ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアは2016年6月4日,
「『グランツーリスモSPORT』日本発表会」を,東京都内で開催した。発表会では,同社が11月15日の発売を予定しているPlayStation 4用ソフト
「グランツーリスモSPORT」の概要が紹介されたほか,元F1ドライバー・
片山右京さんらゲストが同作のエキシビションマッチを行った。
「グランツーリスモ」シリーズ プロデューサー 山内一典氏
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「グランツーリスモSPORT」のプレゼンテーションを行ったのは,「グランツーリスモ」シリーズのプロデューサーを務めるポリフォニー・デジタルの
山内一典氏。山内氏によると,本作に登場する車およびコースは,シリーズ従来作のデータをすべてポリフォニー・デジタルで作り直しており,シリーズ最高のクオリティに仕上がっているという。
また本作に登場する車は,プロトタイプ中心の
「GR.1」,FIA(国際自動車連盟)のGT3規定に沿った
「GR.3」など,4つのグループに分類され,リアルなレーシングカーと本作オリジナルカーを合わせると,全140車種がゲームに登場するとのこと。
すべての車は,外装,内装とも高いクオリティで作り込まれている
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収録コースはローンチ時点で
19ロケーション,
27レイアウトが用意される。その中にはシリーズ初登場となるハーフマイルのオーバルトラックが含まれており,山内氏は「そうしたコースをGT3の車が走るのは,『グランツーリスモ』ならでは」と話す。そのほか,日本の首都高速をモチーフとした
「東京エクスプレスウェイ」も初登場する。
シリーズで久しぶりの登場となるのは
「ダートトラック」だ。山内氏は復活の理由を,「コース幅の広いダークトラックで車を運転するのは,すごく楽しい」「そうした面白さをもう一度体験してほしかった」としていた。
山内氏は本作を企画するにあたり,レースゲームの世界に初代「グランツーリスモ」以来のイノベーションを起こすことを狙っていたという。そんな「グランツーリスモSPORT」にフィーチャーされる要素は,
「アーケードモード」「キャンペーンモード」「ブランドセントラル」「スポーツモード」「ソーシャル機能」「カラーリングエディター」「スケープス」の7つだ。
アーケードモードには,従来シリーズと同じく
「シングルレース」「タイムトライアル」「ドリフトトライアル」「画面分割による対戦プレイ」がある。
キャンペーンモードは
「レースゲームを初めて遊ぶプレイヤーのために」というコンセプトを掲げている。これについて山内氏は,最近のレースゲームがどんどん先鋭化し,ハードコアなシミュレーターを謳うものが増えているとし,「『グランツーリスモ』は一貫して,初めて遊ぶプレイヤーのために作っている。今回はその思いを新たにした」と語った。
実際,キャンペーンモードの1つ,
「ビギナースクール」では,ブレーキを踏むタイミングやステアリングの切り方など,本当に基本的なところから運転を学習できるという。
また,
「サーキットエクスペリエンス」では,各サーキットをセクターに分け,それぞれをいかに走行していくかを学べ,そして
「ミッションチャレンジ」には多数のミッションが用意され,さまざまな状況下で目標を達成していく。
「レーシングエチケット」は,オンラインでチャンピオンシップを開催するにあたり,プロのレーシングドライバーと同様のスポーツマンシップやトラック上のマナーを学習できるというコンテンツだ。
以上をまとめて,本作のキャンペーンモードには,
合計117のコンテンツが用意されるという。
続いてブランドセントラルだが,これはシリーズ従来作における
「カーディーラー」に相当する。山内氏は,初代「グランツーリスモ」でカーディーラーを企画したのは,自身が幼い頃にBMWやベンツのディーラーに足を運んだときのワクワク感をゲームの中で再現したかったからと話す。
そうした
“少年がクルマと出会う場所”を作るという初心に帰るため,本作ではブランドセントラルと名称を変え,車や車のブランドに出会う場所をデザインし直したとのことだ。
「ブランドセントラル」はゲーム内でショールームとして機能するほか,自動車メーカーが制作したハイクオリティなプロモーション映像も収録されている
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車の歴史の中でエポックメイキングな出来事が起きた年,社会では何が起きていたのか教えてくれる「ミュージアム」も用意されている
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スポーツモードは,FIAとともに主催するチャンピオンシップで,
「ネイションズカップ」と
「マニュファクチャラーファンカップ」の二つを中心とした,さまざまな選手権から構成される。
ネイションズカップは国別の対抗戦で,各国代表が腕を競うワールドカップのようなもの。もう一方のマニュファクチャラーファンカップは,メーカーごとの代表が腕を競うものだ。プレイヤーはゲーム中,どのメーカーのファンなのかを選択でき,そのメーカーの代表を目指して参戦する。
山内氏はこのスポーツモードについて,「リアルのモータースポーツとは異なり,子供からお年寄りまで,どなたでも参加できる」と述べ,例えば年齢×地域でランキングを作るといった感じで,さまざまな勝利者が生まれるようにしていきたいと抱負を述べた。これはまた,山内氏が過去7年間参戦してきたニュルブルクリンク24時間レースでクラスが細かく分けられ,参加車両数と同じくらいの数のトロフィーが用意されていることにヒントを得たものでもある。
参戦者に成功体験を与え,
「また次も出てみよう」というモチベーションにつなげたいとのことだ。
もちろんその中では,年に一度,世界の頂点を決定する
「ワールドファイナル」も行われる。ワールドファイナルの勝者は,FIAが開催するセレモニーで,実際のモータースポーツチャンピオンと並んで表彰されるというから驚きだ。山内氏は「これはe-Sportsの歴史にとって,おそらく初めてのこと」と語ったが,そのとおりだろう。
さらに本作では,
「FIAグランツーリスモ デジタル ライセンス」という取り組みも行われる。これは,例えば上記のレーシングエチケットのクリアや特定ミッションの達成,オンラインモードで一定以上の成績を達成するといった条件を満たすことで,モータースポーツライセンスを取得できるというプログラムだ。
山内氏は,この取り組みによって,モータースポーツライセンス取得のハードルが下がり,世界的なモータースポーツ人口の減少を食い止めて,さらに盛り上げることに貢献したいと話した。
「FIAグランツーリスモ デジタル ライセンス」への参加を表明する国は,発表会の時点で22か国以上におよぶという。この発表ができるまでに3年以上かかっており,山内氏は,参加国は年々増えていくだろうと予想していた
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ネイションズカップとマニュファクチャラーファンカップの選抜イメージも公開された
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週末に行われる公式レースは,YouTube Gamesで配信される予定だ
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ソーシャル機能は,一人でプレイしたい人から大規模なチームに参加したい人まで,さまざまなプレイスタイルに対応する。タイムラインには,現在ゲームで起きていることや,フレンドの動向などが随時表示され,そうした情報やレースの配信は,スマートフォンのコンパニオンアプリでも確認できる。
カラーリング・エディターは,文字どおり外見を自由にカラーリングし,それをほかのプレイヤーとシェアできるようにするものだ。
そしてスケープスは,世界の名所などを写した背景に車を配置し,思いどおりのスクリーンショットを撮影するというフィーチャー。用意された背景には空間や光源の情報が記録されているため,ピントを合わせる位置や露出,あるいは撮影時間帯などを自由に変更できるという。さらに空間情報を使えば,流し撮りさえ可能だ。
こうした背景は,ローンチ時点で
1000スポット以上用意されるとのこと。山内氏は「『グランツーリスモ』シリーズでは,“旅”をテーマとして掲げています。そのテーマの新たな表現方法がスケープスです」と語る。
最後の質疑応答では,まだ未定ではあるものの,11月15日の発売日までに「グランツーリスモSPORT」を体験できる機会が設けられる可能性や,DLCの配信が予定されていることなどが明かされた。
詳細は後日改めて発表されるとのことなので,本作に注目している人は,引き続きチェックをお忘れなく。
FIAオンラインチャンピオンシップのプレシーズンテストイベントのネイションズカップで優勝した高橋拓也選手(左)と,同じくマニュファクチャラーズファンカップで優勝した冨林勇佑選手(右)が,喜びを語る一幕も
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会場では,高橋選手と冨林選手に加え,元F1ドライバーの片山右京さん(左),GTアカデミー卒業生/現役レーシングドライバーのヤン・マーデンボロー選手(中央)がエキシビションマッチを披露
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エキシビションマッチのMCを務めた俳優の俳優の中尾明慶さん(左)と,実況を担当した木幡ケンヂさん(右)
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もう1つのエキシビションマッチでは,中尾さんとジュニアカートレース優勝経験を持つ大村海太選手/航紀選手兄弟(写真左から二人め,三人め),そしてタレントのケンドーコバヤシさん(右)が対決した
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サプライズで,高橋選手と冨林選手が,ポリフォニー・デジタルのスタッフと神プレイを披露。最後には4台のクルマが横並びになる熱い勝負を繰り広げた
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