プレイレポート
イチョウ(銀杏)vs.ナタリー・ポートマン。ウィキペディアの記事をガチャって品質でバトる「Wikipedia Gacha」が,虚無いのに熱い
2026年2月25日,「オレ モバイル アプリ ツクル」(Xプロフィールの原文ママ)の意気込みを掲げる個人開発者のharusugi氏が,Webアプリ「Wikipedia Gacha」(WikiGacha)を公開した。
本アプリでは,Wikipediaにある無数の記事をトレーディングカードゲーム風にガチャしまくり,集めたカードの記事品質でバトルしていく。
![]() |
WikiGachaは本日3月3日のちょうど半日前あたりから,ネットのどこかでバズったらしい。私もその波及で知人にタレコミされ,急きょ調べたクチだ。実際,半日前からサーバーも1台増設したという。
本アプリでゲームとしてできることは,「ガチャ」を引くか,引いたカードを「図鑑」で眺めるか,「バトル」に用いるかだ。
まず,ガチャは無料で10回まで引けるが,以降はデイリーボーナスや広告視聴が求められる……が。この記事を載せた段階ではアドネットワーク(見たら収益になる広告システム)を整備しきれておらず,実績を積むまでは延々とテスト動画を垂れ流すことになるという。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ガチャの特徴は,なんといっても“Wikiの記事をカードにしちゃった”ところだ。そのため「フジテック駅」だの「とよた真帆」だの「エキノコックス症」だの「ポラリス(恒星)」だのが平然と並ぶ。
これらはすべて,ワンクリックで元記事に飛べる構造である。
カードにはC(コモン)からSSR,さらにURやLRといったランクが設定されている。また,「記事の品質」に応じてATK/DEFが出力され,バトル時に参照される。バーコードバトラー的なやつだ。
なお,「(外部アプリのくせに)Wikipediaに負荷かけてんじゃないのか」という疑問については,誰も引いたことのないカードの場合は,画像をWikipediaに取得しにいってサーバーに格納するとのことで,現時点で「日本語版はもうほぼ通信してないはず」らしい。「たぶん」とのことだが。ある意味,最低限の迷惑をかけ終えたのが今だろう。
![]() |
![]() |
![]() |
主な遊びは,引いたカードを「うれしー!」「きになるー!」して元記事を読みにいく知的好奇心の充足か,闘争本能をかき立てるバトルだ。
バトルメニューは,指定したランクのランダム敵と1戦する「ランダム対戦」のみ。ストーリーモードも準備中らしいが,どのようなストーリーを描くつもりなのかはまるで想像つかない。
戦闘はオートバトルで,プレイヤー操作は存在しない。唯一引けたLR「イチョウ(銀杏)」と,格下のUR「中世の寝殿造」がターン制で殴り合うのをひたすら眺めて,その決着を見届けた。
シンプルすぎるゲームシステムは,控えめに言ってもガラケー時代のソシャゲくらい虚無だ。それくらい虚無なのに。
このWikipediaを利用した膨大なカードプールのせいで,熱い。
![]() |
![]() |
例えば。
・子安武人 vs.室町時代
・Snow Man vs.建国記念の日
・ネオジオフリーク vs.新撰組
・北浦インターチェンジ vs.ミヤギテレビニュースプラス1
など,Wikiの星の数ほどある記事たちを前にすれば,あらゆる人に推しのカードが存在する。ゲームやアニメはもちろん,俳優や声優,地方やランドマーク,代数方程式などの概念もなんでもござれ。
上記は記事制作のために当たり障りなく組み合わせたが,これがSNSでいかなる“ネット大喜利”に発展するかは言うまでもないだろう。
ゲーム内容は(現在開発中であろう現状は)虚無なのに,Wikipediaをガチャにしちゃった,その一点だけで勝利している。
![]() |
![]() |
![]() |
という紹介をしたためたのは,ゲーム業界でもアイデア勝負となって久しいインディゲーム界隈的なスピリットに似た“組み合わせの妙”を感じたのと,harusugi氏の目の付けどころへの称賛はもちろんだが。
あくまで短期的な一発ネタとして消化されかねないスキームとはいえ,こうした求心力のありそうなコンテンツを,世を見通すWikipedia自身が発明しなかったところに「この世界には,コーヒー1杯の金額を集めるよりも大切なことが多いのかもしれない」と思ったためである。
あなたもコーヒー1杯分のお時間くらい,注いでみてはいかが?
- この記事のURL:




























