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ブロックチェーンゲームの発展に必要な要素とは。理想のトークノミクスやWeb3業界の未来が語られたセッションをレポート[WebX]
まずは,KAZU氏が「今後のブロックチェーンゲームの発展に必要な要素」について語ることに。
同氏はスマートフォンアプリ「人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜」の作者であり,昨今の人狼ゲームブームに大きく貢献した人物だ。現在は人狼ゲームとブロックチェーンを組み合わせたWLF PROJECTを展開している。
KAZU氏は,既存のブロックチェーンゲームは単純なものが多く,現在の状況はスマホゲームの歴史における「パズル&ドラゴンズ」以前の黎明期に近いと指摘。これから,本当に面白いゲームが出てくるのではないかと予想した。
石濱氏は真田氏に同意する形で,Web3ゲームのプレイヤーは従来のゲーマーとは層が違うので,ギャンブル性や騰落要素が求められているという認識を語った。石濱氏が展開する「Yay!」は,もともとWeb2のSNSだが,これをそのままWeb3化してもうまくいかないので,ユーザーの体験と投資家の体験を完全に分ける工夫をしているそうだ。
続いてのテーマは「ブロックチェーンゲームのUI/UX」だ。
真田氏の狙いはWeb2.5であり,まずはWeb2ゲームとして遊んでもらい,気がついたらWeb3の要素に興味が出てくるような,シームレスな移行を目指しているという。
同氏が開発中のクイズゲーム「QAQA」は,最初はポイ活のような体験だが,アプリストア決済,クレジットカード決済,トークン決済と段階的な決済手段を用意しており,よりハードルの高い決済手段を使うと,より稼げるような仕組みでWeb3への移行を促進しているとのこと。
人狼ゲームには,タレントがプレイしやすいという特性があり,YouTubeなどで多くの番組が配信されている状況が背景として語られた。
また,Web3向けには「WLF LAST GENERATION」というゲームを展開しているとのこと。これは,1ETH(約36万円)の高額NFTの保有者が500人でプレイするゲームであり,「時間のないクリプト民」に向けてアプローチしているという。
続いては「理想のトークノミクス」というテーマでトークが繰り広げられた。
KAZU氏は「本来は共有的な思想であるWeb3と,投資をして早くリターンを得たいという考え」の間に矛盾を感じていると話す。共有的な人々によるコミュニティと,自己中心的な人々によるコミュニティでは,前者のほうがうまくいくのではないかと指摘した。
WLF PROJECTでは「共有」をとくに重視しており,これは人狼ゲームが「相手を信頼し,相手に信頼してもらう」ゲームであることとも関連しているそうだ。
真田氏は,「トークンの値段が持続的に上がり続ける」ことが重要だとした。それには,ゲームの人気が高まるにつれて,トークンの需要も増えるような設計にする必要があり,これを実現するために「QAQA」では,トークンを使ってゲームに広告を出稿できる仕組みになっている。
最後のテーマは「Web3業界の未来」だ。
真田氏は,Web3にはリアルを重視したものと,バーチャルを重視したものがあるが,これから成長していくのは前者ではないかと予想した。また,Web3の「非中央集権化」という思想がゲームに必要かどうかは疑わしいと指摘し,「換金性」のようなゲームと相性のいい要素を重視すべきだとした。また,「極端に低予算のゲーム」にも注目していると話し,TON版の「キャプテン翼 -RIVALS-」を200万円で作ろうとしていると明かした。
低予算に関連して,「人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜」を個人で開発したKAZU氏は,「ゲーム内の絵よりも,それをプレイするタレントの顔が面白かった」ことが同作のヒットにつながったというエピソードを披露した。
現在制作中の新しいオンライン人狼ゲームでは,タレントのワイプが出て,YouTubeで配信されることを前提としてゲーム画面を設計し,開発費を抑えても楽しいゲームになるよう工夫しているそうだ。
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