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印刷2009/02/02 20:58

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剣と魔法の博物館 モンスター編 / 第120回:リッチ(Lich)

剣と魔法の博物館 〜モンスター編〜
第120回:リッチ(Lich)
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 “永遠の命”という概念には,今も昔も,多くの人間が魅了されている。もちろん,それはファンタジー世界においても同じである。
 一口に“永遠の命”といっても,さまざまなパターンが存在するのだが,一般的によく知られるのは,秘薬や神の力によって不老不死を手に入れるというものだろう。しかしそれ以外に,邪悪な力によって永遠の命を手に入れる方法もある。いわゆる禁忌の秘術による不死で,何らかの方法によって,自らをヴァンパイアやリッチにするパターンがこれにあたる。どちらもアンデッドなので,厳密な意味では不老不死というわけではないが,永遠に活動できるという意味において,不死とほぼ同義といってもよい。今回はリッチ(Lich)について紹介しよう。
 リッチはアンデッドモンスターの一種である。ぼろぼろのローブを身にまとった骸骨で,禍々しいオーラを放っているというイメージが一般的だろうか。ゲームでは,ファイナルファンタジーシリーズや「ウルティマオンライン」などにも登場している。
 彼らの特徴は,非常にレベルの高い魔術師だということ。魔道を深く探求するあまり狂気にとりつかれ,自らをアンデッド化し,ダンジョンなどにこもって秘術の研究をし続けているのだ。ごくまれに僧侶/神官などをベースとしたリッチもいるが,これは邪神などに仕える高僧なのだろう。いずれにせよ,自らをアンデッド化できるほどの技能や知識を持ったリッチは,極めて危険な存在だ。
 永きにわたり研究を重ねたリッチは,冒険者にとって恐るべき敵となる。高レベルの呪文だけでなく,麻痺などの特殊攻撃を有することもあるほか,その姿を目にした者は,恐怖心のあまり身がすくんでしまうこともあるだろう。
 さらに,無数のアンデッドを配下として率いている場合もある。僧侶の祈りによって退散させるにしても,リッチの率いたアンデッドを浄化するには,かなりの徳の高さが必要になるだろう。リッチが研究に没頭して,ダンジョンの外に出てこないことを祈るばかりである。

 

 リッチという名前は,古い英語で「死体」を示す言葉だったらしい。今日では死体を指してリッチとは言わなくなってしまったが,墓場の門をリッチゲート(lich gate/lych gate)と呼ぶところに,その名残が見られる。
 モンスターとしてのリッチ像が確立されたのは,テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」によるところが大きいと思われる。同作でのリッチは,極めて危険なアンデッドとして設定されており,呪文,恐怖のオーラ,麻痺/毒などの攻撃を繰り出す。また,リッチの所有する経箱を破壊しない限り,たとえリッチを倒しても,数日後には復活してしまうのだ。戦闘では,クレリックのターンアンデッドなどの呪文で退散させることも不可能ではないが,その難度は非常に高い。また同作には,リッチの名前を冠するモンスターもおり,その中でもリッチ化したドラゴン,ドラコリッチ(dracolich)はとくに強力だ。
 また同類に含めていいのかどうかは微妙だが,中国の伝承に登場する,死んだ後に仙人化する尸解仙(しかいせん)なども,リッチと似ているように思える。

 ともあれ,永遠を求めて自らをアンデッド化することは,社会に溶け込めないばかりか人々から忌み嫌われ,さらにアンデッドとしての弱点も生まれてしまうため,理想的な手段とは言えない。リッチらの研究が実を結び,真の意味での不老不死が完成したとき,新たな脅威が生まれるのかもしれない。

 

■■Murayama(ライター)■■
第120回という中途半端にキリのいい記事で,ひとまずの最終回を迎える「剣と魔法の博物館〜モンスター編〜」。執筆者のMurayamaにコメントを求めたところ,「今はこの連載の書籍第2弾の校正作業が忙しくて,手が離せない。最後のコメントはぜひ書籍でご確認を」と,軽く宣伝されてしまった。……「モンスター編」書籍第2弾の詳細は,後日あらためてということで。ともあれ,これまでのご愛読,まことにありがとうございました。
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