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サイバーコネクトツーの松山 洋氏が語った「ナルティメットストーム」における“アニメとゲームの華麗なる融合”。第13回文化庁メディア芸術祭「エンターテインメント部門受賞者シンポジウム」レポートを掲載
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印刷2010/02/15 14:19

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サイバーコネクトツーの松山 洋氏が語った「ナルティメットストーム」における“アニメとゲームの華麗なる融合”。第13回文化庁メディア芸術祭「エンターテインメント部門受賞者シンポジウム」レポートを掲載

司会を務めたエンターテインメント部門審査委員の桝山 寛氏(左)と,主査の河津秋敏氏(右)
 東京都内の国立新美術館にて,「第13回文化庁メディア芸術祭」が2月3日から2月14日まで開催された。今回,エンターテインメント部門にはゲームや映像,Webといったジャンルの作品が総計622点出展されており,ゲームではPlayStation 3用アクション「NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム」が優秀賞を受賞した。
 2月13日に開催された「エンターテインメント部門受賞者シンポジウム」には,同作のデベロッパであるサイバーコネクトツーの代表取締役社長 松山 洋氏が出演し,開発秘話などを披露した。ここでは松山氏の発言を中心に,講演の模様を紹介しよう。

受賞者として登壇したのは,左から田中秀幸氏(優秀賞「電気グルーヴ/Fake It!」),松山 洋氏(優秀賞「NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム」),中村将良氏/ナカムラ マギコ氏(大賞「日々の音色」)

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NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム
 松山氏はまず,現状のゲーム市場では,世界的には「スポーツ」「戦争」「映画」の3ジャンルが人気の大半を占めていることを説明。しかし,日本人がそのあとを追ってもうまくいかないだろうと考え,自身が幼少の頃から大好きで,日本が世界に誇る文化であるアニメや漫画のジャンルにたどり着いたと述べた。
 一方で,スタジオジブリのアニメ作品を例に挙げ,日本人が日本向けに作ったタイトルであっても,「突き抜けていれば」「本物を作れば」世界に通用するはずとも考えたそうだ。その結果,“アニメとゲームの華麗なる融合”をコンセプトに掲げて「NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム」の開発に着手したとのこと。また,その実現にあたっては,PS3という高性能ハードの存在も大きいと率直な感想を述べた。

 続けて松山氏は,同タイトル中で採用したアニメ/漫画的な誇張表現手法を披露した。それは,本来の人体骨格が持つ関節構造にとらわれない“しなり”や,カメラの近くにあるものを実際にはあり得ない比率で描いてパースを強調するといった,手描きアニメの手法を応用したものである。
 また高速動作時に輪郭線が崩れることで速さを表現する「アニメブラー」は,あらかじめ三角形のポリゴンをキャラクターの末端各部に仕込んでおき,物理計算で制御することで実現しているという。とはいえ,物理計算だけでは予想通りの効果を得られないこともあるため,再度手を加えるケースもあるとのこと。松山氏は「こんなだったらすごい」とイメージを伝え,現場のスタッフがそれを元にどうするかを考え,手直しする。その結果,画面を静止させても“絵になる”表現が実現するというわけである。

 キャラクターの顔にも本来の人体にはない骨格を採用し,アニメ/漫画特有の歪んだ表情を実現している。また目元や口元は物理計算で動かすのではなく,実際に描き込んだものを切り替えることで,アニメ的な表現にしているとのこと。こうした3DCGの中に伝統的な2Dアニメの手法を取り入れることを,松山氏は「真面目なCGの中の“不真面目な”表現」と言い表した。

 松山氏は,今回の話から,何となくアニメのテクニックを取り入れてゲームを作っているのではなく,クリエイターがどういう工夫をしているかを感じ取ってほしいと述べる。また,アニメは突き詰めると紙と鉛筆による表現に集約されており,その真骨頂は日本のリミテッドアニメ特有の“動き”と“間”にあるという。
 すなわち動かすべきところは動かし,そうでないところは力を抜くというわけだが,松山氏は「CGを使いながらどううまくサボるか」「アニメの技法を取り入れる以上,CGであっても最終的には手付けで仕上げなければいけない」と言及し,「それを考えるのが一番楽しい部分」と付け加えた。

NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム
NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム
 また松山氏は,スライド上でサイバーコネクトツーの現場環境を披露。とあるスタッフの机上には,3台のディスプレイが並べられているが,1台は実際にツールを使う作業用,もう1台はPS3実機での動作を確認するHD対応テレビだ。残る1台では,テレビアニメおよび劇場版の「NARUTO-ナルト-」,さらにはスタッフ自身が好きなアニメを延々と映し出しているとのこと。松山氏は,これは優れたアニメが持つ“間”を身体に刷り込むために,現場から生まれた工夫だと説明する。
 そのほか,松山氏はサイバーコネクトツーの社内ライブラリも紹介。同社では少年/青年漫画を毎月60冊以上,中でもNARUTOのコミックスは全巻15冊以上購入している。またアニメDVD全巻,NARUTO関連グッズをすべて揃えているのは当然として,連載時とコミックスで変更された表現をチェックするために,週刊少年ジャンプを8年分(※編注:スライドでは5年と表示)保管していると続ける。
 また同社のスタッフは,劇場版上映時に映画館に足を運んだり,ジャンプフェスタや海外イベントに積極的に参加したりしているが,これは子供達や海外ファンの反応を直に確かめるための試みだと松山氏は述べる。

 NARUTO好きが先なのか,仕事が先なのか,という質問に対して,松山氏は「NARUTOが先」と断言。NARUTOの連載開始直後,「NARUTOのゲームを作りたいから,一緒に集英社さんに話をしに行こう」とバンダイ(現バンダイナムコゲームス)の担当者を口説きに行ったエピソードを披露した。
 また松山氏は,キャラクターゲームという括りに関して,そのお手本となるようなものを作ろうと考えていたことを披露。というのも,原作付きのキャラクターゲームは,毎年かなりの数がリリースされるものの,松山氏自身は幼少の頃からその内容に満足できたことはほとんどなかったそうだ。松山氏は「キャラゲー=クソゲー」と呼ばれるような状況に対し,「関係者は版権に胡座をかいていてはいけない」と強い調子で意見を述べる。そして原作やキャラクターのファンに向けた内容でありながら,ゲームとしてのオリジナリティも作り上げるという,いわば“2倍の努力”をしていかなければならないと,自身の意気込みを語った。

 松山氏は,今後の展望は「この仕事をやり続けること」だと述べる。「自分で選んだ道で毎日好きなことをやって,それでご飯が食べられて,人から褒めてもらえるなんて,こんな素敵なことはない」「世界中の子ども達の笑顔のために,この仕事を続けていきたい」という松山氏だが,その一方では「ゲームソフトの文化的価値を上げていきたい」とも述べる。
 松山氏自身,5歳になる息子さんがいるそうだが,分別のつく年齢になるまではゲームに触れさせない方針で子育てに臨んでいると述べ,親が安易に子供にゲームを与える風潮に釘を刺した。ゲームは歴史の浅い文化ということもあり,何か事件が起きると,とかく社会の敵として槍玉に上げられがちだが,問題なのはゲーム自体ではなくそれを利用する“人”にあるのではないかというわけだ。

 なお松山氏は,CEDEC 2009で「みんなが知らない!?キャラクター版権タイトルの作り方」と題したゲーム制作会社向けの講演を行っており,4Gamerではその受講レポートを掲載している。内容が今回の講演と多少かぶる部分はあるが,版権タイトルを制作するうえでの苦労やノウハウが語られているので,興味のある人は併せて目をとおしてほしい。
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    NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム

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