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GMOアプリクラウド主催の「ブラウザゲーム勉強会 #2」レポート。HTML5に注力する4社が,開発現場の生の声を語る
今年8月に開催されたブラウザゲーム開発者向けセミナー「ブラウザゲーム勉強会」に続く第2回の今回は,HTML5に注力する4社の登壇者が,開発現場の声を来場者へ届けるものとなった。その模様をレポートする。
GMOアプリクラウド主催のセミナー「ブラウザゲーム勉強会」レポート。各プラットフォーマーが語ったブラウザゲームの展望
GMOアプリクラウドは2018年8月7日,ブラウザゲームのプラットフォーマー4社による「ブラウザゲーム勉強会」を,同社オフィス内の「シナジーカフェ GMO Yours」で開催した。ブラウザゲーム開発に携わるディレクターやプランナーらが参加したこのセミナーの模様をレポートする。
MobageのHTML5ゲームプラットフォーム「NBPF」
なお,Mobageでは「NBPF(Next Browser Platform)」というHTML5向けのプラットフォームを2014年から提供しており,数々のHTML5タイトルの展開実績がある。
このNBPFはリアルタイム性の高いHTML5ゲームに対応したプラットフォームであり,Mobageでページごとに挿入されていた共通メニューがなくなり,ログインやアイテム購入画面などのインタフェース面も含め,画面構成などをゲームの世界観に合わせてデザインすることが可能になった。
またログインを後回しにして,プレイヤーには先にゲームの感触を試してもらえるといった,ブラウザゲームとしては珍しい仕様を実現している。さらに一度の開発で,スマホのWebブラウザ,スマホのアプリ,そしてPCのWebブラウザ(これのみクローズド)の3つに展開できるといった特徴もある。
専用のプロキシサーバーを経由する必要があった従来に対し,NBPFは直接ゲームサーバーとやりとりができる |
メニューを自由な場所に配置できるようになり,画面のデザインも自在に |
NBPFが展開された2014年当時は,HTML5に対応するゲームエンジンや周辺環境が整っていなかったが,それらの環境が整ってきた現在,DeNAは改めて力を入れていくことを宣言し,タイトル拡充の本格化や,有望タイトルの開発・プロモーション支援,中国産HTML5タイトルの導入なども,今後の取り組みとすることを明らかにした。
「Next Browser Platform」紹介ページ
FlashからHTML5へ
「ドコモダケのまきば村」は,PCブラウザゲームの「楽園生活ひつじ村」をベースにして作られている。後者はFlashで作られていて,こうした過去に開発したFlashゲームの資産を再利用して,スマホのHTML5ゲームを作ることを目的としていたという。本田氏はゲームの制作にあたり必要な開発環境とライブラリについて,以下のものを挙げている。
開発環境を選ぶうえで本田氏が考えるのは,「複数人で開発する際に問題が少ないこと」「メンバーの学習コストの低さ」「トライアンドエラーの回転が早い」という点であり,その条件に当てはまるのが上記のものなのだとか。
「ドコモダケのまきば村」を開発するにあたって,大きく関わったライブラリは上記の3つだが,「CreateJS」はパフォーマンスが出せなかったため,次回作では別のものを使う予定だとのことである。
また開発中の思わぬバグやトラブルには,「『Chrome DevTools』が(プログラマーの腕次第で)助けてくれる」と回答していた。
このように現在はHTML5の開発環境は十分に整っていて,ライブラリもFlash開発者に向いたものがあり導入しやすい。サポートは厚くなっているので,別のプラットフォームで開発をしていた開発者の参入障壁は低くなってきていると語って,講演を締めくくった。
「ドコモダケのまきば村」公式サイト
スマホアプリを新規開発するときに,複数のプラットフォームへの展開予定がある場合の選択肢として,移行のしやすさやツールが充実していることから,近藤氏は「cocos2d-js」を薦めると話す。ただ3Dグラフィックスでの開発には難があるなど,デメリットもあるようだ。
一方で,3Dグラフィックスのゲームを開発するなら「Unity」や「Unreal Engine」などが選択肢として挙がるが,ブラウザ上で動かすには適さない。そのため近藤氏は,このあとの講演のテーマであるGMOの「PlayCanvas」が,新たな選択肢になるのではと期待しているという。
さらにブラウザ上で動くHTML5ゲームは環境依存の問題が多く発生しがちだが,同社ではエミュレータやクラウドなどを使って,それをコントロールする取り組みも行っているという。最後に近藤氏は,こうした同社の知見を活用してほしいと来場者に呼びかけ,発表を締めくくった。
リンクトブレイン公式サイト
GMOクラウドのHTML5開発プラットフォーム「PlayCanvas」
「PlayCanvas」はブラウザ上で動作するクラウド型のWebGLゲーム開発プラットフォームだ。インストールやプラグインのダウンロードの必要がなく,3Dグラフィックスを用いたリッチコンテンツの開発が可能で,幅広いジャンルのタイトルを制作できる。
宗形氏は,「PlayCanvas」で開発されたTwitter連動コンテンツ「あんずフォト」を紹介した。これはGMOアプリクラウドの公式キャラクター「美雲あんず」のTwitterにて公開したコンテンツで,3Dグラフィックスで描かれたキャラクターを好きな角度で撮影し,その画像をシェアできるというものだ。ダンスのアニメーションを変更したり,また衣装の色を変更したりも可能で,その後の撮影から投稿までの一式が,「PlayCanvas」で作られている。
さらにはVRにも対応可能で,ゲームに限らず幅広い表現が行えるという「PlayCanvas」だが,ほぼすべての機能を利用できる無料プランが用意されているそうで,宗形氏はまずはそこから触れてみてほしいと呼びかけ,イベントを締めくくった。
「PlayCanvas」公式サイト
GMOアプリクラウド公式サイト
ゲソてん by GMO
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