連載
インターネットを駆使して一族の謎を解き明かす推理ゲーム「The Roottrees are Dead」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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乗っていたのは社長カール・ルートツリーと,その妻,そしてティーンアイコンとして全米に知られた三姉妹。
莫大な遺産の配分を巡り,あなたの自宅のドアが静かに叩かれる。
本日は,Evil Troutが手掛ける「The Roottrees are Dead」を紹介しよう。
本作はアメリカの大富豪一族「ルートツリー家」の家系図を題材にした推理パズルゲームだ。プレイヤーは匿名の依頼人に雇われた調査員となり,飛行機事故で亡くなった当主一家に連なる血縁者を洗い出していく。
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このゲームの特徴は,1998年当時のインターネットがそのまま調査ツールになっている点にある。プレイヤーの手元にあるのは,ダイヤルアップ接続のパソコンとコルクボードに貼られた家系図,そして証拠品が並ぶデスクだけ。
作中の検索エンジン「SpiderSearch」にキーワードを打ち込むと,新聞記事や雑誌,日記,写真といった断片が見つかる。そこに書かれた人名や地名をさらに検索にかけ,芋づる式に情報を辿っていくのが基本の流れだ。
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最終的には一族およそ50人の名前・顔写真・職業をすべて正しく埋めることが目標となる。なお本作は日本語非対応で,テキスト量がかなり多い。ただし,ゲーム内のほとんどの文章はコピー&ペーストに対応しているため,翻訳ツールを使いながらプレイしやすいのは嬉しいところ。
検索ひとつで広がる推理の連鎖
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本作の調査は,ひとつのキーワードが次の手がかりを呼び,さらにその先へと枝分かれしていく。たとえば,ある人物の名前を検索して見つけた雑誌記事の中に,別の人物が関わる財団の名前が記されている。その財団名で再び検索をかけると,今度はまったく違う世代のルートツリー家の一員にたどり着く――という具合だ。
ひとつの穴を掘り進めるうちに新たなトンネルがいくつも見つかり,調べたいことが尽きない。正解にたどり着いた瞬間だけでなく,手がかり同士がつながっていく過程そのものに夢中になれる。
家系図が語る一族100年のドラマ
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ルートツリー家は19世紀末にメープルキャンディの会社を興した一族で,その歴史は5世代に及ぶ。家系図を埋めていくと,華やかなモデル業の裏にあった愛憎劇や,親族間の訴訟沙汰,秘められた婚外関係といったエピソードが次々と浮かび上がってくる。
ある人物の職業が「伝道師」だったり,別の人物がディスコやヒップホップの楽曲を残していたりと,一族の顔ぶれはとにかく多彩。本編をクリアすると追加シナリオが開放され,本編では語られなかった不倫や隠し子にまつわる新たな家系図が待っている。こちらは本編と同等かそれ以上のボリュームがあり,手がかりの難度も一段上がる。
90年代を丸ごと再現した空気感
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プレイヤーの拠点は薄暗い自室で,机にはCRTモニターが鎮座し,壁にはポスターが貼られている。インターネットにつなぐたびに鳴るダイヤルアップ接続音,Google以前の素朴な検索エンジン,そしてジャズやラウンジミュージックを中心としたBGMが,1998年という時代をじわじわと肌に染み込ませてくる。
「The Roottrees are Dead」は,検索と推理だけで一族の歴史を丸裸にしていく,きわめてシンプルかつ中毒性の高い作品だ。
派手なアクションも複雑な操作もない。あるのはキーワードを打ち込む検索窓と,断片的な証拠をつなぐ自分の頭だけ。だからこそ,点と点が線になった瞬間の手応えが格別に大きい。静かな夜にコーヒーを片手に,ひとりでじっくり腰を据えて遊びたい一本である。
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