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「モンスターストライク」の過去と現在,未来が語られた「黒川塾 八十七(87)」聴講レポート
今回のテーマは,「長期運営タイトル『モンスターストライク』の過去/現在/未来」。ゲストとして招かれた,ミクシィ 執行役員 モンスト事業本部/マーケティング本部 本部長の根本悠子氏と,モンスト事業本部 ゲーム運営部 部長の三島圭介氏によって,スマートフォンゲーム「モンスターストライク」(iOS / Android。以下,モンスト)がプレイヤーから支持をうける理由や背景,そして今後の展開が語られた。
最初のテーマは,モンストについて。モンストがサービスを開始した2013年10月当時,根本氏は産休を取っていたという。同作は現在のミクシィ 代表取締役社長である木村弘毅氏の手がけたタイトルだが,根本氏は木村氏とほぼ同期で入社し机を並べて仕事していた時期もあったので,「木村さんのゲームがどんどん伸びている」といった感じで驚いていたそうだ。そして2014年4月に復職したとき,もともと所属していたSNSの部署ではなく,超多忙なモンストのチームに配属されたとのこと。
三島氏は,木村氏に頼まれて,サービス開始後1か月ほど経った頃からモンストに関わったという。当時は,盛り上がり始めの時期で,チーム内も忙しくなってはいたが,木村氏の手がけた1つ前のプロジェクトが奮わなかったこともあり,三島氏は「大丈夫か?」と半信半疑だったのだとか。しかしそれは杞憂で,すぐに三島氏も目の前のものを次々とこなしていかなければならない状況に陥り,今に至っているそうだ。
また当時のミクシィはSNSのmixiが主力だったが,モンストは敢えてそのカラーを打ち出さずに,2012年の「パズル&ドラゴンズ」(iOS / Android)以降台頭してきたスマホゲームの先行者利益を得るべく展開していたと,根本氏は説明。その一方で,世間的に「SNSのミクシィが,スマホゲームに参入して大丈夫なのか?」という雰囲気があったことも,三島氏は指摘していた。
現在のモンスト事業本部には,大きく分けると,モンストを運用する部署と,モンストブランドの新規サービスなどを手がける部署の2つがあり,根本氏は本部長として全体の戦略を練っている。すなわち根本氏の仕事とは,国内スマホゲーム市場の成長に一時期ほどの勢いがなくなり,また中国企業が参入し存在感を見せる中,どのようにモンストを展開していくのか考えることである。加えてファイナンスや,400人前後にもおよぶモンスト事業本部の組織管理なども担っているとのこと。もちろん1人ですべてを管理するわけではなく,2019年に本部長就任してすぐ,自身の直下に管理部署を設置して業務をこなしてきたそうだ。
その結果,モンストは今なおセールスランキングの上位に位置するタイトルとして君臨しているわけだが,根本氏は「愚直にやってきた」とし,また会社として“ユーザーサプライズファースト”を掲げていることを紹介。イベントにしろコラボレーションにしろ,モンストが発信するものは,いい意味で期待値を超えるものにすることを,スタッフ全員が念頭に置いているという。また木村氏がまだモンストチームを率いていた頃,毎日の朝会で拡声器を使ってユーザーサプライズファーストを唱えていたというエピソードも明かされた。
三島氏はモンスト運用の責任者として,コラボなどを手がけている。人気タイトルだからと言って,次々にコラボをオファーしているわけではないとのこと。例えば,2014年3月に行った最初のコラボはアニメ「あらいぐまラスカル」であり,このときは集客目的でコラボキャラを無料でユーザーに提供したという。また2014年夏に行った「LINE FRIENDS」とのコラボは,根本氏が担当したそうだが,LINE側がまだIP化しておらず,ライセンスアウトする座組みもなく,困難を極めたそうだ。
ちなみにコラボのオファーは,基本的にモンスト側から行っているとのこと。ただコラボの実績が積み上がってきた現在は,IPホルダーや出版社などから声がかかったり,「この時期に,このIP映画を公開する」といった情報をもらったりするケースも増えているという。
そうしたコラボを実施する効果は大きく,多くのIPファンがモンストに流入してくるそうだ。三島氏によると,「9年も経つのに,まだこれだけ新規ユーザーがいるのか」と驚くくらいの人数が流入してくることもあるのだとか。
一方,プロモーション展開では,フィーチャーフォンのソーシャルゲームからスマホゲームへの移行期だった2014年から2015年くらいは,「マルチプレイによって,皆で膝を突き合わせて遊べる」という特徴を差別化要素として打ち出していたと根本氏。逆に,「100万DL突破!」「爽快アクション!」のようなテンプレート的な謳い文句は,意識して避けていたとのこと。
盛り上がりが少し落ち着いてきた2016年は,3周年を機にユーザーとのコミュニケーションを変えようと,「モンストやるなよ」キャンペーンを展開。このキャンペーンにより,それまでリーチできなかった層へのアプローチが実現し,多くのユーザーが流入してきたそうだ。
現在は,さまざまユーザー層に向けて,そもそもモンストは何が面白いのか,プレイした先に何があるのかといったテーマで,プロモーションを展開しているという。
モンストの運用にあたって,先々の予定を組んでイベントを実施したり,キャラクターを強くしていったりしていく中で,常にユーザーの反応を予測していると三島氏。しかし,意図していた反応とは異なるケースも当然あり,そこから軌道修正するのは非常に難しいとのこと。場合によっては緊急会議を開くこともあるそうだ。
そうやって24時間ユーザーの動向を把握することは意識してやっており,スタッフには「常にアンテナを張って,ユーザーの状態を確認しろ」と伝えているという。例えばユーザーが何か期待しているとしたら,ユーザーサプライズファーストの観点からそれを上回るためには何を提供できるだろうか考えるとのこと。
一口にユーザーと言っても始めたばかりの初心者もいれば,高難度を好むベテランもいるなどその幅は広いので,どこかの層向けに偏ることなく,バランスを取ってうまく波になるようにコンテンツを提供していると,三島氏は話していた。
モンストをブランドとして維持するための施策については,三島氏によるとコミュニケーションツールになっているかという観点と,ユーザーサプライズファーストの観点の2軸で考えているという。つまり1つの施策において,ユーザー間で話題になっているか,活発に盛り上がっているかという部分と,期待に応えているか,期待を超えているかという部分がブランドになっているというわけである。そうした施策を展開するにあたっては,常に緊張感が伴うとのこと。
また根本氏は,食事や飲みの席などで皆が集まったときに,「じゃあ『モンスト』でもやろうか」と想起されることがブランドとしての成功なのではないかとする。三島氏の挙げた2つの観点からずれたことをやり始めると,ブランドへのロイヤリティも下がっていくと語った。
最後のテーマは,2023年にモンストが10周年を迎えるにあたっての方策や方針について。根本氏は,国内スマホゲームの大半が2〜3年以内にサービスを終了する中,10周年を迎えるのはあまり先例がなく,毎日が手探りのような状態だと説明。ともあれ,ユーザーはもちろん,そうでない人達も巻き込むようなお祭りにしたいとのことで,すでにプロジェクトを組んで議論を交わしているという。
また10周年までの期間には,モンストシリーズを新たに展開したり,周辺事業の拡張したりする構想もあるそうだ。
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