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とらのあながアクアプラスと資本業務提携した背景にあるものとは?――とらのあな吉田氏とアクアプラス下川氏に,昨今のオタクコンテンツの動向や同人業界について聞いてみた
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印刷2013/12/21 10:00

インタビュー

とらのあながアクアプラスと資本業務提携した背景にあるものとは?――とらのあな吉田氏とアクアプラス下川氏に,昨今のオタクコンテンツの動向や同人業界について聞いてみた

ギャルゲーがオタクコンテンツの最先端だった時代


4Gamer:
 しかし,「とらのあな」さんのビジネスモデルって,流通というか,いわゆるプラットフォームビジネスですよね。

吉田氏:
 作った作品を届けたいってクリエイター様と,作品を買いたいってお客様をつなげる場を作ったという意味ではそうですね。弊社は,約4万のクリエイター様とやりとりをさせて頂いているんですけど,ファン,アマチュア,セミプロ,プロといった方がそれぞれいるなかで,その中から有望なクリエイター様が生まれていって,ちゃんとご飯を食べていけるようになればって感じですよね。今回のアクアプラスさんとの取り組みは,その上層部分――プロの部分の展開をもっと強化していければという思いがあります。

4Gamer:
 ただ,その意味で言うと,最近のpixivだとかニコニコ動画みたいなサービスはどう見てるんですか?

吉田氏:
 クリエイター様のツール・手段が変わってきた(=表現の場が変わってきた)ってことなんだと思います。昔は,何かを表現する場ってかなり限られていたじゃないですか。何かの賞に応募するだとか,会社を立ち上げるとか。漫画にしても,雑誌に連載を持つとか,選ばれた人しか発表の場を持てなかった。それが,例えば同人誌みたいな形が成り立つことで,「もっとコンパクトにできるようになった」って話だと思うんです。そして,クリエイター様ご自身の創作できる環境と,私どものビジネスで売る場所をご提供できれば,それは続いていくんじゃないかなって。

4Gamer:
 新人のクリエイターが生まれる環境っていう話でいうと,例えばゲームで言えば,1990年代のエロゲー業界って,いろんな会社が立ち上がって,尖った作品がたくさん作られた時代がありましたよね。LeafさんやKeyさんあたりはその代表例だと思いますが。

下川氏:
 懐かしいですねぇ。

4Gamer:
 それが2000年代に入ると,通常のソフトハウスじゃなくて,同人というカテゴリから「月姫」や「Fate/stay night」,「ひぐらしのなく頃に」みたいな作品が出てくるという流れになっていって。オタクコンテンツの中心が徐々にシフトしている感はありますよね。そういう時代の移り変わりみたいなものはどう捉えているんですか?

吉田氏:
 それは漫画とかと同じで,ゲームもコンシューマ機向けの制作は大変なんだけど,PCのエロゲーだったらもっと小さくても出来るじゃないか。同人ゲームだったら,それがさらコンパクトになって,俺たちにもできるよ!ってことだったんじゃないでしょうか。

下川氏:
 いや,実際そうだと思いますよ。

4Gamer:
 ふーむ。これは下川さんにお聞きしてみたかったんですけど,Leafを立ち上げた頃の時代背景というか,そのときの意図ってどういうものだったんですか?

下川氏:
 んー,これは僕が語っていいのかどうか分からないけど,昔のエロゲーって,とにかく作りが雑で,絵にしろ音楽にしろストーリーにしろ,適当なものが多かったと思うんです。とにかくエロい絵があって,ボタンを押したらそれが見れるとか,その程度のレベルで。

吉田氏:
 そうですねぇ。

下川氏:
 だけど,「同級生」あたりからぐっと流れが変わったんですね。可愛い女の子が出てくるのは同じだけど,ちゃんとした物語の中でキャラクターに感情移入してもらって,そのうえでエッチな絵を見せるっていうのは,それまで無かった文化だったと思うんですよ。しかも,当時は今みたいに簡単にエッチな画像が見れる時代じゃないですからね。ちゃんとお金を払ってエッチなものを買うって下地があったからこそ,ああいう市場が成立しえたのかと思います。

4Gamer:
 あの時代って,あらゆるオタクコンテンツの中でも,ギャルゲー&エロゲーがもっと勢いがあった時期だったように思うんです。それこそ,ある意味でアニメ(オタクコンテンツの最先端であり続けていた)を凌駕さえしていたようにすら思える。あの時期は,ギャルゲーがオタクコンテンツの最先端だったような雰囲気もありましたよね。

下川氏:
 なんだったんですかねぇ(苦笑)。まぁただ,あの時の僕らとしては,とにかくエロゲーというマーケットでしかできない表現をやろう,自分たちの好きなものを全部ぶち込もうみたいな。そういう感じだったんですよ。

4Gamer:
 なるほど。

下川氏:
 とくにあの頃,僕らの中では「かまいたちの夜」が大ブレイクしていて。「すげー面白い!」「これをエロゲーでやったらどうなるんだ?」というところから,「雫」の企画がスタートしていたりもするんですけど。

4Gamer:
 ああ,やっぱり「かまいたちの夜」の影響は大きいんですね。実は先日,イシイジロウさんらを中心にした「アドベンチャーゲーム座談会」をやらせて頂いたんですけれど,その中でも「かまいたちの夜」の影響の凄さが語られていました。

下川氏:
 いやぁ,大きいです。物作りって,やっぱり何かにインスピレーションを受けて,そこからちょっと変えていくだとか,そういう側面は常にあるんだと思います。何かに影響を受けること自体は別に恥ずかしいことではないですからね。ゲームだったり,映画だったり,漫画だったり,いろんな作品から吸収したものを,自分たちの作品にぶち込んでいく。まぁ,なぜそれをエロゲーでやろうとするのかっていう部分は,もう「僕らの趣味」としか言いようがないですけど(笑)

4Gamer:
 Leafさんが参入された頃のエロゲー市場って,それなりに大きかったんですか?

下川氏:
 いや,大きくはなかったと思います。「同級生」だけが突き抜けていただけみたいな感じで。

4Gamer:
 「雫」や「痕」のようなゲームって,やっぱり他のエロゲーに比べると,制作コストって意味ではかなり高く付いたりしたんですか?

下川氏:
 どういう意味ですか?

4Gamer:
 いや,LeafさんやKeyさんの作品って,それこそコンシューマゲームと比較しても遜色ないクオリティだったじゃないですか。だから,メジャーなゲームと変わらないコスト感だったり,熱量だったりっていうのを,エロっていうジャンルで全力投球した背景/原動力はなんだったんだろうなって思っていて。

下川氏:
 ええと,そこは簡単に説明できます。あの頃,ゲームというものを作るにあたって,コンシューマで出すにはいろいろな条件をクリアしないと駄目だったんです。開発機材を揃えたり,任天堂さんやセガさんと契約したり……。とても弱小メーカーがいきなり入り込めるような世界ではなかったんですよ。

4Gamer:
 確かにそうでしたね。

下川氏:
 だから,僕らがゲームを作りたい!と思っても,自分たちの持ってるお金や環境と照らし合わせたとき,やれる場所がPCしかなかったというだけなんですね。余計な部分にお金を使わないで,自分たちが作りたいものに予算を使うには,エロゲーというジャンルが一番向いてたんです。それにその頃のパソコンは性能も十分だったので,これならコンシューマにも引けを取らないゲームを作れるぞ!と思って。僕らがLeafを立ち上げた時はそんな感じでしたねぇ。

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「とらのあな」が大きな成功を収めた理由


下川氏:
 すいません。なんか話が脱線しちゃいましたね。

4Gamer:
 あの,脱線ついでにこれもお聞きしてみたいんですが,数ある同人ショップの中から,「とらのあな」さんが飛び抜けて大きくなった要因って,結局なんだったんですか?

下川氏:
 あ,それは僕も聞いてみたい!(笑)

4Gamer:
 同人ショップの黎明期って,小さいショップが雑居ビルとかたくさん入ってて,各社横並びみたいな状態からのスタートでしたよね。

吉田氏:
 そうですね。虎の穴が事業を立ち上げてから3年目くらいまではそんな感じだったかも。

4Gamer:
 でも気がついたら,「とらのあな」さんが圧倒的に大きな存在になっていて。どこでそんなに差が付いたんだろう,というのがずっと不思議だったんです。

吉田氏:
 どうなんでしょうね。一つは最初から新しいことに取り組んでいたというのがある気がします。秋葉原に最初の店舗を出して,翌年には池袋にも出したりと。2年目には電話通販,3年目にはネット通販もスタートさせてますからね。新しい手法に最初から全部取り組んでいった,仕込んでいったというのが大きかったのかなとは思います。

4Gamer:
 事業の展開速度の差ということですか。

吉田氏:
 はい。あとは……実は僕らがショップを立ち上げてすぐの時期って,実はマーケット的には“隙間”があった時代だったんですよね。

4Gamer:
 隙間?

吉田氏:
 はい。いわゆる宮崎事件(東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件)が起きて,コミケだったり,同人誌っていうものが日陰の立場になっていたんです。あの頃は,もうコミケに行ったら怪しい人,みたいな扱いになっていて,漫画/アニメショップや同人ショップも厳しい状況でした。

4Gamer:
 それは秋葉原でですか? それとも全国的に?

吉田氏:
 たぶん,全国的な流れだったと思います。とくに同人誌を取り扱うお店はほとんどなくなってしまって。でも,僕らはそのときがちょうど新規参入する側でしたから,「他では取り扱わないものをやろうよ」っていって。漫画でも,かなり尖った作品を仕入れたり,同人誌でも,面白いものであれば取り扱うようにしたんです。

4Gamer:
 なるほど。

吉田氏:
 で,世の中的には同人誌の流通が淘汰されていた時代でしたから,クリエイター様側の需要ももの凄くあったんですね。「ぜひお願いします」と。買うお客様側も,同人誌はイベント以外では買えないものになっていたから,それが全部とらのあなに集中した。秋葉原ですら,一時期は“真空地帯”だったんですよ。

4Gamer:
 へえ〜!

吉田氏:
 そんな状態でしたから,秋葉原に一号店を出したときなんかは,たかだか10坪くらいの店舗だったんですけど,いきなり月商3000万円の売り上げを叩き出しましたからね。もうなんか,「オレは天才か!」と。そのときは思いましたよね。ははは。

下川氏:
 10坪のお店でいきなり月商3000万円は間違いなく天才でしょう。

吉田氏:
 いやぁ,本当にタイミングはよかったんだと思います。で,僕はすぐに,パソコン通信上で宣伝してみたり,雑誌に広告を載せたりして,さらなる顧客獲得を狙ったんですが,これも大変うまくいって。あの頃は,ゲーマーズさんとかアニメイトさんみたいなお店もあまりなかったですから,その意味でも,需要が集中したんでしょうね。

4Gamer:
 確か昔は,アニメイトって電気街のメインストリートからは離れた場所にありましたよね。

吉田氏:
 そうそう,よくご存じですね(笑)。オーディオショップの隣ぐらいにありましたよね。ちなみに2号店は池袋に出したのですが,競合のアニメイトさんが150坪くらいの店舗だったので,ウチは300坪くらいのお店を出したんです。だけど,こちらは長い間ずっと赤字続きで。お店が大きいからって稼げるわけじゃないと,そのときに学ばせてもらいました。

下川氏:
 「同人誌を扱っているお店=とらのあな」みたいなイメージがあった時代もありましたよね。名前のインパクトとかが大きかったのかな。

吉田氏:
 ありがとうございます。名前は確かに,いろいろな方に「よい名前ですね」って言って頂けることが多いですね。

4Gamer:
 お話を戻しますけど,やっぱりインフラ網的な立ち位置の確立が決め手だったんですか。

吉田氏:
 そうですねぇ。さっき“プラットフォームビジネスだ”ってお話がありましたけど,割と早期から大型の投資を行ったことで,店舗や通販という販売網を他社に先駆けて整備できていたっていうのはとても大きかったでしょうね。事業が一気に拡大したのも,そうした販売網を確立してからだったと思いますし。そうなると,仕入れとかもやりやすくなって,良い形で事業が回っていきましたから。

4Gamer:
 ネット通販も結構早かったですよね? Amazonとかが参入しない分野だから,同人誌のデータベースとしては日本一だと思いますし。

吉田氏:
 そうですね。まぁただ,ダウンロード販売とかではウチは出遅れていたりもするので,そういった部分は反省点かなぁとは思っております。

4Gamer:
 同人誌の市場も,やっぱりデジタル(ダウンロード)へのシフトってかなり進んでいるんですか?

吉田氏:
 そうですねぇ。書き手側というか,入稿自体はもうほとんどデジタルデータにはなっていますね。ただ,販売って意味ですと,なんだかんだでまだまだ紙で買うというお客様が多いかもしれません。

4Gamer:
 そうなんですか。それはちょっと意外です。

吉田氏:
 もちろん,今後はダウンロードの割合が増えていくんだろうとは思うんですけどね。ただ,同人誌ってやっぱり,画集的なものというか。純粋に読むためだけのものじゃなくて,クリエイター様に対して,「買ったよ!」みたいな感覚はあるのかなっていう感じもするんです。

4Gamer:
 ああ,コミュニケーション的な?

吉田氏:
 そうそう。同人誌って元々そういうものだったと思うし,その辺の文化はまだ引き継がれてるのかなって感じはしてますね。

4Gamer:
 「イベントに参加した証」って意味合いは未だに大きいのかもしれませんね。



今回の座組は「海外」も見据えたもの


4Gamer:
 しかし,お話を聞いていても,やっぱり両社の明確なシナジー効果と言いますか。分かりやすい業務提携の理由が今ひとつ見えてこないように思えるんですが……結局のところ,お二人は何がやりたいんですか?

吉田氏:
 そうですねぇ。分かりやすい話だと,我々としては,今回の件は海外に目を向けての取り組みだって思いが強いかもしれません。

4Gamer:
 え,海外ですか?

下川氏:
 そうですね。漫画やイラストとかにしても,台湾や中国の人達がどんどんうまくなってきていますから。今は,漫画やアニメっていうと,「日本発のコンテンツ」として世界に受け入れられていますけれど,うかうかしていると,そこも奪われちゃうなという危機意識があります。

4Gamer:
 それは,やっぱり日本の少子化問題だとか,そういう部分を見据えて,海外の市場を取りに行かなければならない――みたいな話なんですか?

下川氏:
 いや,そこの部分は別にそんなに悲観しているわけではありません。僕らからすると,まだまだアプローチできていないお客様は日本にたくさんいますし,国内だけでも十分やっていけるだけの市場規模はあると思っています。アクアプラスの作品にしたって,もっと良質なものを作って,ちゃんと宣伝していけば,まだまだポテンシャルはあると思っていますからね。

4Gamer:
 ではなぜ,海外に目を向ける必要があるんでしょう。

下川氏:
 うーん。一つには“危機感”ですかねぇ……。

4Gamer:
 危機感?

下川氏:
 いや,個人的には,アニメや漫画,ゲームなどといったコンテンツ,あるいはアキバ発の文化みたいなものは,今後さらに世界に羽ばたいていくだろうと思っているんです。日本のコンテンツって,やっぱり海外の人から見たらとてもクールで魅力的なものだし,これをもっと広める努力をしていけば,必ず結果も付いてくるんじゃないかと。ただ……。

4Gamer:
 ただ?

下川氏:
 僕,よく海外に出張に,例えば「Japan Expo」とかを視察するためにフランスとかに度々行ってるんですけれど,そのJapan Expoにしても,日本人に扮した違う国の方が結構いらっしゃるんですよ。

4Gamer:
 え,そうなんですか。

下川氏:
 はい。それだけじゃなくて,例えば,フランスでお寿司屋さんに入るじゃないですか。そこもやっぱり日本人じゃなくて,他の国の方がやってたりする。僕はこれ,結構問題だなと思っていて。このまま放っておいたら,日本の文化がどんどん「違うもの」として世界に広まってしまうんじゃないかって危惧を抱いているんです。アキバ文化にしても同じで,気がついたらアニメ&漫画=日本じゃなくて,他の国の文化にすり替わってしまうんじゃないかって危機感があって。

吉田氏:
 そうですねぇ……。

下川氏:
 だから僕は,日本のコンテンツがちゃんとした形で世界で広がっていく取り組みをやっていきたいんです。アクアプラスの今後の展開であったり,そういうことをやっていくためにも,「とらのあな」さんと一緒になってやっていった方がいいだろうと。

吉田氏:
 イラストとか漫画とかは,今どんどん台湾や中国の方がうまくなってきているじゃないですか。ゲームにしたって,オンラインゲームでは韓国の企業があっという間に力を付けていきましたから,「僕らもうかうかしてられないな」という思いは純粋にありますよね。

4Gamer:
 そういうお話でいうと,最近だと「クールジャパン」みたいな取り組みがあるじゃないですか。ただ,少なくとも現時点でははまだあまり成果が出ていないという状況があると思います。その辺って,吉田さんや下川さんはどう見ているんですか?

吉田氏:
 確かにまだビジネスって意味では小さいレベルなのかもしれませんけど,やっぱり外国の方がわざわざ秋葉原まで来て,一所懸命になって買い物をしていたりするのを見ていると,なんというか,「第一段階」はすでに越えてるのかなって思うんですよ。

4Gamer:
 第一段階,ですか。

吉田氏:
 はい。世界の各地に宣教師みたいな方々がいて,彼らが頑張ってアニメや漫画の文化を広げていってくれているわけじゃないですか。それって,もうブレイクの一歩手前というか,最初のステップは越えた状態だと思うんです。

下川氏:
 そうですよね。まぁもちろん,動画がネットで無断で配信されてしまっているだとか,問題もたくさんあるとは思うんです。でも,海外で日本のアニメをわざわざ字幕を付けて見ている人達がいるのを見ると,その熱量というか,パワーは凄いなって思いますよね。例えば,カートゥーン・ネットワークのアニメがそういう感じで見られているかというと,そうではないと思いますし。

4Gamer:
 そういえば,以前,アニメ会社・サンジゲンの松浦裕暁さんにお話をうかがったとき,海賊版のDVDが売られてるとか,ネットで無料動画が見れたりだとか,動画そのものを売るビジネスは成り立っていない状況だけど,アニメってものが見られる環境/文化自体はどんどん拡大していて,ファンも増え続けている。だから,そこにはむしろチャンス――動画以外の部分の,マーチャンダイジングビジネスなどで――があるんじゃないかって話をされていて。

下川氏:
 いや,僕もそう思います。今の海外のアニメファンって,なかば地下活動を強いられているみたいな状態だと思うんですよ。違法の動画サイトを見たりしているっていうのは,ある意味そういうことですよね。凄く好きで,面白いと思っているんだけど,公の場には出て行きづらいみたいな。

4Gamer:
 そうかもしれませんね。

下川氏:
 過去をふり返ってみると,日本でも,ギャルゲーやアキバ系みたいなものって,昔は結構アングラというか,日陰のものだったと思うんですよ。でも,それが段々と表側に,堂々と「俺たちはこういうのが好きなんだ!」って言えるようになっていって。お店の看板とかにもキャラの絵とかが載るようになっていったわけですよね。自画自賛的なことを言わせてもらうと,僕らが作った「ToHeart」って作品は,そのアキバ的なものが表側に出て行く過程の,最後のだめ押しみたいなものだったようにも思うんですね。

4Gamer:
 なるほど。

下川氏:
 きっと,これは海外でも同じような流れを作れると思うんですよ。今はまだゲリラ活動みたいな状態かもしれないけど,そこをもっと掘り起こして,日陰から引っ張り出すことができれば,海外のファンの方々ももっと活発になっていくような気がしているんですね。

4Gamer:
 海外に合わせるんじゃなくて,あくまでも“日本のコンテンツの良さ”をもっと推していこうって話ですよね。

下川氏:
 そうです。日本で一丸となって,この文化は日本のものなんだ,これが本物なんだっていうのを,もっとちゃんと広げていくべきだと。僕らは,その手助けができたらと思っているんです。

4Gamer:
 そのためにも,事業規模だったり,新しいビジネスモデルを作れる座組が必要だということですか。

下川氏:
 はい。またその意味で,僕が「いいな」と思っているのは,吉田さんを含めて,「とらのあな」さんは幹部の方々がみんな若いんですよ。吉田さんが43歳で一番年上で,他の幹部の方はみんなそれよりも若い。新しい時代を切り拓いていくにあたって,こういう方々と一緒に取り組んでいけるのは心強いですよね。俺たちの時代を作るぞ!みたいな(笑)

吉田氏:
 ははは(笑)

下川氏:
 それこそ,7年後には東京オリンピックも控えていますよね。それは,日本のコンテンツ/文化が世界にさらに羽ばたいていくチャンスでもあります。京都や富士山に並んで,コミケに観光に行く外人が増えるとか。少し話題にもなっていましたが,初音ミクが国家を歌うみたいなことだって,まったく可能性がゼロというわけじゃないですよ(笑)

4Gamer:
 現実にそれができる下地(技術的,環境的な)もありますしねぇ。

下川氏:
 だから,そういう来たるべき時代,来たるべきチャンスに向けて,僕らなりの準備や取り組みをしていきたいなと。今日のお話をまとめると,そんな感じかなぁと思うんですが,吉田さんはいかがですか?

吉田氏:
 そうですね。オタクコンテンツ的なものがより世界で花開いていくにあたって,できるだけ日本の会社,日本の業界がイニシアチブを握れるようにしていきたいですよね。

4Gamer:
 分かりました。今日はいろいろと興味深いお話をありがとうございました。今後の展開を期待しております。

吉田下川氏:
 ありがとうございました!

―――2013年10月24日収録


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