
イベント
[TAF 2012]「コクリコ坂から」が大賞。テレビ部門では「まどか☆マギカ」「TIGER & BUNNY」が受賞した第11回東京アニメアワード
東京アニメアワードには公募作品を対象とする賞と,2010年11月1日から2011年10月31日までに放映,上映,販売された商業作品(ノミネート)を対象とする賞の2種類がある。今回は後者,469の商業作品から優れたものを選出するノミネート部門の受賞作および受賞者をお伝えしよう。
![]() |
開催4日間の来場者数が前回比74.66%と減少したことが大きく取り上げられているTAF2012だが,アニメーションをコンテンツそのものだけでなく,文化的な側面から評価,表彰する取り組みがあることは,忘れてはならない。業界に大きく貢献した人物(故人含む)を表彰する功労賞の授賞式も同時に催された東京アニメアワードは,厳かな良い式典だった。ただし,ノミネート部門の受賞者に欠席が目立ったことも,覚えておく必要があるだろう。
アニメーション オブ ザ イヤー
![]() |
「コクリコ坂から」
1963年。横浜。港の見えるコクリコ荘。その下宿屋を切り盛りする16歳の少女・海。彼女は毎朝,海に向かって信号旗をあげる。旗の意味は「安全な航行を祈る」。タグボードで通学していた17才の少年・俊は海の上からその旗をいつも見ていた。翌年に東京オリンピックを控え人々は古いものは全て壊し新しいものだけが素晴らしいと信じていた。そんな時代にとある高校で紛争が起き海と俊は出合う。
二人が見出した未来とは。
![]() |
![]() |
コメント:宮崎吾朗氏(監督)
まだまだ勉強の足りない頼りない監督でしたが,沢山のスタッフ,キャスト,関係者の皆さんに支えられて作品を世に送り出すことができました。
そして,多くの観客の皆さんから温かい感想をいただけたことは本当に嬉しいことでした。今回の受賞はこうした沢山の皆さんのおかげだと思います。
これを励みに,よりよい作品を目指して精進しようと思います。心から,ありがとうございました。
テレビ部門:優秀作品賞
![]() |
「魔法少女まどか☆マギカ」
大好きな家族がいて,親友がいて,時には笑い,時には泣く,そんなどこにでもある日常。見滝原中学校に通う,普通の中学二年生・鹿目まどかも,そんな日常の中で暮らす一人。ある日,彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか,必然なのか,彼女はまだ知らない。
それは,彼女の運営を変えてしまうような出会い――
それは,新たなる魔法少女物語の始まり――
![]() |
企画が始まった2008年からオンエアを経て今日まで「魔法少女まどか☆マギカ」は我々も予想がつかないくらい大きな成長を遂げてくれました。可愛らしい少女達が絶望を繰り返しながらも過酷な運命に立ち向かって進んで行く,オリジナルの作品として今までにないような新しい試みに挑戦してきたと思います。
このような高い評価をいただき,栄誉ある賞をいただけることは,スタッフ一同,感謝の気持ちと新たな作品作りへの振起となります。
どうか引き続き,応援くださいますようよろしくお願い致します。
![]() |
「TIGER & BUNNY」
都市シュテルンビルトは,様々な人種,民族,そして「NEXT」と呼ばれる特殊能力者が共存し,その「NEXT」能力を使って街の平和を守る「スーパーヒーロー」が存在する街。ヒーロー達は,スポンサーロゴを背負って,企業のイメージアップとヒーローポイントを獲得するため,事件解決や人命救助に奔走している。その活躍の模様は人気番組「HERO TV」で中継されており,各々“キング・オブ・ヒーロー”を目指し,年間ランキングを争っている。
ヒーローの一人,ワイルドタイガー(鏑木・T・虎徹)は,ベテランなりに土地勘,経験値を最大限に生かしたパフォーマンスを見せる。上司の命令には従わなければならないものの,市民の安全の為には器物破損も厭わない,我が道を突き進むタイプ。彼には,いつしか「正義の壊し屋」という有難くない称号が……。
そんな虎徹が,突然新人ヒーローのバーナビー・ブルックス Jr.とコンビを組むことに。
仕事も私生活も崖っぷちのベテラン,ワイルドタイガーと有能だが扱いにくい新人バーナビー・ブルックス Jr.が対立しながらも悪に立ち向かう――痛快バディヒーローアクション!
![]() |
3年以上前に蒔いた名も無き種が,1年前にようやく芽を出し,制作陣や関係者一同の水分・養分とファンの方々の暖かな陽射しで,素晴らしい花を咲かせることが出来ました。これからも年輪を重ねていけるよう,みんなで一緒に大切に育てていければ素敵だなと思っております。このたびは誠に有り難うございました。
国内劇場映画部門:優秀作品賞
![]() |
「コクリコ坂から」
![]() |
昨年の「借りぐらしのアリエッティ」に続き素晴らしい賞を有難うございました。2008年に宮崎監督の発案で若手監督を起用した2010年に続き再度若手監督宮崎吾朗による「コクリコ坂から」を公開することができました。
振り返ってみれば制作中に困難に直面しながらも監督を中心に果敢にチャレンジし完成に至ることが出来これも改めて作品を応援して下さったお客様,そして公開に尽力いただいた多くの方々のお陰と心より感謝申し上げます。これからもますます支持される良質な作品作りを目指していきたいと思います。
海外劇場映画部門:優秀作品賞
![]() |
「塔の上のラプンツェル」
![]() |
昨年はディズニー/ピクサー作品「トイ・ストーリー 3」でこの賞をいただきました。今年はディズニー作品「塔の上のラプンツェル」でこの賞をいただくことができ非常に感激しております。
この作品はディズニー王道のプリンセス物語ですが,メッセージとして“初めての旅”に旅立つ勇気を私たちに与えてくれます。映像においても3Dを効果的に演出しており,私たちの心に残る名作として永く愛される作品になるのではないかと思っています。今回の受賞でより多くのみなさんがこの作品を知って見てくれることを願います。
今年の夏にはディズニー/ピクサー作品「メリダとおそろしの森」を公開します。新たな感動作が誕生します。こちらもご期待ください。
オリジナルビデオ部門:優秀作品賞
![]() |
「機動戦士ガンダムUC」
![]() |
昨年に引き続き賞をいただきまして,ありがとうございます。「機動戦士ガンダムUC」は宇宙世紀シリーズの最新作です。昨年,上映,発売されたepisode 4は,今シリーズ初のMS(モビルスーツ)地上戦ということで,制作に大変苦戦しましたが,スタッフの頑張りで,皆様が喜んで頂けるようなフィルムになったと思いました。
まだまだ続編制作中です。5月には最新episode 5が上映されます。スタッフ一同身を削ってフィルムをつくっていますので,是非,一人でも多くの方に観て頂ければと思います。
個人部門
![]() |
・監督賞:新房昭之氏(魔法少女まどか☆マギカ)
制作作業中は震災に見舞われるなど,様々な困難を乗り越えて作り上げた「魔法少女まどか☆マギカ」が,多くの人に受け入れられ,大きな反響をいただけるアニメとなりましたこと,また,監督としてこのような賞をいただけることを,驚きとともに,至極光栄に感じております。作品を作り上げる中,アニメーションの可能性はまだまだ未知数だと感じました。賞は,制作スタッフ一同でいただいた賞だと思っております。共に尽力してくれました優秀なスタッフ達と,受賞の喜びをかみ締め,今後の作品づくりの励みとしていきたいと思います。
![]() |
・脚本賞:虚淵 玄氏(魔法少女まどか☆マギカ)
この度の受賞を大変栄誉に思います。潔癖を是とする社会からは汚泥とも映るであろうアダルトゲーム業界ですが,そこで培った感性があってこそ,本作の脚本は成立しました。私を評価して頂いた皆様には,泥沼の養分あってはじめて蓮の花も咲くのだとご理解頂けたものと,喜びを新たにしています。憲法に保障された表現の自由が磐石であると信じるすべての表現者が,憚ることなく創作の翼を広げられる社会の実現を願って止みません。
![]() |
・美術賞:丹治 匠氏(星を追う子ども)
すばらしい賞をありがとうございます。個人部門ではありますが,美術スタッフ全員でいただいた賞だと思っています。また,「星を追う子ども」の美術背景は新海 誠監督の世界観でもあります。新海監督はじめ,いろんなスタッフと一緒に作り上げた美術が受賞できたこと,本当に嬉しく思います。
![]() |
・キャラクターデザイン賞:桂 正和氏(TIGER & BUNNY)
「サラリーマンヒーローの日常」を描く作品で,男性キャラを創り出すのがメインの仕事ということで興味があってオファーを受けました。主人公の虎徹とそのヒーロー形態であるワイルドタイガーはとくに生みの苦しみがあっただけに,評価をされたことはとても嬉しく思います。ありがとうございます。
![]() |
・声優賞:平田広明さん(TIGER & BUNNY)
この度は誠に有り難うございます。
素晴らしい作品に出逢えた事,重要な役を託して下さったさとう監督やスタッフの皆さん,共に命を吹き込んだ共演者,熱烈な応援で支えて下さったファンお一人お一人に心から感謝申し上げます。
ありがとう,そしてありがとう!
![]() |
・音楽賞:武部聡志氏(コクリコ坂から)
今回,憧れのスタジオジブリ作品に参加させて頂きました。映画音楽の経験も少なく,ましてやアニメーション映画の音楽は初めてという私がこの様な賞を頂いて,恐縮すると共に大変光栄に感じております。のびのびと音楽作りができる環境を用意してくださった,スタジオジブリのスタッフの方々に感謝しております。ありがとうございました。
東京国際アニメフェア2012公式サイト
※コメントは,発表文より引用
- この記事のURL: