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ゲームやホビーの未来をちょっと先取り?「第20回 3D&バーチャルリアリティ展」開催
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今年の出展で目についたこととして,3D計測や出力のための機器が多く展示されていたことが挙げられるだろう。立体視映像の出力機器はひと段落した感じだろうか。
●doremo3D
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凹面鏡を介すことで,平面ディスプレイにはなかった右目と左目の視差が発生し,それを脳が立体画像として認識するとのこと。とはいえ,視点からの距離と視差量が関連するわけでもない。理屈でいえば立体に見えるはずはないのだが,実際に見るとなぜか立体感が感じられる。不思議だ。
反射させたものを見るため,機材の配置に制限が出るので用途は限られるだろうが,完全に裸眼で臨場感のある映像が楽しめるというユニークなアイデアといえるだろう。
●ズーム対応立体視撮影アダプタ
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そういった問題を解決する簡易アダプタのプロトタイプが展示されていた。
基本的なアイデアとしては,ミラーを組み合わせて左右の画像を上下に配置,かつ画面中心に対して点対称になるようにして記録する。これにより,ズームを用いても立体視の状態が破綻しないようになるという。
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撮影後のデータ加工が必要にはなるものの,一般的なデジカメやビデオカメラ,スマートフォンなどで手軽にズームを使った立体視撮影が可能になる。撮影の制限が減ることで立体視撮影が普及していくことに期待したいところだ。
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●モジュール型リアプロジェクタMicroTiles
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映像信号はカスケードで隣のディスプレイに順繰りに回しているだけなので接続はかなりシンプルであり,隣のモジュールとは赤外線通信でやり取りを行うため,キャリブレーションなども一度にできるという。原理上,どうしても継ぎ目は見えるのだが,この製品の場合は1mmとのことで,最小限と言っていいのではないだろうか。
民生用ではないのだが,壁いっぱいに積んでみたいディスプレイではある。
![]() 曲線状に配置することも可能 |
![]() 1台1台はブロックのようなモジュールになっている |
●低価格VRシステム
日本バイナリーが展示していた,ソニーのヘッドマウントディスプレイHMZ-T1を用いたVRシステム。同社のバーチャルリアリティツールキットVizardとKinectを組み合わせた,VRの体験版のような構成となっている。HMZ-T1には,ジャイロセンサーモジュールが取り付けられており,装着者の頭部の動きに反応して視界が変わるようになっている。
ほとんど民生機器で構成されているので,同様のシステムをゲームに使うのも無理ではないかもしれない。
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低価格化が進む3Dプリンタ
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さて,3Dプリンタとは,立体物を出力してくれる機器である。過去に何度か紹介したこともあるZ-Printerの場合,インクジェットプリンタで糊(バインダ)とインクを吹き付け,その上に薄く粉末を載せて積み重ねていくことで立体物を形成する。粉を固めるタイプなのでちょっと脆いとか,粉の影響で色がやや薄くなるといった難点はあるが,フルカラーの立体物を一発で形成できるのが特徴だ。
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今回目立ったのは樹脂による3Dプリンタだ。なかでもBFB 3D TOUCHシリーズは,高級品より精度は落ちるものの,35万円からの製品が出展されていたのが目を引いた。1ノズルタイプが35万円,2ノズルタイプが38万7000円。
2ノズルあると,2種類の樹脂が使えるというのがミソだ。材料にはABS樹脂とプラスチックがあり,これらは互いにくっつきにくいので,片方をサポート材にすることで,いくつもの部分に分かれているような複雑な構造の造形も出力できるようになるのだ。3ノズルタイプ(42万5000円)も用意されており,違った色の樹脂を同時に使った造形も可能になっている。
参考までにランニングコストは,樹脂が1kgあたり1万2000円なので,100g弱のものだと1000円ちょっとの原価で製作できることになる。
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表面がきれいに仕上がる高精度のタイプになると500万〜1000万円コースになるので,「フィニッシングは自前で行うので,とにかく安いものを」という需要に応える製品と考えるのがよいだろう。
とにかく,数百万円は当たり前だった3Dプリンタがこの値段にまで下がってきたのは画期的といえるだろう。この調子なら,あと数年でパーソナルな機器が出てくる可能性もあるかもしれない。
![]() 単色の出力でも表面加工をすることで着色は可能。これはデカールのようなフィルムを貼り付けている |
![]() こちらもかなり安い68万円の3Dプリンタ。3D TOUCHよりは表面の状態がよさそうだ |
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チタンというと軽くて丈夫ということで,むしろ硬すぎて加工が難しいことでも知られているのだが,それが自在な形状に形成できるのだ。話を聞くと,チタンというのは,むしろこのプリンタでは扱いやすい材料だそうで,アルミなどのほうが困難なのだという。というのも,金属粉末に電子ビームを当てて整形するため,アルミでは爆発の危険が高いのだとか。比較的安定なチタンにしても直径40ミクロン以下の微粒子は扱えないとかで,金属材料には独特の課題もあるようだ。
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その他の出展物
グローバルウェーブのPic3D-IIは,iPhone用の液晶保護フィルムなのだが,同時に立体視を可能にするというもの。専用アプリを使うことで,YouTubeなどで提供されている立体視対応コンテンツを再生できる。視差量はちょっと少なめなものの,iPhoneを手軽に(?)立体視対応にすることが可能だ(貼るのはそれなりに難しそうだ)。レンチキュラータイプなので,(3Dコンテンツ以外の)通常使用で影響が出そうな気もするのだが?
![]() Pic3D-IIの特徴 |
![]() 立体撮影ビデオカメラの映像をiPhoneで見ているところ |
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今回は表示デバイスで目新しいものが少なく,ゲームとの関連はいまいち薄い内容が多かったのだが,業務用機器での動向はいずれ民生用機器にも関係してくることは少なくない。とくに3Dプリンタなどは今後のホビーの方向性にも影響を与えるかもしれない。今後もVR業界の動きに注目してみたい。
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![]() これもポータブル3Dスキャナの実演 |
![]() こちらは,なんと10万円のレーザー式3D計測システム |
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3D&バーチャル リアリティ展公式サイト
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