連載
インディーズゲームの小部屋:Room#564(番外編)「2018年 人気タイトルベスト10」

今年最後となる「インディーズゲームの小部屋」は,年末恒例の「2018年 人気タイトルベスト10」をご紹介。一体いつからこの企画をやっているのかと思って調べてみると,最初が2011年だったので,今年で8回めになるようだ。へえー。
あらためて趣旨を説明しておくと,この記事は今年の連載で取り上げた計48タイトルの中から,読者に最も多く読まれたものをランキング形式で紹介していくという,年末にうってつけの企画である。“番外編”と言いつつ,ちゃっかり連載回数に入れているのはどうなの? と我ながら思わないでもないが,いつものことなので大目に見てほしい。
毎週欠かさずこの連載を読んでいるという人も,暇だからちょっくら付き合ってみるかという人も,一緒にこの1年を振り返ってみよう。
第10位「ValeGuard」
第10位は,傭兵団を率いて闇の軍勢と戦うという村建設&ストラテジーゲーム「ValeGuard」。ゲームは,家や柵を作り,バリスタなどを設置して村を強化していく昼間の建築パートと,村を襲撃してくる魔物と戦う夜間の戦闘パートに分かれている。一定期間,村を守り抜くと防衛成功で次の村へと進み,最終決戦の地での勝利を目指すことに。生き残ったヒーローユニットは次の戦いに引き継がれるので,死なせてしまわないように育てていこう。
「ValeGuard」公式サイト
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第9位「WILL -素晴らしき世界-」
第9位は,記憶喪失の神様・ユアンが,人々から届けられる手紙の文章を組み替えて,その運命を変えていくというアドベンチャーゲーム「WILL -素晴らしき世界-」。手紙の文章はいくつかのブロックに分割されており,前後を入れ替えるなどして因果関係を変化させられる。文章の組み替えには一定のルールがあり,誰かの運命を変えることで,ほかの誰かが不幸になることもあったりするのが,面白くも悩ましい。ユアンはすべての人を幸せにできるのか,最後まで目が離せないストーリーにも要注目だ。
「WILL -素晴らしき世界-」公式サイト
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第8位「Moonlighter」
第8位は,ダンジョンを探索してアイテムを集め,それを自分の店で販売していくという,ショップ経営&ローグライクゲーム「Moonlighter」。プレイヤーはアイテム屋を営む主人公のウィルとなって,入るたびに構造が変化するダンジョンを攻略していく。無事,持ち帰ったアイテムを店に並べて販売するのだ。資金が貯まったら,自分の店を拡張したり,村に投資して寂れた村を復興させたりもできる。可愛らしいドット絵が魅力的で,肩の力を抜いて楽しめるゲームだ。
「Moonlighter」公式サイト
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第7位「Return of the Obra Dinn」
第7位は,東インド会社の主任保険調査官となって,無人のまま港に帰還した商船オブラ・ディン号で何があったのかを探っていくというアドベンチャーゲーム「Return of the Obra Dinn」。プレイヤーは死者の残留思念を再現できる懐中時計を使って船内で何が起こったのかを調査し,それを手記に記録していく。全60名の乗員・乗客の運命を知るには,論理的な思考が求められる。古いMacintoshのゲームを思わせる白黒のグラフィックスが印象的で,要所を盛り上げる音楽も素晴らしい。
「Return of the Obra Dinn」公式サイト
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第6位「Iconoclasts」
第6位は,Joakim Sandberg(ヨアキム・サンドバーグ)氏が,7年の歳月をかけ,たった一人で開発したアクションアドベンチャー「Iconoclasts」。プレイヤーは大きなレンチを持ったメカニックの少女・ロビンとなり,滅びゆく世界の秘密を解き明かすために冒険を繰り広げる。レンチを使ったアクションが特徴的で,振り回して敵を攻撃するだけでなく,ナットを回して扉を開けたり,空中にあるナットに飛びついてぶら下がったりと,さまざまな場面でレンチが大活躍。きめ細やかなドット絵とテンポのいいアクションも見どころだ。
「Iconoclasts」公式サイト
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第5位「Lu Bu Maker」
第5位は,なぜか董卓に生まれ変わった主人公となり,なぜか美少女になった呂布を育成するという育成シミュレーション「Lu Bu Maker」。もとは現代人だった主人公は,このままでは自分が呂布に殺されることを知っており,その運命を避けるため,養子に迎えた呂布を教育することに。見た目は美少女とは言え,物騒なことが大好きで,隙あらば裏切ろうとする呂布が,将来どのような人物に成長するかはプレイヤー次第。気を抜くと最後には首をはねられてしまう,呂布ちゃんとのキャッキャウフフな生活を堪能してほしい。
「Lu Bu Maker」Steamプロダクトページ
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第4位「Graveyard Keeper」
第4位は,中世風の異世界に飛ばされてしまった主人公が墓守となって墓地を管理していくという,墓場運営シミュレーション「Graveyard Keeper」。墓守として一番の仕事は,もちろん死者を埋葬すること。しかし,ただ埋葬するだけでなく,その前に肉や皮を剥いでアイテムの材料にしたり,死体をこっそり川に捨ててしまったりもできるのが大きな特徴。これはヒドイ。ほかにも,畑を耕して野菜を育てたり,鍛冶や大工仕事もこなしたりと,やれることはたくさん。ダークな異世界生活を送りたい人にオススメだ。
「Graveyard Keeper」公式サイト
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第3位「Getting Over It with Bennett Foddy」
第3位は,ネット上で“壺男”などと呼ばれている,大きな釜にすっぽりと入った上半身裸の男が,長柄のハンマー1つで険しい山やビルをよじ登っていくというアクションゲーム「Getting Over It with Bennett Foddy」。いかにうまくハンマーを使いこなすかがこのゲームのキモだが,独特な操作性のせいで思うように動かすのは至難の業。一瞬のミスから落下し,すべてが台無しになってしまう。転落すると,偉人達の“人生の教訓”が流れてくるのも,実にイラッとさせられる。
「Getting Over It with Bennett Foddy」公式サイト
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第2位「Rusty Lake Paradise」
第2位は,呪われた離れ小島を舞台にしたオカルトチックなポイント&クリックアドベンチャー「Rusty Lake Paradise」。自分で紹介しておいてなんだが,見た目は地味なゲームなので,ちょっと意外な結果だ。主人公のジェイコブは,「エジプトの十の災い」によって呪われてしまった故郷の島に戻り,この災いを止めるため,母の隠された思い出を探すことに。どこか狂ったような登場人物と奇妙な世界観,そして先が気になる展開で,やめどきを見失ってしまうゲームだ。
「Rusty Lake Paradise」公式サイト
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第1位「The Vagrant」
栄えある2018年の第1位は,放浪の剣士・ヴィヴィアンとなって剣と魔法の大陸を冒険するアクションRPG「The Vagrant」。「オーディンスフィア」や「朧村正」といったヴァニラウェア作品に強くインスパイアされたという作品で,思わず目を奪われる美しいビジュアルが大きな魅力だ。スキルツリーを使って自分好みのキャラクターを育成し,多彩なスキルを駆使したテンポのいいアクションを満喫できる。非常に完成度の高いゲームでありながら,たったの410円というロープライスにびっくり。未プレイの人は,この機会にぜひ。
「The Vagrant」Steamプロダクトページ
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というわけで,2018年の「インディーズゲームの小部屋」もこれにて無事終了。こうして改めて振り返ってみると,さまざまなジャンルの作品が登場するランキングとなっており,筆者も頑張った甲斐があるというもの。ここでいつものように,ランキングに入らなかったゲームの中から個人的にオススメの1本を選ぶならば,つい先日紹介したばかりの「GRIS」を挙げさせていただきたい。ビジュアル,音楽,ゲームプレイが見事に融合した,芸術作品のようなゲームなので,ぜひ多くの人に遊んでほしい。
それでは,皆様よいお年を!
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