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そうだ アニメ,見よう:第253回はダークファンタジー「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」。ハイクオリティな第1話に国内外が騒然
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ロケット商会氏によるライトノベル「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」(電撃の新文芸/既刊8巻)は,“勇者刑”に処された主人公たちの戦いを描くダークファンタジーだ。2020年10月にWeb小説サイト「カクヨム」で発表され,その後,電撃の新文芸から書籍化された。「次にくるライトノベル大賞2021」や「このライトノベルがすごい!」など,数々の賞を受賞している話題作である。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第253回のタイトルは,同作をアニメ化した「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」(毎週木曜22:30〜TOKYO MXほか)。制作はスタジオKAI,シリーズ構成・脚本は「幼女戦記」や「異世界おじさん」を手がけた猪原健太氏が担当。監督は「ウマ娘 プリティーダービー」や「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」などで知られる髙嶋宏之氏が務めている。
「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」
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勇者刑に処された元聖騎士団長のザイロ・フォルバーツ(CV:阿座上洋平)は,罪人たちで構成された「懲罰勇者部隊」を率い,魔王現象四十七号との戦いの最前線を駆け抜けていた。
過酷な状況の中,同じ部隊のドッタ・ルズラス(CV:堀江 瞬)を窮地から救い出したザイロは,手癖の悪いドッタが聖騎士団から大きな棺を盗んでいたことを知る。その中身は,なんと対魔王兵器「女神」の1人,剣の女神テオリッタ(CV:飯塚麻結)であった。
「敵を殲滅した暁には,この私を褒め讃え……そして頭を撫でなさい!」
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目覚めたテオリッタは,自分の力を活用するようザイロに迫るが,彼はそれを拒む。やがて,テオリッタの輸送を担っていた第十三聖騎士団と合流したザイロは,女神盗難の件について,聖騎士団を率いるパトーシェ・キヴィア(CV:石上静香)から追及を受けてしまう。
誤解が解けぬまま魔王現象四十七号との決戦に臨んだザイロは,生き抜くため,そして自らを陥れた者への復讐を果たすため,女神と契約を交わす。女神の力とザイロの活躍により,魔王は何とか撃退されるが,テオリッタは,ザイロの罪状が“女神殺し”であることを知らされるのだった。
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今期のダークホース作品
今シーズンは,「葬送のフリーレン」第2期や「呪術廻戦」第3期「死滅回游 前編」,「Fate/strange Fake」など,話題作がひしめく,かつてないアニメ激戦区といわれている。その中で,突如ダークホースとして注目を集めているのが,本作「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」だ。
1時間スペシャルとして放送された第1話「刑罰:クヴンジ森林撤退支援」は,そのクオリティの高さから,国内のみならず海外でも話題となり,世界最大級の映画・テレビ番組・ゲームのデータベースサイト「IMDb」で9.2/10という高スコアを獲得している。
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制作を手がけるのは,「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」などで知られるスタジオKAIだ。同スタジオは本作において,ダイナミックなバトルシーンや,ダークファンタジー特有の美麗な背景美術にこだわり,緻密な世界観を作り上げている。
実は本作,当初は2025年10月の放送を予定していたが,2026年1月へと延期されている。これは作品の品質を追求するためとアナウンスされており,その甲斐あって,本作は最高のスタートを切ったといえそうだ。
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魔王現象と戦う“懲罰勇者部隊”
肝心の内容は,剣と魔法のファンタジー世界を舞台に,懲罰勇者部隊と魔王の戦いを描いたものだ。“懲罰勇者”とは,ストーリーダイジェストでも触れたとおり刑罰の1つで,大罪を犯した者に科される。多数存在する魔王たちとの戦いを強制され,首の刻印により逃げることも許されない。
それどころか,死んでも何度も蘇生させられ,延々と戦い続けることを強いられる。蘇生を繰り返すことで,やがて自我や思考力を失ってしまうというリスクも抱えているのだ。
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主人公のザイロは,かつては優秀な聖騎士団長だったが,不可解な命令に従った結果,契約を結んだ女神を手にかけてしまうという前代未聞の大罪を犯し,勇者刑に処された。そのため女神との接し方には慣れているものの,女神であるテオリッタに対しては引け目もあるのか,ぞんざいな扱いをしがちである。
そんなザイロが,懲罰勇者部隊の仲間とともに,各地の絶望的な戦線へ赴き,魔王現象や,その影響を受けた異形(フェアリー)たちと死闘を繰り広げる姿が描かれていく。
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「七人の侍」のような部隊メンバー
懲罰勇者部隊にはザイロのほか,1人で1000件を超える盗みを働いたドッタ,王城をサーカスに売ろうとした詐欺師のネティム・レオプール(CV:土岐隼一),自分を国王と思い込んだノルガユ・センリッジ(CV:上田燿司)など,個性豊かな人物(ザイロの言葉を借りれば“性格破綻者たち”)が所属している。
中には,蘇生の影響で自我を失ったタツヤ(CV:松岡禎丞)などもいるが,いずれも一芸に秀でた存在で,その力を生かして魔王と戦う。
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原作者のロケット商会氏は,この懲罰勇者部隊というアイデアを,バンダイナムコエンターテインメントの「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」に登場した“懲罰部隊”から着想を得たという。
「素行に問題はあるけれど,腕前が確かな人たちが絶望的な現状を打破していく」という物語を描きたかったのだとか。
たしかに,アクの強い彼らは,黒澤 明監督の「七人の侍」に登場する浪人たちのようでもあり,その言動にハラハラさせられつつも,どこか爽快な気分にさせてくれる。人類の生息域の半分を失っているという絶望的な状況の中で,彼らがどんな活躍を見せてくれるのか,今後の見どころになりそうだ。
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第2話以降もクオリティは衰えず
第1話のクオリティがすごすぎたためか,2話以降に息切れしてしまうのではという懸念の声がファンのあいだでは上がっていた。しかし,ふたを開けてみれば,第2話「刑罰:ゼワン=ガン坑道制圧先導1」以降も品質は落ちることなく,ダークな世界観を存分に堪能できる内容となっている。
現時点では,何クールでの放送となるのかは明らかにされていないが,ザイロたち懲罰勇者部隊の活躍を,少しでも長く見届けたいところだ。第2シーズンの制作にも期待しつつ,今期でも1,2位を争うオススメ作品になりそうである。
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| 放映データ |
|---|
| 2026年1月〜毎週土曜22:30〜TOKYO MXほか |
| キャスト | |
|---|---|
| ザイロ・フォルバーツ:阿座上洋平 | |
| テオリッタ:飯塚麻結 | |
| パトーシェ・キヴィア:石上静香 | |
| ドッタ・ルズラス:堀江 瞬 | |
| ベネティム・レオプール:土岐隼一 | |
| ノルガユ・センリッジ:上田燿司 | |
| タツヤ:松岡禎丞 | |
| ツァーヴ:福島 潤 | |
| ジェイス・パーチラクト:千葉翔也 | |
| ニーリィ:日笠陽子 | |
| ライノー:中村悠一 | |
| フレンシィ・マスティボルト:大西沙織 | |
| スタッフ |
|---|
| 原作:ロケット商会(電撃の新文芸/KADOKAWA刊) |
| 原作イラスト:めふぃすと |
| 監督:髙嶋宏之 |
| シリーズ構成・脚本:猪原健太 |
| 助監督・クリーチャーデザイン:中小路佳毅 |
| キャラクターデザイン:野田 猛 |
| 世界観設定:池 信孝 |
| プロップデザイン:須川康太 |
| エフェクトデザイン:光田史亮 |
| メインアニメーター:須川康太 式地幸喜 黒崎隼人 平林 航 土井田竜健 |
| 美術監督:渡辺悠祐 |
| 色彩監督:梅崎ひろこ |
| 撮影監督:関谷能弘 |
| 3DCG:ENGI |
| 2Dグラフィック:登坂真理菜(画狂) |
| 編集:小口理菜 |
| 音響監督:森田祐一 |
| 音響制作:株式会社ビッドグルーヴプロモーション |
| 音楽:滝澤俊輔 |
| 主題歌 「Kill the Noise」SPYAIR |
| アニメーション制作:スタジオKAI |
| アニメーションプロデューサー:増尾将史 |
| 製作:勇者刑に処す製作委員会 |
| (C)2024 ロケット商会/KADOKAWA/勇者刑に処す製作委員会 |
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