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「『ログイン』と『ファミコン通信』の時代 vol.2」レポート。堀井雄二氏による幻の作品「白夜に消えた目撃者」の制作秘話も語られた
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印刷2026/02/07 09:45

イベント

「『ログイン』と『ファミコン通信』の時代 vol.2」レポート。堀井雄二氏による幻の作品「白夜に消えた目撃者」の制作秘話も語られた

 1983年創刊のパソコン雑誌「ログイン」と,同誌のコーナーから独立した「ファミコン通信」の編集長を務めた塩崎剛三氏の書籍「199Xのウッドボール通信」が昨年12月に刊行された。

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 同書と,荒井清和氏初の画集「荒井清和 40th オールキャラクターズ」の刊行を記念して,2026年1月31日にトークショー「『ログイン』と『ファミコン通信』の時代 vol.2」が行われた。
 塩崎氏(東府屋ファミ坊),荒井氏,水野震治氏(水野店長),上野利幸氏(ゲヱセン上野)が出演し,書籍には収録されていないエピソードや,ログインから生まれたソフトについて語り合った。

(左から)荒井清和氏,上野利幸氏,水野震治氏,塩崎剛三氏
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 元「ファミコン通信」編集長である塩崎剛三氏と「ドラゴンクエスト」の堀井雄二氏が,「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」や「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」などの内幕を語るトークショーが秋葉原で開催された。堀井氏の超人ぶり,塩崎氏との名コンビぶりが語られた意義深いイベントだった。

[2025/12/26 12:00]

会場の新宿ロフトプラスワンは満員御礼
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 荒井氏は初の画集について,「いろいろなものを入れた集大成」と語る。独特のタッチや美しい女性のイラストがおなじみだが,漫画家デビューした当初は男性ばかり描いていたという。その後,女性も描くようになり,これが塩崎氏の目に留まることになる。
 画集の表紙はさまざまなバージョンが考案され,中にはゲーム機のコントローラを模したものもあったが,爽やかな雰囲気を出したいということで現在の形になった。

表紙デザイン案の変遷
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 塩崎氏が編集長を務めた「ログイン」はハイレベルなお笑い記事で知られているが,これは編集者・金井哲夫氏のセンスによるものだという。荒井氏は「天才」「ギャグセンスの塊」「ログインの笑える部分を作った」と,金井氏を激賞する。

 ログイン編集部の慰安旅行レポート「いあ〜んバカンス」,ゲーム製作ツール「アドベンチャーツクール」といったタイトルが記憶に残っている人も多いだろう。これらも金井氏が名付けたものだ。
 金井氏のネーミングはダジャレに終始するものではなく,ツクールは「ツール」と「スクール」を合わせた造語だった。ゲームを作るものであることがすぐに分かり,親しみやすい語感が耳に残る。

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 金井氏はいろいろないたずらも仕掛けていたそうで,水野氏は愛車の後部に中華料理屋のロゴを貼られ,これを知らずに走っていたこともあるという。わざわざ拡大コピーでロゴを制作しており,遊びにも本気な金井氏の人柄がうかがえる。

金井氏の担当記事で四コマ漫画を発注されたことから,荒井氏の代表作「べーしっ君」が生まれた
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 ログインにまつわるゲームといえば,「白夜に消えた目撃者」は外せない。主人公はソ連へのツアーに参加し,個性的な参加者たちと交流していくが,その1人が殺されてしまう――。
 「ドラゴンクエスト」の生みの親,堀井雄二氏が「ポートピア連続殺人事件」「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」「軽井沢誘拐案内」に続く作品としていて企画していたアドベンチャーゲームである。

ソ連ロケの様子は誌面でも詳しく報じられ,読者は期待に胸を膨らませていた
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 紆余曲折を経て,発売には至らなかった幻の作品だが,そのシステムには斬新なものがあった。当時,堀井氏が「アドベンチャーゲームは行き詰まると,やることがなくなる」ことを問題視していたのは広く知られている。
 そこで堀井氏と塩崎氏が考えた解決策は,時間経過と一種のタイムリープを組み合わせたシステムだった。主人公が調査を進めると,ゲーム内の時間が過ぎていく。限られた時間で手掛かりを手に入れないと,既存のアドベンチャーゲームであれば行き詰まる。
 しかし,「白夜に消えた目撃者」では1日分の時間を巻き戻し,やり直せるようになっていた。

堀井氏による「白夜に消えた目撃者」のシステム概念図
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 イベントでは語られていない背景も含め,「白夜に消えた目撃者」について解説をさせていただきたい。
 おそらくタイムリープを繰り返すことで,いつかは解けるようなゲームを構想していたと思われる。これは画期的な発想だ。なぜなら,当時のゲームは「難度が高い」=「長く遊べる」として喜ばれる側面があったからである。

 アドベンチャーゲームでは,手掛かりやアイテムを手に入れなくて進行不能(ハマリ)となり,最初からやり直すことも珍しくはなかった。その中で極端な高難度より,物語の面白さを追求したのが,「ポートピア連続殺人事件」から始まる堀井氏の作品である。ミームにもなっている「犯人は〇〇」といったどんでん返しは,物語性を重視する姿勢の表れだろう。

 既存のアドベンチャーゲームでも,データをロードすれば時間を巻き戻せる。しかし,前述のハマリを解消するためには,どこまで戻ればいいのかが分からない。再開したデータが,すでにハマリ後ということも起こり得る。
 堀井氏の概念図を見るに,「白夜に消えた目撃者」では1日ごとに調査の成功と失敗を判定する。失敗した場合は1日分だけ巻き戻し,やり直せばよさそうだ。

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 返す返すも惜しまれる作品だが,そうなると「どこまで開発は進んでいたのか」が気になるだろう。プログラミングを担当していた上野氏によると「マップのスクロールルーチンは書いた」とのこと。それはソ連ツアーの行程だったのだろうか? もっとミクロなツアー先のマップだったのか? 想像は膨らむ。

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 上野氏は「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」のPC-6001版でもプログラミングを担当しているが,タイトル画面は堀井氏のラフスケッチから起こしたものだという。
 PC-6001版はメディアがカセットテープであり,「(ゲームを)全部読み込ませないといけない」(塩崎氏)というスペック上の制約がある。同作はPC-8801版も発売されているが,こちらのグラフィックスはデザイン会社のシフカが担当している。PC-6001よりもスペックが高く,シーンごとにフロッピーディスクから読み込みを行えるため,同じグラフィックスを再現するのは不可能だ。

“ガスコン金矢”こと,もろが卓氏が作画を手がけた「オホーツクに消ゆ」の広告漫画。主人公の“ボス”が捜査中に飲酒したり,セクハラしたりと,昭和の時代性を感じさせる。国会図書館から発掘できたという
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 そこで,PC-6001版はLINE文(プログラミング言語BASICの命令。座標AからBまで線を引く)を使い,シーンの絵を画面に描くという実装になっている。同機のアドベンチャーゲームにLINE文が使われることは珍しくなかったが,「オホーツクに消ゆ」にはPC-8801版もあるため,上野氏のアレンジセンスが問われることになったわけだ。
 さらにタイトル画面の山は,堀井氏のラフスケッチを方眼紙にトレスして座標をデータ化,LINE文を使って描いている。言い換えれば,堀井氏の直筆イラストがゲームに収録されている。

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 その一方,PC-6001版にはBGMがあるというのが面白いところ(PC-8801版にはなかった)。スペックに大きな差がある機種で同じ作品が展開され,それぞれに特徴があったのだ。
 なお,上野氏はファミコン版「ポートピア連続殺人事件」や「いただきストリート 〜私のお店によってって〜」といった作品でも楽曲を担当している。塩崎氏曰く「(堀井氏は)上野氏を信頼していた」ことから,楽曲については特段の打ち合わせもなかったそうだ。

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 「オホーツクに消ゆ」ではキャラクターにまばたきをさせるなど,グラフィックス面の挑戦も見られた。「いただきストリート」でも新しいことをやりたいと考えた結果,女性キャラクターの早瀬まりなが足を組み替えるフィーチャーが生まれている。
 当初は腰の位置が高かったが,スタッフの提案で現在の形になったそうだ。素人目には大変な修正に思えるが,荒井氏は「完成度は上げたほうがいい」と二つ返事で了承したという。このフィーチャーでは何度もリテイクを繰り返し,当時の熱量がうかがえる。

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 「いただきストリート」には個性的な女性キャラクターが登場するが,当時のTVドラマの影響もありつつ,「完全に誰かをモデルにしたわけではない」(荒井氏)というバランスでデザインされている。
 なかでも,堀井氏から「眼鏡で可愛い秀才キャラクターが欲しい」というオファーを受けて誕生したのが,藤森さゆりだった。荒井氏のキャラクターデザイン,堀井氏のセリフ,そしてゲーム内の行動でキャラクター性を形作っているが,こうした舞台裏があったというわけだ。

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 この日は1980年代に作った楽曲「Log in ユアハート」のアレンジバージョンを披露するなど,マルチな活動を展開している荒井氏だが,「いい年をして何をやっているのかという人もいるが,人生の後半ともなると早く過ぎていく。やりたいことがある人はどんどんやったほうがいいし,自分もそうしたい」と意気込みを見せる。
 また,塩崎氏は書籍の次回作について「まだ話せることはない。夏前くらいには発表できるかもしれないので,期待して待っていてほしい」と語り,イベントを締めくくった。

「オホーツクに消ゆ」や「ファミコン通信」のCM
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アスキーは多士済々だった。ラジオパーソナリティの千倉真理氏,「風の谷のナウシカ」イメージガールの座を安田成美さんと争った“ジャニヲタ・エバンジェリスト”のみきーる氏も在籍していた
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上野氏はAIを使ってダジャレイラストを制作している。AIを使うには指示が重要になるため,作家とやりとりするような感覚があるという
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  • 関連タイトル:

    北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ 〜追憶の流氷・涙のニポポ人形〜

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