連載
近接戦を主軸にした一人称視点のハクスラアクション「VOIN」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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主によって造られた元素の戦士であるアナタは,この壊れた世界に解き放たれる。
与えられた使命はただ一つ。剣を振るい,血路を開き,穢れきった大地をすべて浄化することだ。
本日は,個人開発者のzotov氏が手掛ける「VOIN」を紹介しよう。本作は退廃的なダークファンタジーの世界を舞台にした一人称視点のアクションゲームだ。プレイヤーは魔術師が生み出した従者となり,異形に支配された領域の解放を目指す。
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このゲームの特徴は,銃ではなく近接武器で戦うハイスピードな戦闘にある。視界いっぱいに広がる敵の群れに対し,剣や斧を叩きつけ,なぎ払う。身を守る最良の手段は攻め続けることだ。敵を殴れば体力が回復するというルールが,プレイヤーを前のめりな戦いへと駆り立てる。
敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避すればダメージを受け流せるため,一瞬の判断が生死を分ける緊迫した攻防が味わえるだろう。
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戦いの場となるのは,ミニオープンワールドとも言える広めのフィールドだ。武器をしまうと移動能力が跳ね上がり,長距離ダッシュや高い跳躍で縦横無尽に駆け回れる。
敵を倒して手に入れた装備品は,拠点に持ち帰って「浄化」しなければ使えない。死ねば集めたものを落としてしまうため,欲張って奥へ進むか,安全に帰還するか。常にギリギリの選択を迫られることになる。
叩き斬る重みと疾走感
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眼前に迫る敵をなぎ倒す,その「肉を断つ」ような抵抗感の演出が見事だ。重厚な打撃音と激しいエフェクトが重なり,敵を粉砕する確かな重みがズシリと残る。そこへ目にも止まらぬ高速移動が加わる。
戦場を猛スピードで駆け抜けながら,次々と現れる怪物をちぎっては投げの勢いで葬り去る体験は,本作ならではの醍醐味だ。
暴れ回るための多彩な能力
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拾う武器にはそれぞれ異なる特殊効果が備わっている。剣を振るうだけで雷が連鎖したり,巨大な渦が発生して敵を切り刻んだりと,その効果は千差万別だ。自分自身を毒状態にして周囲にダメージを撒き散らすような,一見すると危険な能力すらある。
これらを組み合わせ,自分だけの「最強の暴れ方」を見つけ出す過程が,プレイヤーを何度も戦場へと向かわせる。
帰還か死かの判断
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手に入れた強力な宝も,生きて持ち帰らなければ意味がない。装備品はすべて「汚染」されており,拠点での浄化を待っているからだ。
長く探索すればカバンは宝で満たされるが,敵の猛攻も激しさを増す。倒れればすべてを失う恐怖と,あと少し稼ぎたいという欲望。その狭間で揺れ動きながら,ポータルへの退路を開く瞬間の安堵と興奮は格別だ。
本作は,血と鉄の匂いが漂う世界で,ひたすらに敵をなぎ倒す喜びを追求している。複雑な物語や謎解きよりも,己の反射神経と組み上げた装備の強さを信じて突き進みたい人には,これ以上ないご馳走となるはずだ。まだ発展途上の部分もあるが,その荒削りな勢いも含めて愛すべき一作である。
- 関連タイトル:
VOIN
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