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印刷2008/04/01 12:00

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ゲームをリスペクトしながら高い完成度 劇場版「ヒットマン」

4月12日(土),ゲーム界最強の殺し屋が,ついに日本でも銀幕デビューを飾る。「ヒットマン コードネーム47」「ヒットマン2 サイレントアサシン」「ヒットマン:コントラクト」「ヒットマン:ブラッドマネー」と続く,人気ゲームシリーズの劇場版「ヒットマン」。4Gamer読者の多くも存在ぐらいはご存じであろう,同作の象徴的存在である主人公エージェント47の,暗黒社会での活躍を描いたアクション映画だ。

Text by Kawamura

「ヒットマン」シリーズはどんなゲームか

 そもそもゲーム版「ヒットマン」は,敵に気づかれることなく移動して任務を達成する,“潜入”や“隠密行動”をテーマにした「スニークアクション」の代表的な作品。大物政治家,ギャングのボス,軍の将校など,さまざまなターゲットの暗殺を請け負い,報酬をもらうプロの殺し屋「47」が一貫して主人公だ。

 「ヒットマン」シリーズの面白さは,「暗殺」という任務をどのような手段で達成してもいいという,行動選択の自由にある。

 例えば,人々に気づかれることなく潜入してターゲットに接近し,殺害し,痕跡も残さずに立ち去るという完璧な暗殺「サイレントアサシン」を目指してもいい。あるいは片っ端からバリバリ撃ちまくり,ターゲットからボディガードから,はたまた無関係な人々まで無闇に殺してしまうことも可能である。

 舞台となるのは商社ビル,マフィアの屋敷,軍施設など,それこそターゲットの居場所によって千差万別。裏口からこっそり忍び込むにしろ,変装して潜り込むにしろ,はたまた正面から銃を撃って突入するにしろ,任務によってその内容はガラリと変わる。

 暗殺の仕方も,いい狙撃ポイントを探してスナイプしてもよし,爆弾を仕掛けてターゲットが通過するタイミングを待ってもよし,食事に毒を盛ってもよし,もちろん正面から乗り込んでいって銃で蜂の巣にしてもよしだ。

 ただしゲームのスタイルとしては,やはり音もなく忍び寄り,誰にも気づかれずに暗殺する「サイレントアサシン」がカッコよく,47にも似合っているといえる。映画においても,基本的に47は人々に暗殺者とは悟られない立ち振る舞いで,人目につかぬようスマートにターゲットを始末していく。

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劇場版「ヒットマン」の見どころ

 世間から隔絶された環境に孤児達を集め,機械のように正確で恐れを知らぬ暗殺者として育成する“機関”が,修道院を追放された僧侶達によって密かに運営されていた。子供達は頭髪を剃られ,幼いうちからありとあらゆる殺人技術を叩き込まれる。脱走を試みた子供は容赦なく殺害され,その存在は完全に隠匿される。こうして,暗殺者として“完成”した者は,後頭部にバーコードを彫られた名もなき暗殺者として世に送り出されるのであった。

 そんな主人公47の生い立ちが,劇場版ヒットマンのオープニングでアヴェマリアの歌声に乗って明かされる。ゲームでは第3作「ヒットマン:コントラクト」で,謎多き47の生い立ちを垣間見るシーンが冒頭にあったが,あちらはクローン人間という設定であり,劇場版はあくまで独自設定に基づいたオリジナルストーリーになる。

 そうした,細かい違いはあるものの,肝心な部分ではゲームの設定がかなり忠実に守られている。ダークスーツに身を包んだ表情のないスキンヘッド。罪なき人々とは寸刻たりとも無駄な交流を持たない寡黙な性格。計算され尽くした,鮮やかで非情な暗殺プラン。ゲームシリーズが描き続けてきた理想的な“47”の姿が,この映画では再現されているのだ。

 その47が,己のスタイルは崩さないままに,あるターゲットの女性を感情的な理由から殺しきれなかったところに,今回映画で描くほどのドラマが生まれたといえる。

 そのターゲットの女性「ニカ」の存在こそ,劇場版で一番の特徴といえるかもしれない。なんせ特定の女性には本来,深入りしないのが47である。それが劇中の47は,多くのシーンでニカと行動を共にする。暗殺者が生きる恐ろしい裏社会を目の当たりにしながらも,ふくれっつらで,セクシーなドレスで,あるいは裸で,彼女は健気に47の関心を惹こうとする。

 ゲームの「ヒットマン」ファンは,ターゲットを殺しているときの47の非情さや力強さを素敵に感じていたかもしれないが,ニカの「人を殺していないときは素敵」というセリフには,47本人のみならずゲームファンもドキッとさせられるのではなかろうか。

 劇中では随所に“ゲームへのオマージュ”が散りばめられている。47の得意技である“変装”は映画でも何度か重要な役割を果たすし(本人は真顔だがちょっと滑稽なところも再現),見覚えのある武器が登場するし,ノートPCを通じて“機関”の任務に関する連絡を取る相手は“ダイアナ”である。オレンジ色のネオンの看板を背に,ビルの屋上で足を組みながら座位で狙撃銃を構える「ヒットマン ブラッド・マネー」の有名なイメージイラストを,そっくり真似たシーンもある(ここでの会話は重要だ)。

 それを探すのも楽しいが,むしろ逆に「バーで女性客にからまれる47」「ランニングシャツ姿で一息つく47」「車内で仮眠を取る47」など,ゲームではあまり見られない光景を楽しんでほしい。

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ストーリー

 インターポールの捜査官ホイッティア(ダグレイ・スコット)は,世界のあらゆる場所に現れる謎の殺人犯を追っていたが,手がかりすらつかめずにいた。

 その謎の殺人犯……“47”は,新たな任務を受けてロシアへ飛ぶ。共産主義再構築を図る政治家,ミハイル・ベリコフ(ウルリク・トムセン)を,公共の場で殺害するというのが任務であった。公衆の面前での暗殺は47が嫌う仕事だったが,遠距離からの狙撃によって困難な任務を完了させる。

 しかしその後“機関”からの連絡で,ベリコフは生きており,さらに現場に目撃者を残したこと,すなわち任務の失敗を告げられる。標的を確実に仕留めた47は疑問を抱くが“機関”は取り合わず,目撃者の殺害を命じた。

 その頃,47が潜伏するホテルはロシア特務機関FSBの指揮のもと,機動隊に包囲されていた。47を追ってロシアまで来たホイッティア捜査官は突入を阻止しようとするが,制止も聞かず機動隊が突入。47の部屋を急襲するが,あらかじめ襲撃に備えていた47は死闘の末,かろうじてホテルを脱出する。

 難を逃れた47はただちに体勢を立て直し,目撃者であるニカ(オルガ・キュリレンコ)という女性の身柄を拘束。彼女から事情を聞き出したうえで始末しようとするが,彼女は暗殺現場の目撃などしておらず,しかもベリコフに奴隷同然の扱いを受ける娼婦だということを知る。彼らしくもなく,感情的な理由からニカの殺害を躊躇してしまった47は,彼女を連れて独自にベリコフへの接近を図る。

 47の逃走ルートを推測し,駅で待ち構えるホイッティア捜査官と部下のジェンキンズ(マイケル・オフェイ)だったが,47は得意の変装で駅構内へ入り込む。しかしそこには,ニカの殺害任務を遂行しなかった47を処分するため,“機関”から送り込まれたスキンヘッドの暗殺者達の姿があった……。

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主演男優/女優/監督

ティモシー・オリファント(エージェント47)
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 1968年,ハワイのホノルル生まれ。1996年,映画俳優としてデビューを飾った。過去の代表的な役どころは,「ダイ・ハード 4.0」でジョン・マクレーン刑事と渡り合ったテロリストのボス,ガブリエルだろう。あの映画を観て,フィルムメーカー達は「47が見つかった!」と感じたそうだが,うーむ本当だろうか。しかし劇場版ヒットマンを観れば,ティモシー・オリファントという人には(むしろガブリエルよりも)47が実に適役だったと誰もが感じるはずだ。劇場版「ヒットマン2」がもし作られるなら,また彼に演じてほしいと思わない?

オルガ・キュリレンコ(ニカ)
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 1979年,ウクライナ生まれ。モデル業を経て2005年映画デビュー。彼女は過去よりも未来に代表作が控えており,2008年公開予定の「007 / Quantum of Solace」でボンドガールに抜擢されている(若い人はボンドガールという言葉にどれくらいピンと来るのだろう)。「ヒットマン」ではヌードをはじめセクシーなシーンが多いが,ニカは基本的に薄幸そうなせいか,47と行動を共にするのにさほど不自然な感じがしない。

ザヴィエ・ジャン(監督)

 1975年,フランス生まれ。なんと若干32歳の若い監督である。「ダブル・チーム」「RONIN」など,フランスでロケが行われたハリウッド映画にスタッフとして参加し,ハリウッドの技術を学ぶ。ミュージック・ビデオやテレビCMなどの監督を経て,フランスのTV番組「Sable Noir」の監督へ。これがヨーロッパ・コープのプロデューサーの目に留まり,「Frontiere(s)」で長編映画デビューを飾った。「ヒットマン」は彼の2本目の長編監督作にあたる。実は大のゲームファンらしく,本作を“ゲームを知らない人”でも楽しめる一本の映画として完成させつつ,巧みにゲームへのオマージュを盛り込むという,見事なバランス感覚を発揮してくれた。

試写会に招待された4Gamer読者のお声

ゲームだと描かれない,47の内面が描かれていて興味深かったです。なかなか繊細なんですね,彼は。DATAさん

ゲームとは結構設定が違いました。アナザーストーリー? って感じでしょうか。でも,細かいところにオマージュがあって,それを探すのも結構楽しかったです。ゲームやっている人のほうがやっていない人より絶対楽しめますね。サトシさん

なんか終わり方が……もしかして続編あり? 実はあんまりゲームやったことないんですが,それでも結構楽しめました。ガンアクションも派手で面白かったです。Fateさん

作品の中に,Hitmanのゲームがチラッと出てきたよ! 見つけられるかな?スミスさん

いろいろな映画と似てるけど……w これはこれでアリでしょ。普通に楽しめるアクション映画。47もなかなか格好良かった! ゲームやってる人なら倍楽しめる。FSBさん

ヒロインが超セクシーだった。結構きわどいシーンもあったね(笑)アキラさん

ゲームファンも映画ファンもまずは劇場へ

 頭に思い描く「凄腕の殺し屋」というものを,実際に思ったとおり映像化してくれた作品はなかなかない。強いて言うなら,今まで大勢の人にとって最も理想に近い「凄腕の殺し屋」像を描いてくれたのは,ゲームの「ヒットマン」シリーズぐらいであった。今回それが映画化されたわけだが,“ハリウッド的な能天気アクション”を押し出しすぎてゲームの雰囲気を殺したりはせず,かといって,ゲームにこだわり過ぎて映画の完成度を下げるような失態もしていない。絶妙のバランス感覚で作られた本作は,理想の「凄腕の殺し屋」像をギリギリ近いところまで描いた映画としても評価したい。

 ご家族みんなでワイワイ観に行くのはさすがに気恥ずかしいが(お色気シーンがあるので),ゲーム好きの友達同士で観に行けば,帰り道で盛り上がること請け合い。もちろんゲームを知っているほうが“プラスアルファ”のお楽しみは多いので,4月12日までに「ヒットマン ブラッド・マネー」だけでも遊んでおくのはたいへん良いことだ。

 最後に映画ファン向けの余談だが,「ヒットマン」の映画化の話題が最初に持ち上がった頃,ヴィン・ディーゼルの名が47の候補として挙がった。ゲームにも映画にも詳しい人なら「いくらなんでも!」と感じたはずだ。関係者にも同じことを考えた人はいたらしく,結局,主役はティモシー・オリファントになったわけだが,ヴィン・ディーゼルとの話は結構進んでしまっていたらしい。エンドロールをよく見てみると,どこかにヴィン・ディーゼルの名を見つけられるはずだ。ぜひ探し出して「おお,そこに納まったかー」などと感心してみるのも一興である。

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