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ニンテンドーDS向けのコンテンツ配信サービス「DSvision」の発表会開催。その仕組みや今後の展望などをレポート
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DSvisionは,本,コミックなどの書籍や,アニメ,映画といった映像を含む,さまざまなコンテンツをNDS向けに提供するというもので,2008年3月6日にダウンロードサービスが開始される予定。
今回の発表会では,NDSユーザーにとって気になるであろうDSvisionの仕組みや,今後の展望などが紹介されていたので,ざっくりとレポートしよう。
コンテンツ制作代行からダウンロードサイトの運営まで
トータルなサービスを提供
まず最初に大日本印刷の常務取締役 市谷事業部長である西村達也氏がステージに上がり,挨拶した。同氏は,大日本印刷が,am3の第三者割当増資を2007年9月に引き受けるなどし,同社株式の56.3%を取得,筆頭株主になったことを説明。今後は,DSvisionで配信するコンテンツの制作代行から,コンテンツ販売サイトの運営まで,トータルなサービスを提供するとした。
次に,am3代表取締役社長の竹内裕司氏が登壇し,「NDSは,新たなコンテンツプラットフォームとして大きな注目を集めています。DSvisionは,よいコンテンツあってこそのビジネス。コンテンツホルダーの皆さんがお持ちのコンテンツをぜひ提供してください」と述べていた。
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両氏の挨拶に続き,am3の専務取締役を務める澤居大介氏と,J-WAVEのDJなどとして知られるショーンK氏がステージに上がり,DSvisionの概要やサービス提供の仕組み,今後の展望などが紹介された。
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澤居氏は,国内におけるNDSの販売台数が2000万台を超えていることや,NDSが幅広い年齢層に使用されていること,“ゲーム以外”の作品の販売数がこの1年間に約4.4倍になっていることを指摘し,コンテンツを楽しむためのプラットフォームとしてNDSは「最強」であると述べた。
次に,DSvisionで使用されるmicroSDカードが「最小」のメモリカードであり,2007年6月以降は販売シェアでトップに立っていることが紹介された。説明によれば,2GBのmicroSDカードに収められるコンテンツの量は,以下のとおりだ(いずれも参考数値)。
・書籍……4000冊
・コミック……200冊
・映画……16本
そして澤居氏は三つめの「最大」について,DSvisionを日本最大の“コンテンツメガストア”に育てることを目標に掲げていると説明した。ちなみに同社は,2008年3月のサービス開始時点で300以上のタイトル提供を目指しており,その数を同年度中に1000,2009年度中に3000,そして2010年度中に1万以上に増やしていきたいとした。
NDSでコンテンツを楽しむまでの手順
それではここで,澤居氏によって説明された,コンテンツをダウンロードし,NDSで楽しむまでの手順を紹介しよう。
NDSのほかに,DSvisionのサービスを利用するために必要となるものは,以下のとおり。
・コンテンツをダウンロードするためのPC
・DSvision microSDカード(専用のmicroSDカード)
・microSD リーダーライター
・DSvision アダプター(microSDカードをNDSに接続するためのアダプタ)
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なお,ダウンロードしたコンテンツをPC上で管理するためのソフト「DSvision コンテンツラック」が提供される予定となっている。
ここで澤居氏は,実際にコンテンツを閲覧する様子をデモンストレーションした。「DS Photo Viewer」は,microSDカード内に格納されている画像データを閲覧するためのソフト。ちなみにDSvision microSDカードは,デジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話のメモリカードとしても使用可能だ。
このソフトでは,画像の拡大縮小や回転,タッチペンでの編集なども行える。NDSの赤外線通信機能を用いた画像の交換も行えるようになるとのこと。
続いてサンプルとして,ルーブル美術館の所蔵作品を見られるコンテンツと,夏目漱石の「坊っちゃん」が紹介された。いずれも今回の発表会向けに作成されたものとのことだが,前者には絵画以外に,パズルや美術関連のクイズといったコンテンツも盛り込まれていた。後者では,文字フォントを変更したり,本を朗読した音声が流れたりする様子が確認できた。
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次に澤居氏は,配信用コンテンツの制作体制について説明した。各コンテンツホルダーは,大日本印刷とam3が提供する各種ツールを用いてコンテンツ制作を行えるほか,両社に制作を代行してもらうことも可能。そのほか,配信までに必要となるさまざまな作業や手続きについて,サポートを受けられるとのことだ。
DSvision成功の鍵は専用機器の普及
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質疑応答の中で,コンテンツの価格について,両社は携帯電話向けコンテンツと同等の価格帯にしたいと考えており,高くても1000円ほどで購入できるようなコンテンツを中心に集めていくと説明した。決済方式には,クレジットカード払いなどを採用するとのことだ。
上で述べたように,コンテンツのダウンロード販売は2008年3月に開始される予定。それに先立ち,1月には「テスト販売」として,あらかじめコンテンツが収録されたmicroSDカード,DSvision アダプター,microSD リーダーライターのセットを3980円(税込)で販売する計画だ。
次に西村氏は,大日本印刷は明治8年の創業以来,出版文化の形成に関わってきたと説明。NDSを通じ,新しい出版文化を築き上げられると確信したことが,am3の第三者割当増資を引き受けた理由の一つであると述べた。
また黒川氏は,DSvisionでゲームの配信を行わないことについて,任天堂のメインのビジネスであるゲームというジャンルを侵食しないためであるとした。
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これは裏を返せば,NDSが広く普及していることがそのままDSvisionの成功につながるわけではなく,DSvision アダプターなどの専用機器がNDSユーザーに浸透するかどうかが,重要なポイントであることを意味する。
このことについて澤居氏は,専用機器の販売ではなく,コンテンツ販売で収益を上げていきたいと述べ,そのための施策として,専用機器を安価で販売することや,会員制サイトでの配布といったことが考えられると説明していた。
専用機器の普及がDSvision成功の前提となっていることは確かだが,そのためにはユーザーにとって魅力的なコンテンツが数多く提供される必要がある。サービスの開始に向け,各種コンテンツホルダーの動向にも注目したい。
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