インディーズゲームの小部屋：Room＃86「Ferrari Virtual Race」

　「インディーズゲームの小部屋」の第86回は，無料で遊べるフェラーリ公認レースゲーム「Ferrari Virtual Race」を紹介しよう。“無料”で“公認”だなんてウソのような太っ腹な話だが，もちろん夢でも幻でもなく，しかもフェラーリの公式サイトで配布されているというほどの公認っぷりだ。

　だが正直なところ，本作をインディーズゲームと呼んでいいのかどうかは悩ましい。というのも，本作を開発したのはイギリスに拠点を置くSystem 3 Softwareであり，欧米でPLAYSTATION 3やWiiなどに向けてフェラーリレースゲーム「Ferrari Challange」を始めとしたさまざまなタイトルを販売している，れっきとしたゲームパブリッシャだからだ。しかし，本作も広義でのフリーウェアゲームであると考えれば，本連載で取り上げるのも相応しいだろう。


　本作のウリは何といっても，高級車の代名詞ともいえるフェラーリのレースゲームを，市販ゲーム並みのハイクオリティなグラフィックスで，しかも無料で楽しめる点にある。星のお告げに導かれた東方の三ディーラーに見守られながら，Ferrari 599 GTB Fioranoの中で生誕し，おぎゃあと産声をあげる代わりに片手でFerrari 612 Scagliettiを指し，もう片方の手でFerrari 430 Scuderiaをハッシと示して「ポルシェ！」と不穏な一言を吐いたという逸話を持つとか持たないとか伝えられる筆者にとって，フェラーリなどはすでに日用品も同然だが，そうではない多くの人にとって，フェラーリは夢のスーパーカーに違いない。

　だがそんな人も，本作では無料で思う存分フェラーリを乗り回せるのだ。そうと決まれば，今すぐクライアントをダウンロードしないわけにはいかないだろう。クライアントはフェラーリの公式サイトから無料でダウンロードできるが，その際に無料の会員登録を行う必要がある。ファイルサイズは小さいもののサーバーが少々重く，ダウンロード完了までに結構時間がかかるので，下に掲載したプレイムービーでも見ながら気長に待とう。


　フェラーリ公認レースゲームというだけあって，登場する車はフェラーリのみ。もちろん，ポルシェは登場しない。現時点で選択できるのは，上述の逸話（？）にもあったFerrari 599 GTB Fiorano，Ferrari 612 Scaglietti，Ferrari 430 Scuderiaの3車種のみだが，後日Ferrari California，Ferrari F430，Ferrari F430 Spiderが追加されるようだ。

　また，本作はフェラーリ公式サイトの「Atelier」コーナーと連動しており，そちらで車体やインテリアの色，ホイールなどをカスタマイズした車データを，ゲーム内に取り込める……と紹介されているのだが，ファイル出力は行えるものの，今のところゲーム内に取り込むことはできないようだ。


　ゲームモードは「Single Race」のみとシンプルで，サーキットもフェラーリとの縁が深い「Mugello Circuit」ただ一つ。ゲームとしてはボリューム不足であることは否めないが，タダなんだから文句を言ってはいけない。ただし，これに関しても近日中にオンラインバージョンが公開され，世界中のドライバーと腕を競えるようになる予定とのこと。リアルタイムで対戦できるのか，ポイントやタイムを登録して競うものになるのかは不明だが，楽しみにしておきたい。


　レースゲームとしては，リアル系というよりはゲーム寄りで，かなり運転しやすい部類に入る。逆に，ここであまりに難しくしてしまうと，「やっぱりオイラにフェラーリなんて100年早かったんだ……」ということになりかねないので，これは正しい判断だったといえる。

　車の操作はオートとマニュアルを切り替え可能だが，初期設定のオートの場合は方向キーの上下でアクセル/ブレーキ，左右でハンドルと，簡単操作で初心者でも安心だ。またゲームパッドにも対応しており，キーコンフィグで操作方法の変更も可能。当然のことながらグラフィックスのクオリティも申し分なく，フェラーリ好きならずとも，ぜひ一度プレイしておきたいゲームだ。

■「Ferrari Virtual Race」ダウンロードページ

http://www.ferrari.com/English/Community/Ferrari_Virtual_Race/
Pages/Game_home.aspx