連載
10回の移動で時間が巻き戻る世界から脱出する「Chronoquartz」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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だが,記憶だけは消えない。繰り返される絶望の中で,微かな希望の糸を手繰り寄せ,閉ざされた城からの脱出を図る孤独な戦いが始まる。
本日は,Infinite Stairsが手掛ける「Chronoquartz」を紹介しよう。本作は時間のループを題材にしたパズルアドベンチャーだ。プレイヤーは時間の檻に囚われた主人公となり,狂った時空からの脱出を目指す。
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このゲームの特徴は,時間経過ではなく「エリアの移動回数」でループが発動する点だ。画面を10回切り替えると,強制的に最初の牢獄へと引き戻される。つまり,じっくりと考えている間は時間が進まない。焦る必要はないが,無駄な移動は即座に命取りとなる。
この十手という極めて短い制限の中で,城内の仕掛けを解き,鍵を手に入れなければならない。
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当然,10回動くだけでは城の出口には到底たどり着けない。そこで重要になるのが,ループを越えて残る要素だ。一度開通させたショートカットは,次のループ以降も通り抜けられる。
前回は6回の移動を要した場所へ,今回は2回の移動で行けるようになるわけだ。こうして浮いた手数を使い,さらに奥地へと探索範囲を広げていく。
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また,手に入れた道具は原則として失われるが,特殊な手段で「固定」すれば次へ持ち越せる。しかし,すべてを残せるわけではない。次のループで何が必要かを見極め,計画的に準備を整える必要がある。
知識と閃きだけを武器に,少しずつ,だが着実に,出口への道を切り拓いていくのだ。
一手の重みが問われる「距離」の制限
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多くのループものでは時間に追われるが,本作は違う。制限は「10回のエリア移動」のみ。どれだけ長考してもカウントは進まない。だからこそ,その移動が本当に正しいのか,常に自問自答することになる。
アクションの腕前ではなく,純粋な思考力が試されるのだ。この静かな緊張感が,パズル好きの心を掴んで離さない。
知識が実際の距離を縮める快感
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最初は遠すぎて絶望した場所も,近道を見つければ大幅に近くなる。一度解いた謎や開けた扉などの「知識」が,そのまま移動コストの削減という形でプレイヤーに還元される設計が見事だ。
少しずつ行動範囲が広がり,今まで行けなかった部屋に手が届くようになる達成感は,探索ゲームの楽しさそのものである。
未来のために「今」を捨てる決断
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アイテムはリセットされるが,特定の手段で次回へ持ち越せる。だが枠は限られている。「今回は先に進まず,次のために鍵だけ確保して終わる」といった,先を見越した計画が必要になるのだ。
この取捨選択が悩ましくも楽しい。目先の利益を捨てて未来への布石を打つ,パズルゲームらしい駆け引きがここにある。
本作は,派手な演出や爽快なアクションを売りにはしていない。あるのは,限られた手数の中で正解を手繰り寄せる,静かで濃密な思考の時間だ。ボリュームは価格相応だが,自らの頭脳で謎を解き明かす純粋な喜びが詰まっている。
じっくりと腰を据えて難問に挑みたい,そんな硬派なパズル好きにこそ遊んでほしい一作だ。
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