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ファンタジーアースの状況やいかに――ゲームポットとスクウェア・エニックスの両社が答える,FEZの現状と運営体制
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印刷2010/04/12 16:00

インタビュー

ファンタジーアースの状況やいかに――ゲームポットとスクウェア・エニックスの両社が答える,FEZの現状と運営体制

開発会社の移管は,いかなる状況で行われたのか


4Gamer:
 開発といえば,移管の話も書いてありますよね。これもせっかくですのでこの機会に聞かせていただけると。むろん,第三者も絡んでいる話なので,詳細な説明が難しいことは承知しています。

小山氏:
 では引き続き私から説明させていただきます。
 いまおっしゃられたように,マルチタームさんとNHN Japanさんの関係については,他社さんの話ですし,自分では分かりません。どういった話の経緯で資本提携したとかそういうことですね。ただ,経営が苦しいという話は聞いたことがあります。マルチタームはほかのタイトルも多く開発してましたし。

4Gamer:
 そうですね。当時マルチタームは数少ない国内のオンラインゲームデベロッパで,数多くの作品を手がけていました。

小山氏:
 ファンタジーアースの話で言うならば,NHN Japanさんに吸収合併されて「課金周りがキツくなるのか」という心配を,当時よくユーザーさんから聞きましたが,そんなことはありませんでした。この時点では,NHN Japanさんの傘下に入ったといえど,我々と結んだ契約はそのまま移った形になっていて,三社の関係性は基本的に変わっていませんでした。

ファンタジーアース ゼロ
 ただ,開発会社が――というか開発スタッフが――NHN Japanという組織に入ったという状況で,ファンタジーアースというタイトルを改めて見直すと,要は,自社の開発スタッフが他社運営のタイトルを開発しているという座組みに,結果的には変わってしまったんですよね。そういった部分を鑑み,将来的に長きにわたる状況を考えたときに,このままファンタジーアースに力をいれてもらえるのかどうか,ということころが問題として上がってきたのは確かです。
 三社でそれを協議したところ,ここは開発会社を変えたほうがいいんじゃないかという結論が出ました。では移管しましょうということで,現在のような状況になったわけです。

4Gamer:
 大変ダーティな話で申し訳ないんですが,タイトルにとっての安全な策を考えたときに「スタッフを引き抜く」という手段も考え得るかと思うんですが。

小山氏:
 スクウェア・エニックス自体にも開発スタッフは数百人という規模でいますので,「引き抜いて継続する」という発想は生まれないですね。

4Gamer:
 ソースなんかはキチンと追い切れて管理されてますよね? 得てしてこの手の話は,バタつくとどこかに穴が空くので。

小山氏:
 移行のことを含め,きちんとした形でフォローアップするという契約を結んで行ったことですし,大丈夫でした。

4Gamer:
 じゃあなんかすごくバタバタして,慌ただしく移管したわけではないんですね。

小山氏:
 まぁさすがに現場は何日もバタバタしてましたけど。
 当時,NHN Japanでもスクウェア・エニックスのタイトルを運営してましたし,ゲームポットさんとNHN Japanさんも,パンヤでチャネリングしてました。三社それぞれ結構関係が深いんです。仲違いしてバタついたりとか,そういう話はまったくなくて,タイトルの将来を真剣に考えたときに,どういった形が一番いいだろう,という協議の結果で移管が決定したんです。

FEZの方向性の調整の手法とは?


4Gamer:
 なるほど。しかし多くのオンラインゲームは,開発会社と運営会社の二社,もしくはその両方が同一の会社であることが多いですよね。一つの作品に,三社がキチンと絡んでるという形態は,実はそんなに多くありません。

安田氏:
 確かにそうですね。


4Gamer:
 ですので,まぁこの書き込みの内容はともかくとしても,いろいろな調整が実は大変なんじゃないかな,という気はしています。そのあたりは実際どうなんですか? 開発や運営の方向性の調整はどうやって図ってるんでしょうか。

小山氏:
 今回は三社の枠組みになってますから,弊社は,本格的に調整業務に追われることになります。今後の展開なども含め,当然各社の違いはありますので,そのあたりをキチンとお話して,調整して,作業をつないでいく感じです。
 基本的にファンタジーアースの場合は,運営サイドと開発サイドの両方からいろいろな提案や意見が出てくるので,それらをちゃんと調整するのが,大きな役目です。

4Gamer:
 なるほど。それにしても最後は「誰か」がジャッジをしますよね。Goサインと出すといいますか。それは誰の役割なんでしょうか。

小山氏:
 三社定例会議というのを定期的に行っていて,その場で決定しているんですけど,本当の最終決定権というのは,スクウェア・エニックス側のプロジェクトチームと,ゲームポットさんの運営サイドの方です。

4Gamer:
 では,例えば新しいフィーチャーであったり,新クラスであったりとか,そういうものはどういったところからどういったプロセスで上がってくるものなんですか。

小山氏:
 開発側に企画チームというものがありまして……。


4Gamer:
 フェニックスですよね?

小山氏:
 そうです。フェニックスソフトさんです。そこから,基本となる企画が出てきます。あとはゲームポットさんからも結構な数の企画が出てきますので,割合的には……そうですね,7:3くらいでしょうか。7がフェニックスで,3がゲームポットさんです。

4Gamer:
 フェンサーなどもそういうところから出てきて,それなりのプロセスを経て決まったわけですね。


小山氏:
 そうです。フェンサーについては,フェニックスソフトさんより提案をいただきました。ただ新クラスに関しましては,正直に話さねばならないことが一つあります。

4Gamer:
 ……といいますと?

小山氏:
 当時ファンタジーアースが新クラスを発表してから,相当な期間,実際に導入されないままになっていました。

4Gamer:
 はい。記事も載せましたし,確かにそれは記憶にあります。

小山氏:
 それにはむろん諸事情があったのですが,さすがにいくらなんでもそろそろ新クラスを入れなければならないだろう,という部分で三社は見解の一致を見ていました。ユーザーさんからの要望ももっとも高く、とにかくお待たせしすぎていました。


安田氏:
 そういった事もあり、「早く導入できる」というのが,新クラス決定の最優先事項としてありました。そのときにフェニックスソフトさんのほうから「フェンサーであれば,早期導入ができる」との返答をもらったんですね。

4Gamer:
 ではそれを受けて決定した,と。

小山氏:
 はい,そのとおりです。

4Gamer:
 発表から相当時間かかってましたしね,あのとき。

安田氏:
 その時点でユーザーさんの意見を吸い上げたものを企画のベースとして,弊社の運営企画チームや,フェニックスソフトさんの開発チームが出したアイデアをすり合わせつつ,決定しました。

ユーザーの意見の吸い上げは,誰がどのように


4Gamer:
 その「ユーザーさんの意見の吸い上げ」というのは,どういう場所でどのように行われて,三社間でどういう風に情報が共有されてるんですか?
 今のお話の雰囲気から判断するに,メールなのか投稿フォームなのか公式掲示板なのかそれはちょっと分かりませんが,意見を吸い上げるなんらかの場所があるとして,ゲームポットがそれを一度吸い上げて,フェニックスソフトに投げる。で,フェニックスソフトは,「これならイケます」という判断を下して仕様の形に落とし込んで,ゲームポットとスクウェア・エニックスに投げ,三社会議で決める。そんな印象を受けました。

安田氏:
 まったくそのとおりです。概ね正しいです。

小山氏:
 ユーザーさんの意見を吸い上げたあとで,ゲームポットさんで一回精査しますね。

4Gamer:
 あぁ,それはそうですよね。全部そのまま渡されても(笑)。

小山氏:
 ええ。さすがに全部は見切れないですし,どう判断すればいいのやら,ということになってしまいます。ゲームポットさんの運営チームの中で議論したうえで,三社定例会議に出されます。その説明を受けて,どれくらい希望されてるのか,どれくらい優先順位は高いのか,そもそも実現可能なのか,というそれぞれの要素について議論が行われます。

4Gamer:
 実現可能性については最初にふるいをかけるファクターですよね,きっと。

小山氏:
 そうですね。実現できるかどうかという精査をして,ではそれぞれについて効果がどの程度なのかという議論をして順番付けをして,それを総合的に判断をして……という流れになります。

4Gamer:
 ところで実装することになったものは,どうやってテストや検証がなされて,最終的なGoは誰が出すんですか?

安田氏:
 人数が必要な検証は,開発と運営から選抜チームを組んで検証し,QAの最終的なGoは,ゲームポットとフェニックスソフトが協議した上で行います。

4Gamer:
 なるほど,了解です。それで話がちょっと戻りますが,「ユーザーさんの意見の吸い上げ」はどこでやってるんでしょうか。

安田氏:
 やはりメールベースが一番大きいです。むろん公式掲示板もチェックしていて,サポート部署のほうでそれを集計して運営チームに渡すこともやっています。最近ではアンケートなども行っていますね。

小山氏:
 ファンタジーアースが立ち上がった当初は掲示板という場所が主力だったと思うのですが,運営期間も長くなり,ユーザーさんの意見も多様化して,活動範囲も広くなってきて,意見をうまく集めたり吸い上げたりできなくなってしまった気がしています。同様なことをゲームポットさんも考えていたようで「もうちょっと調査資料をいろいろと集めてみませんか」という提案をいただき,それが去年のアンケートにつながった次第です。
 しかしいかなる手法を使うにせよ,なにせ今ではユーザーさんの意見があまりに多様に分かれているのが難しいところでして,いったいどの意見を「ユーザーさんの意見」の中心として捉えていいのかが悩ましいところです。それを間違えてしまうと,プロジェクトの進路は完全に誤った方向に進んでしまうので……。

4Gamer:
 結局のところ,例えば掲示板にせよSNSにせよ,はたまた2ちゃんねるにせよ,「声の大きい人が正しく見える」という起こりがちな問題から逃れられませんよね。サイレントマジョリティの意見や感想を,どのように吸い上げてどのように解釈するかが大きな問題だと思います。
 ファンタジーアースはこれだけ長く運営していてユーザーさんの数も多いので,どういう手法で運用しているのか気にはなっていました。

安田氏:
 分かりきっていることではありますが,とても難しいことです。
 例えばユーザーさんの一番大きい要望が,Aという要素だとして,ほかにもB要素とかC要素とかの要望もたくさんあるわけです。「一番多いからAね」という単純な多数決の問題ではないでしょうし,我々としては,よりたくさんのプレイヤーさんの要望に応えたいという観点から「AとBを叶えるために,Xという要素を作ろう。そうすれば両方の要望に応えられるんじゃないだろうか」という可能性も,常に検討しています。
 ですので,結果としてXという要素を実装したときに,それがAとかBの人に対しての直接的な「回答」にはなってないわけですよね。そのあたりの我々の考え方も,今後明らかにしていく必要があるとは思っています。

4Gamer:
 では「しまったこれは明らかにミスった」という要素を導入した場合は,どのような対応に?

小山氏:
 それには「不具合」と「入れた施策で想定した効果が出ない」の2種類がありますよね。不具合に関して言えば,もうこれはお詫びして修正するよりほかはない。

4Gamer:
 そうですね。極論「直ればよい」ことです。

小山氏:
 おそらく今のお話は「想定した効果が出なかったほう」だと思います。しかもたぶん「新クラス」を念頭に置いて聞かれているのではないかと想像するんですが,それはもう「どんどんがんばってチューニングをする」よりほかはないと思います。
 オンラインゲームというものは,ひとたび運営が始まったあとは,基本的にはユーザーさんの意見をうまい形で吸い上げて,それを破綻しないように実装していけば回っていくんです。その課程で,100%の満足度とまではいかなくても,60〜70%くらいの人に「まぁこれなら!」と思っていただける,そういう方向に向けてがんばるよりほかはないと思っています。

4Gamer:
 中には撤廃するものもありますよね。

小山氏:
 ええと……国王介入とかがそうですね。これに関しては,ユーザーさんからの評判も分かれているし,当初のプランと実際に導入されたものも,若干乖離してしまっていました。ゲーム全体に与える影響も大きいですし「外しましょう」という決断になりました。むろん,モノによっては,ユーザーさんの意見を元に「外しましょう」となるものもあります。

4Gamer:
 そういうことも三社会議で決まるわけですか?

小山氏:
 そうです。タイトルに関わる決定は,すべてこの三社会議の場で決定しています。

4Gamer:
 そして,特定の会社が主導権を握っているわけでもない,と。

小山氏:
 そうです。実際に開発するのは,開発会社であるフェニックスソフトさんですし,ユーザーさんの声を聞いて集めているのは,運営会社のゲームポットさんです。それぞれの意見を調整しながら,一番合致するところを見つけて,その内容に沿って調整して実行に移すのが,弊社の役割です。そういう三社の関係です。

4Gamer:
 しかし三社ということは,多数決で決まることもありませんか。

小山氏:
 開発会社さんはまたちょっと立ち位置が違うのですが,弊社スクウェア・エニックスとゲームポットさんに関しては,ファンタジーアースプロジェクトにおいてほぼ対等な立場を持っています。なので,自分がこうだと思ったところをそれぞれが主張すると,当然意見が違うこともあります。

4Gamer:
 そのときは話し合いですか?

安田氏:
 そのとおりです。お互いの見解について説明をしたうえで,どちらかが納得するという関係になっています。というより,そういった良好な関係があるから,長く続けていられるんです。

4Gamer:
 まぁ良好じゃないビジネスの関係は,たいがいどちらかがいつかキレますよね。

小山氏:
 今,北米でファンタジーアースのオープンβがスタートしようとしてますけど,そこの組み方というのも,やはりゲームポットとスクウェア・エニックスなのです。両社ともこの関係が望ましいと思っているからこそ,北米でも同じ体制でやろうとしているわけです。

4Gamer:
 確かに,イヤな相手と,わざわざまた組むことはないですね。

課金アイテムの決定プロセス



4Gamer:
 話が広がっているついでにもう少し聞かせてください。課金アイテムについてはどんな風に決まってるんですか? ゲームのフィーチャーなどとはまたちょっと違ったプロセスで決まるような気がしているんですけど。

安田氏:
 課金アイテムについては,三社ともから提案が出ます。それぞれが出した提案について,会議で揉んで答えを出して進めていく形です。

小山氏:
 アイテムの内容やデザイン、や名称などについては弊社でも意見を出すことがありますけど,ただ一点「価格」については,ゲームポットさんに完全に任せきりで,意見もなるべく出さないようにしています。

4Gamer:
 なぜでしょう?

小山氏:
 ゲームポットさんの課金ノウハウを信じているからです。そのノウハウこそが,ゲームポットさんに運営をおまかせしている最大のポイントですので,ここに関しては極力意見を出さないようにしています。

4Gamer:
 確かに,いくらスクウェア・エニックスとはいえ,事実上月額課金モデルしかない状況でそういうことをやるのは厳しそうですね。

小山氏:
 何タイトルもあるアイテム課金ビジネスモデルの経験値は,弊社にはないものです。ここをうまく運用することが,アイテム課金ビジネスモデルで成功する要(かなめ)の部分だと思っていますので。

安田氏:
 ウチのほかのタイトルでこういった傾向があるから,こういうシステムを導入するならこういうアイテムがいいんじゃないかな,とかそういう部分ですね。価格だけでなく販売方法も含めた出し方と言った部分で様々な提案をさせていただいております。

4Gamer:
 そろそろいただけたお時間もいっぱいなようですので,このあたりで,両社から4Gamer読者のファンタジーアース ゼロプレイヤーに向けて,何か一言お願いします。

小山氏:
 まずは,ラグの問題を最優先で解決しなければならないと考えています。その後についてはゲームバランスの調整ですね。ユーザーさんからの意見集約方法と調整までのフローを見直していきたいと考えています。これだけ多くのご意見を頂けることに感謝しています。ご期待に添えるように頑張ります。

安田氏:
 同じことになってしまいますが,まずはラグの問題を最優先で解決しなければなりません。そして,お客様からの多くのご意見を真摯に受け止め,サービスに反映できるよう尽力いたします。今後ともよろしくお願いいたします。

4Gamer:
 本当はあの文書について根掘り葉掘り聞こうかと思っていたんですが,結果的にはファンタジーアースという作品の運用体制を,かなり細かく聞くことができました。これを読んだユーザーさんがどう思うかは分かりませんが,結果的には,ここ最近のネガティブな事件に関する公式見解のようなものになったので,これはこれでよかったかもしれません。
 あとは,ラグが一刻も早く修正されることを期待しつつ,終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

−−2010年4月2日収録
  • 関連タイトル:

    ファンタジーアース ゼロ

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