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西川善司の3DGE:超解像&フレーム生成技術の最新版「DLSS 4.5」の仕組みと実力。2026年登場のゲームからネイティブ対応が始まる
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出るとしても,登場は早くて2027年で,遅ければ2028年にずれ込むという分析もある。では,GeForceブランドの進化が止まるのかというと,そういう話ではない。
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CES 2026でNVIDIAは,ゲーマー向けの新技術をいくつか披露した。そこで本稿では,ゲーマーの関心が高いであろう超解像&フレーム生成技術の最新版「DLSS 4.5」について説明したい。
バージョンが0.5だけ上がったでは済まされないほど,表現力が劇的に向上しているのだ。
DLSS 4.5でなにがどう変わるのか?
すでに概要は,第一報で報じているが,DLSS 4.5として提供される機能自体は,以下の3点になる。
- 超解像(Super Resolution)処理
- フレーム生成(Frame Generation)
- レイトレーシングにおけるRay Reconstruction(レイ再構成)
DLSS 4も,機能自体は同じだったので,文字どおりDLSS 4.5は,DLSS 4のバージョンアップ版という理解でOKだ。
DLSS 4.5を利用できるGPUは,GeForce RTXシリーズすべて。超解像系機能とレイ再構成機能は全シリーズで使えるが,フレーム生成機能は,GeForce RTX 40シリーズ以上だ。
そもそもDLSS 4では,AIモデルがDLSS 3世代までの「CNN」(Convolutional Neural Network,畳み込みニューラルネットワーク)モデルから,「Transformer」モデルになった。
Transformerモデルは,因果の理解や柔軟な特徴認識力,曖昧さの許容などを示すことから,まるで扱うコンテクストを深く理解しているような振る舞いをするとされる。
ただ,Transformerモデル特有の「自己注意機構」(Self-Attention Mechanism)によって,なぜこうした特徴が出てくるのかは,よく分かっていない。
DLSS 4が登場したとき,その性能,あるいは処理品質がグッと上がった印象があった。
今回発表となったDLSS 4.5では,AIモデルこそTransformerモデルのままだが,学習フェーズにかける計算量をDLSS 4比で数十〜数百倍に複雑化した第2世代Transformerモデルを採用しているという。
時間をかけて,NVIDIAが学習データをコトコト煮込んだといったところか。つまり,より深いコンテクストへの理解を示したうえで,高品位な超解像処理を行えると期待できるのだ。
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そんなに学習フェーズが複雑になったとすれば,DLSS 4.5の処理は重くなったのだろうか。ある局面では「YES」だ。順序立てて解説しよう。
DLSS 4.5で本領を発揮できるのは,FP8ネイティブ対応のRTX 40以上
DLSS 4.5は,学習フェーズをDLSS 4比で数十〜数百倍複雑化した。しかし,実際にPCでゲームにDLSS 4.5を適用するときは,学習データや推論で用いるニューラルネットワークを最適化している。
ここでいう最適化とは,分かりやすいところでいえば,推論時に用いる演算を8bit浮動小数点(FP8)で行うようにチューンすることだ。
NVIDIAは,今回のDLSS 4.5は,DLSS 4比で,推論時にかかる演算量を5倍に増したという。これは,学習フェーズの計算負荷が数十〜数百倍であることを表す断片的な証拠といえる。
そこで心配になってくるのは「DLSS 4.5はDLSS 4に対して5倍も重いのか」ということだ。
この疑問に対して「NO」といえるのは,GeForce RTX 50/40シリーズの場合となる。
GeForce RTX 50/40シリーズのAI処理ユニット「Tensor Core」は,ネイティブでのFP8演算に対応しており,16bit浮動小数点と比べて2倍の演算性能を叩き出す。疎行列のFP8演算ならば4倍だ。
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NVIDIAによれば,DLSS 4.5ではコア部分の演算で置き換えられるものは,積極的にFP8精度へ最適化を進めたという。これにより,演算量が5倍になったとしても,FP8演算が主体的であれば,5倍に増えた演算量でも余裕で受け止められることだろう。
一方で,そうもいかないのがGeForce RTX 30/20シリーズだ。FP8演算形式には対応していても,ネイティブ対応していないので,演算性能はFP16演算と変わらない。DLSS 4.5の演算量5倍がダイレクトに負荷として効いてしまう。
こうして見てくると,DLSS 4.5のメインの動作対象モデルは,GeForce RTX 50/40シリーズあたりをメインターゲットに引き上げてきたのかも…という雰囲気を感じる。
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新AIモデルの文脈理解能力の向上は恐るべし
DLSS 4.5で,どのような効果が得られるのか。
まずは定番の超解像処理だが,基本的に視力が上がったような,くっきりとした見映えになる。
輪郭を強調させる「シャープネス強調」的な超解像アプローチではなく,明らかに情報量が増える「解像度の復元」方向の超解像処理を実現しているのだ。
NVIDIAが分かりやすいサンプルとして示したのが,次の画像である。木目模様の解像度を,忠実に復元できているのが見てとれよう。
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ここまで情報量が増加するのは,第二世代Transformerモデルによって劇的に向上した,各材質固有の陰影の出方に対する文脈理解(Contextual Awareness)の恩恵と思われる。
NVIDIAの担当者によれば「とくに実レンダリングピクセル数が少ないはずのパフォーマンスやウルトラパフォーマンス設定においては,画質の向上が飛躍的で,我々も驚いている」とのことだ。
次の画像は,NVIDIAがゴースティング(Ghosting)と呼んでいる,動体にまとわり付く残像のようなノイズが,DLSS 4.5では激減することを示した画像だ。
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DLSSに限らず,多くの超解像技術では,現在フレームの解像度を復元する手がかりとして,過去フレームの情報を参照する。NVIDIA担当者によれば,「過去フレームへの参照精度が上がったことが,ゴースティングを劇的に低減させたと考えている」そうだ。
GPUを使った描画システムにおいて,ポリゴン単位の画面座標は,過去フレームと現在フレームのどちらも,ピクセル単位で完璧に追える。なので,そこから逆算して得られるモーションベクトルを使えば,画面内にある全ポリゴン上のピクセルが,過去と現在でどの位置にあるかが正確に分かるはずだ。
そこで筆者は「AIが進化した成果で,過去フレームへの参照精度が上がるという理屈が分からない」と,NVIDIAの担当者に聞いたところ「投射される光や影の追跡を行うオプティカルフロー生成については,DLSS 4でAIベースに切り換えているので,AIの進化で精度は上がることになる」とのことだった。
たとえ話だが,ベルトコンベアの上にリンゴが置いてあり,ベルトコンベアの脇に立つ人の影が投射されていた場合を考える。ベルトコンベアが動くと,上にあるリンゴは影と共に動くが,人の影は動かないはずだ。
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こうした状況を追跡するには,光と影の動きを画面座標系でデータ化した「オプティカルフロー」マップの生成が欠かせない。
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DLSS 3以前では,オプティカルフロー生成にAmpere世代以降のGPUが搭載する「Optical Flow Accelerator」を活用していた(関連記事)。
DLSS 4からは,AIベースになったので,AIベースのオプティカルフローが進化したDLSS 4.5では,過去フレームの参照精度が向上したというのも理解できる。
しかし「描画品質は,DLSS 4の時点でも十分だったはずだ」と質問したところ,NVIDIA担当者は「いやそうでもない。鏡面反射材質のてかり(ハイライト)や,鏡オブジェクトに映り込んだ情景,それと動体物の前に煙や炎のような半透明パーティクルが存在する情景では,モーションベクトルとオプティカルフローの両方を組み合わせても,正確な時間方向の追跡は難しい。高い文脈理解能力がなければ,参照してはいけない誤ったピクセルを選んでしまっていたのだ」と答えた。
こう聞くと,DLSS 4.5における超解像処理後の映像の安定性にも納得がいく。
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筆者はさらに,「髪の毛や葦の葉のような細いオブジェクトは,遠方になるとラスタライズが安定できず,ちらつくように描画されがちだ。これらの表現も,DLSS 4.5であれば安定するのか」と聞いてみたところ,「もちろん!」と即答された。
DLSS 3以前のCNNモデルによるDLSSの超解像処理は,存在するピクセルに対して陰影を補強をする処理は得意だった。
一方,Transformerモデルになると,高い文脈理解能力によって,過去と周囲の状況から「現在フレームにはなくても,ここにはピクセルが本来あるべきだ」と判断して,復元ピクセルを描画する能力が高まったというのだ。
DLSS 4.5では,この復元する能力が高まったことで,例に挙げたような遠方の細いオブジェクトでも,描画安定性が高まったというわけである。
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高まったDLSS 4.5の映像を復元する能力は,「DLSS 4.5のアンチエイリアス効果の向上にも直接貢献している」と,NVIDIA担当者は力説する。
DLSSのアンチエイリアス機能と呼ばれる「DLAA」(Deep Learning Anti Aliasing)は,実際にはDLSSと統合されており,同一AIモデルによる単一の推論処理だ。DLSSとDLAAで別々のAI処理プロセスがあるわけではない。
DLSSが性能向上すれば,DLAAも自動的に性能向上するという大前提は,覚えておこう。
次のスライドは,NVIDIAが示したDLSS 4.5のアンチエイリアス(DLAA)品質をアピールする画像だ。DLSS 4.5のアンチエイリアス効果は,DLSS 4以前のような典型的な輪郭部のジャギーをボカすアンチエイリアス効果とは,異なることが見てとれるだろう。
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DLSS 4.5のアンチエイリアス効果は,輪郭部の解像度を上げる,あるいは本来あるべき輪郭部に復元するという方向で,品質向上を実現しているのだ。第2世代Transformerモデルの文脈理解能力の高さ,恐るべしである。
フルHDで描画し,フルHD解像度のディスプレイに表示する場合でも,DLSS 4.5を用いると,輪郭部分が美しく描かれるようになるので試して見るべし。
マルチフレーム生成機能は最大6倍に
DLSS 4.5では,フレーム生成機能でフレームレートを6倍化できるようになった。補間フレーム数が,DLSS 4の3枚から2枚増えて最大で5枚となったわけだ。
最大6倍のマルチフレーム生成について,実現手法の説明はとくになかったが,超解像やアンチエイリアスのAIカーネルとは別のAIカーネルとなっている。
マルチフレーム生成機能は,今のところBlackwell世代GPU専用だ。フレーム生成用のAIカーネルは,徹底したFP8最適化を施しているだけでなく,一部にはBlackwell世代専用のFP4最適化も活用しているのかもしれない。
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DLSS 4.5のレイ再構成機能の実力は?
DLSS 4.5では,レイトレーシングにおける「Ray Reconstruction」(レイ再構成)も性能が向上したという。ただ,この機能についての説明は少ない。
レイ再構成機能とは,事実上のデノイザ,すなわちノイズ低減フィルタ機能のことだ。
現在のGPUによるレイトレーシング性能は,最上位GPUであっても決して優秀とは言い難く,ゲームの描画性能優先でレイトレーシングを行うと,砂絵のようなノイズだらけの描画結果になってしまう。このディテールをできるだけ温存しつつ,ノイズ部分を平滑化しようというのが,レイ再構成機能である。
DLSS 4.5では,レイ再構成機能も,本稿で何度も出てくる高い文脈理解能力に期待した第2世代Transformerモデルに移行したそうだ。
デノイザといっても,描画結果フレームに対して直接適用するのではない。ノイズ低減処理に当たっては,ゲームグラフィックス側(≒ゲームエンジン側)から,通常のラスタライズ描画で用いた各種バッファ情報をもらい,これらの情報も引数としてAIに渡して推論させることになる。
ちなみに,グラフィックスエンジン側からもらう各種バッファ情報は,拡散反射(アルベド)や面反射(スペキュラ),法線に粗さ(ラフネス),デプスなどの,いわゆる「Deferred Rendering」におけるG-Buffer相当のものだ。
新AIモデルに移行した結果について,NVIDIAは「大変満足している」とのことで,とくに「ゴースティング現象の抑制」と「ボイリング現象の抑制」が,ほぼ完璧な品質に到達できたと豪語している。
ゴースティングは説明済みだが,ボイリング現象とは,放ったレイの本数が足らないことに起因して発生するツブツブ状に点滅したり揺れたりするノイズのこと。デノイズしたとしても,時間方向に現れるしつこいノイズなので厄介だ。
レイ再構成に限らずDLSS 4.5では,時間方向の各種ノイズ低減が劇的に改善した理由として,NVIDIA担当者は「DLSS 4.5では,DLSS 4に残されていた学習データのバグを修正したことが大きいかもしれない」という,興味深いことを述べていた。
どんなバグ修正かというと,学習するゲームグラフィックスデータのリニア色空間(線形データ)への統一を徹底したことだ。
本来は,学習時に用いるゲームグラフィックスデータの色空間は,リニア空間に統一しなければならなかった。しかし,実際には学習データの一部に,「Opto-Electrical Transfer Function」(OETF)変換後の「PQカーブ」(SMPTE ST.2084)や,ガンマ空間などの非線形な色空間のものが,混在していることが判明したらしい。
おそらく,学習データとして使われた一部のゲームグラフィックスに,トーンマッピングとOETF変換を一括で処理していたものが混入したと考えれば,ありそうな話だ。
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NVIDIA担当者によれば,こうした一連の工夫により,DLSS 4.5のレイ再構成機能を適用することで,ゴースティングとボイリングが,ぴったりと落ち着いたという。
ちなみに,DLSS 4.5の超解像機能からレイ再構成機能まで,すべての要素にゲーム側が対応した国内作品としては,カプコンの「バイオハザード レクイエム」と「プラグマタ」が挙げられていた。
今回の取材でNVIDIAは,プラグマタのPC版をパストレーシングモードで動作させて,レイ再構成機能の品質の高さをアピールするデモを披露していた。
ヘルメットのバイザーや,施設内のガラスに映り込む鏡像がくっきりとしていたのは,当然といったところ。面が粗め(ラフネスが大きめ)な拡散反射っぽい材質に映り込む周囲情景にも,ボイリングによるノイズはないことが確認できたので,レイ再構成機能の威力を確認できた。
棚下の自己遮蔽による影や,プレイヤーキャラクターや机などの調度品が床に作る投射影が,間接光の影響で明るくなっているのもお見事だ。
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NVIDIA担当者によれば,DLSS 4.5のレイ再構成は,本来は追えていない2バウンス以降のレイの影響にも配慮したようなノイズ除去をしてくれるとのこと。その効果の確認は,バイオハザード レクイエムやプラグマタの発売後に確認したい。
DLSS 4.5の新機能は,当面はNVIDIA Appから活用する
最後に,DLSS 4.5の互換性と使い方についても,軽く触れておこう。
DLSS 4.5を使うのに一番簡単な方法は,DLSS 4.5にネイティブ対応したゲームをプレイすることだ。
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それ以外のゲームでは,開発元のDLSS 4.5対応アップデートを待つ……ほかに,DLSS 2以上にネイティブ対応しているなら,無理矢理DLSS 4.5を動作させられる。
DLSS 2以上に対応したゲームであれば,DLSSの処理系ライブラリ(DLL)の使い方は共通だ。そのため,強制的にDLSS 4.5を使うような細工をすれば,DLSS 4.5を利用できるわけだ。
なお,初代DLSSにしか対応しないゲームでは,DLSS 4.5に対応できない。DLSSでは,過去フレームの情報を役立たせる仕組みがないためだ。
DLSS 2以上に対応するゲームで,DLSS 4.5を適用するには,GeForceユーザー向けアプリ「NVIDIA App」のβ版を用いる(関連記事)。
なお,本稿執筆時点での正式版NVIDIA Appには,当該項目が存在しないので注意してほしい。
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まず,NVIDIA Appの「グラフィックス」タブで,適用したいゲームを選択。する。ここで「DLSS オーバーライド」の項目を探して,「モデルプリセット」にて学習モデルを選ぶ。
デフォルトの「奨励モデル」を選択するのが無難だが,DLSS 4.5学習モデルを強制的に使いたければ,「Preset M」「Preset L」を明示的に設定してみよう。
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ちなみに,Preset Mは,超解像の「パフォーマンス」モード向けに最適化された学習モデルで,汎用性が高い。Preset Lは,4K出力時の「ウルトラパフォーマンス」モードのように,レンダリング解像度は低めでも,高解像度ディスプレイに出力したい人向けの学習データになる。
オーバーライドしている以上,適用先ゲーム側での設定項目は,従来のままなので,ゲーム起動前にユーザーがDLSS 4.5に必要な設定をしないといけないのがちょっと面倒ではある。
GeForce Driverを最新版にするだけで,DLSS 4以前のゲームがDLSS 4.5に対応する,という簡単な話ではない点には注意したい。
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- ライター:西川善司
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