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“スターデューバレーとツイン・ピークスの出会い”。11 bit studios,不気味な農業シミュレータ「Crop」を発表
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ストーリー重視の「Crop」では,プレイヤーはなす術もなく拉致され,どことも知れない山中に全裸の状態で放り出されるところからゲームが始まる。森を抜けた先には小さな村があり,主人公は助けを待つあいだ,飢えをしのぐため,村人たちから半ば強制的に農場の運営を任される。自給自足どころか,村人のために働くことになるわけだ。
日に日に飢えを募らせていく住民たちを養うのは過酷な労働だが,その過程でプレイヤーはこの土地や人々を知り,自分をここへ連れ去ったのは誰なのか,何が起きているのかについて手がかりを突き止めていく。
農業のループに没頭するなかで,主人公は村人たちの対立に巻き込まれていく。ある村人は収穫した作物を自分だけに横流しするよう賄賂を提示してくる。空腹に耐えかねた村人たちの動揺は日に日に高まり,対立は激化していく。そもそもなぜ,外界との接触は完全に遮断されているのだろうか。
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農作業は実は過酷……,しかも半強制的なものであれば……
ドット絵による明るく平和な色調の農業シミュレーターが持つイメージとは異なり,「Crop」は重苦しい空気感が表現された3Dグラフィックスで描かれている。自分に与えられた農地の前オーナーが不可解な死(もしくは失踪)を遂げているなど,早い段階から不穏な雰囲気が漂い始める。だが,本作では農業という営みを“徹底した肉体労働”として描いている点が特徴だ。
11 bit studiosのコミュニティリードであるガブリエラ・シェミェンコヴィチ(Gabriela Siemienkowicz)氏は,「このゲームはいわば,スターデューバレーとツイン・ピークスが出会ったような作品です。非常に泥臭く,不安をかき立てる,非伝統的な農業シミュレーターなのです」と説明する。
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また,一般的な農業シミュレーターは簡略化されたシステムで気軽に楽しめる作品が多いが,「Crop」のプレゼンテーションでライブデモを披露したマーケティングディレクターのルカス・クカウスキ(Łukasz Kukawski)氏は,「ボタンを押すだけで魔法のようにアイテムがインベントリに入るわけではありません。時間もかかるし,大変な努力が必要なのです」と語る。
本作では,少しでも良いグレードの収穫物を得るために,農地に腰の高さまで伸びた雑草を刈り,硬い土を耕し,重いジョウロを運んで水をまかなければならない。その一挙手一投足がプレイヤーのエネルギーを削り,時間は無情に過ぎていく。
さらに,プレイヤーの身体管理も重要だ。激しい雨の日にはレインコートを羽織り,あふれ出しそうな水路から泥を取り除く作業を続けなければ,収穫物はうまく成長しない。しかし,雨に打たれ続ければ体温が奪われ,風邪を引いてしまうと作業効率は大きく低下する。
体調を崩した場合は,売店で薬を購入して休養を取る必要があり,限られたリソースを「自分の健康」と「作物の世話」のどちらに割くかという,常にシビアな判断を迫られることになる。
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収穫した農産物は,家の横にある箱に入れておくと,何者かが現金と引き換えに回収していく。ただし,天候不順や管理不足によって品質が低下すれば取引価格も下がるため,こうした判断の積み重ねがゲームの進行を大きく左右するだろう。
農地が広がるほど管理は難しくなり,水路の排水を行うウォーターポンプの導入に資金を投じるなど,厳しい選択が続いていく。
農作物だけでなく,真実をも掘り起こしていくストーリー
「Crop」を単なるサバイバルにとどめていないのが,農作業と並行して進行するミステリー色の濃いストーリーテリングだ。プレイヤーは農場を立て直していく一方で,自分がなぜこの場所に連れてこられたのか,村で何が起きているのかを探っていくことになる。
クカウスキ氏は「答えを探そうとすればするほど,肥沃な土壌で育つ作物と同じように,疑問や謎もどんどん増えていきます」と語っており,デイヴィッド・リンチ風のストーリーテリングの妙は,このジャンルには無かったエッセンスであろう。
そもそも,プレイヤーが最初に農業の仕組みを学ぶ際に行うのは,「この農場の前オーナーの遺体を掘り起こすこと」だという。これだけでも,本作が一般的な農業シミュレーションとは違うことが分かるだろう。単なるミステリーというよりも,その世界観はホラーに近いものを持っている。
プレゼンテーションでは,前オーナーが残したと思われる古い聖書が登場し,そこには「血が大地を豊かにし,私はようやく豊穣を手にする」という不穏な書き込みが確認できた。クカウスキ氏は「これはあとで明らかになるゲームメカニクスを暗示している」と語っており,かなり血生臭いオカルトチックな方向に展開していきそうだ。
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調査は単なるストーリーの味付けにとどまらない。「Crop」のゲームプレイと密接に結びついたストーリーイベントが時間制限付きで発生する場合があり,ユーザーインタフェース上に砂時計のアイコンが表示される。この制限時間内に指定された場所に行ったり,特定の人物と接触したりしなければ,ストーリーの断片は永遠に失われてしまう。
プレイヤーを取り巻く人々も,この不透明な状況を象徴している。拉致事件の真相を追い,徹底して事実と論理を重んじる警察官アストリッド。一方,森で出会うグレタは「前オーナーは食べられた」と囁く。彼女はこの地に潜む超自然的な怪異の存在を示唆する。対照的な2人のあいだで揺れ動きながら,プレイヤーは自らの身に起きた悲劇の真相を見つけ出さなければならない。
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「Crop」を開発するCarbonara Gamesは,2023年にノルウェーで設立された3人のメンバーで構成されるスタジオだ。本作がデビュー作となるが,メンバーのうち2人はKrillbite Studioで冷たい管理社会と都市の孤独をテーマにしたアドベンチャーゲーム「Mosaic」を開発し,もう1人はAcid Nerveで盗まれた死者の魂を追って死神のカラスが冒険するアクションアドベンチャーゲーム「Death's Door」のアートディレクターとして活動していたという経歴を持つ。
「Crop」は約15時間のプレイを想定しており,11 bit studiosがパブリッシングを担当することになった背景には,その独自性の高いストーリーテリングがあると見てよさそうだ。
発売時期などの情報は明らかにされていないものの,日本語対応も予定されているとのこと。気になる人はSteamストアページでウィッシュリストに追加しておくといいだろう。
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