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インディーズゲームの小部屋:Room#153「L’Abbaye des Morts」
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印刷2010/09/29 10:30

連載

インディーズゲームの小部屋:Room#153「L’Abbaye des Morts」



画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / インディーズゲームの小部屋:Room#153「L’Abbaye des Morts」
 「インディーズゲームの小部屋」の第153回は,レトロ感あふれるグラフィックスと単音BGMが,オールドゲーマーのハートをくすぐりまくりの横スクロールアクション「L’Abbaye des Morts」を紹介する。本作を開発したのは,本連載の第138回で紹介した’80年代風横スクロールシューティング「Hydorah」を制作したLocomalitoだ。

 時は13世紀のフランス,カトリック教会から追われるカタリ派の宣教師Jean Raymondは,追っ手から逃れるため古びた教会に身を隠した。しかし,その教会の地下には,古代の邪悪な存在が今なお息を潜めていたのだ。果たしてRaymondは,この教会から無事逃げ延びることができるだろうか……。

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 というのが,本作のストーリー。どうにもこうにも,弱り目に祟り目というか,踏んだり蹴ったりなRaymondを操作して,この教会から脱出するのがゲームの目的だ。外に逃げたところで,結局追われる身であることに変わりはないのだが,身もふたも無いのでそれは言わない約束だ。

 Raymondの操作には,方向キーのみを使用する。方向キーの左右で移動し,上を押すとジャンプするというのは説明するまでもなく分かるだろうが,方向キーの下を押すと身をかがめ,さらにその状態でも移動できるという点には注意したい。ゲーム中には,いくつか匍匐前進で進まなければならない場所があるので,覚えておこう。

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 本作の大きな特徴は,ノスタルジーを感じさせるご覧のとおりのレトロなグラフィックス。ゲーム全体で16色しか使われておらず,キャラクターのスプライトも単色という,往年のMSX用ゲームを彷彿とさせるグラフィックスに胸キュンせざるを得ない。また,単音で奏でられる不気味で重苦しいBGMも,MSX世代のオールドゲーマーの心を鷲掴みにしてくれる。まあ大体,自分のことなんですけどね。

 主人公のRaymondは武器を一切持っておらず,びっくりするくらいの虚弱体質の持ち主だ。剣を持ったガイコツのように,いかにもヤバそうな相手はもちろん,ネズミやクモ,さらには天井から滴る水滴に触れただけでもすぐに死んでしまう。要するに,自分以外の動くものには一切触れてはならないわけだ。すべての障害物は,タイミングを見てすり抜けるか,ジャンプで飛び越えていくしかない。

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 教会から脱出するには,全部で12個ある十字架をすべて集めなければならないのだが,Raymondの虚弱体質と一切武器を持っていないことが災いして,これがなかなか難しい。ジャンプしかできない主人公を操って,モンスターだらけの屋敷の中からアイテムを集めていくレトロゲームといえば「Jet Set Willy」が思い浮かぶが,どうやら作者もそれを意識しているようで,ゲームの雰囲気には似たところがある。


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 ところで,「Jet Set Willy」には個人的にさまざまな思い出があるのだが,一つ言いたいのは,ハドソンから発売された同作のMSX版に使われていたBEEカードって一体何だったんだろうということ。
 BEEカードというのは,PCエンジンで使われたHuカードによく似たカード型の記録メディアで,ハドソンから発売されたMSX用ゲームに広く使われていた。しかし,MSXには当然そんなカードの挿入口はないので,結局BEEパックという別売りのカートリッジにBEEカードを挿してMSX本体に装着していたのだ。子供心に,「これって何だかカッコイイけど,あんまり意味はないよね」と思ったのを,今でも昨日のことのように思い出せる……。

 とまあ,そんなヨタ話はともかく,レトロゲームファンならば本作をプレイしているうちに,あれやこれやの思いが胸に去来すること間違いなしのゲームであるということが言いたかったのだ。本作は,同じ作者による「Hydorah」と同様,公式サイトにてフリー公開されているので,画面を見て急に’80年代当時の記憶が蘇ってしまったりした人はぜひ一度お試しを。

■「L'Abbaye des Morts」公式サイト
http://www.locomalito.com/juegos_abbaye_des_morts.php

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