっている。移動速度が速いため,マップ内もすいすいと快適に移動できる。

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「トランス」によって変身し,ダハーカMk2と一体化したレッド。トランス中のみ,特殊攻撃「スパークジャベリン」を放てる
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スピードが自慢の,ダハーカMk2 タイプR。防御が低いが,ダッシュの持続時間が長く,空中でのホバリングも可能だ

 全体的にアクション部分の難度は控えめで,減少したライフも,随所に配置されたセーブポイントをチェックするだけで全回復する。そのため,アクションゲームが苦手な人でも慎重に進んでいけば,それほど苦労せずに攻略できるはずだ。逆に,本編クリア後には手強い難度のクエストも待っているため,腕に自信のあるプレイヤーも物足りなさを感じることはないだろう。
 また,プレイヤーが迷わないための工夫も凝らされている。クエストの受注時には上画面のマップに,目的地が「!」マークで強調表示され,メニュー内の「思い出す」や「クエスト確認」から,現在の目的をいつでも確認可能だ。さらに,新しいアクションが使用可能になったときや,新たなステージが開始されるときには,その都度,操作方法を案内するヘルプが表示される。遊びやすくするためのこういった細かな工夫は,長い開発期間の中で丁寧に作り上げたからこそ,無理のない形で実装されるに至ったのだろう。


2Dと3Dの長所を組み合わせた,2.5Dの演出


 サイバーコネクトツーといえば,グラフィックスのクオリティについても非常に評価が高いデベロッパだ。同社初のNDS向けタイトルである本作においてもその持ち味は活かされており,ハードの限界に挑戦したグラフィックスが実現されている。

レッドが移動すると,手前の景色は大きく動き,遠くの景色は少しだけ動く。パースマップはさまざまな場所で使われているため,歩き慣れたマップでも,背景に注意してみると意外な発見があるはずだ
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静止画では1枚のグラフィックスに見えるが,実際にはテクスチャの貼られたポリゴンモデルで表現されているため,なめらかなアニメーションが可能
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 中でも特筆すべきは,「パースマップ」という本作独自のマップの表現法だ。街中の背景が主人公の動きに合わせて立体的に回転するのだが,これは2Dのイラストをパーツに分けてポリゴンにはり,それを多重スクロールさせることで実現している。そのため,マップの立体感とイラスト特有の暖かみの二つが両立し,まるでアニメの世界を歩き回っているような感覚が味わえるのだ。
 また,ムービーシーンには「モーションイラストデモ」という表現法が導入されている。CEDEC 2010の講演でも紹介されているが,最小限のポリゴン数でグラフィックスを表現することにより,DSの2画面をフルに使った演出が可能となっている。

 ちなみにオープニングなどのアニメーションムービーは,マッドハウスが制作している。監督は「HELLS ANGELS」や「初恋限定。 -ハツコイリミテッド-」などを手がけた山川吉樹監督で,ゲームのキャラクターデザインを担当した結城信輝氏自ら総作画監督を務めており,こちらも本編に負けず劣らず,非常にクオリティの高いものとなっている。

物語が第2部に突入すると,オープニングアニメの内容も変化。こういった部分にもテレビアニメ風の仕掛けがされているのだ
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DS本体を使った仕掛けや,やり込み要素もてんこ盛り


 これまで紹介したように,基本となる世界観やゲームシステム,グラフィックスがきっちりと作り込まれている本作だが,「Solatorobo」の見どころはこれだけにとどまらない。“寄り道”が楽しくなるような,凝った仕掛けがふんだんに盛り込まれているのだ。
 まずは,「アングラーモード」に換装したダハーカで行なう「戦艦つり」。これは戦艦の残骸を被った超巨大ヤドカリを豪快に釣り上げるモードだ。画面の指示に合わせて左右にモリを引き,ヤドカリが疲れた瞬間に一気にボタンを連打! 釣りの要素を取り入れたゲームは数多くあれど,本作の戦艦つりはスケール,爽快感ともにトップクラス。かなりオススメだ。

むやみにボタンを連打しているだけでは釣り上げられないため,緩急をつけた操作が求められる。2画面をフルに使った演出も相まって,かなりの爽快感が味わえるぞ
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ブーストの出力が尽きないように小まめに着地しながら,島から島へと移動。ローリングアタックで空中の敵にも攻撃可能だ
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 「フライヤーモード」に換装したダハーカで空中を自由に冒険することも可能。このモードのみ,プレイヤー側でカメラアングルを操作可能だ。大空の中でどちらへ進めばいいのか迷ってしまいそうだが,画面には目的地の方向を示すカーソルが表示されるため,迷子になる心配もない。


タイムアタックで優秀な成績を収めると,エアロボGP用の新たな機体を入手できる。エアロボGPはワイヤレス通信によるほかのプレイヤーとの対戦も可能で,最大4人まで同時に遊べる
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 空中ではもう一つ,「エアロボグランプリ」というレースに挑むクエストも楽しめる。専用のコースが複数用意されており,コース内にはライバルを妨害するアイテムなどが設置されているなど,かなり凝った作りだ。実を言うと,筆者はレースゲームが大の苦手で,本編でのエアロボグランプリにおいても,大変情けないタイムを記録してしまった……。だが本作は,筆者のようなレースゲーム音痴に対しても寛大である。エアロボGP等のタイムアタック系のクエストに関しては,挑戦しなくてもゲーム本編を進めるのにまったく支障をきたさない仕様となっているのだ。腕に自信のあるプレイヤーはタイムアタックにとことん挑戦できるし,苦手なプレイヤーは先に本編をクリアしてから,あらためてエアロボグランプリにリベンジすれば良いというわけ。

追加クエストでは,キャラクターのサブストーリーなども語られるようだが……?
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 意外な仕掛けとしては,DSiカメラを使った要素もある。ニンテンドーDSi/ニンテンドーDSi LLで本作をプレイする場合,最初からゲームを始めるときにDSiカメラを使って,プレイヤーの顔写真と,まわりの風景を,1枚ずつ撮影することになるのだ。この写真がゲーム内のどこで登場するかは――ぜひ,実際にプレイして確かめてみてほしい。
 なお本作では,ニンテンドーWi-Fiコネクションからの追加クエストが,1週間に一つのペースで配信されている。本編を遊び尽くしたあとの楽しみが増すことは間違いないだろう。筆者としては,本編のクエストの数がやや少なく感じられたため,バラエティに富んだ多くのクエストが登場することに期待したい。

 やり込み要素も多く用意されており,ゲーム内でチェック済みのムービーシーンやサウンドを,お金やポイントと引き換えに入手できるほか,世界各地に隠れているコネコを捕まえて手に入れた写真を閲覧できる「アルバム」,倒した敵の数やプレイ時間に応じて事典の項目が解放されていく「ライブラリ」など,1回のプレイでは楽しみきれないほどの要素が詰まっている。クリアデータを引き継いで挑戦できる2周目のプレイでは,1周目では体験できない要素やパワーアップした敵も待ち構えているため,1周目をクリアしたプレイヤーも,全要素のコンプリートを目指してぜひ2周目,3周目と続けて挑戦してみよう。

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写真は四つの破片に分かれており,破片を集めると1枚の写真として閲覧できる。中には,キャラクターの意外な一面が見られるイラストも?
画像集#026のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
プレイヤーのやり込み度の指標にもなるライブラリ。各項目のゲージが3分の1貯まるごとに,新たな設定資料が見られるようになる。本編では語られていない膨大な世界観設定の一端が明らかに


非常に魅力的な内容だからこそ,今後のさらなる展開に期待


画像集#027のサムネイル/構想10年,制作3年は伊達じゃない。ただならぬスケールに圧倒されること間違いなしのNDS「Solatorobo それからCODAへ」をレビュー
シェパルド共和国の首都ファラオ。ファラオに限らず,どの都市も魅力的な外観をしているのだが,ゲーム内で歩けるのは一部のエリアのみ。隅々まで歩いてみたい!
 紹介しても紹介してもきりがないほど盛り沢山の「Solatorobo」であるが,プレイしていていくつか気になる点もあった。具体例を挙げると,入り組んだ地形のマップにおいて,画面の奥行きが把握しづらく,やや移動しづらいケースが何度かあった。少々気が早すぎるかもしれないが,筆者としてはニンテンドー3DSの裸眼立体視を利用して,本作のグラフィックスを見てみたい。本作の2.5Dグラフィックスは立体表現との相性も悪くなさそうだし,立体視を導入すれば,「奥行きが把握しづらい」問題も同時に解決できるような気もするのだ。
 また,タッチスクリーンを使った遊びがないことや,イベントシーン以外での2画面の使い方(本作では下画面がメインで,上画面にはマップ・所持金・経験値が常時表示される)には少々物足りなさも感じられる。とくに上画面に関しては,パーツの売買の際に現在のスロットの状態を上画面に表示するなど,場面に応じたひと工夫を加えることで,プレイアビリティはさらに向上したはずだ。

 ところで,筆者は記事の冒頭に「本作にはもしかしたら,それだけの開発期間を要するほどの“仕掛け”が潜んでいるのではないか」と述べた。プレイを通して,長い開発期間の成果として感じられたのは,先に指摘したパースマップ&モーションイラストデモや,プレイヤーを導く部分などへの作り込み。そして何より,圧倒的なスケールで描かれる緻密な世界観こそが,本作最大の“仕掛け”なのではないかと感じた。
 最高の“仕掛け”をもとにした,これでもかというほど盛り沢山のゲーム内容。これで満足しないはずがない。ただ,満足した上であえてひとつ言わせてもらうのならば――シェパルド共和国,ひいては「リトルテイルブロンクス」の世界を,もっともっと見せてほしいという要望だ。ゲーム内で描かれていない部分も含めて,非常に魅力的な世界観のため,「Solatorobo」をプレイしても,とびっきりのご馳走を途中まで食べかかったところで“おあずけ”されたかのような,妙な物足りなさを感じてしまうのも,また事実なのだ。
 “おあずけ”状態にされてしまったプレイヤー達が,バンダイナムコゲームスやサイバーコネクトツーに「早く続きを食べさせて!」という声を送り続ければ,もしかしたら素晴らしい“おかわり”が出てくるかもしれない。まずはそのためにも,ぜひ本作「Solatorobo」をじっくりとプレイして,その圧倒的な作り込みが生み出すゲーム体験を味わってほしい。

「Solatorobo それからCODAへ」公式サイト

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