オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2014/12/27 00:05

インタビュー

任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」

次こそは絶対。悔しさを次につなげる


川上氏:
 しかし,「任天堂らしさ」みたいな部分でいうと,例えば,先ほどの「ユーザーの体験を保証する」みたいなところも,ネットワークの時代になって,任天堂もかなり弱くなっているのかな……と正直思うんですよ。

岩田氏:
 ええ。正直な話,「ハードの発売時に,お客様のご期待にちゃんとお応えできていなかったのではないか」と思います。もちろん,アップデートを繰り返すことで,いろいろなところがかなり良くなりました。だけど,発売当初は買ってきて最初のセットアップにすごく時間がかかったり,オンラインアップデートで長時間待たされたりっていうのは,本来,僕らがこだわってきた「挿したらすぐ動く」って哲学からすると,「お客様のご期待にお応えできていなかった面があったのではないか」って,そこは大きな反省点だと思っています。

川上氏:
 でも,今後は変えていくんですよね?

岩田氏:
 そこを変えられないと,うちは生き残っていけないですよね。

川上氏:
 でも,「体験を保証する」って,とても難しいことですよね。昨今の開発環境にしても,それこそガーベージコレクション(※)とかを勝手にされないようにモノを作るのって,だんだんと難しくなってきたわけじゃないですか。

※プログラムやOSが確保したメモリ領域のなかで,不要になった領域を自動的に解放する機能のこと。ガーベージコレクションがうまく機能しないと,次第に利用可能なメモリが減っていき,やがてOSやアプリケーションの再起動を強いられたりする

岩田氏:
 それはね。いろんな人がコードを書いて持ち寄るような開発環境だと,どうしても汎用的な方向に持って行かざるを得ないっていうね。

川上氏:
 でもあれ(ガーベージコレクション)って,本来「ゲームのエンジニア」には許せないもののはずですよね。

岩田氏:
 ゲーム機にそれがあっていけないとは思わないんですけど,根幹の部分でそういう要素が大きくなりすぎて,結局,「お客さんの体験が保証できなくなると,ゲーム機はゲーム機じゃなくなっていく」と思うんです。ゲーム専用機というものの良さがなくなっていって,汎用のコンピュータと変わらなくなってしまうと,ツライですよね。

川上氏:
 そうですよね。

岩田氏:
 それに元々,ゲーム機って,ハードをなるべく薄いレイヤーのAPIで叩いて,「この電力とこの性能でなんでこんな絵が出せるんだ!」っていうのが,根っこの文化としてあったわけですし。ゲーム専用機の良さがなんなのかっていうのは,常に考えて提案していかなければなりません。

4Gamer:
 性能面だけじゃなくて,インタフェースや使い勝手を含めた「新しい遊びの提案」をってことですよね。

岩田氏:
 そうですね。ちなみに使い勝手という意味でいうと,「ニンテンドーDS」って,携帯ゲーム機としては初めてスリープを実現したマシンだったんですけど,あれは,「ゲームボーイアドバンスSP」を作る時に実現できなかった悔しさを次につなげた結果でもあるんです。

4Gamer:
 悔しさ?

岩田氏:
 ええ。「ゲームボーイアドバンスSP」も折りたたみができるゲーム機なんですけど,私は「蓋を閉じたらスリープするようにしてくれ」と,もの凄く強くハードチームに言っていたんです。「絶対に必要だから!」と。
 だけど,「ゲームボーイアドバンスSP」の時には,「チップの起こし直しが必要で,今からだと年単位になってしまう」ということで,しぶしぶ引き下がったんですね。ただ,「次は絶対にスリープするようにしてくれ!」と,そんな話を最後にして。

4Gamer:
 ハードの設計は,数年先を見越した判断が求められるから,難しそうですよね……。

岩田氏:
 私は,それがものすごい悔しくて。でも,その時の「次こそは!」という気持ちが,その後の「ニンテンドーDS」の機能につながっていったんですね。

川上氏:
 ゲーム機に「スリープ」って概念を持ち込んだのは偉大ですよ。

岩田氏:
 その意味で言うと,2年くらい前でしたかね。「Wii U」の発売直後に,川上さんからいろいろご指摘頂いたときに,やっぱり,とても悔しい思いをしまして。いろいろな部分で「次こそ絶対」と思ったんですけど。

川上氏:
 あ,すいません。いろいろと無神経なことを言ってしまったかもしれません。

岩田氏:
 いえいえ。でも,だからまぁ,この悔しさをね。絶対に「次」につなげたいし,つなげられるように頑張っているんです。

一同:
 おお……。

川上氏:
 でも,任天堂さんは「根本から変えられる」のが,やっぱり強いですよね。それこそ,ソフトウェアを書き直すだけじゃなくて,ハードごと変えちゃうじゃないですか。

岩田氏:
 まぁ,こういうことを実現するためには,どういうアプローチが一番合理的かっていうのを,ハードから,OSから,全部選べますからね。そして,プラットフォームをやってる会社の一番の強みのはずなんです。そういうことを,世界中の億単位のお客さんを相手にできる会社って,日本ではそんなにたくさんないので,そこはちょっと頑張りたいんですよね。


岩田さんは「独裁者」?


川上氏:
 しかし,任天堂って会社は,世の中全体が一定の方向に向かっている時でも,それにある程度対抗できる稀有な組織だと思うんですけど,そういうのって,ふつうだと独裁でなければ実現し難いものだと思うんです。要するに,適切な人が適切な判断をして,みんなが見てない別の道を選ぶって話なんですけれど。

岩田氏:
 ええ。おっしゃる通りだと思います。

川上氏:
 任天堂の場合は,その役割は岩田さんが担っているんですか?

岩田氏:
 えっと,それは私が「独裁者か」ってことですか?(笑)

一同:
 (爆笑)

川上氏:
 まあ……,そういうことなのかな?(笑)

岩田氏:
 川上さんからはどう見えてます? 傍から見ると,任天堂って結構謎だったりしませんか?

川上氏:
 いやあ,分からないです。分からないんですけど,少なくとも岩田さんは「調整型」には見えません。それに「論理の人」っていうのは,あの,僕は「調整能力が低い人間」だと思うんですよ(笑)

岩田氏:
 あはは。

川上氏:
 だって,自分で考え抜いた結果が一番正しいって信じているわけですからね。だから,「結果的に独裁になっているんじゃないか?」っていうのが僕の予想なんですけど。

岩田氏:
 あの,なんていうかな。会社の中……というより,人間の集団の中って,「この人とこの人とこの人が味方に付いてくれたら,みんなの意見はある程度揃うよね」みたいなところってあるじゃないですか。あるいは逆に,100人が100人,共通の未来を信じるなんてことは,その未来と現状とのギャップがあるほど,難しいですよね。

川上氏:
 はい。

岩田氏:
 例えば,「これからはこうだと思うんだよ,俺はこうするぞ!」って言ったら,100人の人がいたら,20人ぐらいは「その通りだ!」と思ってすぐに立ち上がって走り出す人がいて。まあ,20人ぐらい,「社長はああ言ってるけど,うまくいかないんじゃないの?」と言う人がいて。

川上氏:
 いますよね。

岩田氏:
 どんな組織でもね,多少の差はあるんですけど,だいたいそんな配分だと思うんですね。問題は残りの6割の人で。この人たちはどちらにも強い思いはないんだけど,彼らがどこまで動くかで,物事が一気に進むかどうかが決まると思うんです。

4Gamer:
 それは,何か閾値みたいなものってあるんですか?

岩田氏:
 そこはね。ある程度,私が経験則で感じている部分があって,ときどき社内でも喋るんですよ。

4Gamer:
 お聞きしてみたいです。

岩田氏:
 例えば,何か新しい挑戦をしようとするじゃないですか。さっきもお話しましたけど,最初に賛成するのは2割,反対するのも2割くらいなんですね。で,頑張って努力していると,残りの6割の中で,ちょっとずつ賛成派が増えていくんですよ。
 そして,その人数が,全体の1/3くらいになった瞬間が臨界点で,一気にムードが変わって,残りの6割だった人がほとんど賛成派になる。極端な時は,反対派の人たちの中にも「俺は最初からそう思ってた」みたいなことを言い出す人が現れます。

川上氏:
 ああ,言いますよねぇ。

岩田氏:
 逆に,新しい試みの多くが失敗する理由は,その2割が33%になるまでの時間がない,待てないからなんです。

4Gamer:
 なるほど。

岩田氏:
 待てずにあきらめてしまうんですよ。新しいことをやるには時間が要るし,どうしても重たいものを引っ張らざるをえないんですけど,そこを耐えるのがね,やっぱり大変なんですね。

川上氏:
 結果が出せない時期はとくに苦しいですしね。

岩田氏:
 はい。だから,まずは小さな結果を見てもらうことが大事なんですよ。そうすると,「あ,本当なんだ!」って信じてくれる人が増えて,それが一定数を超えたときに,ものすごい力を生むんです。  
 私は,過去にいろいろなことを「変えなきゃ!」と思ってやってきましたが,33%を超えたら物事が進むっていうのは,全部そうだったんですね。
 だから,途中からは結構意識的に,「今回は33%を超えるまでにこのくらい時間がかかるだろう」とか「この人達を説得できれば,33%を超えるな」みたいな動き方をするようにしています。

川上氏:
 なるほど。

岩田氏:
 まぁ,この私のやり方が外からどう見えるのかは分からないんですが,単純な独裁とは違う気がするし,2割を33%にしていく過程で,いろいろな人の意見は聞くようにもしています。まぁただ,環境が変わらない限りは,一度向いた方向を変えることは少ないかもしれませんね。そこは, 2割が33%に増えるまで「粘れば勝ちだ」と思っているからかもしれません。

川上氏:
 いやー,興味深いです



「リーダーシップ」って,なんだ?


川上氏:
 うーむ。いや,なんかお話を聞いていて思ったんですけど,僕は最近,「リーダーシップ」というものについて,ちょっと思っていることがあって。

4Gamer:
 どういうことですか?

川上氏:
 えっとね。要するに,みんなが納得することを指示するだとか,みんなが「そうだな」って思うことをやってるリーダーっていうのは,「本当にそれはリーダーシップがあるんだろうか?」っていう疑問を抱いていて。

岩田氏:
 ああ。それはですね,結論から言うと,違うと思います。

川上氏:
 ですよね。違いますよね?

岩田氏:
 というか,みんながそう思ってることをやればいいだけなら,そんな人(リーダー)なんて要らないじゃないですか。

川上氏:
 そうそうそう! 要らないんですよ(笑)

岩田氏:
 みんなが「ええ,それって本当?」って思うことを,誰かが「いや,未来はこうなるんだ!」って言って最後までやり切るやるから,その人の存在価値があるんだと思うんです。それがすごく大きな価値を生むこともあれば,失敗することもあって。とても責任重大なので,少しでも打率が上がるように,必死で努力するんだと思うんですね。

4Gamer:
 なるほど。

川上氏:
 だから,理想のリーダーっていうのは,「みんなが支持することを決断する人」みたいなイメージを思い描いている人が多いんだけど,それは違うんじゃないかって。みんなが思ってもみないようなことを進めていって,それを社内で押し通すっていうね。そういうものなんじゃないかって思うんですよね。

4Gamer:
 ちなみに川上さん自身は,ドワンゴ内ではどういう立ち回りというか,どういう形でリーダーシップを発揮しているんですか?

川上氏:
 僕ですか? んー,というか,そもそも僕は会社内では権限を持ってない(笑)

岩田氏:
 会長なのに?

川上氏:
 会長ではありますけど,決裁はやらないし,人事権もないし,何かの予算に対する決定権も持ってないんです。要するに,組織図の上で,僕が強制的に指示できる人間って社内には誰もいないんですよ。

岩田氏:
 でも,川上さんが言い出したことは,いろいろな形で実現しますよね。それはなぜ実現するんですか?

川上氏:
 僕はもともと,小さいチームで新しい企画を,例えば着メロとかニコ動を作ったりしてて,その間,会社の他の部署の協力って一切仰いでないんですよ。でも,結果的にそれが成功して会社の主力事業になっていったから,惰性でみんなが言うことを聞いてくれてるだけで。どれもこれも,正式な社内の決裁ルートをちゃんと通った案件じゃないんです。

岩田氏:
 ただ,さっきの日本のサラリーマンの話ではありませんが,人間って決裁ルートがあるから言うことを聞くわけではないと思うんです。いろいろな人間関係の力学のなかで,「この人の言うことなら聞いてもいいかな」みたいに思ってもらえる何かが,きっと川上さんにはあるってことなんじゃないですか?

川上氏:
 まあ,たぶんそれがあるから,なんとか僕も仕事ができているんですけどね。ただ,ドワンゴのガバナンス(統治システム)って意味でいうとですね。ウチは,社内のあちこちに「神社」があるんですよ。

岩田氏:
 えーっと,「神社」というのは,社内にいるキーマンってことですか?

川上氏:
 まぁ,簡単にいうとそんな感じですね。で,その神社の前にいって,お願いごとをすると,ときどき願いが叶うんです(笑)

一同:
 (爆笑)

岩田氏:
 神社にお願い……なるほど(笑)。でも,それっていうのは,日本のどんな組織にもあるんでしょうね。この部分はこの人の影響力が強いから,この人が協力的かどうかで,できることが大きく変わるみたいな話ってよくありますから。

川上氏:
 はい。

岩田氏:
 だから,その意味でいうとですね,「川上さんがその神社のボスたちと,どれぐらいの頻度で,どんな話をしているのか?」という部分は,ちょっと聞いてみたいですね。
 任天堂にも,そういう神社的なものはあると思うんですけど,私の場合は,私が普段考えていることと,それぞれの神社のボス達が考えていることが,あまり違わないようにはしているのかもしれません。結果,私の願いごとは叶いやすい状態になっているのかも(笑)

川上氏:
 ただ,神社システムってなかなか機能しないことも多いし,僕が言ってないお願い――お前がやりたいだけだろみたいな――まで勝手に叶ったりだとか,いろいろと欠陥もあるんですけどね(苦笑)

岩田氏:
 あはは。

川上氏:
 まぁ,願い事が叶うときはいいんだけど,やっぱり,コントロールができないのが神社システムの欠点です。聞かなかったことにされたり,下手をすれば,ねじ曲げて解釈されたりもしますし。

岩田氏:
 それは,お願いをした川上さん側の意思と,出てくるアウトプットがイコールにならない場合があるってことですか?

川上氏:
 ならない! ならないんですよ。それに,純粋にお願いを聞いてくれるだけじゃなくて,なんというか,僕の信用を利用しようとしてお願いごとを聞いてくれるみたいなケースも,結構あって。そうするとですね,なんだかねじ曲がっていっちゃうんですよね……。

岩田氏:
 ふむ,なるほど。まぁ,組織にはいろいろな人がいますからね。ねじ曲げることを頻繁にする人と,あまりねじ曲げない人っていると思うんですけど,川上さんは,ねじ曲げない人をもっとアテにするべきだし,ねじ曲げる人には,あまり頼っちゃいけないんじゃないですか。

川上氏:
 まぁ,そうなんですけどね。

岩田氏:
 そうした方がね。きっと人間関係の力学も正しい方向に向かうはずだし,そこは意識的に取り組んでいっていいんじゃないでしょうか。

川上氏:
 そうですねぇ……。


いつかやるなら,最初にやろう


岩田氏:
 って,なんでこんな話をしてるんだろう? もはや取材じゃないですね(笑)

川上氏:
 すいません。なんだか人生相談みたいになってしまいました(苦笑)

4Gamer:
 まぁ,岩田さんの趣味は「目の前の問題解決」ということですから……。

岩田氏:
 そう! だからね。目の前に問題があると,「解決したい」衝動に駆られて,ついつい,アドバイス的なことをしてしまうんですよ(笑) これはもう,私の癖ですね!

川上氏:
 そういえば,「闘会議」の件はありがとうございました。

岩田氏:
 ああ(笑)

川上氏:
 すいません。これは最初に言うべきでしたね。「闘会議」は,本当に任天堂さんのおかげでうまくいきそうというか,任天堂さんに協力して頂くことが,いかにゲーム業界にとって大きな意味を持つかを肌で感じたというか。

岩田氏:
 一番そういうことやらなそうな会社がやったから,なんですかね?(笑)

川上氏:
 いやいや,もうなんか、凄い尊敬されてますよね。「任天堂なら支配されてもしょうがないか」みたいな感覚をゲーム業界は全体的に持っていると思います。

岩田氏:
 えええ,本当ですか? 悪役としてじゃなくて?

川上氏:
 あ,支配されてもいいというのはちょっと違うかな(苦笑) ええと,「任天堂が強くないゲーム業界はイヤだ」みたいな感覚とでもいうんでしょうか。そういう空気って僕はあると思いますよ。

岩田氏:
 本当かなあ(笑)

川上氏:
 本当ですって!

4Gamer:
 しかし,「超会議」や「闘会議」への協賛もそうですけれど,岩田さんって,傍から見るとニコニコ動画をとても高く評価されているように見えるんですけれど,どの辺が岩田さんの琴線に触れているんですか?

岩田氏:
 んん〜。最初に「超会議」の協賛についてお話しをいただいた時に判断した根本のポイントがまさにそうなんですけど,やっぱり「ユーザーさんが主体」ってところがニコニコ動画の魅力ですよね。私たち自身,「供給者視点だけでイベントとかをやっていっても,どうもゲームの未来が明るくなるイメージが湧かないな」って思っていた時に,ああいう形のイベントを見せていただいて,「こういう方向ならありなんじゃないか」って思ったんですよ。

4Gamer:
 でも,ユーザーさん主体の方向性というのは,例えば二次創作についてだとか,いろいろと難しい問題も孕んでいますよね。その点についてはどうお考えなんですか?

岩田氏:
 確かに,いろいろと難しい問題はあります。でもね,時代がこうやって変化してきて,いつかはそこについて向き合わなきゃいけないんだとしたら,嫌々圧力に押し切られるんじゃなくて,真っ先にテープを切ってやった方がいいよねって私は思うんです。そこについての問題意識を川上さんと共有できたから,いろいろなことでご一緒できているのだと思っています。

川上氏:
 ありがとうございます。

岩田氏:
 それに,きっとね。山内さんが今生きておられたら,私と同じ事をするんじゃないかって気がするんです。「いつかやるなら,最初にやろう」って。きっと,山内さんならそうおっしゃったと思います。

4Gamer:
 そういえば,これもお聞きしてみたかったんですが,岩田さんって,ご自身でもニコニコ動画とかは見られるんですか?

岩田氏:
 ええ,見ますよ。ただ,なんというんでしょう……。いろいろな形で自分がいじられてる動画を見るというは,あの,ハッキリ言って,めちゃくちゃシュールな体験なんです(苦笑)

一同:
 (爆笑)

岩田氏:
 「なんで俺,呼び捨てにされてるんだろう?」とかね(笑) ただ,そこにはとても怒っている人もいれば,すごく応援してくださる方もいて。たぶん,どちらも真実だと思うんですけれど,世の中にある意見や感想を,動画にオーバーレイさせるという,ああいう形で可視化するというのは,私は「実に面白いな」と思うんですよ。

川上氏:
 ありがとうございます。

岩田氏:
 それに,ゲームを遊びながらワイワイやってる様子を見ているとね。彼らがちゃんと,自分の体験として,自分の身体感覚としてそのゲームを語っているのが分かるんですね。それを見ると「ああ,僕らのお客さんって,こういうところにいるんだ」っていうのが感じられるんです。任天堂も,いろいろな広報展開やメッセージの出し方を試して,トライ&エラーを繰り返しているんですけど,「お客さんとはこういうつながり方もできるんだ」ということを,ニコニコ動画に気づかせてもらった感じですよね。

川上氏:
 いやでも,今日は,経営の意思決定を,理系的な社長でもある岩田さんがどうされているのか,社内の調整をどうやっているのかをお聞きしてみたかったので,とても参考になりました。

岩田氏:
 今日,どれぐらい謎が解けました?

川上氏:
 いやもう,だいぶ解けましたし,とても参考になりました! 実はこの連載のテーマが「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」ってことだったんですけどね。今回は本当に連載に相応しいお話が聞けました。本当にありがとうございます!

岩田氏:
 いやぁ,これがいったいどんな記事になるのか,私はちょっと想像がつかないですけどね。でも,楽しみにしています(笑)

(おわり)



 任天堂の岩田氏をゲストに,連載屈指のボリュームとなった最終回,いかがでしたか。今回で川上量生氏との対談連載企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」は終了となります。足かけ3年もの間,ご愛読頂き誠にありがとうございました。


川上量生(かわかみのぶお):
ドワンゴ代表取締役会長。1968年,愛媛県生まれ。京都大学工学部卒業後,ソフトウェア専門の商社勤務を経て,1997年に株式会社ドワンゴを設立。携帯電話向けサービス「いろメロミックス」などをヒットさせ,同社を東証一部上場企業へと成長させた。近年では,ニコニコ動画を成功に導くなど,独特の考え方をする実業家として知られる。2011年1月に突如としてスタジオジブリに入社し,プロデューサー見習いとして,鈴木敏夫氏に師事している。なお,本連載をまとめた川上氏の初の単著「ルールを変える思考法」も発売中。

関連記事:
人類は「機械が生み出す知財」にどう向き合うべきか――SF作家・藤井太洋氏がゲストの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第19回
「普通はこうだから」って意見とは戦っていきたい――ニコニコ超会議3を総括する「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第18回


「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」記事一覧


  • この記事のURL:
line
4Gamer.net最新情報
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:10月17日〜10月18日
タイトル評価ランキング
83
82
80
OCTOPATH TRAVELER (Nintendo Switch)
55
51
Conan Outcasts (PS4)
2018年04月〜2018年10月