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「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
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印刷2011/03/26 00:00

インタビュー

「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー

エルシャダイのライバルは“iPhone”!?

妥協しない“パイオニア精神”に倣う


画像集#009のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
4Gamer:
 それでは次に,エルシャダイのゲーム内容について,もう少し突っ込んだお話を聞かせて頂けますか。

木村氏:
 先程コンセプトについて話した際にも少し触れましたが,内容はシンプルにまとまっています。触ってみれば意外と分かりやすいゲームなんですが,細やかな演出や挙動に強く注力しています。
 このプロジェクトが始動したときから僕が言っているのは,「ゲームのルールはすでに出尽くしている,あとはそれをどうやって組み替えるかだ」ということです。エルシャダイでは,出尽くした要素をひとつずつ洗練させていくような開発を行いました。

4Gamer:
 その中でも,とくにこだわった部分は?

竹安氏:
 まず思いつくのは“ジャンプ”の挙動ですね。エルシャダイでは,ジャンプしたあとに滑空し,落下アクションを制御できるんです。これがあるだけで,アクションゲームとしての自由度は非常に高くなるんですよ。ただし,デバッグがとんでもなく大変になりましたが。

4Gamer:
 具体的にはどういった調整を?

竹安氏:
 エルシャダイには,通常のジャンプと2段ジャンプがあり,それぞれに滑空の動作が加わります。さらに装備している武器によってジャンプのモーションも変化するので,ジャンプの種類だけでもかなり多様なんですよ。
 それ以外にも,通常のジャンプでギリギリ登れる距離や段差の調整も徹底的にやりましたし,滑空の着地動作に至っては,モーションを補完する目的で,ナチュラルモーション社のアニメーションエンジン「morpheme」(モーフィーム)を使用しています。3Dアクションゲームでの本格導入は,エルシャダイが初めてです。

4Gamer:
 そういった新しい技術の導入には,やはり苦労があったのでは?

画像集#010のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
竹安氏:
 モーションの補完はとにかく処理が重たくて,動きの激しいアクションゲームなんかだと,処理落ちでタイムラグが発生してしまうんです。その辺りを解消するために,モーフィームを開発しているナチュラルモーションさんと直に話し合いながら,お互いにバージョンアップをしつつの開発となりました。

木村氏:
 こちら側はもちろんですが,ナチュラルモーションさん側としても初体験だったわけです。結果としてはゲームのクオリティアップができたうえ,両社ともにノウハウを蓄積できたわけですから,良い経験でした。

4Gamer:
 恐ろしいまでのジャンプへのこだわりですね……。

竹安氏:
 ジャンプに限らず,妥協をしたくないんですよ。昔から僕は「ライバルはiPhone」と言っているんですが,それはアップル社の精神に倣ってのことなんです。

4Gamer:
 なんと,意外なキーワードが出てきましたね。


画像集#011のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
竹安氏:
 iPhoneってフラットパネルを使っていて,ボタン操作が一切ないじゃないですか。あれって,実はかなりすごいことなんですよ。
 開発がスタートした当初,iPhoneのタッチセンサーは3つしか搭載されていなくて,タッチペンでしか操作ができないハズだったんです。現在のようなマルチタッチを実現するためには,2年間の開発期間が必要だと判明したそうなんですが,その際のアップルの判断が「じゃあ2年間開発しよう」という,凄く潔いものだったんですよ。そういった妥協しない“パイオニア精神”の体現とも言える行動が,すごく好きなんです。

4Gamer:
 なるほど,そういった妥協しない精神が,ジャンプへのこだわりに繋がっているのですね。

竹安氏:
 ええ,ですからウチのチームは,1年近くジャンプしかやっていませんでした。

4Gamer:
 「ですから」って(笑)。

竹安氏:
 ジャンプ担当のチームはとことん研究ができますから,当然楽しかったですよ。ほかのチームからは激しいバッシングを食らいましたけどね。「いつまでジャンプやってんだ!」って(笑)。


旧約聖書からエルシャダイへ

ジーパンに込められたロマン


画像集#012のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
4Gamer:
 本作の世界観は旧約聖書を題材としているようですが,そこに至った理由があれば教えてください。

竹安氏:
 舞台設定自体は,元々イギリスの本社側から「ぜひ旧約聖書のネタで作ってくれ」と言われたのがきっかけなんです。なので,僕から出した案ではないんですよね。

4Gamer:
 なるほど,クライアント側の希望だったんですね。

竹安氏:
 僕自身これまでの経験から,自分でプロジェクトを創り上げるというよりもオーダーを受けて仕事をするスタイルが身についていたので,自然な形で題材が決定しました。「大神」のときも,神谷ディレクターの「日本神話でやりたい」という希望に沿って開発を進めていましたしね。

木村氏:
 とはいえ竹安は,イギリスから旧約聖書という“種”をもらったにすぎません。結局ストーリーを考えているのは彼なので,今回の世界観を作り出したのは彼自身です。旧約聖書は日本人にとっては目新しいですけど,海外ではおとぎ話レベルでよく知られているので,ワールドワイドで受け入れられる題材だと思っています。

4Gamer:
 すでに広く知られている題材というのは,グローバル展開において大きなポイントになりますね。

木村氏:
 ええ。でもこれまで一番印象的だったのは,今回のプロジェクトの題材が決まってから旧約聖書を読んだ竹安の感想です。第一声が「面白くないぞ!」って(笑)。

画像集#013のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー

4Gamer:
 そりゃ,エンターテイメント作品ではありませんからね(笑)。

竹安氏:
 そのほかにもダンテの「神曲」を読んだんですけど,主人公が九つの地獄を巡る際に訪れる氷結地獄でルシファー(ルシフェル)が登場するんです。有名な場面なので,どう表現されているのかな……と期待していたら,その描写はたったの1ページで終了しちゃいまして。

木村氏:
 エピソードはあんなに有名なのにね!。

竹安氏:
 地獄巡りの中で,たまたまルシフェルが氷漬けにされているのを見た,っていうだけなんです。

木村氏:
 そんな感じで,おしなべて見ると全然面白くないんですよね。でも,エピソードの冒頭や掴みだけを見れば面白そうなポイントはあるんです。ならば,その内側をまるっと変えてしまおうということになりました。

竹安氏:
 その面白くないところ,自由度のあるところが僕らにとってはすごく都合が良かったんですよ。

4Gamer:
 確かに,いっそ割り切ることができますからね。

竹安氏:
 例えば,「怪物が出てきました」という描写があったとしましょう。それはどういう形で,どういった生き物なのか,というのは一切書かれていないんですよ。日本の神話も同じくらいひどくて,有名なヤマタノオロチは八つの又があるのか,それとも首が八つなのか分からないんですよね。
 それでもなんとか文章どおりにする努力はしました。「大神」のヤマタノオロチも,変身させてしっかりと又を八つ作りましたし。

画像集#014のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー 画像集#015のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー

4Gamer:
 なるほど……。ただ,そういう意味では,旧約聖書を題材にキャラクターをデザインするのはかなり難しかったのでは?

竹安氏:
 難しかったですね。今公開されているキャラクターに“ネフィリム”というのがいるんですが,これの元ネタがまたひどいんです。
 聖書には「白くぶよぶよとした巨大な生き物」としか書いてないんです。そうなったら,もうあの形にしかできないんですよ。

4Gamer:
 ネフィリムは本作の世界観の中でも,とくに独特の雰囲気を持っていますよね。

竹安氏:
 西洋の絵本にもネフィリムが出てくることがあるようなので,何冊か読んだんですけど……どう見ても毛むくじゃらのオッサンなんですよ。

4Gamer:
 なぜに(笑)。

竹安氏:
 唯一面白いネタだなと思えたのは,「ガリバー旅行記」に登場したガリバーが実はネフィリムだったかも……というエピソードくらいですかね。どう使うかと言われたら微妙ですけど。

4Gamer:
 聖書に関係ないですもんね,ガリバー。

竹安氏:
 なので,さすがに割り切りました。だって「旧約聖書」の時代の服装を探そうにも,見当たらないんですよ。絵が付いている資料も,それを描いた時代の服装を元にしているので意味がないんです。
 そもそも,紀元前の様相になってしまうと,服どころか布を体に巻いてるだけですし。そんなわけで「もう自由でいいんじゃないかな」という結論に落ち着きまして。今ではジーパンを履かせています。

画像集#016のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー
4Gamer:
 天使がジーパンを履いているのは衝撃的でした。

木村氏:
 結局はエンターテイメントとして,お客さんが楽しんでくれるのが一番です。史実に沿った物を引っ張り出してきても,それが面白くなかったらしょうがないんですから。
 一度吹っ切れてからは,もう「エルシャダイ」という設定を作ろう,ということになりまして。色々と根本から考え直しましたね。

4Gamer:
 その考え直しとは?

竹安氏:
 神話というものは,昔のお伽話や童話をごった煮にして出来上がっているものなので,それぞれの話に辻褄なんて合うわけがないんです。それに一本の線を与えているのが,“神様”の存在なんですね。
 じゃあ新たな設定,自分を中心にした独自ルールを作ってしまえばいい……という考えから出てきたのが,「ルシフェルは時間を管理できる」という設定なんです。

4Gamer:
 そこで彼の服装や携帯電話に説明がつくわけですね。

竹安氏:
 共感って,程度がどうであれ基本的には嬉しいものじゃないですか。時間を管理できるルシフェルも,時間に干渉することは不可能なんです。でも,ルシフェルは現代の人々が好きだから,共感を得るためにああいった格好をしているのです。

4Gamer:
 確かに,本作のルシフェルの姿には親近感を覚えますね。

木村氏:
 携帯電話もジーパンも,ユーザーとの繋がりを感じさせる部分になりますよね。実際は電波も何もありませんから,携帯なんか使えないんですけど。

4Gamer:
 では,あれは実際に携帯電話を使っているわけではないんですね。

竹安氏:
 はい。携帯電話がなくても通信できます。でも,本人に聞いたら性格的に「本当に使ってる」って言うかも知れませんけどね。

木村氏:
 ルシフェルではほかにも,ライダースジャケットを着てバイクに乗っている……なんてイメージボードがあったりもします。

4Gamer:
 クールすぎる……。ルシフェルがバイクでカッ飛ばしていた可能性もあったんですね。

木村氏:
 構想としてはありましたね。

竹安氏:
 ルシフェルは本当に色々なところに行っていますよ。馬車に乗っていたこともあれば,バンドをやっていたこともあったでしょう(笑)。

木村氏:
 時間操作能力を持たせることで,彼のキャラクター性に深みと広がりが出ましたね。

画像集#017のサムネイル/「良いゲームとはなにか」と考え続けた結果,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」が生まれた――竹安佐和記氏,木村雅人氏インタビュー

4Gamer:
 ルシフェルの時間操作能力は,ゲームデザインの中にも活かされていますよね。

竹安氏:
 そうですね,ポーズボタンを押せば時間が止まりますし,それも彼の能力なんです。僕はファミコンのノリが一番好きで,いつでもポーズができて当たり前なのがいいんですよ。
 ポーズボタンを押すとルシフェルが指を鳴らしてくれて,その瞬間にゲームが一時停止します。ある意味,その瞬間だけルシフェルを操作できるということですね。ポーズボタンを連打すると,パチパチパチパチちょっとうるさいですけど(笑)。

木村氏:
 ゲームのセーブやロード,ポーズって,もの凄く“神の力”然としてるじゃないですか。だからプレイヤーが何気なくセーブして,一晩寝て次の日にロードしたとしても,その間にはきっとルシフェルの働きがあるんですよ。そこにロマンを求めたい……と竹安がアイデアを出したときには,正直感動しましたね。

4Gamer:
 確かにそう説明されるとロマンを感じる話ですねぇ。ちなみに,そういったアイディアを生み出すにあたって,参考になった作品などはありましたか?

竹安氏:
 ほかのゲームを例に挙げるなら「バイオショック」が素晴らしかったです。すべてのシステムがドラマとリンクしていて,そこに感化された面があります。ほかには「HEAVY RAIN」なんかも良かったですね。どちらも基本的な面白さを表現している作品で,悲しみも,喜びも,プレイヤーの感情が綺麗にマッチするのが凄いと思いました。

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