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印刷2019/06/15 18:02

プレイレポート

15分で奥深い駆け引きが楽しめる。新作アナログゲーム「カルテル」と「バンディド」をレポート

 すごろくやは本日(2019年6月15日),アナログゲーム「カルテル(Kartel)」「バンディド(Bandido)」の日本語版を発売した。その発売前日となる6月14日にはメディア向けの先行体験会が行われた。

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 今回,日本語版がリリースされた2タイトルは,いずれもスイスのゲーム出版社Helvetiq(ヘルベティック)が発売した作品だ。システム的にもビジュアル的にも要素を絞ったシンプルなゲームを手がける同社の作品が,いわゆる“日本語版”として発売されるのは今回が初となる。
 本稿では,両タイトルのルールを紹介するとともに,実際のプレイフィールをお伝えしていく。どちらもプレイ時間15分ほどの軽いゲームなので,アナログゲームに触れたことのない人もぜひチェックしてほしい。


マフィアを捕まえる変則すごろく「カルテル」


カルテル(Kartel)日本語版
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 最初にプレイした「カルテル」は,全世界で数百タイトルものゲームをリリースし,数々のヒット作を持つ人気ゲームデザイナーReiner Knizia(ライナー・クニツィア)氏が手がけるすごろくゲームだ。プレイ人数は2〜6人で,価格は2376円(税込)。

カルテル
価格 2376円(税込)
プレイ人数 2〜6人
プレイ時間 15分
対象年齢 6〜99歳
デザイナー Reiner Knizia (ライナー・クニツィア)

 プレイヤーはマフィアとその部下を追う警察だ。各プレイヤーはすごろくの要領でダイスを振っていき,共通の「警察コマ」を使って円形に配置されたタイルの上を進み,タイルに描かれたマフィアや部下を捕えて得点を獲得していく。7人いるマフィアのボスを5人捕まえた時点でゲームが終了し,最終的に最も多くの得点を得たプレイヤーが勝利となる。

こちらはセットアップ後の状況。カラフルで可愛らしいビジュアルだが,それを構成するのはマフィアのボスとその子分たちだ
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 ゲームの進行は,手番が来たらダイスを振って移動し,移動先にあるタイルの処理を行うだけと単純明快だ。面白いのは移動のルールで,ダイスを振った後は「出目の値を最大とする任意のマス」まで移動できる。このルールのおかげで,通常のすごろくゲームに比べて自由な選択が楽しめるのだ。

 また,本作で使用するダイスは2〜4の数字が2個ずつ書かれている特殊な6面ダイスで,数字のブレが少ない上に“1”の目が存在しない。どんな場合も「選択の余地が一切ない」といった状況が生まれないのはありがたい。

警察コマとダイスは木製で,非常に手触りが良い。また,ダイスの出目はしっかりと対面に同じ数字が配置されていて,確率も偏りにくくなっている
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ダイスを振った後は,共有の警察官コマを移動させた後,移動先にあるタイルを取り除いて効果を発揮する。だんだんとタイルでできた輪っかが歯抜けになっていくようなイメージだ
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 プレイヤーが移動/獲得するタイルには「マフィアのボス」「部下」,そして「賄賂」のいずれかが描かれていて,これらは7つの色にカラー分けされている。要するに,この色がマフィアの勢力を示しているのだ。

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「マフィアのボス」「部下」「賄賂」のタイルは各色ごとに同じ数だけ用意されている。ボスと賄賂はそれぞれ1枚だが,部下は同じタイルが複数用意されている
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 続いて,各タイルの効果を紹介していこう。まず「マフィアのボス」タイルはプレイヤーがタイルに止まった瞬間に中央の“牢獄”にブチ込まれる。ただし,これ自体は直接得点にはならない。

 では,「マフィアのボス」はどういう効果があるのかというと,「部下」と「賄賂」のタイル処理に影響を及ぼす。「部下」と「賄賂」は止まったプレイヤーが即座に入手することになるが,「部下」は同色のボスが牢屋に入っているときに得点となり,「賄賂」は逆に同色のボスが牢屋にいないときに得点化されるのだ。

牢獄にブチ込まれたマフィアのボスは裏返され,鉄格子の中に入る。この状況の場合,ピンク色と緑色のマフィアの部下タイルが得点化し,逆に賄賂タイルは得点が消滅した状態となる
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 先述の通り,ゲームの終了条件は“5人のマフィアが捕まった時点”となっている。マフィアのボスは7人いるので,ゲーム終了時点で確実に2人は余り,どうあがいても必ず得点化できないタイルが生まれてしまう。

 ゲーム終了時点で捕まっているマフィアのボスは全体の5/7なので,賄賂タイルより確実性の高い部下タイルを優先して取れば安定して勝てる! ……と考えるかもしれないが,そう一概には言えないのがこのゲームのニクいところ。もし,ゲーム終了時にマフィアのボスが捕まっていなかった場合,同色の部下タイルを持っていた数がまるごと“失点”になってしまうのだ。

◯得点構造まとめ
同じ色の
ボスが……
逮捕済み 未逮捕
部下 描かれたアイコンの数だけ得点 描かれたアイコンの数だけ失点
賄賂 一律
0点
一律
3点獲得

 例えば,特定のプレイヤーが特定の色の部下タイルを独占していたならば,ほかのプレイヤーはその色のボスを“見逃す”ことも重要な戦略となってくる。この部下タイルを獲得すべきか否かをめぐるジレンマが,本作における読み合いの中核を形作っている。

各プレイヤーの所持タイルの状況によって,一時的な協力/敵対関係が生まれていく
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ゲームが進んだら,円をぐぐっと狭めてみよう。ゲーム全体の見通しが良くなるので,次の行動を考えやすくなる
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 このゲームにおいてプレイヤーの行動は「ダイスの出目から移動距離を選ぶ」という一点だけなのだが,周囲のプレイヤーが収集したタイルやボスまでの距離など,その結果には多彩な要素が絡んでくる。それらの要素を起点にした会話も含め,シンプルながら奥深い駆け引きが楽しめる作品だ。

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「カルテル / Kartel」紹介ページ



盗賊を追い詰める協力型ゲーム「バンディド」


バンディド(Bandido)日本語版
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 次にプレイしたのは,Helvetiqで「Colorfox」を制作したMartin Nedergaard Andersen(マーチン・ニダゴー・アンダースン)氏が手がける「バンディド」だ。こちらは,牢屋に捕えたバンディド(盗賊)を逃さないよう,プレイヤー全員でカードを出し合って逃げ道を塞ぐ協力型のゲームだ。プレイ人数は1〜4人で,価格は1512円(税込)。

バンディド
価格 1512円(税込)
プレイ人数 1〜4人
プレイ時間 15分
対象年齢 6〜99歳
デザイナー Martin Nedergaard Andersen(マーチン・ニダゴー・アンダースン)

 ゲームの準備は,中央部にバンディドの牢屋タイルを配置し,各プレイヤーに3枚のカードを配るだけ。以下の写真を見てもらうと分かりやすいが,牢屋からは黒い道が伸びており,これがバンディドの“逃走経路”となっている。

セットアップはこれだけで完了。ルール説明も3分程度で終わるので,空いた時間に楽しむのに最適だ
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牢屋タイルは表面(写真左)と裏面(写真右)があり,裏面は経路の分岐が多い「上級モード」となっている。最初は表面でプレイして,コツを掴んだら上級モードに挑戦してみよう
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 プレイヤーに配布されるカードにも黒い道が描かれているので,これを各プレイヤーが手番順に1枚ずつ牢獄に接続していくことになる。山札が尽きるまでの間にすべての道を“塞ぐ”ことができればプレイヤー全員の勝利。逆に1個でも塞げなかった道があったら,全員の敗北だ。

こちらが手札に配られるカード。長辺が短辺の2倍の比率になっているので,既に置かれているカードに対して直角に配置することもできる。ただし,空間が1マスだけ余った状態になるとプレイヤー側の敗北となるので注意が必要だ
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こういった道を繋げていくゲームではお馴染みのルールだが,配置する際に矛盾が生じる場所には配置できない
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 一見「簡単そう」と思うかもしれないが,カードの中には道の分岐が増えてしまうものも多く,手札も3枚しかないため「経路が増えるカードを出さざるを得ない」といったシーンも必ず出てきてしまう。
 ゲームを遊ぶ中で「すまねぇ! 誰かうまく纏めてくれ!」と叫びながら新たな分岐を作ったり,逆に仲間が増やした分岐を上手に使って道を封鎖してみたり,ゲーム展開の中でさまざまなドラマが生まれるのが面白いポイントだ。

道の“終端”のカードを引いたらチャンス。使い所をよく見極めて,複数に分かれた道を収束させよう
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素直に収束させられるカードの数はかなり少ない。複数の経路を纏められるよう,ある程度は伸ばす方向を決めてカードを置くのも重要になってくる
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 また,協力ゲームではありがちな,特定の経験豊富なプレイヤーが主導権を握ってしまういわゆる“協力ゲームの奉行プレイ”問題についても,しっかり対策がなされている。

 本作ではゲーム中のコミュニケーションは基本的に許容されているのだが,一点だけ「手札の内容を明確に伝えてはならない」という制限がかかっている。基本的に自分の手札以外に情報がないため,自分の手の内で“ほかプレイヤーが収束させやすい形を組み上げる”という,ポジティブに協力的な思考を楽しめる仕組みになっているのだ。

「ここには出してほしくない」とか「ここは俺に任せろ」といった抽象的なコミュニケーションはOK。可能な範囲で仲間と協力しつつ,経路を塞ぎきろう
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 アナログゲームにおける“協力ゲーム”というジャンルは,比較的ルールが難しめの作品が多い。しかし「バンディド」は,ゲーム開始前の5分で説明を終え,即座にゲームを開始できるほどまとめられている。

 そのうえで,十分にパズル的な要素とゲームの奥深さを楽しめるだけでなく,展開にドラマが生まれる仕組みを内包しているなど,協力ゲームに必要な要素がキッチリ詰め込まれている。今まで協力ゲームを楽しんできた人はもちろん,これから初めてアナログゲームを遊んでみたい人にもオススメできる作品だ。

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「バンディド / Bandido」紹介ページ

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