“男子プリキュア”たちのラストステージを見逃すな！　「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage3」ゲネプロレポート

　5人の「男子プリキュア」が活躍する舞台シリーズの最新作「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage3」（以下，ぼくプリ）の東京公演が，2025年12月5日に天王洲 銀河劇場で開幕した。

　本稿では，公演に先駆けて実施されたゲネプロ公演の模様をレポートする。物語や演出に関するネタバレとなる記述や写真が含まれるため，今後観劇を予定している人は注意してほしい。

物語を動かす，新たな出会いとすれ違い

　「ぼくプリ」に登場するのは，煌星（きらぼし）高等学校ダンス部に所属する男子高校生たち。ダンスに情熱を注ぐ主人公の星河 楽や楽の幼馴染である夏目颯斗，ダンス部部長の月宮爽々奈，副部長の天弦晃雅に加え，後輩である黒瀬舞人の5人は，全国大会出場を目指しながらもプリキュアとして，日々平和を守っていた。


　本作は，2023年と2025年に上演された「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage」シリーズの第3弾であり，最終章にあたる。今作では，楽たちプリキュアを導く妖精“パドドゥ”の過去にも踏み込んで描かれている。


　全国大会優勝を目指してダンス特訓に励みつつ，プリキュアとしての使命も果たす楽たち。希望のスコアも完成に近づき，彼らが普通の高校生へ戻る未来が見え始める。同時に，爽々奈ら3年生は煌星高校から卒業する日が近づいていた。


　全国大会の会場へ足を踏み入れたダンス部メンバーは，昨年の優勝校である日輪高校の圧倒的なパフォーマンスを目撃する。「クランプ」に魅了された楽は，日輪高校の2年生レギュラー朝吹太踊に声をかけ，次第に意気投合していく。

　しかし，太踊は楽の名前を聞いた瞬間，態度を一変させてしまう。必死に「ごめん」と謝る太踊――2人の間に何があったのか？

開幕早々から感じた“ぼくプリ”らしさ

　物語序盤は，楽の「おはようございまーす！」という挨拶で幕を開け，客席からもテンポ良くレスポンスが返ってくる。ダンスに合わせて手拍子が起こるなど，観客との一体感が際立つ演出は，出演者との距離の近さを強く感じさせた。

　また，プリキュアといえば欠かせない見どころが，徐々に服装や風貌が変化していく“変身シーン”だ。ダンスを取り入れながらプリキュアの姿へと変わっていく場面は迫力満点で，思わず目を見張ってしまった。


　今回は最終章ということもあり，これまで登場してきたキャラクターたちが次々と姿を見せる。
　第1弾では敵として楽たちの前に立ちはだかった室井一帆が，今作では日輪高校ダンス部の顧問として再登場。赴任当初は雰囲気が良くなかったという日輪高校に己の精神を解放し，自由を求める「クランプダンス」を提案するなど，プリキュアたちに浄化されたあとの変化が強く伝わってきた。

　また，第2弾で美しさあふれるヴォーグダンスを披露した音切百合夜，音切 眠の2人も映像出演し，全国大会に挑む5人を音切兄弟らしく応援する姿が印象的だった。


　筆者が考える「ぼくプリ」の魅力の一つに，“憎めない悪役の存在”がある。本作でプリキュアと対峙する悪役たちは，それぞれ辛い過去や一概に間違っているとは言いきれない主張があり，思わず共感してしまった人も多いはずだ。

　ニチアサ感をたっぷり詰め込んだ展開に，社会的なテーマというエッセンスが加わることで，“大人向けのプリキュア”らしい物語へと仕上がっている本作。5人は全国大会で優勝できるのか？　パドドゥが抱える秘密とは？　その答えをぜひ自分の目で確かめてほしい。


　「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage3」東京公演は，12月14日まで上演される。その後，12月19日から12月21日にクールジャパンパーク大阪 TTホールでの大阪公演が予定されており，最終日にはライブ配信も行われる（リンク）。

　当日券（詳細はこちら）も各日用意されているため，彼らのラストステージを現地で体感してみてはいかがだろうか。