北米時間2018年4月3日,Alienwareは,ゲーマー向けノートPC
「
ALIENWARE 15 R4」および「
ALIENWARE 17 R5」を発表した。いずれも,同日付けで発表になったIntelの第8世代Coreプロセッサを採用しており,4コア8スレッド対応のCore i5から6コア12スレッド対応で倍率ロックフリーとなる最上位モデル「
Core i9-8950HK」までの選択に対応するという。
ALIENWARE 17 R5
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ALIENWARE 17 R5でタスクマネージャからCore i9-8950HKを確認してみた
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Alienwareによれば,今回の新世代ALIENWAREノートPCは,従来モデルである従来の「
ALIENWARE 15 R3」「
ALIENWARE 17 R4」を,「Coffee Lake-H」(コーヒーレイクH)という開発コードネームで呼ばれてきたIntelの新世代ノートPC向けCPUへそれぞれ対応させたマイナーチェンジという扱いになるそうだ。
細かい部分だと,スマートアンプを搭載することでより大きなスピーカー出力音量を実現できるようにしたり(※),1000BASE-Tの有線LAN機能を提供するRivet Networks製コントローラが従来の「Killer e2400」から,ネットワーク状況の分析や制御を可能にする新しいユーザーインタフェース「Killer Control Center」に対応する「Killer e2500」に変わったりしているが,ハードウェア的な違いはそれくらいだ。以下に挙げる部分は前世代モデルから変わっていない。
- Nキーロールオーバー対応でストローク2.2mmの「TactX」キーボード採用
- BTOオプションに垂直リフレッシュレート120HzかつG-SYNC対応の広視野角TN液晶パネル(TN+WVA)を選択可能
- ALIENWARE Graphics Amplifier対応
- Rivet Networks製無線LANコントローラ「Killer Wireless-AC 1550」を搭載し,有線および無線LANを同時利用して優先度の高いものは有線で伝送する「Killer DoubleShot Pro」対応
- 13のゾーンに分けて個別に管理できる筐体イルミネーション採用
※スマートアンプ(SmartAMP)は,スピーカーから偏位や温度などの情報をモニタリングして「スピーカーの状況」を常に把握し,その情報に基づいて歪みを抑えながら音量を最大化しようとするアンプ部品のこと。既存のAGC(Auto Gain Control)やDRC(Dynamic Range Compression)だとデジタル領域が対象なのに対して,スマートアンプはその後段でアンプからスピーカーまでの歪みを最小化するためのものとなる。導入にはエンジニアによるスピーカー計測と設定が不可欠なので,その分,導入コストは高い。また,エンジニアの腕や,PCメーカー側の最終判断によって音質の善し悪しは左右されることになる。
Dashboardの概要
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一方,ソフトウェアでは,新世代の「Alienware Command Center」(以下,ACC)採用が大きなトピックとなる。新しいACCは,「Dashboard」(ダッシュボード)を中心に据え,Dashboardから,
- Game Library(ゲームライブラリ):SteamやUplayなどのプラットフォームを問わず,PCにインストールされたゲームを一元的に管理し,ゲームごとのPC動作設定プロファイルを適用できる
- FX 2.0:LEDイルミネーション設定機能がついに約1677万色からの色選択に対応。ライティング効果も新しくなっている
- Thermal Management(温度管理):筐体内各部の温度やファンの回転状況を一元管理し,ファンの回転数を目的別プロファイルで自動制御したり手動で固定したり,ゲームごと,あるいはACアダプター給電時とバッテリー駆動時のWindowsの電源設定を設定したりできる
- Overclocking(オーバークロック):ユーザーが安全にCPUおよびGPUのオーバークロック設定を行える(※メーカー保証適用の範囲がどこまでかといった詳細情報は未公開)
の4機能を利用可能だ。LEDイルミネーション調整機能では長年にわたって進化がなく,最近では他社に対する遅れが目立っていたが,今回の新ACCで一気に巻き返してきたと言っていいのではなかろうか。
Dashboard(左)とFX 2.0(右)のスクリーンショット
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全体として,画期的な部分というものはないものの,もともと完成度の高かったALIENWARE 15とALIENWARE 17だけに――後者は「スピーカーの定位ズレ」問題を抱えていたが――リビジョンチェンジで順当に進化を果たしたと言っていいのではなかろうか。
原稿執筆時点で国内発売に関する情報は得られていないものの,マイナーチェンジである以上,そう時間もかからず国内でも受注開始になるのではないかと考えている。
なお,もう1つのALIENWAREノートPCである「ALIENWARE 13」だが,「
R3」に続く“R4”が第8世代Coreプロセッサに対応するマイナーチェンジがあるかというと,その予定はないそうだ。これは,DellでゲームPC部門のグローバルマーケティングディレクターを務める
Chris Sutphen(クリス・サトペン)氏が筆者の質問に答える形で明らかにしたもので,氏によると,「Coffee Lake-Hモデルの予定はないが,これはALIENWARE 13の終息を意味しない。今後も現行モデル(=R3)の販売を続ける」とのことだった。
6コアCPU搭載モデルが出るどころか,終息も囁かれていた13型モデルだけに,とりあえず当面の間,最悪の状況だけは迎えずに済むということになりそうである。