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AMD 8
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  • 発表日:2010/03/02
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AMD 8世代の開幕を告げる「AMD 890GX」チップセット,その実力を検証する
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印刷2010/03/02 14:01

レビュー

AMD 8シリーズの尖兵となるSATA 6Gbpsネイティブ対応チップセットをテスト

M4A89GTD PRO/USB3
(AMD 890GX)

Text by Jo_Kubota


 日本時間2010年3月2日14:01,AMDは,AMD 8チップセットシリーズの開幕を告げるチップセット「AMD 890GX」を発表した。「ATI Radeon HD 4290」(以下,HD 4290)というブランド名を持つグラフィックス機能を統合した本製品は,「AMD 790GX」の後継と位置づけられている。
 今回4Gamerでは,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)の協力で,搭載マザーボード「M4A89GTD PRO/USB3」を入手できたので,今回は,本製品を通じて,AMD 890GXというチップセットの詳細と性能に迫ってみたい。

M4A89GTD PRO/USB3
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
予想実売価格:1万9000円前後(※2010年3月2日現在)
AMD 8


ノース&サウス間帯域幅増加&SATA 6Gbps対応

グラフィックス機能は“強化版”止まり


 AMD 890GXのブロックダイアグラムは下に示したとおり。ノースブリッジとしてのAMD 890GXが持つ機能はAMD 790GXのそれを踏襲しており,グラフィックスカード対応がPCI Expresss(以下,PCIe)2.0 x16 ×1またはPCIe 2.0 x8 ×2という点も変わっていないが,注目したいのは,組み合わされるサウスブリッジが,完全新作の「SB850」になっていることだ。

AMD 890GX+SB850のブロックダイアグラム。未発表の6コアCPUで,開発コードネーム「Thuban」(トゥーバン)こと,「Phenom II X6」への対応が,レビュワー向けドキュメントの中で謳われている
AMD 8

M4A89GTD PRO/USB3が搭載するSB850。今回入手したサンプルでは性能評価用エンジニアリングサンプルと思われる個体が搭載されていた
AMD 8
 結論めいたことから先に述べると,SB850の搭載に合わせて,ノース&サウスブリッジ間リンクが,PCIe 2.0 x4仕様の「A-Link Express III」になっている点が,AMD 890GXにおける最大の特徴である。AMD 790GXやAMD 785Gで組み合わされるSB700シリーズのサウスブリッジでは,PCIe 1.1 x4仕様の「A-Link Express II」が採用されていたので,スペックは2倍になった計算だ()。
 このスペックアップを活かして,SB850では,業界で初めて,Serial ATA 6Gbpsに標準対応を果たしている(表1)。

AMD 890GXとSB850のノース−サウスブリッジ間帯域幅については,上のスライドを見る限り,片方向2GB/sとも,両方向2GB/sとも取れるのだが,右下に示した「Full Bandwidth Connectivity」のスライドにもあるとおり,実際には,フルの帯域幅――PCI Express 2.0の仕様で定められた片方向500MB/s,4レーンで同2GB/sの帯域幅が確保されている

※2010年3月8日16:40追記
  AMD 890GXとSB850間の帯域幅については,当初「状況証拠から片方向2GB/sだと思われる」という論旨で紹介していましたが,その後,「片方向2GB/sだ」という続報がAMDから得られたため,表1の注釈を書き換えました。

SATA 6Gbps,USB 3.0とも,とくにブリッジチップを用意することなく,要求される帯域幅を満たせるというのが,AMD 890GX+SB850における大きな特徴だ
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 競合の「Intel P55/H57/H55 Express」チップセットだと,サウスブリッジに相当するPCH(Platform Controller Hub)は,PCIe 2.0プロトコルにこそ対応するものの,帯域幅はPCIe 1.1相当。そのため,サードパーティのブリッジチップを利用したりしない限り,PCHに接続されるSerial ATA 6Gbpsコントローラ(やUSB 3.0コントローラ)は2.5GT/s(片方向250MB/s,両方向500MB/s)の帯域幅しか確保できないが,内蔵コントローラにより,Serial ATA 6Gbpsの要求を満たせるというのが,SB850の持つ大きな優位性である。
 さらに,AMD 890GX側に,6レーン分のPCIe 2.0 x1が用意されているため,こちらにUSB 3.0コントローラを接続することで,やはりフルスペックのパフォーマンスを発揮できるとも,AMDはアピールする。

 一方,冒頭でその名を挙げた,HD 4290というブランド名からピンときた人も多いだろうが,統合されているグラフィックス機能に,見どころは残念ながら多くない。

AMD 890GXノースブリッジ。伝統の「RADEON IGP」刻印が今回も刻まれていた
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 HD 4000シリーズということで,プログラマブルシェーダ仕様4.1のDirectX 10.1世代。もっとはっきり言えば,HD 4290のグラフィックスコアは,「AMD 785G」に統合された「ATI Radeon HD 4200」(以下,HD 4200)と同じ「RV620」で,Stream Processing Unit数40基,UVD 2.0という基本仕様や,メインメモリの一部をグラフィックスメモリとして利用するUMA(Unified Memory Architecture)をサポートしつつ,専用のローカルメモリ「SidePort Memory」も利用できるという点は,AMD 785Gと完全に同じである。
 その意味でHD 4290は,HD 4200比で,動作クロックが200MHz高められたものに過ぎないという理解でいいだろう(表2)。一方,AMD 790GXをベースに,DirectX 10.1&HDMI 1.3対応や,UVD 2.0の搭載を果たしたもの,と見ることもできそうだ。


AMD Dual Graphics Previewと題されたスライド。AMD 890GXとHD 5450の協調動作で,より高解像度のゲーム環境が手に入ると謳われている
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 そんななか,一つ,トピックとなり得る点としては,AMD 890GXで,HD 5450との協調動作が可能になるとされている点が挙げられるだろう。
 グラフィックス機能統合型チップセットとローエンドGPUのATI CrossFireX動作は,「Hybrid ATI CrossFireX」として知られてきたので,何を今さらと思うかもしれないが,実は今回,この協調動作には,「AMD Dual Graphics」という名が与えられているのだ。
 AMDは,レビュワー向けのドキュメントで,「新設計のマルチGPUドライバにより異なる世代のGPUによる協調動作を実現する」(ATI Radeon graphics processing abilities from different class products which is made possible through a driver re-architecture that introduces a new multi-gpu driver.)としているので,マルチGPUに関するドライバコードを独立させたのを機に,名称を変更した可能性が高そうである。


USB 3.0コントローラ搭載のM4A89GTD PRO/USB3

CPU用電源回路は10フェーズ仕様


 以上,AMD 890GXとSB850を概観してきたが,そんな新チップセットを搭載するM4A89GTD PRO/USB3は,製品名からも想像できるとおり,NEC製コントローラを搭載することにより,標準でUSB 3.0×2をサポートするマザーボードだ。SB850によるSerial ATA 6Gbpsポートは六つ用意され,RAID 0/1/5/10に対応している。

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NEC製コントローラ「D720200F1」を搭載し,I/Oインタフェース部でUSB 3.0×2を提供する
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並びがやや変則的な白いSerial ATAポート。6ポートは,すべてSerial ATA 6Gbps対応となっている
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オンボードのIDEや,I/Oインタフェース部のPower eSATAは,JMicron製コントローラで実現

 電源回路は8+2フェーズ構成。マニュアルでは言及されていないが,AMD 890GXのグラフィックス機能用にも1フェーズ分用意されているようだ。

チップセット用のパッシブクーラーを外すと,8+2フェーズ仕様のCPU用電源回路が姿を見せる。左の写真で左端に見えるのは,AMD 890GX用と思われる追加の電源回路だ。CPUソケットの近くでは,8フェーズを超える電源回路を実現するのに用いられるという「PEM」(Phase Extension Module)や省電力を実現するという「EPU」(Energy Processing Unit)も確認できた
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 拡張スロット構成はPCIe x16 ×2,PCIe x4 ×1,PCIe x1 ×1,PCI×2。AMD 890GXの仕様により,2基のPCIe x16スロットは16+0レーン,もしくはATI CrossFireX向けの8+8レーンで動作することになる。
 ユニークなのは,製品ボックスに「VGA Switch Card」が付属し,これが“16レーン動作スイッチ”として機能する点。M4A89GTD PRO/USB3では,規定の動作が8+8レーンで,CPUソケットに近いほうのセカンダリPCIe x16スロットにVGA Switch Cardを差すと,プライマリが16レーン動作するという仕掛けである。

「VGA-SWITCH-CARD」と刻まれたVGA Switch Cardの表裏(左,中央)と,実際の使用例(右)。VGA Switch Cardには英語で「基本,黒いPCIe x16スロットに差し続けてください」という旨が書かれているのだが,ご覧のとおりM4A89GTD PRO/USB3に黒いPCIe x16スロットはなく,何を想定した注意書きなのかは不明
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X2 555を4コア化したところ。システムからは(ビジネス用途向け4コアCPUである)「Phenom II X4 B55」として認識された
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 もう一つ面白いのは,「Phenom II X2 555 Black Edition/3.2GHz」(以下,X2 555)など,特定の2〜3コアCPUを“アンロック”して,4コアCPU動作させるためのハードウェアスイッチ,その名もズバリ「Core Unlocker」が搭載されている点だ。従来製品同様,BIOSからも4コア化は試せるので,使う機会はないかもしれないが,ワンタッチなので,便利だと思う人はいるかもしれない。
 なお,筆者の手元にあるX2 555で試す限り,Core Unlocker,BIOSのどちらからでも,4コア動作はあっさりと実現している。

「Core Unlocker」スイッチ(写真右)。近くには,ミドルハイクラス以上のASUS製マザーボードでお馴染み,自動オーバークロック機能「Turbo Key II」と,メモリモジュールとマザーボードの相性問題によってPCが起動しないとき,モジュール側のSPD情報を無視し,最適な(=動作する)メモリ設定を試みて起動する機能「MemOK!」の両スイッチも用意されている
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※注意
CPUの“4コア化”は,CPUやマザーボードメーカーの保証外となる行為です。最悪の場合,CPUやメモリモジュール,マザーボードなど構成部品の“寿命”を著しく縮めたり,壊してしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にして4コア化を試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。


HD 5450,AMD 790GX,

AMD 785G,Intel HD Graphicsと比較


 テストのセットアップに入ろう。今回は,ここまでにその名を挙げたAMD 790GXとAMD 785G,そして,ATI Radeon HD 5000シリーズのローエンドモデル「ATI Radeon HD 5450」(以下,HD 5450)を用意。さらにIntelプラットフォームから,グラフィックス機能のコアクロックが733MHzとなる「Core i5-660/3.33GHz」(以下,i5-660)も,比較対象として,「Intel H55 Express」とセットで準備している。
 マザーボード,グラフィックスカードは,すべてASUS製品で固めた。ミドルハイクラス〜ハイエンド向けとなるAMD 890GX,AMD 790GXマザーボードがATXフォームファクタで,残る2枚はmicroATXフォームファクタだ。グラフィックスカードは定格動作モデルとなる。

M4A78T-E(左上),M4A785TD-M EVO(右上),EAH5450/DI/1GD3(LP)(左下),P7H55D-M EVO(右下)
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
M4A78T-E実勢価格:1万2500〜1万5000円,M4A785TD-M EVO実勢価格:9700〜1万1000円,EAH5450/DI/1GD3(LP)実勢価格:8000〜8500円,P7H55D-M EVO実勢価格:1万4000〜1万6500円(※いずれも2010年3月2日現在)
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M4A89GTD PRO/USB3では,SidePort Memoryとして,Hynix Semiconductor製のDDR3-1333 128MBチップ「H5TQ1G63BFR」を搭載。残る2製品も,搭載容量は128MBである
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 このほか,テスト環境は表3のとおり。グラフィックスドライバには,AMDから全世界のレビュワー向けに公開された「ATI Catalyst 10.3」プレビュー版をインストールしている。
 今回用意したAMD製チップセット搭載のマザーボードはすべてSidePort Memoryが搭載されているので,いずれも有効化。また,Phenom IIのメモリアクセス設定は,ゲーム用途で高い性能を期待できる「Ganged」に指定済みだ。


外部I/Oインタフェース群。1000BASE-T LANとサウンドはRealtek Semiconductor製チップ,IEEE 1394はVIA Technologies製チップで提供されている
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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション9.0準拠。ただし,AMD Dual Graphicsについては,AMDが「プレビュー版」と位置づけており,動作確認済みアプリケーションが「3DMark Vantage(Entry Preset)」「BattleForge」「BioShock」「Company of Heroes」「Tom Clancy's H.A.W.X」「World in Conflict」に限られるほか,アンチエイリアシング&テクスチャフィルタリングをサポートしないという状況のため,テスト対象から外すことにした。
 参考までに3DMark Vantage(Build 1.0.2)のEntry Presetでテストを行ってみると,スコアは,

  • HD 5450シングルカード:6120
  • AMD Dual Graphics(HD 5450+AMD 890GX):6892

と,約13%上がることを確認できたので,今後に期待,といったところだろうか。


AMD 790GXから上積みがない

AMD 890GXの3D性能


 前置きが長くなったが,ベンチマーク結果の考察に入っていこう。
 グラフ1は,「3DMark06」(Build 1.2.0)の総合スコアをまとめたものになる。
 以下,グラフ中に限り,チップセット名の「AMD」表記を割愛するが,AMD 890GXのスコアは,解像度を問わず,AMD 790GXのそれと同じ。HD 5450の3D性能は決して高くないのだが,AMD 890GXとAMD 790GXは,そんなHD 5450にも19〜35%離されてしまう。


 グラフィックス描画負荷の高い「Crysis Warhead」を,エントリークラスのGPU向けとなるエントリー設定で実行した結果がグラフ2だ。
 プレイアブルなスコアが得られていないという点はさておき,傾向そのものは3DMark06と変わらないことが見て取れるだろう。


 続いてグラフ3は,「Left 4 Dead 2」のスコアをまとめたものになる。i5-660ではリプレイ再生を正常に行えず,ゲームプログラムが異常終了するので,ここではAMD製品のみのスコアを掲載しているが,テスト結果自体はやはり同じ傾向である。
 1024×768ドット設定時に,HD 5450なら十分プレイ可能だが,AMD 890GX以下,グラフィックス機能統合型チップセットでは,グラフィックスオプションを多少落とす必要がありそうだ。

 その下に示したグラフ4は,「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果になるが,これも同じ傾向を示している。


 一方,Intel製CPUへの最適化が行われている「バイオハザード5」だと,ここまであまりいいところのなかったi5-660が盛り返しているが,それ以上に,AMD製のグラフィックス機能統合型チップセットのパフォーマンスが,HD 5450に相当離されているのが目を引く。とくに,エントリー設定を行えばHD 5450で十分ゲームになる1024×768ドット設定時に,AMD 890GXが15fpsしか示せていないのはインパクトが大きい。

 また,グラフ6に示した「ラスト レムナント」も,バイオハザード5と同じような結果になっている。


 ゲームテストの最後は「Colin McRae: DiRT 2」だが,ここでは,AMD製品のスコアがまったくの横並びとなった。ゲームエンジン側で,最低フレームレートを維持するような設計になっているのかもしれないが,設定ファイルを漁ってみても,それらしき項目は(今のところ)見つかっていないので,グラフィックスドライバ側の問題という可能性もあり,なんとも言えないところ。ただいずれにせよ,プレイ可能なレベルのフレームレートに遠く及んでいないのは確かだ。
 なお,i5-660は,起動可能で,ダイアログ類も表示されるのだが,メニューや背景などが表示されないという状況で,とうていベンチマークテストを実行できるレベルではなかったため,スコアをN/Aとしている。



消費電力もAMD 790GXとほぼ変わらず

ただし,多少下がっている可能性も


 消費電力周りもチェックしておこう。
 OSの起動後,30分放置した時点を「アイドル時」,上で性能検証を行った各アプリケーションベンチマークの実行時に,最も高い消費電力値を示した時点を,タイトルごとの実行時として,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」からスコアを取得した結果がグラフ8である。

 HD 5450は,M7A89GTD PRO/USB3に差した状態であること,そして,今回用意したマザーボードは,フォームファクタが異なるほか,実装される部品点数も相当に異なるため,スコアは参考程度に捉える必要があることを最初にお断りしておきたいが,それを踏まえるに,AMD 890GXとAMD 790GXの間に,消費電力の違いはほとんどないようだ。数字上は,AMD 890GXを搭載したM7A89GTD PRO/USB3のほうが,AMD 790GXベースのM4A78T-Eより低いが,その差は最大でも9W。マザーボードの設計レベルで吸収されてしまう程度の違いでしかない。
 もちろん,本当にAMD 890GXのほうが消費電力は低い,という可能性も残されているが,基本的には同じレベルであると捉えておいたほうが安全ではなかろうか。

 なお,アプリケーション実行時におけるi5-660の消費電力が圧倒的に低いのは,i5-660のTDPが73Wなのに対し,「Phenom II X4 965 Black Edition/3.4GHz」のそれが125Wである点が大きそうだ。



SB850のSerial ATA 6Gbpsインタフェースが

持つポテンシャルもチェックしてみる


 AMD 890GXというチップセットのグラフィックス処理性能を見てきたが,ここからは,SB850のテストに入りたい。
 前述したとおり,テーマはSerial ATA 6Gbps。今回は同規格に対応したWestern Digital製HDD「Caviar Black」(型番:WD1002FAEX)を用意し,M7A89GTD PRO/USB3に付属する6Gbps対応のSerial ATAケーブルを使って4枚のマザーボードと接続して,EFD Software製のHDDベンチマークツール「HD Tune Pro」(Version 4.01)から,リード時の転送レートを測定することにした。
 テストに当たってSB850に導入したAHCIドライバは,AMDからレビュワー向けに提供されたもの。ただこのドライバ,SB750が組み合わされたAMD 790GX&AMD 785Gには適用できなかったため,両製品についてはATI Catalyst 10.2のAHCIドライバを単体で充てている。

 さて,グラフ9は,HD Tune Proから,リード時におけるMinimum(最小),Maximum(最大),Average(平均)スコアを抜き出してまとめたものだが,マザーボード(≒サウスブリッジ/PCH)による違いは,まったくといっていいほど出ていない。


 HD Tune Proでは,Burst Rate(連続転送時の転送レート)も計測してくれる。そのスコアを抜き出したのがグラフ10だ。Burst Rateの値は計測のたびにスコアが変わってしまい,±10MB/s程度のバラ付きがあるため,今回は3回計測し,中間のスコアをデータとして採用している。そのため,精度に議論の余地はあるのだが,それでもテスト対象となった4製品のうち,AMD 890GXのSB850だけが200MB/sを超えるスコアを記録したのは,注目に値するだろう。
 もちろん,この結果だけで「だからSB850のSerial ATA 6Gbpsコントローラが優れている」と断言できはしないのだが,少なくともSB700世代から,連続転送時のパフォーマンスが引き上げられているのは確かなようだ。


 ……そのメリットを体感するためには,Serial ATA 6Gbps対応のSSDや,高速なSSDによるRAID構成が必須になりそうだが。

【参考】HD Tune Pro実行結果。左上がM7A89GTD PRO/USB3(AMD 890GX+SB850),右上がM4A78T-E(AMD 790GX+SB750),左下が(AMD 7850G+SB710),右下がP7H55D-M EVO(Intel H55 Express)のものだ
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AMD 790GXの機能強化版といえるAMD 890GX

順当な進化と見るか,変わり映えなしと見るか


 長くなったので,ちょっとまとめてみよう。AMD 890GXのポイントは,おおむね以下のような感じである。

  1. AMD 890GXが持つグラフィックス機能は,AMD 790GXをベースに,DirectX 10.1&HDMI 1.3対応とUVD 2.0搭載を果たした機能強化版で,3D性能の上積みは見込めない
  2. Hybrid ATI CrossFireXは,AMD Dual Graphicsに名前が変わったようで,異なる世代のGPUによる協調動作が可能になった
  3. リンク帯域幅が向上したSB850は,Serial ATA 6Gbpsの対応を果たした初のサウスブリッジであり,(体感できるかはともかく)パフォーマンス上のメリットもある
  4. AMD 890GX+SB850の消費電力は,Socket AM3版のAMD 790GX+SB750と同等レベル。多少下がっているかもしれないが,劇的ではない

 よく言えば,グラフィックス機能統合型チップセット上位モデルの最新世代製品として,順当な機能拡張を果たした製品。悪く言えば,トピックはサウスブリッジにほぼ集中しており,グラフィックス機能統合型チップセットとしての見所に乏しい製品といったところだろうか。UVD 2.0やHDMI 1.3,PCI Express,Serial ATA 6Gbpsといった新要素を,どれだけ重く見るかによって,評価は変わってくる印象を受ける。

M7A89GTD PRO/USB3の製品ボックス
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 これら新要素に魅力を感じる人にとって,AMD 890GXは,間違いなく意義深いチップセットである。AM3プラットフォームが順調に成熟してきたこともあって,M7A89GTD PRO/USB3がテスト中,実に安定して動いていたことも,プラス材料となるはずだ。
 ただAMDは今後,Phenom II X6に合わせて,「AMD 790FX」の後継となる「AMD 890FX」や,AMD 785G後継となる「AMD 880G」といった製品の投入も予定している。フラグシップ製品としてのインパクトはAMD 890FXのほうが上だろうし,コストパフォーマンス重視のグラフィックス機能統合型チップセットとしては,AMD 880Gのほうがバランスに優れると思われるだけに,そろそろAM3環境へ移行したいというAMD派にとって,AMD 890GXは,なかなかに悩ましい存在と言えるのではないだろうか。

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