お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2020/06/02 11:20

イベント

「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 配信技術研究所株式会社(以下,配信技研)は,2020年5月29日にオンラインで,同社が提供するライブコンテンツ専用データツール「Giken Access」の発表会を開催した。ゲームをはじめとする様々なライブ配信において,視聴時間を基準にしてデータを収集・統計する同ツールの意義について解説が行われた。

画像集#001のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 配信技研は2019年に設立された会社。「インターネット技術を使い,個人の自己実現を加速させる」ことを目的としており,eスポーツ大会のアドバイザリーや配信環境の提供などを行っている。ライブストリーミングフェスタ「Music Unity 2020」では技術協力で参加し,全国各地のDJたちが自宅でプレイする様子を配信し,同時視聴者数は1万2000人を突破するなど,実績を積み重ねている。

「Giken Access」公式サイト


配信技研のCOO,大川孝行氏
画像集#002のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

インターネットにより,ゲーマーはゲームを遊ぶだけの消費者から,動画や配信を作る生産者にもなった,と大川氏(左写真)。配信技研は「Music Unity 2020」に技術協力で参加,各地でのDJプレイを配信した(右写真)
画像集#003のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#004のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 そんな配信技研が提供するツールが,今回の発表会のテーマとなる「Giken Access」だ。国内でゲームをライブ配信する,7万5000以上あるチャンネルのデータを蓄積し,「視聴時間」という基準で収集・統計。“いま,ライブ配信でどんなゲームが流行しているのか”“この配信者はどんなゲームで視聴者を集めているのか”といったデータを定量化することにより,投資判断のためのパフォーマンス測定がより効果的なものになるという。

 技術の発展と通信インフラの充実により,インターネットメディアは文字チャットから動画へ,そしてイベントやプレイの様子を逐次生中継するライブ配信に進化した。配信者と視聴者の間に双方向性があるライブ配信には,コミュニケーションを求める人間の本質が現れており,その(出資やスポンサーになる上でのビジネス的な)価値は,チャンネルの影響力を「視聴時間」で算定したエンゲージメント(愛着や思い入れ,送り手と受け手の絆)の指標で測られるべきだ……と配信技研 Giken Access総合監修の牧野耕志氏は語る。

画像集#005のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート
画像集#006のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 これまではメディアの価値を測定するうえで,コンサートなら「入場者数」,SNSは「フォロワー数」,動画なら「再生数」といった数値が指標・価値の基準となっていた。しかし,ライブ配信の場合にはこうした指標が存在していないという。“林立する配信プラットフォームのそれぞれで使われている指標や算出法が異なるため,正確な比較が難しい”,“配信数は少ないがピーク時の視聴者数が多い人と,コンスタントに配信し続けるが視聴者数のピークはそう多くない人のどちらに影響力があるかを比較できない”といった現象が起こる。
 また,ゲームがメディアに露出する度合いは,そのタイトルの権利者が国内に拠点を持っているかで変わるという。そのため,ビジネスサイドの人間が,消費者のトレンドを正確にすることが難しい。

 そうした実態を把握できない状況は,SNSでフォロワー数の多い芸能人にライブ配信させても成果が出なかったり,強いとされるプロチームのスポンサーになっても認知が上がらなかったりという,ニーズに合わないコンテンツを生み出すことになってしまうのだそうだ。

ライブ配信には明確な指標が存在しなかった,と牧野氏は指摘(左写真)。定量化された指標がないため,スタンスの異なる配信者のどちらがビジネス的に投資価値があるかを明確に計れない(右写真)
画像集#007のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#008のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

国内では様々なライブ配信プラットフォームが林立。測定方法が異なるのに加え,自社の影響力を大きく見せるための算定も行われていることから,正確な比較は難しいという
画像集#009のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

どのゲームに投資するかを決めるにしても,ゲームの権利者が国内メーカーであるか(もしくは国内法人が存在するか)でメディアへの露出が決まるため,正確な人気が掴みにくい
画像集#010のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

指標がないことにより,投資の判断は定量化されたものではなく,定性的な判断や仲介企業の助言に頼りがちに。結果,投資に見合う結果が得られない例もあるという
画像集#011のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 Giken Accessが提唱する,視聴時間という指標を用いれば,配信者の影響力を算定でき,こうした事態を防ぐことができるという。視聴時間は,視聴者の滞在人数と合計滞在時間から導き出される。視聴者が滞在した時間が長いほど,視聴時間の値は大きくなる(影響力は高いと判断される)わけだが,これはライブ配信を長く見るほど,広告が表示される機会が多くなるため。
 これにより,前述した“配信数は少ないがピークの視聴者数が多い人と,コンスタントに配信し続けるが視聴者数のピークはそう多くない人のどちらに影響力があるか?”という問題にも,定量化された数値で,ある程度の指標を出せる。ピークの視聴者数が多いのであれば,前者の方が影響力は高くなるのだという。現在のライブ配信シーンでは,メディアによる露出が多い人や,過去に実績のある人に投資されることが多いものの,期待したような結果が得られない例もあるのだそう。
 しかし,Giken Accessの視聴時間を使えば,メディアに出る機会はなくとも,1人でコツコツとライブ配信を続けて視聴者とエンゲージメントを結んでいるような人に光を当てることができ,ビジネスサイドが適切に投資することを助けられるのだという。

画像集#012のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#013のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート
画像集#014のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#015のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

指標が存在しない状態では,“配信数は少ないがピークの視聴者数が多い人と,コンスタントに配信し続けるが視聴者数のピークはそう多くない人のどちらに影響力があるか?”という疑問には答えられなかった(左写真)。しかし,視聴時間を基準にすれば,影響力を定量化できる(右写真)
画像集#016のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#017のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

画像集#018のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 Giken Accessは,法人による月及び年単位での契約での運用が想定されている。当初は調査データをまとめた書籍やエクセルファイルといった白書形式でのデータ提供が考えられていたものの,リアルタイムで情勢が移り変わるライブ配信にあわせて,ゲームのタイトルや配信者といった単位でデータをチェックすることができるデータツールの形になったのだという。
 ゲームのタイトル単位で,視聴者数の移り変わりや,どの配信者が注目を集めているかをチェックでき,比較することで次にどのゲームがトレンドになるかの予想が役立てられる。また,配信者単位でデータを見ることができ,どのゲームでどれ位の視聴者を集めているか,そしてどのゲームが配信時間の割に成果が上がっていないかといったことも分かるという。

●「Giken Access」で閲覧できる情報一覧
・ゲームカテゴリのライブ配信を行う日本語ストリーマー(チャンネル)の一覧。(視聴時間順)
・ストリーマーごとの 配信時間・視聴時間 内訳
・ゲームタイトルごとの 配信時間・視聴時間 内訳
・ゲームタイトルごとのストリーマー内訳
・ストリーマーのバブルチャート(配信時間 - 視聴時間)
・ゲームタイトルのバブルチャート(配信時間 - 視聴時間)

●「Giken Access」による,日本語によるゲームカテゴリの視聴時間ランキング(2020年4月1日〜4月30日,配信技研調べ)
1.「あつまれ どうぶつの森」
2.「ARK: Survival Evolved」
3.「Apex Legends」
4.「Minecraft」
5.「フォートナイト」
6.「バイオハザード RE:3」
7.「FINAL FANTASY VII REMAKE」
8.「リーグ・オブ・レジェンド」
9.「Shadowverse」
10.「荒野行動」
11.「Dead by Daylight」
12.「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」
13.「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」
14.「IdentityV 第五人格」
15.「スプラトゥーン2」
16.「STREET FIGHTER V CHAMPION EDITION」
17.「モンスターストライク」
18.「ハースストーン」
19.「Escape from Tarkov」
20.「ダークソウルIII」

 Giken Accessによる,日本語によるゲームカテゴリの視聴時間ランキングも発表されており(関連リンク),こちらも興味深いものとなっている。上位陣はほぼ予想通りだが,面白いのが2位の「ARK: Survival Evolved」(関連リンク)で,こちらは2020年1月19日にバーチャルYouTuberの桐生ココさんがライブ配信を行った後にブームが到来したそうだ。2020年3月4日から過去50日間でデータを集計したところ合計視聴時間は5億5543万5340分に達したという。
 なお,ブームが到来する前は1日平均の配信者数は3名,合計配信時間は4時間,合計視聴時間は5000分〜2万分だったが,3月2日の計測では配信者数43名,合計配信時間は100時間,合計視聴時間は1082万分となっている。2015年のゲームが5年を経て注目を集めるというのは珍しいケースといえるだろう。

「Giken Access」による,日本語によるゲームカテゴリの視聴時間ランキング(2020年4月1日〜4月30日,配信技研調べ。Minutes Watched: 視聴時間(分), Hours Broadcasted: 総配信時間, Average CCU: 平均同時接続数)
画像集#019のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

「ARK: Survival Evolved」は2020年1月19日以降に視聴時間がアップ(左写真)。多数のバーチャルYouTuberが配信し,合計視聴時間は5億分を越えた(右写真)
画像集#020のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#021のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

●「Giken Access」による,日本語によるゲームカテゴリライブ配信視聴時間ランキング(2020年4月1日〜4月30日,配信技研調べ,敬称略)
1.jun channel
2.kuzuha channel
3.stylishnoob4
4.fps_shaka
5.pekora ch. 兎田ぺこら
6.兄者弟者
7.korone ch. 戌神ころね
8.鈴原るる【にじさんじ所属】
9.舞元啓介
10.ももたろ
11.フブキch。白上フブキ
12.coco ch. 桐生ココ
13.spygea
14.miko ch. さくらみこ
15.marine ch. 宝鐘マリン
16.さとみ
17.kanae channel
18.渋谷ハジメのはじめ支部
19.ruytv
20.中川翔子の「ヲ」

 また,視聴時間によるランキングも公開されている(関連リンク)。こちらは加藤純一さんの「jun channel」が2億4875万分で1位,「kuzuha channel」の葛葉さんが1億2605万分で2位。この基準では配信時間だけではなく,平均同時接続数も重要であることが分かる。

「Giken Access」による,日本語によるゲームカテゴリライブ配信視聴時間ランキング(2020年4月1日〜4月30日,配信技研調べ。Minutes Watched: 視聴時間(分), Hours Broadcasted: 総配信時間, Average CCU: 平均同時接続数。敬称略)
画像集#022のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 また,新型コロナウイルスによるライブ配信の視聴時間への影響もまとめられている(関連リンク)が,日本政府から学校一斉休校要請が行われた2月28日と,オリンピック中止が発表された3月24日に伸びがあったという。

新型コロナウイルスによるライブ配信の視聴時間への影響(配信技研調べ)
画像集#023のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

 Giken Accessは今後,外部データベースとの連携により,視聴者及び消費者の動向までを計測するようにしていきたいという。投資する側だけでなく,配信する側にも有用なツールとなりそうなGiken Accessだが,現在は法人向けの提供を想定しており,サービスの販売はRIZeSTが担当するとのことだ。

画像集#024のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート 画像集#025のサムネイル/「視聴時間」という指標により,ライブ配信の影響力を定量化,効果的な投資に役立てる。「Giken Access」発表会レポート

「Giken Access」公式サイト

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:04月23日〜04月24日