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猫を繁殖させ,遺伝子を操り,世代を超えて戦うローグライクタクティカルRPG「Mewgenics」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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傷つき,老い,突然変異を刻んで帰還した猫は静かに引退し,その経験と記憶だけを次の世代に託す。
終わりなき世代交代の果てに,この街の歪んだ真実が眠っている。
本日は,Edmund McMillen氏とTyler Glaiel氏が手掛ける「Mewgenics」を紹介しよう。McMillen氏は「The Binding of Isaac」や「Super Meat Boy」,Glaiel氏は「Closure」や「The End is Nigh」で知られるクリエイターだ。
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本作はBoon Countyという不穏な街を舞台にしたローグライクタクティカルRPGで,プレイヤーは猫ブリーダーとして自らの猫たちで部隊を編成し,路地裏や下水道,墓場といった危険地帯の踏破を目指していく。
このゲームの特徴は,猫の繁殖がゲームそのものの土台になっている点だ。冒険で手に入れた猫同士を掛け合わせると,ステータスやスキル,突然変異といった形質が次世代へ引き継がれる。
ただし都合のいい能力だけが遺伝するわけではなく,骨がもろくなるFragile Bonesや出血が止まりにくくなるHemophiliaなど,深刻なデメリット形質が子に乗ることもあり,親の選び方ひとつで世代全体の命運が変わる。
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戦闘はグリッド制のターンバトルで進行し,すべての攻撃や罠,状態異常が敵味方を問わず当たるフレンドリーファイア仕様だ。
味方を巻き込まないよう立ち回るか,あえて巻き込んでシナジーを狙うか。その判断が常に求められる位置取りと,10種以上のクラスや1000を超えるアビリティの組み合わせが,毎回のランにまったく異なる展開をもたらす。
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ランを重ねるとActと呼ばれるメタレイヤーが進行し,新たなゾーンやクラス,イベントが順次開放されていく仕組みだ。
すべてが当たるフレンドリーファイア
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本作ではダメージ,ノックバック,毒,トラップなど,あらゆる効果が敵にも味方にも等しく当たる。位置取りを誤れば一瞬で自軍が壊滅する一方,この仕様を逆手に取ったコンボも成立する。
たとえば「被ダメージで攻撃力が上がる」パッシブを持つ猫をわざと味方で殴り,火力を跳ね上げてから敵を薙ぎ払う。リスクとリターンが常に隣り合わせの戦場が,一手ごとの判断に緊張感を与えている。
世代をつなぐブリーディング
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冒険から帰還した猫は引退し,繁殖に回る。親の遺伝子は子に受け継がれるため,どの猫同士を掛け合わせるかが次世代の戦力をそのまま左右する。
体型や頭,尻尾の形状から移動力や射程,積載量まで変わり,さらに突然変異が加わることで同じ組み合わせでも結果が大きく揺れる。思いどおりの子が生まれるとは限らないからこそ,世代を重ねるたびに「自分だけの一族」が形作られていく手応えがある。
Isaac譲りのブラックユーモア
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本作の世界観は,McMillenらしいブラックユーモアで隅々まで塗り固められている。猫たちの見た目はどこか不気味で,それでいて妙に愛嬌がある。BGMはボーカル入りのジャズ調で,猫が曲に合わせて鳴き声を上げる演出まである。
拠点にいるNPCは「若い猫をよこせ」「傷を負った猫が欲しい」と平然と要求してくるし,それに応えると報酬やアンロックが進む。居心地の悪さと笑いが同居するこのトーンは,「The Binding of Isaac」で糞尿や身体変異をギャグに仕立て上げたあの感覚そのものだ。好き嫌いは分かれるが,ハマる人にはこの空気ごと病みつきになるだろう。
「Mewgenics」は,猫の繁殖とフレンドリーファイアの戦闘,ブラックユーモアにまみれた世界観が一体となったローグライトタクティカルRPGだ。
ランごとに遺伝子やビルドが変わり,何周しても新しい組み合わせが見つかる。クラスは10種以上,アビリティは1000超,アイテムは900種以上と,その物量だけでも尋常ではない。
ただし注意点もある。現時点では日本語に対応しておらず,テキスト量もそれなりにあるため,英語が苦手な人にはハードルが高い。加えてゲーム内の説明は最小限で,仕様やシナジーの大半は自力で探る必要がある。
グロテスクな表現やきわどいブラックジョークも全編にわたって展開されるため,このあたりの耐性も事前に確認しておきたい。「The Binding of Isaac」のあの空気感が好きで,かつターン制タクティクスにじっくり向き合いたい人にとっては,長く遊び込める一本になるだろう。
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