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au,ゲーマー20名が参加。プロレーサーへの道を開く“みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト”を実施
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印刷2022/11/18 18:56

リリース

au,ゲーマー20名が参加。プロレーサーへの道を開く“みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト”を実施

みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト
配信元 KDDI 配信日 2022/11/18

<以下,メーカー発表文の内容をそのまま掲載しています>

au、ゲーマー20名が参加 レーサーへの道をブレインテックが拓くプロジェクトを実施

〜93.6%が叶わなかったプロレーサーへの夢、eスポーツが入り口に〜
KDDI株式会社(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社アイロック (本社: 愛知県名古屋市、代表取締役: 古賀 琢麻、以下 IROC)、VIE STYLE株式会社(所在地: 神奈川県鎌倉市、代表取締役: 今村 泰彦、以下 VIE STYLE)、株式会社レーシングヒーロー (本社: 東京都墨田区、代表取締役CEO: 林 寛樹、以下 レーシングヒーロー) は2022年7月20日から2022年9月26日まで、レースゲームを楽しむeスポーツゲーマー (以下 eレーサー) や自動車メーカーをはじめとする多くのパートナーとともに、脳科学とITを組み合わせたブレインテックとeスポーツを活用したトレーニングを通じ脳の認知能力を高め、実車でのドライビングテクニックの向上につなげる技術 (以下 本技術) の開発に取り組む「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」(以下 本プロジェクト) を実施しました。

本プロジェクトでは2021年度に実施した実証実験 (注1) を拡大し、テストドライバーとなる20名のeレーサーが参加して、実車などによる走行タイムの測定と約4週間の脳トレーニングを行いました。

結果として、脳トレーニングを受けた10名のeレーサーは、トレーニングをしなかった10名と比べて、実車走行で約2.2倍のタイム向上率となり、脳トレーニングの効果を確認しました。

今後KDDIは本技術をもとに、始めるハードルの低いeスポーツから実車のレーサーに近づくための脳トレーニングアプリの実現を目指し、挑戦する人を応援していきます。

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■70.5%が費用の問題で諦める、レーサーへの険しい道のり

レーサーになるには一般的に、幼少期からレーシングカートなどで練習を始め、本人の成長とともに実車での経験を積み、専門の育成チームに参加するなどのステップを経ていきます。
そのため、レーサーになる夢を叶えるのは、本人の努力に加え、家族のサポートや多額の費用も必要となる険しい道のりと言われています。
auが行った調査では、カーレーサーに憧れたことがある人のうち、93.6%の人が「職業として叶わなかった」、99.0%の人が「カーレーサーになることはハードルが高いと思う」と回答しています。
また、諦めた理由として70.5%の人が「お金がかかるから」、49.5%が「何から始めたらよいかわからなかったから」、42.5%が「練習場がなかったから」と回答しました。この結果からも、レーサーは「環境的な要因で叶えにくい夢」の代表的なものだと言えます。

<カーレーサーに憧れたことがある人が、カーレーサーを諦めた理由>
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■ゲームがレーサーへの入り口に。ブレインテックが夢への挑戦を支援

そこで着目したのが、実車の運転で必要とされるドライビングテクニックをドライビングシミュレーターとブレインテックで伸ばすトレーニング手法です。
本手法が完成すれば、レースゲームなどのeスポーツで実績を重ね、ドライビングシミュレーターで脳トレーニングの効果を確認しながら練習を繰り返すことで、成長の効率を高めることができます。
これにより、実車での練習にかかる時間や費用を大幅に抑えてプロレーサーを目指すことが可能になり、レーサーになるために必要だと思われていたこれまでの常識を変えることができます。

さらに、本プロジェクトをきっかけに実際のレースに参加する機会も生まれました。2021年度の実証実験に参加したeレーサー佐々木 唯人選手は、2022年11月19日と20日に岡山国際サーキットで行われる「トヨタガズーレーシング ヤリスカップ西日本シリーズ」に出場します。また、2022年度の実証に参加したeレーサー2名は、2022年11月19日にモータースポーツジャパン2022 (主催: JAF (一般社団法人日本自動車連盟)) で行われるEVカートのエキシビジョンレースに参加します。本プロジェクトがeレーサーからリアルレーサーへの入り口になることで、夢への挑戦もサポートしていきます。

■自動車やレース、eスポーツのパートナーとともに技術開発を加速

<本プロジェクトに参加するパートナー>
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本プロジェクトは、本技術開発の全体を統括するKDDI、脳科学のVIE STYLE、ドライビングシミュレーターの提供と運転技術サポートのIROC、eレーサーのマネージメントを担うレーシングヒーローの主要4社に加えて、株式会社SUBARU (以下 SUBARU) とSUBARU Driving Academy (以下SDA) をはじめとする、実車トレーニングのサポートやPCの提供など各業界の知見を有している11社の協力のもと、技術開発を加速します。

auは、本プロジェクトを通して、さまざまな理由で夢を諦めざるを得ない多くの人に、テクノロジーの活用で夢への挑戦を支援していきます。

■「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」について

1. 概要
「みんなの夢をのせるeレーサープロジェクト」は、将来カーレーサーを目指したい方が、環境や経済的な問題で諦めることを無くす道のりをつくる技術を開発するプロジェクトです。
一般から募集したeレーサー20名にSDAのドライバー13名などを加えた33名で、実車やドライビングシミュレーターでの走行タイムの測定、脳トレーニングなどを行い、本技術の開発を進めました。

<本プロジェクトの流れ>
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<本プロジェクトの流れ>
項目 内容 実施日程
測定会
(1回目)
・筑波サーキットにおいて、実車とドライビングシミュレーターで走行タイムと脳波を測定しました。
・また、運転パフォーマンスと相関する認知能力を特定するため、5種類の認知タスク・心理尺度回答を実施しました。
・測定結果をもとに、トレーニング対象の認知能力を特定しました。
2022年8月1日
脳トレーニング
(トレーニーのみ)
脳トレーニングの対象者 (以下 トレーニー) と、脳トレーニングを実施しない比較対象者 (以下 コントロール) 10名ずつを振り分けました。
1週間に1回、脳トレーニングを実施しました。(計4回)
2022年8月下旬から2022年9月中旬
測定会
(2回目)
1回目と同様に筑波サーキットで測定しました。 2022年9月26日

2. 本プロジェクトにおける技術開発について
(1) 本プロジェクトでの検証内容

本プロジェクトでは、本技術の検証のため、一般から公募した20名および、SDAドライバー13名などの計33名で、以下の2プログラムを同時に実施しました。

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<実車での走行イメージ>
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<「T3R Simulator」でのドライビングイメージ>

プログラム 内容
[1] 2021年度の検証結果の信頼性確認 一般から公募した参加者を対象に、2021年度と同様のカリキュラムを実施し、脳トレーニング (ニューロフィードバックトレーニング+認知トレーニング) によってドライビングシミュレーター上での走行タイム向上につながるかの確認を行いました。
[2] 脳トレーニングの内容がどの運転操作に作用しているかの確認 脳トレーニング (ニューロフィードバックトレーニング) がどの運転操作にどのように作用しているか確認するため、実車走行する実証実験を行いました。

(2) SUBARUおよびSDAによる検証
SDAのドライバーについても、SUBARU所有のトレーニング車両でeレーサーと同様のプログラムを実施しました。SUBARU技術研究所と共同で、車両に取り付けたロガーで取得した各種データ、インカ―カメラ映像、高精度GNSSを活用した走行ライン、アイトラッキングで取得した目線などの情報を総合的に分析し、eレーサーの検証結果との差分を確認しました。

(3) 脳トレーニングについて
脳科学研究の進展により、モータースポーツで活躍するレーサーの反応速度が一般人と比較して早いという結果が報告 (注2) されています。また2,000人以上の子供を対象とした最新研究では、ゲームの経験がワーキングメモリーと抑制制御 (行動・反応を抑えられる能力) といった認知能力の向上に関与していることも示唆されています (注3)。これらの結果から、ドライビングやeスポーツのパフォーマンスの高さの背景に脳の認知能力が影響し、トレーニングを通じた実際の競技パフォーマンスの向上が期待されています。

本プロジェクトでは、参加者の測定データをもとに、脳トレーニングとドライビングスキルの向上との相関関係が判明した、[1] 感覚運動スキルと [2] 感情制御スキルの向上を目指すトレーニングメニューを開発しました。

<トレーニングメニュー>
トレーニング項目 内容
[1] ニューロフィードバック (4) と感覚運動トレーニング 先行研究で示唆されている (注5) 運動学習の促進に有効な特定の周波数帯域のアップレギュレーション (その周波数の脳波成分の増強) を目的としたニューロフィードバックを行った後に、ゲームパッドを利用した感覚運動学習課題をPCで実施します。
[2] ニューロフィードバックによる感情制御トレーニング 特定の感情を自分で誘発し、その脳波を元に個人の感情状態を推定する脳情報解読技術を利用することで、目的の感情に自己誘導するニューロフィードバックを行えます (注6)。その技術を応用し、さまざまな感情が誘発されてもニュートラルに保てるように訓練するニューロフィードバックの訓練を行います。

<脳トレーニングイメージ>
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(4) 実証結果
[1]対象の認知機能の向上に成功 (トレーニング内容自体の変化)
トレーニング群が訓練した [1] 感覚運動のパフォーマンスは有意に向上しました。また、[2] 感情制御のニューロフィードバックも目的とする状態に制御できていることが確認されました。これにより、開発したトレーニングプログラムで対象とする認知機能の向上に成功したと解釈できます。

[2]脳トレーニングによるレースパフォーマンスの向上に成功
筑波サーキットにおいて、1回目の測定と比較した時の2回目の測定時の最速タイムの短縮率を分析しました。

<タイム短縮率>
測定方法 A: 脳トレーニングあり
(トレーニー)
B: 脳トレーニングなし
(コントロール)
脳トレーニングの向上率
(A/B)
実車 6.5%
(t(9) =3.79, p<0.1)
2.9%
(t(9) =2.13, p=0.06)
約2.2倍
シミュレーター 1.7%
(t(9) =1.11, p=0.29)
0.13%
(t(9) =0.40, p=0.80)
約13倍

特に実車での走行タイム短縮に効果が出たことから、脳トレーニングは、eモータースポーツと比較して、参加者への伸びしろが大きい運転パフォーマンスの向上につながることが示唆されました。一方でドライビングシミュレーターにおいては、結果のばらつきが大きく有意ではなかったものの、絶対値としてはコントロール群と比較し、大きな向上効果が期待される結果となりました。
これらを踏まえると、開発した脳トレーニングによってターゲットとなる認知能力を伸ばすことで、レースパフォーマンスの向上に因果的に寄与することが示唆される結果となりました。

<タイム短縮率 左: 実車、右: シミュレーター>
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3. 体制
社名 役割
KDDI プロジェクト全体マネージメント (全体企画設計、各パートナーアレンジ・マネージメント、ビジネスモデル設計)
アイロック レーシングシミュレーター「T3R Simulator」の提供と、シミュレーター活用のサポート、仮説の設定やリアルドライバー視点での課題提起などトータルアドバイザー
VIE STYLE 脳波分析・脳のトレーニングプログラムを開発・実行
レーシングヒーロー eスポーツ選手のマネージメント、予選レースの運営 など
SUBARU ドライバー、機材提供、共同研究
SDAのドライバー、車両を活用し、トレーニングプログラムと実際の運転操作の関連性をスバル技術研究所と共同で分析
インテル株式会社、レノボ・ジャパン株式会社 シミュレーターおよび脳波分析や選手のニューロフィードバックで使用するPCの構成検討・機材協力
株式会社トムス トムス社製ドライビングシミュレーターの活用、「フォーミュラカレッジ」を通じた実車トレーニングのサポート (予定)
日本グッドイヤー株式会社 本プロジェクトで利用する被験者のデータ取得用車両 (以下 計測用車両) のタイヤ「EAGLE RS SPORT S-SPEC」提供、ヤリスカップカーでの走行機会の提供、プロドライバーによるレクチャー (実施予定)
GOODRIDE MOTORSPORTS 各種検証へのアドバイザリーおよび被験者への体験機会提供、契約ドライバー山中真生選手の協力
スピードマスター株式会社 計測用車両の各種オイル提供。
・エンジンオイル SUPER RACING 0W-30
・ブレーキオイル BRAKE FLUID SUPER DOT4
・ミッションオイル、デフオイル PRO SUPER GEAR
株式会社Red K 計測用車両のメンテナンス
InnerEye 認知状態を測定・分析するシステム「Sense Plus (センスプラス)」の提供および脳波分析
株式会社マクニカ InnerEye社「Sense Plus (センスプラス)」によるドライバーの脳波の測定、分析サポート
サントリーホールディングス株式会社 実験参加者向け飲料「ZONe ENERGY」提供
コミュファeSports Stadium NAGOYA 脳認知スキルトレーニングの場所・施設提供

4.eスポーツレーサーからリアルレーサーになった冨林選手のコメント
「僕は恵まれたことに親が車好き、レース好きということで理解はしてもらえていましたが、資金的にはカートなどを幼少期からやり続けられるというのはなかったと思います。リアルレーサーになった際も、練習量も資金面なども難しかったです。このプロジェクトはリアルとバーチャルを結びつけるプロジェクトだと思いましたし、これを機にもっとゲーム上がりのドライバーが増えてくれて、目指しやすくなったら嬉しいなと思います。」

【冨林 勇佑選手】
2016年グランツーリスモ世界大会優勝、2018年より実車レースへ進出し世界初の「eスポーツレーサー兼リアルレーサー」として活動中。2021年度に実施したKDDIの実証実験においては、メンターとしてプロジェクト開発に協力。

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(参考)
■カーレーサーに憧れていた200名に聞いた「カーレーサーに関する調査」

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<調査概要>
【調査地域】
全国
【対象者条件】
カーレーサーに憧れていた男女・20歳〜49歳
【調査手法】
インターネット調査
【実査期間】
2022年6月9日〜2022年6月10日
【サンプル数】
200人

注1)
2022年3月24日KDDIニュースリリース
eモータースポーツ×ブレインテック実証を実施〜ドライビングテクニックが脳科学とITで向上、未来のプロレーサー育成に寄与〜

注2)
Baur, H., Müller, S., Hirschmüller, A., Huber, G., & Mayer, F. (2006). Reactivity, stability, and strength performance capacity in motor sports. British journal of sports medicine, 40(11), 906-911.

注3)
Chaarani, B., Ortigara, J., Yuan, D., Loso, H., Potter, A., & Garavan, H. P. (2022). Association of Video Gaming With Cognitive Performance Among Children. JAMA Network Open, 5(10), e2235721-e2235721.

注4)
ニューロフィードバック: 自身の脳波をリアルタイムで確認しながら、目的の脳状態になるように試行錯誤する技術。

注5)
Rozengurt, R., Barnea, A., Uchida, S., & Levy, D. A. (2016). Theta EEG neurofeedback benefits early consolidation of motor sequence learning. Psychophysiology, 53(7), 965-973.

注6)
Huang, W., Wu, W., Lucas, M. V., Huang, H., Wen, Z., & Li, Y. (2021). Neurofeedback Training with an Electroencephalogram-based Brain-Computer Interface Enhances Emotion Regulation. IEEE Transactions on Affective Computing.

ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。
商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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