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GF8800対応のZalman製GPUクーラー「VF1000+RHS88」レビュー掲載
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印刷2007/09/28 20:04

レビュー

“2ピース構成”のGeForce 8800対応GPUクーラーセット,その実力は?

VF1000 LED
ZM-RHS88

Text by Jo_Kubota

»  GeForce 8800シリーズの発熱は大きく,単体GPU側にもそれなりの対応が求められるが,GeForce 8800にフォーカスしすぎるとクーラーのサイズが大型化し,汎用性が損なわれてしまう。その問題への答えとしてZalman Techが用意してきたのが,汎用性の高い単体クーラーと,GeForce 8800専用のオプションを別売りにするという発想だった。Jo_Kubota氏が,その意義を検証する。


VF1000 LED(上)
ZM-RHS88(下)
メーカー・問い合わせ先:Zalman Tech
実勢価格
VF1000 LED:7000円前後
ZM-RHS88:4000円前後
(いずれも2007年9月28日現在)
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 消費電力が高く,いきおい発熱も大きいGeForce 8800シリーズ。「GeForce 8800 GTX」の発表から9か月が経過し,そろそろハイエンド志向のゲーマーに行き渡ったのではないかと思われるが,果たしてそのなかに,ファンの騒音が気にならないという人はどれくらいいるだろうか。

 GeForce 8800シリーズの場合,カードメーカーが違っても,GPUクーラーは同じである場合が多い。搭載する大型のGPUクーラーでは,動作音に高域成分が少ないため,聴くからに耳障りというほどではないものの,中低域の音量が大きい。電源ユニットやCPUクーラーの静音化を進めるに従って,騒音が目立つようになってくる。

 そんな状況に対し,冷却デバイスの雄であるZalman Tech(以下,Zalman)が用意してきたのが,セパレートタイプのGPUクーラー「VF1000 LED」&「ZM-RHS80」のセットだ。今回4Gamerでは,Zalman Techから両製品を借用する機会を得たので,この“2ピースGPUクーラー”が,GeForce 8800シリーズをどれだけ黙らせられるのか検証してみたいと思う。

 なお,あらかじめお断りしておくと,GPUクーラーの換装はメーカー保証外の行為となる。グラフィックスカードに取り付けられていたクーラーを取り外した段階でメーカーや販売店の保証はなくなるため,作業ミスでグラフィックスカードが損傷した場合でも自己責任となってしまう。筆者,4Gamer編集部ともいっさいの責任を負わないので,この点は十分に注意してほしい。


汎用性だけでなく取り付けやすさも高レベル

ZM-RHS88はほぼ“載せるだけ”で取り付け可能


画像集#003のサムネイル/GF8800対応のZalman製GPUクーラー「VF1000+RHS88」レビュー掲載
 先ほど「セット」と述べたが,厳密にいうと,VF1000 LEDはGPUクーラー単体製品で,ZM-RHS88は「VF1000 LED用別売りオプション」である。

 VF1000 LEDは,4本のヒートパイプと多数のフィンからなる銅製のクーラーだ。下に示すとおり汎用性の高さがウリになっていて,ここ数年に登場したGPUのうち,GeForce 8800を除くほぼすべてに対応する格好だ。NVIDIAやAMDのリファレンスデザインを採用したグラフィックスカードであれば,ほぼ問題なく取り付けられるだろう。

●VF1000 LEDの対応GPU(※Zalmanによる)
  • GeForce 8600
  • GeForce 79x0
  • GeForce 7800
  • GeForce 7600
  • GeForce 7300
  • GeForce 6800
  • GeForce 6600
  • GeForce FX/PCX
  • GeForce 4 Ti/MX
  • ATI Radeon HD 2600
  • ATI Radeon HD 2400
  • ATI Radeon X19x0
  • ATI Radeon X1800
  • ATI Radeon X300〜X1650
  • ATI Radeon 9000

青色LEDが発光する様子
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 内蔵するファンは80mm相当で,付属のファンコントローラー(で単体販売もされている)「Fan Mate 2」を利用すれば,ファン回転数は1400〜2500rpmの範囲で変更可能。気になる公称騒音レベルは18〜28dBAとなる。製品名からも想像がつくように,ファンにはLEDが埋め込まれており,動作時には青く発光する。

ヒートパイプとフィンの構造(左)と,真横から見たところ(右)
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 VF1000 LEDが「GeForce 8800を除くほぼすべてのGPUに対応する」という説明を聞いて首をかしげた人もいるだろうが,ある意味,それがVF1000 LEDのキモである。
 VF1000 LEDのサイズは実測で160(W)×80(D)×30(H)mm。重量は380gで,小型ではないものの,決して大型でもない。少なくともカードを大きくはみ出すような形状にはなっておらず,2スロット仕様のGPUクーラーとしてはごくごくありふれたサイズだ。おそらくVF1000 LEDは,単体でのGeForce 8800シリーズ対応をあえて取りやめることで,小型化し,汎用性(=互換性)を高めている。なお,念のため付記しておくと,VF1000 LED単体がGeForce 8800を冷却しきれないことは実際にテストして確認済みだ。

リファレンスデザインのGeForce 7900 GSカードに取りつけたところ。ご覧のように,カード全体を覆い尽くすわけでも,カードの外に飛び出るわけでもない。ミドルレンジやローエンドGPUだと,はみ出す可能性もあるだろうが,少なくとも「トンデモない」サイズではないのだ
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ZM-RHS88の裏面。白い部分が剥離紙で,剥がすと熱伝導シートが現れる。なお,写真左に見えるのがGeForce 8800 GTX/UltraのVRD用,左上がGeForce 8800 GTSのVRD用ユニット
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 そんなVF1000 LEDをGeForce 8800シリーズに対応させるオプションが,ZM-RHS88というわけである。
 ZM-RHS88は,GeForce 8800シリーズのGPUを搭載したグラフィックスカードにある,GPU以外のコンポーネントを冷却するアルミ製のヒートシンクで,重量は80g。グラフィックスメモリや,DVI端子付近のチップを冷却するユニットと,VRD(Voltage Regulator-Down)冷却用ユニットを組み合わせて使うようになっており,後者はGeForce 8800 GTX/Ultra用とGeForce 8800 GTS用の2種類が用意されている。
 GPU接触面の形状からして,VF1000 LED以外のGPUクーラーと組み合わせるのは難しいだろう。

 取り付け方法は非常に簡単で,マニュアルの図を参考に進めていけば,まず迷うことはない。作業は

  1. グラフィックスカードに取りつけられていたGPUクーラーを外して
  2. サーマルグリスの残りを拭き取って
  3. VF1000 LEDに付属の“支柱”を取り付けて
  4. GPUとの接触面にグリスを塗ってGPUに取り付けて
  5. カードの背面から付属のネジで締める

だけだからだ。
 GeForce 8800シリーズの場合,VF1000 LEDを取り付ける前にZM-RHS88を取り付けねばならないが,これも取り付けは簡単。背面に貼ってある熱伝導シートの剥離紙を剥がしてペタッと貼り,カードを裏返して,やはり付属のネジで締めるだけである。その後,VF1000 LEDを取り付ければいい。念のため,大まかな流れを以下に示しておこう。

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(1)グラフィックスカード標準のGPUクーラーを取り外す
GeForce 8800 GTXの場合,カード背面にある11個のネジとGPUコアのガイドを固定している8本のネジを外せばOK
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(2)ZM-RHS88を取り付ける
剥離紙を剥がした状態のZM-RHS88をカードに取りつけ,カード裏面にある5か所で手回しネジを使って固定する
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(3)VF1000 LEDを取り付ける
本文にあるとおり,支柱を取り付け,グリスを塗布したVF1000 LEDをGPUに固定して,裏返してネジ留め
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(4)最終的に固定されたところ
4か所のネジがVF1000 LED固定用,5か所の黒い手回しネジがZM-RHS88固定用だ


GeForce 8800 GTXを前に十分な冷却能力を持つが

静音を狙うなら手動管理が必要かも


 今回は,GeForce 8800シリーズ用クーラーとしての性能と,汎用性の高いGPUクーラーとしての性能を見るため,グラフィックスカードは「GeForce 8800 GTX」搭載製品と「GeForce 7900 GS」搭載製品の2枚を用意。そのほかハードウェア構成はのとおりだ。ファンによるアクティブクーリングということもあり,テスト環境はケースに組み込まず,バラック状態で検証する。テスト時の室温は27.0〜27.5℃だ。

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GeForce 7900 GSカードのテストに当たっては,付属のチップヒートシンクをメモリチップに貼り付けた
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 テストに当たっては,Windows XPが起動してから10分放置した直後を「アイドル時」,「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」をウインドウモードで起動し,タイトル画面が表示された状態で3分間放置してから,「PERFORMANCE TEST」を実行して最もGPU温度が高かった時点を「高負荷時」とする。
 温度測定に当たって,GPU温度はNVIDIA製ユーティリティ「nTune」を利用。グラフィックスメモリとVRD温度も計測することにし,カード背面に温度センサーを貼り付けた。測定方法が異なるため,テスト結果の温度はnTuneが整数,温度センサーによるものは小数点以下一桁までの表記となる。
 VF1000 LEDのファン回転数は,最高の2500rpmと最低の1400rpmを採用することにし,以後前者を「HIGH」,後者を「LOW」と呼ぶ。

GeForce 8800 GTX(左)とGeForce 7900 GS(右)のそれぞれにおいて,○で囲んだ部分に温度計を貼り付けた
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では,結果を見ていこう。

●GeForce 8800 GTX

EN8800GTX/HTDP/768M
リファレンスデザインを採用する定番の1枚
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:8万円前後(2007年9月28日現在)
画像集#021のサムネイル/GF8800対応のZalman製GPUクーラー「VF1000+RHS88」レビュー掲載
 まずはGeForce 8800 GTXからだが,リファレンスクーラーでは高負荷時にGPUコア温度が82℃を記録したのに対し,VF1000 LED+ZM-RHS88をHIGH動作させると,10℃低い72℃を記録した。これはなかなか優秀だ。ただ,ファンの回転数を最も下げたLOW動作では79℃となり,リファレンスクーラーとあまり変わらない結果になった(グラフ1)。
 また,メモリ温度やVRD温度に目を向けても,同じような傾向となっている。HIGH動作時は,とくにGPUに近く,ファンのエアフローを受けるメモリチップを中心に優位性を示しており,VRD部分でもリファレンスクーラーと互角以上に渡り合っている。

 ただ,LOWでは高負荷時にリファレンスクーラーよりも高い温度になってしまった。LOWだと根本的に風量が足りず,ZM-RHS88にまで風が届いていないことに起因しているようで,ケース内エアフローで解決できるような話ではなさそうだ。付属するファンコントローラのケーブルは幸いにして長いので,リモコンをケース外に出し,「デスクトップ操作時はLOW,ゲームプレイ時はHIGH」といった運用がベターだろう。

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●GeForce 7900 GS

Inno3D Geforce 7900 GS
リファレンスデザインを採用した7900 GS
メーカー:InnoVISION Multimedia
問い合わせ先:興隆商事(販売代理店) info@kohryu.com
実勢価格:2万円前後(2007年9月28日現在)
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 続いてGeForce 7900 GSのスコアを見てみよう。今回用いた「Inno3D Geforce 7900 GS」はNVIDIAのリファレンスクーラーを採用する製品だが,これからVF1000 LEDに換装することで,LOWでも十分な効果を得られている。高負荷時にGPUコア温度で20℃下がっているのは,なかなか衝撃的だ。メモリ温度は約7℃,VRD温度も5℃下がっており,パフォーマンスは申し分ない。HIGH動作だとさらに冷却効果が上がるが,LOWで十分冷却できているため,GeForce 7900 GS程度であればLOWで運用しても問題ないと思われる。

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価格の高さがハードルになるのはマイナスだが

機能&性能面で不満はない


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 気になる動作音だが,低〜中回転であればファンの音が気になることはないと断じたい。今回のベンチマーク結果からして,GeForce 7以前のGPUであれば,ほとんどの場合,“LOW固定”で問題ない――問題が生じたとしても,中回転まで上げれば対応できるはず――ので,GeForce 8800シリーズでの利用を想定せず,VF1000 LEDだけで運用するなら,かなり満足度は高くなると思われる。

 一方,最高回転にするとそれなりに音がする。Core 2 Duo E6700の製品ボックスに付属するCPUクーラーや,GeForce 8800 GTXのリファレンスクーラーと比べると確実に音量は小さいが,「リファレンスクーラーに迫る音量になる」のも確かなので,性能評価の段で触れたように,ある程度は手動での管理が求められるだろう。GeForce 8800 GTSクラスなら,中回転と高回転の間で,絶妙なポイントを見つけられるかもしれないが……。

製品ボックス
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 むしろ課題は販売価格だ。2007年9月下旬時点の実勢価格は,VF1000 LEDが7000円前後,ZM-RHS88は4000円前後で,両方購入すると1万円を軽く超える出費となる。GeForce 8800クラスのGPUを購入する人にとってはどうということもない金額かもしれないものの,競合には6000〜7000円程度で購入できる製品が存在する。もちろん,冷却能力や汎用性が異なるだろうから,金額だけで比較するわけにはいかないが,それでもGeForce 8800対応クーラーとしての「VF1000 LED+ZM-RHS8800」導入のハードルは高いと断じざるを得ない。

 もっとも,VF1000 LED単体に目を向けると,(若干の割高感は残るものの)現行製品どころか旧製品も含めて幅広く対応する汎用性の高さと,絶対的な冷却能力の高さは間違いなく魅力的。長く使える静音GPUクーラーを探しているなら,Zalman Tech製という安心感も含め,十分納得できる製品ではなかろうか。

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