セガが現在開発を行っているドラマティックアクション
「Binary Domain」(
PlayStation 3/
Xbox 360)の最新情報が,本日(2011年5月20日)公開された。今回は,本作の世界観や設定,物語のバックボーンなどが明らかになっている。
Binary Domainの舞台となる2080年では,世界各地の人々が,地球温暖化による海面の上昇から逃れるため,海から遠く離れた高層構造体の上に新たな世界
“上層都市”を建築し始めている。しかし,地球温暖化対策として始まった上層都市の構築は,かつての都市に蓋をするかのように進んでいくため,水没し続ける地域とそこに住む貧困層を見捨てることにつながってしまう。徐々に
世界は上層と下層に二分されていき,その二層化が社会不安と治安の悪化をも招くことになるという。
世界の二層化による社会不安が蔓延していく一方で,“上層都市”の建築のために需要が増大した
ロボット産業は隆盛を極め,情報通信や自動車を超える世界の基幹産業へと成長。民間用,軍事用を問わずさまざまなロボットが開発されていき,やがて人間そっくりの
「人近似ロボット」が登場し始めるが,精巧かつ優秀なロボットの登場は凶悪なテロや犯罪をも増長させてしまうようだ。
上記のような人々の二極化とロボット産業の拡大という2つの大きな流れは,当然日本にもある。物語では,2080年になって様変わりした
渋谷や
六本木,
お台場なども描かれるようである。
掻い摘んで紹介したが,このように,本作の世界設定は非常に緻密かつシリアスだ。テーマも「地球温暖化」「格差社会」と,現在でもよく話題に上るものばかりなので,興味を引かれる人も多いのではないだろうか。
最後に,今回公開された設定資料を掲載しよう。本作がどのような物語になるかは分からないが,複数の資料に名前が挙がる
「AMADA社」という日本のロボットメーカーは,一つのキーワードになりそうな印象だ。
●設定資料『2080年状況』
地球環境に急激な変化を与えてきた温暖化問題。
21世紀に入り、国際社会はあらゆる努力を講じながらも、その進行を抑制することが出来ず、年をおうごとに海面上昇は深刻化していった。しかし有効な対策を見出せないまま、海岸に近い人口集積地からは大量の難民が発生してしまう。
強まる危機感の中、先進国を中心に壮大な建築計画が実施される。
それは都市機能を決して沈まない場所に移行するべく、過酷な環境下でも効率よく稼働する多種多様なロボットを大量投入し、海面から遠く離れた高層構造体の上に新たな世界“上層都市”を築くことであった。
しかし、かつての都市を封印するように建設され始めた“上層都市”建設は、水没し続ける地域とそこに住むしかない貧困層を見捨てることにつながった。
人類は上層と下層に住むものに二分されたのだ。
日本もその例外ではなく、階層の二極化は社会不安と治安の悪化を招くことになる。
一方で、上層都市の建設で需要が増大したロボット産業は隆盛を極め、情報通信や自動車を超える世界の基幹産業へと成長していった。
大量生産されるロボットは、人々の日常のあらゆる分野に浸透し、軍事用ロボットの開発競争も加速する。
やがて人間そっくりの「人近似ロボット」が開発され、こうしたロボットによる潜入工作や後方撹乱戦術が発達すると、テロ組織や犯罪組織にも技術が拡散し、大量の犠牲者が出る事件が多発するようになった。
これを危惧する世論を背景に、国連の場でも「ロボット技術規制」が論議され始める。
ジュネーブで国際会議が開かれ、世界150カ国が戦争に使用する軍事用ロボットの数量削減、使用目的の限定、そして爆弾テロなどで使用される人間と判別が難しい「人近似ロボット」を禁止した「ニュー・ジュネーブ条約」(正式名・軍事ロボット制限及び高次機能を有する人近似ロボット禁止条約)が調印された。
この条約の21条は、特に「ジュネーブ・コード」と呼ばれ、「人近似ロボット」に関しては、姿形を人間に似せることを禁止するだけでなく、人間の精神を尊重するためということで「精神的高次機能を有する人工知能」研究開発の禁止も盛り込まれ、新世界の新たな倫理を作り出すこととなる。
技術大国を自負する日本のロボット開発会社も世界市場を席巻するが、リーディングカンパニーであるAMADA社が、アメリカのベルゲン社を相手取った先端ロボット技術に関する国際特許の法廷闘争に敗れると、シェア争いのトップから転落してしまう。
2080年。AMADA社を擁する日本のロボット産業はアメリカに敗れ、世界“第二位”のシェアに甘んじているのであった。
●設定資料『渋谷・六本木・お台場』
渋谷:
頭上にそびえたつ上層都市の下で、スラム化した下層都市が形成されている。今も東京湾で拡充工事が続けられている大堤防によって、水没や侵食の危機は逃れているが、時代からは取り残されたような古い建物が立ち並び、上層都市への立ち入りを許されない貧困層の人々が生活している。
六本木:
内務省治安部隊とレジスタンスの勢力が拮抗する地区として、過去に激しい戦闘が幾度も繰り返されている。かつて建設されたショッピング施設や高層マンションは、地下鉄などに流れ込んだ水により土台部分が脆くなって倒壊の危険性が高くなっており、ほとんど人は住んでいない。
六本木
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お台場:
もともと埋立地であったため、海面上昇でいち早く被害を受け、予算不足に悩む政府は有効な対策を立てられず、法的には水没地区に指定される。海面から突き出た建築物に一部、人間が住み着いた場所があるものの、無人の廃墟群が連なっている。貨物船の運航ルートのみ、建物の撤去など整備が行われている。
お台場
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堤防内部
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首都高:
20世紀半ばから首都東京に建設されてきた、長さ300kmを超える高速道路。部分的に崩落するなど、もはやかつての威容はなく、無残に打ち捨てられている。2030年代には上層都市建設反対派のテロによる爆破事件なども多発し、本来の交通インフラとしての機能を失っていた。
上層階:
地球温暖化などによる海面の上昇から首都東京の主要機能を守るべく、2030年頃から建設が開始された。他の先進国同様、上層都市への移住を許されない多くの貧困層の激しい反対運動の中、日本政府は強権を発動して計画を断行。急成長を遂げたロボット産業が工事に総動員され、2080年現在でも都市基盤の拡充
は行われている。
●下層(スラム)について
日本の下層スラムには政府からの最低限の食料配給により難民同然の人々が細々と暮らしている。
治安は非常に悪く、廃品回収や売春、賭博、密輸、闇市といった犯罪が横行し、一般人でさえ自衛のための銃を所持する者が大半となっている。また、ここに居住する者は原則として上層都市への立ち入りを厳しく禁じられ、治安維持部隊のロボットたちの厳しい監視を潜り抜けることはほぼ不可能とされている。
「Binary Domain世界観設定資料」
●年表
・2000年 天田洋二誕生
・2012年〜 地球温暖化などによる海面の上昇が深刻化
世界各地で多数の難民が生まれてしまう
・2020年 過酷な環境下での上層都市建設に向けロボット産業が活発化
・2030年 日本国内で天田洋二がロボット開発会社「AMADA社」を設立
・2033年 日本国内に新たな政治勢力であるニューオーダーズが台頭
強力なリーダーシップによる日本の上層都市プロジェクトを展開していく
・2034年 スラム化した日本の下層都市に反政府レジスタンスが発生、武装闘争を開始。これに対し、ニューオーダーズは秩序回復を強化するべく内務省を設立した
・2035年 AMADA社からロボットすべてのAIに組み込む基本OS技術が産業スパイに盗まれる
・2038年 アメリカのベルゲン社がロボットの基本OSを発表。ロボット産業における世界のシェアを握り急成長
・2039年 AMADA社がベルゲン社に対して国際特許裁判所に訴えるが、敗訴
・2040年 ニュージュネーブ条約成立
その第21条はジュネーブコードと呼ばれ、ロボットの人間化を規制
加盟国の遵守を監視する役割からIRTA(国際ロボット技術機構)設立
・2047年 ダン・マーシャル誕生
・2080年 天田洋二にジュネーブ・コード違反の疑い。その身柄を拘束するべく、IRTAは潜入査察部隊「ラストクルー」へ密命をくだした……