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[インタビュー]“自立するぬいぐるみ”で推し活をもっと楽しく。新ブランド「てちぬい」開発者に聞く,並々ならぬこだわり
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印刷2025/12/20 08:00

インタビュー

[インタビュー]“自立するぬいぐるみ”で推し活をもっと楽しく。新ブランド「てちぬい」開発者に聞く,並々ならぬこだわり

 2025年12月26日より,プライズ商品として順次展開されるタイトーの新ブランド「てちぬい」シリーズは,手のひらサイズの小さなぬいぐるみだ。

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 「てちぬい」の最大の特徴は“自立するぬいぐるみ”である点で,推し活をはじめ,日々の生活をともに楽しむパートナーとして連れ歩きやすいよう工夫されているという。また,自然体で寄り添える存在を目指し,随所に気遣いやアイデアが盛り込まれているのが魅力らしい。


 今回は,「てちぬい」の企画者であるタイトー MD事業本部の伊藤氏に,コンセプトや開発に込めた思いを聞いた。

「てちぬい」企画担当 伊藤氏
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自立が魅力の「てちぬい」
軽くて安定する新しい工夫


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。まずは,「てちぬい」シリーズ全体のコンセプトについて教えてください。

「てちぬい」企画担当 伊藤氏:
 「てちぬい」シリーズ一番のポイントは“自立すること”です。自立することで写真が撮りやすく,今人気の“ぬい活”もしやすくなります。お顔の比率なども,ファンの方が一番喜んでくださる形を追求しました。

 「こういう子がそばにいたら嬉しいな」「一緒にお出かけしたくなるな」という気持ちに寄り添えるように,新しい工夫をたくさん詰め込んだブランドになっています。初の試みも多かったのですが,長く大切にしていただけるよう,細部までこだわりました。

4Gamer:
 やはり“自立すること”は大きなこだわりなんですね。

伊藤氏:
 はい。普段自分も推し活をしているので,カフェなどでご飯と一緒にぬいの写真を撮るときに,寄りかけたり寝かせたり,スタンドを使ったりして撮影することもありますが,やっぱり自然に立ってくれると,それだけで“そこに存在している”感じがして,とても良いんですよね。
 ぬいぐるみの柔らかさはそのままに,自力で立ってくれるところを目指しました。

4Gamer:
 今,手に取ってみましたが,とても軽いですね。脚の部分に重りのチップが入っているのに,重量をあまり感じません。

伊藤氏:
 そうなんです。自立のための仕掛けは,重くならないよう工夫しています。少し形を整えてあげると,すっと立ってくれますよ。

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4Gamer:
 それに,サイズもほどよいです。もっと大きいかと思っていたのですが,手のひらに隠れるくらいなんですね。「今からぬいぐるみを撮ります!」という雰囲気を出さずに,さっと出して撮れるのがとても良いと感じました。
 少し気恥ずかしかったり,「流れ的に違うかな」と思って撮らずに終わってしまったりした経験もあります。

伊藤氏:
 これは気軽に連れて行けて,さっと出しやすいですよ。最近はぬいポーチに入れてバッグに付ける方も多いので,そのサイズに収まるよう,あえて小さめにしました。

4Gamer:
 キーホルダーにもできるんですね。

伊藤氏:
 はい。カラビナやボールチェーンなど,お好きなパーツを付けられます。
 以前はぬいを付ける器具としてボールチェーンが主流でしたが,外れて失くしてしまう方も多くて……。最近はカラビナ派が増えています。イベントでは特に外れやすいので,好きなパーツを付けられる仕様仕様にしました。

4Gamer:
 ぬいを失くすのは本当に悲しいですもんね。では次に,「てちぬい」を“2等身”のバランスにした理由,デフォルメのこだわりについて教えてください。

伊藤氏:
 最近は“写真映え”を意識される方が多いので,思い切ってデフォルメ寄りにしたんです。等身に近いデザインだと,アクリルスタンドのほうが見栄えが良くなる場合もあって……。ぬいぐるみならではの“デフォルメの可愛さ”が一番映える形を考えました。

 ちょっと仕事中にデスクに置いて癒されたり,一緒に生活したり,勉強を見守ってくれたりもするので,そうした世界観にも合う2等身バランスだと思います。

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入社間もなく“欲しいもの”を提案
「てちぬい」誕生のきっかけ


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4Gamer:
 企画の出発点はどこにあったのでしょうか。

伊藤氏:
 私は入社2年目なのですが,最初の年に配属されたのが,いわゆるMD部門――プライズ商品を作っている部署でした。

 弊社はフィギュアのイメージが強く,クオリティへのこだわりや,抱えているブランドも多い一方で,比較的ぬいぐるみブランドが少なくて。社内では新しいブランドを作っていこう,という気運があったんです。

 私はオタクなので(笑),自分が“本当に欲しいもの”を書いて企画提案しました。そのなかに“自立するぬいぐるみ”のアイデアがありました。

 人型で自立するプライズ商品はまだ多くありません。これをブランド化したら,きっとファンの方が喜んでくれるだろう,という話になりまして……。そこから約1年半かけて,ようやくブランド化にこぎ着けました。

4Gamer:
 自分が欲しいと思ったものを企画として出したら,結果として社内の意図とニーズにも合致していたと。

伊藤氏:
 はい,そうですね!

4Gamer:
 今回の企画には,伊藤さんご自身の“推し活経験”も生きているのでしょうか。

伊藤氏:
 はい。私自身ずっとオタクを続けてきたので,その経験は今回の企画にも大きく影響していると思います。
 実は,「てちぬい」の企画提案をしたのも入社して半年ほどのころで,まだ先輩方に教わりながら仕事を覚えている段階でした。ただ,「やる気があれば任せてもらえる」という社風のおかげで,挑戦する機会をいただけました。

4Gamer:
 伊藤さんが最も好きなグッズは,「ぬいぐるみ」なんでしょうか。

伊藤氏:
 はい! チェキやアクスタもよく集めていますが,昔から好きなのはやはり「ぬいぐるみ」です。

 ファン目線でも「手のひらサイズのぬいは一番汎用性が高い」と感じていましたが,社内アンケートでもこのサイズが最も人気という数字が出ていて。「自分も欲しいし,きっとファンの皆さんも欲しいはず!」という思いで企画を進めました。

 ぬいは持ち運びやすく,写真映えしやすくて,自己表現にもなる。SNS全盛の今,ファン活動との相性が本当に良いんですよね。最近はブランドバッグにぬいを付けて撮影される方も多く,オシャレアイテムとしての広がりも感じています。

 社内には,アニメ,2.5次元舞台,地下アイドル,バンド,VTuberまで,多種多様なジャンルの“オタク”がいるんです。だからこそ,「この作品の魅力はここで,こんなところがファンの方の心にささっているよ」など,日常的に情報交換できて,非常に心強い環境だと思います。オタクが多い会社って,本当に強いですね。

4Gamer:
 環境的にも,アイデアが生まれやすそうですね。

伊藤氏:
 ぬいぐるみを撮影して楽しむ「ぬい撮り」も広がっていて,バッグにぬいをつけてお出掛けしている方もよく見ますよね。“痛バ”にぬいを組み込んでいる人もいます。自分が“誰を入れているか”がそのまま自己紹介のようになり,ファン同士がつながりやすい点も魅力だと感じています。

4Gamer:
 推しの対象は,今ますます広がっていますよね。

伊藤氏:
 そうですね。グッズも推しているジャンルによって人気の商品は変わると思いますが,今回はニーズをしっかりとらえられているのではないかと。弊社のアンケートでも,ぬいぐるみは2年連続で人気1位です。

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4Gamer:
 伊藤さん自身,普段はどんな“推し活”をされているのですか。

伊藤氏:
 ここ最近は「ジュリアナの祟り」というバンドにハマっています。私は現場が好きなので,ライブやイベントにもよく足を運んでいますね。公式グッズにぬいぐるみがないため,自分で手作りして連れて行くこともあります。
 これまでアニメやアイドルなど,さまざまなジャンルを渡り歩いてきた,いわゆる“雑食系オタク”ですね。


第1弾に「忍たま」を選んだのは,
相性の良さと根強い人気


4Gamer:
 シリーズ最初の題材が「忍たま乱太郎」になったのは,どのような経緯だったのでしょうか。

伊藤氏:
 弊社で展開している「忍たま乱太郎」フェイスバッジのデザインが“とても可愛い”と多くのファンの方から好評だったので,フェイスバッジのデザイナーさんと相談し,「このデザインで『てちぬい』シリーズを作るのはどうでしょう?」という話になりました。
 「忍たま乱太郎」は今も根強いファンが多く,ぬいぐるみを“集めたい”という層のニーズにも合います。

「忍たま乱太郎」のフェイスバッジ
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4Gamer:
 ターゲット層との相性もよかったんですね。

伊藤氏:
 はい。「てちぬい」シリーズは幅広い層の女性を意識したブランドで,「忍たま乱太郎」も子どものころに見ていた世代から,映画をきっかけに好きになった若い女性まで,親しまれている作品です。認知度も高く,第一弾として多くの方に手に取っていただけるのではと。
 フェイスバッジも本当に人気で,「これに体も付いたらかわいいだろうな」という声をいただいていたこともあって。今回の企画に踏み切る後押しになりました。

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4Gamer:
 この子たちがお料理の隣にいる姿を想像すると,ほっこりします。デザインを「てちぬい」仕様に落とし込む際,こだわったポイントはありますか。

伊藤氏:
 デザイン自体はフェイスバッジのデザイナーさんが引き続き担当しています。私はブランドのプロデューサーという立場なので制作はしていませんが,聞いた話では,お顔の比率や口の位置,目の大きさとその配置など,シリーズ全体で特にこだわった部分だそうです。

 「てちぬい」シリーズのかわいい特徴をベースにしながらも,「忍たま」キャラらしい目の輪郭や雰囲気はしっかり残し,絶妙なバランスを作ってもらっています。
 しんベヱくんのほっぺなど,キャラごとの“微妙な違い”も丁寧に表現していて,このあたりはデザイナーさんのこだわりが光っています。

4Gamer:
 髪の毛の質感や触り心地も印象的です。

伊藤氏:
 髪の毛はふわふわの生地を使っていて,触り心地にもこだわりました。また,弊社のほかの自立型ぬいぐるみのように“固いプラスチック板”は入れていません。ビーズの柔らかさを損なわずに,しっかり自立できるよう工夫した仕様になっています。

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4Gamer:
 本当に軽くて,柔らかいですよね。我々オタクのカバンは大抵重いので,軽く作られているのはありがたい……!

伊藤氏:
 なるべく負担にならず,でも“立つ”というこだわりは外さないようにしています。基本的にはこの小さめサイズで,持ち歩きやすく撮影もしやすい仕様です。

 足の部分を少し揉んで整えて,軽くトントンとゆすって重心を下げると立ちやすくなります。髪の毛の重さとのバランスもあるので,キャラによって微調整すると撮りやすくなりますよ。
 “立っている”だけで命が宿ったように見えるので,ぬい撮りも本当に楽しくなると思います!

4Gamer:
 ほかに,「このキャラはここを特にこだわった」という点はありますか。

伊藤氏:
 そうですね。それぞれのキャラにこだわりを詰め込んでいますが,分かりやすいのは,しんべヱや乱太郎の顔でしょうか。同じ作品のぬいでも,出すメーカーさんによって,こういったこだわりには違いがあって面白いですよね。

4Gamer:
 確かに。

伊藤氏:
 乱太郎のメガネやそばかすなど,個性の表現には気を遣いました。前髪があるキャラに対して「細かい前髪の造形が嬉しい」と喜んでくださっている声をネットで見かけて,デザイナーが細部まで丁寧に作り込んだところを見ていただけているんだなと嬉しく感じています。ファンの方が気づいて喜んでくださるポイントを大切に制作しているので。

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てちくんと共に走った
ブランド立ち上げの道のり


4Gamer:
 続いて,伊藤さんは企画者として,今までにたくさん「てちぬい」の撮影を行ってきたであろう……ということで,おすすめの撮影方法や楽しみ方があればぜひ。

伊藤氏:
 “食べ物と撮る”のがとにかくおすすめです。この子たちはまっすぐ前を向いてくれるので,食べ物を手前に置き,後ろに「てちぬい」を立たせると“食べ物を見ている”ように撮れるんです。視線誘導がしやすいんですよ。

 また,とても軽くて持ち運びしやすいので,普通のぬい撮りのように手で持って撮っていただくのも可愛いです。服を着せるカスタムも楽しめます。サイズが扱いやすく,体の形がシンプルなので,市販の小物や洋服も合わせやすいと思います。。

4Gamer:
 確かに,いま市販の小物も充実していますしね。

伊藤氏:
 それから,自立するため“どこにでも飾りやすい”ので,好きな場所にちょこんと置いて,一緒に生活できるという楽しさがあります。
 たとえば,仕事中のデスクにそっと置いておけば,ふとしたときに視界に入って応援してくれるような感覚が生まれます。サイズも小ぶりなので,カバンに忍ばせて一緒にお出かけすることもできます。

 外出先で撮影して楽しむのはもちろんですが,日常の中に自然に溶け込ませて“生活を共にする”楽しみかたをしていただけると嬉しいです。

4Gamer:
 暮らしのパートナーとして楽しむ「てちぬい」。こんなにかわいい子がそばにいたら,きっと日々が楽しくなります。では次に,製作過程の話も聞かせてください。開発中に苦労した点などはありますか。

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伊藤氏:
 キャラクターをお借りしてブランドに落とし込むので,とにかく“ベストな表情”を作り上げるのが難しくて。何か月もかけて,ずっと社内で議論しながら進めました。

 最初は目の中に星があって,顔全体がキラキラしていたんです。でも「汎用性を考えると,もっとシンプルなほうがいいのでは」という意見が出て,そこから顔デザインを10案以上出して,ひたすら練り直し続けました。

4Gamer:
 10案以上もですか。

伊藤氏:
 とくに口の位置は特徴的で,従来のぬいぐるみは口が下のほうについていることが多いのですが,シリーズとしてのかわいさを保つため,少し上にあげてみたりしています。
 ほっぺの色や位置も,何度も調整しました。鼻の上にチークがあった時期もあったんですけど,印刷の位置がブレやすいのでなくしていて。

4Gamer:
 体のほうはどうでしょうか。

伊藤氏:
 体のプロポーションも,最初はずんぐりした体型だったのを少しシャープにしました。顎が二重顎っぽく見えないよう,顎のラインをぎりぎりまで小さく調整しています。
 顎部分の縫い目の幅が広いとそこが目立ってしまうので,できるだけ見えないようにライン取りをしていて。このデザインに決まるまでは試行錯誤ばかりでしたが,全体の見栄えに関わる部分は,特に慎重に作り込んでいます。

4Gamer:
 縫い目ですか。体型や顔の微調整まで,本当にきめ細やかなこだわりが詰まっているんですね。

伊藤氏:
 そうなんです。縫い目が目立つとどうしても“線”が気になるので,できる限り短くして,ほとんど見えないように工夫しています。ただ,逆にまったくないとそれはそれで輪郭がぼやけてしまう。
 こういう部分が整うと,より“命が宿った”ような印象になるといいますか,手に取った瞬間の雰囲気がぐっと良くなるんです。

4Gamer:
 大量に作る商品ですから,クオリティを合わせるのは難しそうですが……顎の縫い目はすごく自然で気にならないですね。

伊藤氏:
 もうひとつのエピソードとしては……。「てちぬい」には“プロトタイプ(試作品)”があります。この白髪の子がそのプロトタイプで,「てちくん」という「てちぬい」の基本パターンなんです。

 現バージョンのひとつ前の試作では,チークの位置が少しずれてしまって蚊に刺されたみたいに見えるのをどう直すか,かなり話し合いました。また,肌の色味が少し悪く見えてしまう部分もあり,顔色が良くなるよう微調整を重ねましたね。

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4Gamer:
 確かに,そのあたりはぬいの印象に直結しますよね。「てちくん」は改良を重ねて今の形になり,「てちぬい」としての方針も固まっていったということですか。ところで,「てちぬい」という名前はどうやって決まったんでしょうか。

伊藤氏:
 名前にはいくつか意味があって,まずは“手のひらサイズの小さなぬいぐるみ”という意味です。また,このシリーズは“自立するぬいぐるみ”なので,一緒に生活していると“てちてち歩き出しそう”というイメージもあって,その雰囲気も名前に込めています。

 最初は「ちこぬい」など,可愛らしい名前の候補をたくさん出していました。そこから社内アンケートを行い,ぬい活に詳しいスタッフや,日頃から推し活を楽しんでいる社員にも意見を求めたんです。
 その中で「言いやすい」「響きが可愛い」「ロゴの足跡マークとも相性がいい」という理由から,「てちぬい」に決まりました。

4Gamer:
 「てちくん」はブランド立ち上げの象徴として活躍してきたと思うのですが,企画を進める中で実際にどのように使われてきたのでしょう? また,ファンの楽しみ方の広がりについても教えてください。

伊藤氏:
 「てちくん」は,各種イベントやフェアで紹介するために何体も作りました。ブランドのお披露目の場にも連れて行って,「“てちぬい”とはこういうものです」と説明するために,いろいろな場所を一緒に旅しましたね。

 ファンの楽しみ方という点では,チークを自分で足したい方もいますし,最近はぬい用のコスメも売っているので,遊び方の幅がどんどん広がっています。目元にラインストーンを貼ってキラキラにしたり,ラメをのせたり,顔にシールを貼ったり……。
 もちろん「ぬい服」で自分好みにコーディネートする方も多いです。カスタムして育てる楽しさもありますよ。

4Gamer:
 イベントなどで「てちくん」を展示した際,どんな反応がありましたか。

伊藤氏:
 先日開催されたアミューズメント エキスポで,一般向けに「てちぬい」を展示するブースを展開しました。そこで実際に手に取って写真を撮ってくださる方も多く,いろいろなお声をいただきました。

 とくに多かったのは,「思ったより小さい!」という驚きの声です。サイズは10センチほどだと公開はしているのですが,実物を見るとさらにコンパクトで,手のひらにすっぽり収まる感じが可愛いと言っていただけて。
 ほかにも「てちくん自体がすごく可愛い」「名前も可愛い」というコメントをたくさんいただきました。

 それから,Xなどで「てちぬい」のイラストを描いてくださる方もいて……本当に嬉しかったですね。
 “ただのぬいぐるみ”ではなく,身近に親しめる“一緒に生活している存在”だと感じてもらえたらいいなと思っています。

4Gamer:
 魔法少女の横に小さな使い魔がいるように,自分にもそんな可愛らしい相棒がいてくれたら……という願望を抱いたことのある人は,少なからずいるのではないでしょうか。

伊藤氏:
 はい。コンセプト文にも“いのち”という温度感のある言葉が出てきますが,そういった気持ちを込めたパートナーとしても意識して企画しています。

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伊藤氏:
 最近だと,動物のぬいぐるみに人格を与えて,まるでその子自身がSNSを運用しているような“ぬいアカウント”を作っている方も増えてきていますよね。
 「てちぬい」は,そうした“ぬいに命を吹き込むように楽しむ”文化ととても相性がいいと思っています。


まだまだ広がる! ブランドの新たな可能性
みんなで作る「てちぬい」の未来


4Gamer:
 今回発表されているほかにも,まだぬいぐるみ化されていない「忍たま」のキャラクターたちがいますよね。今後商品化される可能性はありますか。また,もっと大きいサイズを展開する可能性はありますか。

伊藤氏:
 現時点では,どちらもまだ具体的には決まっていません。反響や要望をたくさんいただければ,ほかのキャラクターの展開や,派生シリーズなども検討する……という形になるかと思います。

4Gamer:
 反響が増えていくほど,企画としても広がりが生まれていきそうですね。ほかにも,「忍たま乱太郎」シリーズの次の展開とか,今後こんなことができたら……という“夢”はありますか。言える範囲で教えてください。

伊藤氏:
 そうですね。「忍たま」の次の作品については企画を動かしているところで,具体的にお伝えできることが今はまだないのですが,今後の展望という点では,個人的に“大きいサイズ”にいつか挑戦したいと思っています。

 弊社には「どきゅーと」(リンク)という,すごく大きなぬいぐるみのシリーズがあるんですが,ああいった存在感のあるサイズの「てちぬい」も,いつか実現できたらいいなと。
 小さい「てちぬい」には小さい良さがあって,大きい子にはまた違った存在感があるので,どちらも魅力的なんですよね。

 ただ,ブランドとしてはまだ始まったばかりなので,これから成長させていけるようがんばります。
 ほかには,毛足の長いふわふわ素材のぬいぐるみも,すごく作りたいです。耳とか,もこもこ系が好きなので。ふわふわの着ぐるみの顔はキャラクター,足の裏には刺繍でマークが入っているような,そんなシリーズがあったらファンの方にも喜んでもらえるかなと。

4Gamer:
 着ぐるみシリーズ,人気が出そうですね。

伊藤氏:
 このサイズのままでも,もっと細かいディテールを詰め込むことができると思うので,「こういう仕様があったら嬉しい」「こんな服を着られたら可愛い」といったファンの皆さんの声もどんどん取り入れて,まずは「てちぬい」ブランド自体を成長させていけたらいいなと思っています。

4Gamer:
 みんなで育てていくブランドなんですね。

伊藤氏:
 はい,まさにそれです。一緒に成長して,大事に育てていきたいです。需要が見えると企画として実現しやすくなりますので,皆さんの夢や希望もぜひ聞かせてほしいです!

4Gamer:
 ありがとうございました!

――2025年12月4日収録

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