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Access Accepted第150回:「Manhunt 2」が巻き起こした波紋
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印刷2007/11/16 12:07

連載

奥谷海人のAccess Accepted

 10月末にリリースされたばかりの「Manhunt 2」に絡んだニュースや批判を,ゲームとは関係のないメディアでもよく見かけるようになった。とはいえ,それらはゲームの内容というより,暴力表現の議論のために利用されているだけという印象を受けてしまう。今回は,Manhunt 2に絡む事情をまとめて紹介しよう。

Access Accepted第150回:「Manhunt 2」が巻き起こした波紋
暴力ゲーム談義を復活させたManhunt 2のリリース

 フィンランドで,自分の通う高校で銃を乱射して8人を殺害し,また犯人自らも命を絶つという事件が起きた。この18歳の犯人は,犯行におよぶ直前に,YouTubeで犯行予告となるビデオを公開していたことで知られているが,犯行直前の明け方まで「Battlefield 2」をプレイしていたこともニュースとなり,ゲーム業界にも火の粉が飛んできた。

 アメリカでは,2007年4月に死者32人(自殺した犯人を含めると33人)という大惨事に発展したバージニア工科大学での銃殺事件が起きている。「ゲームが暴力の引き金になる」ことの真偽はともかく,依然として,暴力的な事件が起きるたびに犯人とゲームを結びつける傾向が強い。

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すったもんだの末に18歳以上の購買者に限定される「AO」レーティングを逃れ,「M」レーティングで発売されたManhunt 2。このゲームの真似をした事件が起き,ゲーム業界やESRBの権威失墜に結びつかないように願うばかりだ

 そんな中,今アメリカで話題になっているのがRockstar Gamesが2007年10月末にリリースしたばかりの「Manhunt 2」である。この作品の前作にあたる「Manhunt」は,猟奇的な殺人をビデオに収めるというゲームで,あちこちでその暴力性が批判された問題作だ。ゲームの内容は,「Access Accepted第3回: 浸透してきた大人向けゲーム」でお伝えしたこともあるが,一般的なプレイヤーの感覚であれば猟奇的なテイストに後味の悪さが残るゲームであった。

 Manhunt 2は,もともとRockstar Gamesのオーストリア支部であるRockstar Viennaで2004年から開発が進められてきたプロジェクトであり,発売以前から各所でリリースが問題視されていた。イギリスで起きた殺人事件で,17歳の犯人がManhuntに熱中していたという事実が法廷で議論されたことからか,新作の存在が明らかになった2007年6月には,その内容を調査しないまま同国での発売禁止が決まっている。それに続いて,アイルランドやオーストラリアでも,販売/輸入中止が各政府機関によって報じられるなど,発売前の風当たりの強さはかなりのものだった。その後,Rockstar Viennaのオフィスが,資金繰りの悪化から閉鎖されている。

 アメリカにおいては,反ゲーム弁護士として知られるJack Thompson(ジャック・トンプソン)氏が批判の先頭に立っていたが,Rockstar Gamesの親会社Take-Two Interactiveは,Thompson弁護士の介入を防ぐ目的で,「表現の自由への侵害だ」という主張を裁判所に提出し,公的に意見させないような処置をとった。

 アメリカでゲームソフトの対象年齢を審議する任意団体,ESRBでのアルファ版やベータ版の評価も芳しくはなく,当初はポルノ映画と同じ,18歳以下では購入が禁止される「AO」レーティングになる予定だった。だが,Rockstar Games側はゲームの処刑シーンにモザイクを入れるなどして対処をし,17歳以上から買える「M」レーティングを取得して発売したのだ。

 

メディアへの露出度合いに反比例する,
ゲーマー視点の冷たさ

 このようなゲームに対する評価というものは,それを実際にプレイするゲーマー達とは関係のない次元の話でしかなく,「なぜそこまで規制をしなければならないのか」と疑問に感じる人もいるだろう。

 この原稿の執筆時点では,Manhunt 2が発売されてから,まだ2週間ほどしか経過していないため,実際にアメリカ人ゲーマー達の評価や感想をここで書くのは難しい。ただ,筆者がPlayStation 2版をプレイしてみたところ,ストーリー面でも暴力的なアクションシーンでも全体的に水で薄められたような感じになっているのは間違いない。“過激さ”の表現がゲーム的になり過ぎていて,子供には不向きだが大人の満足度も低い,というような中途半端な出来だ。

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見るからに痛そうなエゲつない処刑シーンもあるManhunt 2。だが,ある意味,問題提起とも取れた,前作のエッジの効いた感覚はなくなったように感じた

 前作とは異なり,Manhunt 2のPC版が出ないのは,「Grand Theft Auto: San Andreas」で起きた“Hot Coffee”事件のように(関連記事),プレイヤーがコードを改ざんしてしまう可能性を根本的に排除するためだろう。Manhunt 2で,猟奇的な処刑シーンにかけられたモザイクを取り除くようなMODがリリースされなければ,MレーティングでManhunt 2をリリースすることに問題ない,とRockstar GamesがESRBを説得したのかもしれない。

 そんな冷めた雰囲気のManhunt 2だが,普段はゲームについて報道しないようなテレビ番組や新聞などでも,何かと取りあげられているのが,アメリカの現状である。とはいえ,その内容といえば,大型量販店のTargetがManhunt 2の販売を見送ったとか,カリフォルニア州の議員が批判したといったもので,Manhunt 2が暴力ゲームそのものの象徴として取り上げられているような印象を受ける。

 別に目新しいことでもないが,暴力ゲームというレッテルだけが一人歩きして,周囲の人々がゲームの中身も知らずに騒いでいるだけなのだ。このゲームの内容やストーリーが人々の記憶に留まるのではなく,「21世紀の始めに暴力ゲームとして話題になっていた作品」の続編くらいのイメージでしか残らない運命にあるのだろう。

 もちろん「表現の自由」を盾に,どんな内容のゲームを作ってもいいというわけではない。だが,内容もろくに知らず,あるいは知ろうともせず,その話題性の高さだけを視聴率/部数稼ぎに利用するというのは,ゲームが文化として発展していくための足枷といえるだろう。批判をするのであれば,借りてきた言葉を横流しするのではなく,自分で感じとったものを咀嚼した上でするべきだ。

 とはいいつつ,メインストリームのメディアが過剰に取り上げることは,Rockstar Gamesとしては織り込み済みの戦略かもしれない。メディア側はRockstar Gamesの“話題作り”に利用されているだけ,というのは言い過ぎだろうか。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。大雨の中で行われた,10歳の娘が所属するサッカーチームのリーグ最終戦に,ディフェンス担当コーチとしてライン際に立った奥谷氏だったが,雨脚が激しくなるに連れて,自分だけが傘をさしているのが申し訳なくなり,後半は選手とともにずぶ濡れになって指示を出していたそうだ。結果は負けだったが,選手達との一体感を勝手に感じて満足していたらしい。もっともチームの中で奥谷氏だけが風邪を引いてしまったとのことで,気持ちは子供達と一緒になれたようだが,残念ながら体はついていけなかったようだ。

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