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Access Accepted第238回:ゾンビとゾンビゲームがアメリカを席巻?
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印刷2009/10/30 12:37

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第238回:ゾンビとゾンビゲームがアメリカを席巻?

奥谷海人のAccess Accepted

 今,アメリカではゾンビが大流行。「テロや疫病の流行といった不安な世の中で,自己再生の思想をゾンビに転化させている」などという難しい分析もあるようだが,個人的には,アメリカ人らしいただのコスプレパーティという印象だ。そんなゾンビブームに影響を受けてか,2009年は「バイオハザード5」に始まり,11月発売予定の「Left 4 Dead 2」まで,ゾンビゲームだらけ。それに加え,ゾンビをメインにしたタイトルが大量発生しているのを、読者の皆さんはご存じだろうか? 今回は,日本でもあまり知られていないゾンビゲームを紹介しよう。

第238回:ゾンビとゾンビゲームがアメリカを席巻?

 

アメリカを熱狂させる,ゾンビ
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写真は,2008年に開催されたToronto Zombie Walkの公式サイトの画像。通りすがりの子供がこんな集団を見てしまうと,たいへんなトラウマになってしまうような気がするが,子供に血のりを塗りたくって参加しているママゾンビの姿も見られるのでちょっと驚く。将来,立派なゾンビゲーム好きに育ってくれそうだ

 アメリカの10月31日は,「泣く子も笑う」ハロウィンである。もともとは,ケルト系の土着思想がキリスト教と混合して誕生したといわれる行事で,死者を祀るという意味では,日本の「お盆」に近いかもしれない。もっとも,最近のアメリカでは宗教的な要素は薄れ,いまやコスチュームパーティ&近所の人がスイーツをタダでくれる日になっているようだ。規模も大きくなり,クリスマスに次いで経済的波及効果の高いイベントでもある。
 ハロウィンで着るコスチュームも,以前はオバケや魔女など“ホラー系”が中心だったが,最近では,子供の場合は「お姫様」や「ジェダイ騎士」,大人も「セクシーコスチューム」や「流行りモノ」などイマジネーション豊か。聖人や精霊などとはなんの関係のないものになっている。
 毎年,ヒット映画に関するものや時事ネタなど,トレンドもあるようで,今年は6月に亡くなったマイケル・ジャクソン氏の白と黒を基調にしたダンス・コスチューム,もしくは「スリラー」で使われたコスチュームが多いのでないかと予想されている。(※この原稿はハロウィンの前に書かれたものです)

 さて,ここからが本題。本連載の第196回「ゾンビとゲームの不思議な関係」でも書いたように,アメリカでは今,“ゾンビ”がブームになっている。人々がゾンビに扮して町を練り歩くというイベントもアメリカ全土に広がり,筆者の住むサンフランシスコでも,今年(2009年)で4回目となる「Zombie Mob」というパレードが3月に行われている。
 このような,人々がゾンビに扮するパレードは,よろめいて徘徊する感覚から“ラーチング”(lurching)とも呼ばれているが,北米で最大規模を誇るラーチングが,カナダのトロントで行われる「Toronto Zombie Walk」だ。
 7回目を迎えるというこのイベントでは,毎年2000人以上の参加者がゾンビに扮して街中を練り歩くという。2009年も10月24日から開催されているが,「バイオハザード」シリーズなどで昔からゾンビと深い関係にある(?)日本のメーカー,カプコンがメジャー企業としては初めてスポンサーとなった。カプコンは,飛び入り参加者でもパレードを楽しめるよう,ゾンビのメーキャップを無料で施すスタンドを設けるなどしたという。

 カプコンがToronto Zombie Walkのスポンサーとなった理由は,アメリカで11月17日に発売が予定されているWii専用タイトル,「Resident Evil: The Darkside Chronicles」(日本では,2010年1月に「バイオハザード/ダークサイド・クロニクルズ」として発売予定)のプロモーションとしての意味合いが強い。そもそも,ラーチングは大学生が主体になることが多いので,訴求対象としてはちょうどいいというわけだ。

 今年は,3月にリリースされた「Resident Evil 5」(バイオハザード 5)から11月17日発売予定の「Left 4 Dead 2」まで,ゾンビがメインディッシュとなるゲームが多く登場している。DNAレベルで人々がゾンビ化した「Prototype」や,黒魔法で蘇らされたナチス兵を相手に戦う「Wolfenstein」など,広い意味のゾンビ系を含めると,かなりの本数のタイトルがゾンビやアンデッドをテーマにしているはずだ。

 さらに,欧米でリリースされたマイナーなタイトルにもゾンビをテーマにしたものが多かったのが今年の特徴で,カジュアル感覚でゾンビを撃ちまくるといった作品が,続々とリリースされたのだ。日本ではあまり注目はされていないとはいえ,下にいくつかの力作を紹介するので,日本でも盛り上がってきたハロウィンの機会に,いくつかプレイしてはいかがだろうか。

 

Burn Zombie Burn!http://www.burnzombieburn.com/

開発元:Double Six Studios

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 「Burn Zombie Burn」は,PlayStation Homeでリリースされたトップダウン型のシューティングゲームだ。ブルースという名前の主人公が,銃や金属バットを手に,押し寄せるさまざまなタイプのゾンビを次々と倒して,ハイスコアを狙うという,単純明快なアーケード風アクションゲームになっている。
 6つのレベルが用意されたFreeplayモードのほか,ガールフレンドのデイジーを守り抜くDefenseモードや,制限時間以内に炎を吹き上げるゾンビを倒していくTimedモードなどが用意されている。
 タイトルからもわかるように,Burn Zombie Burnはゾンビに火をつけることがゲームプレイのキモになっている。火のついたゾンビは近くの仲間達をどんどんと巻き添えにして,その数が増えるにつれて,より多くのスコアが得られるという仕組みなのだ。燃え出したゾンビは高速で走り出し,気をつけていないとプレイヤーもダメージも受けてしまう。したがって,火をつけることは危険なのだが,「プレイヤーがリスクを覚悟することで,さらにポイントが得られる」というシステムが面白い。

 

Plants vs. Zombies

開発元:Kerberos Productions

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 PCとMacのほか,ニンテンドーDSでもリリースされている「Plants vs. Zombies」は,カジュアルゲームのメジャーとして知られる,PopCap Gamesの新作だ。「Warcraft III」で有名な「Tower Defense MOD」をヒントに,「プレイヤーが,ミッションごとに好きな植物を(使用可能な範囲で)好きなように配置していく」という,カードゲームのデッキを思わせる要素をうまく取り入れている。詳しくは週刊連載「海外ゲーム四天王」で紹介しているので,それらも参考にしてほしい。
 さて,植物としては太陽のパワーによって種を発芽させるヒマワリを中心に,キャノンや壁の役割を果たすものや,自爆系のものなど数十種類が存在する。それらを使って,庭先に押し寄せてくるゾンビ集団から家を防衛するわけだが,グラフィックスは可愛く,なんともいえないゲーム性を醸し出しているのだ。
 また,ゾンビにもいくつかの種類があって,マイケル・ジャクソン氏に影響を受けたようなものも登場する。
 Plants vs. Zombiesは,アマチュアクリエイターが開発していたものをPopCap Gamesがサポートする形で発売に至った作品だが,数ある同社のゲームの中でも,最も勢いよく売れているらしい。現在はXbox Live Arcadeでのリリースも考慮されているとのことだ。

 

Fort Zombiehttp://www.fortzombie.com/

開発元:Kerberos Productions

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 硬派なストラテジーで知られるParadox Interactiveがパブリッシングを担当する,「Fort Zombie」は,2009年10月30日にリリースされる予定のPC向けゲームだ。ゾンビ主体のゲームとしては珍しく,アクションRPGであるところが興味深い。
 インディアナ州にある架空の田舎町で,突然の疫病に襲われた人々が次々に死んでいくところからゲームは始まる。住民達は「世界の終焉が近付いたと」祈り始めたりするのだが,やがて死んだ人々が立ち上がり,無抵抗な生存者を殺し始めるのだ。
 そんな状況を見たプレイヤーは武器を持って立ち上がり,街で最も強固なビルを選んで防御を固め,武器や救急アイテムを整えていく。しかし,倒しても倒してもゾンビの群れが現れ,ついには近隣の町からも押し寄せてくるのだった。
 RPGとはいえ冒険の要素は取り除かれ,一つの場所で戦うことに集中するという設定が非常にユニークだ。
 ストーリーが進むにつれ,生き残った住民がプレイヤーの仲間に加わり,彼らをトレーニングすることでより戦略的に防御できるようになるという。

 

Zombie Apocalypsehttp://www.konami.com/games/zombie/

開発元:Nihilistic Software

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 PlayStation Storeおよび,Xbox Live Arcadeで発売中の「Zombie Apocalypse」は,「Vampire: The Masquerade-Redemption」(2000年)で知られるNihilistic Softwareが開発を行い,コナミが北米で販売を手掛けるアクションゲームである。比較的狭いマップをプレイヤーの操るキャラクターが走り回り,襲い掛かってくるゾンビを次々と撃ち殺していくという,見下ろし型のシューティングで,いくつかのミッションに分けられたトータル55日間を生き延びることが目的だ。
 ショットガンや火炎放射器,グレネードランチャー,さらにはチェーンソーなどを使って激しく戦うバイオレントなゲームになっており,舞台となる床や路上はゲームが進むにつれて次第に鮮血で染まっていく。
 また,ゾンビをおびき寄せる効果のある「クマのぬいぐるみ」などのアイテムを使ったり,墜落した飛行機のエンジンを回してゾンビを仕留めたりなど,さまざまなオブジェクトが使用できたりする。最大4人までのマルチプレイモードがローカルもしくはインターネットで楽しめ,得点を競い合ったり協力しあうなど,ゲームモードも豊富だ。

 

Zombie Driverhttp://www.zombiedriver.com/

開発元:Exor Studios

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 「Zombie Driver」というネーミングが印象的な本作は,車を走らせて街に溢れるゾンビ達を次々にひき殺していくという,非常に暴力性の高いアクションゲームだ。化学工場の事故によって街の人々がゾンビ化してしまい,プレイヤーは生き抜くために爆走し続けるのである。
 開発が発表されて間もないため,あまり情報はないが,開発/販売を担当するExor Studiosは2009年内の発売を予定しているようだ。独自のゲームエンジンはなかなかのもので,NVIDIAのPhysX物理エンジンを利用した派手な破壊シーンが見どころの一つになりそうだ。
 公式サイトの情報によると「Grand Theft Auto II」を連想させるような,トップダウン型のオープンワールドなゲームになるという。17種のミッションに加えてさまざまなサイドクエストが用意されており,プレイヤーは性能の良い車や,火炎放射器,ロケットランチャーといったアイテム,さらにさまざまなアップグレードキットを探して,商店街の裏や住宅の庭などを走り回ることになるらしい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けてきた。業界に知己も多い。本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,連載開始から200回以上を数える,4Gamerの最長寿連載だ。
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