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自分の血が弾になる。呪われた島で信仰と向き合う一人称ホラー「Crisol: Theater of Idols」(ほぼ日 インディーPick Up!)
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印刷2026/02/24 07:00

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自分の血が弾になる。呪われた島で信仰と向き合う一人称ホラー「Crisol: Theater of Idols」(ほぼ日 インディーPick Up!)

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呪われた島トルメントーサに,聖人像が動き出す気配がある。兵士ガブリエルは太陽神に選ばれた者として上陸し,任務の正しさを疑わない。

だが廃墟と血の匂いが染み込んだ路地を進むうちに,彼は問い始める。自分は本当に救済の側にいるのか,と。


 本日は,Vermila Studiosが手掛ける「Crisol: Theater of Idols」を紹介しよう。

 本作はスペイン風の異世界「ヒスパニア」にある呪われた島トルメントーサを舞台にした,一人称視点のサバイバルホラーアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは太陽神から神聖任務を与えられた兵士ガブリエルを操作し,島を蝕むカルトと血の儀式の真相を追っていく。

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 このゲームの特徴は,「血」がHP兼弾薬を兼ねるシステムにある。銃を撃つには自分の体力を消費して弾を生成する必要があり,リロードのたびに確実にダメージを受ける。
 弾切れという概念はほぼ存在しないが,代わりに「撃てば撃つほど自分が死に近づく」という構造が,あらゆる戦闘判断にのしかかってくる。

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 撃ちすぎた結果として自滅することもあるため,エイムの精度や敵との距離管理,ナイフなど耐久制の近接武器との使い分けが自然と要求される。
 消耗した血は,倒した敵や動物の死体から吸収して補充する。また,マップ各所で拾えるコイン(Silver Bulls)を拠点の商人に使うことで,血の最大容量の拡張や武器性能の強化が可能だ。

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 ゲームの進行は,拠点となる「Tormentosa Fair」と各地区を往復する構造になっている。地区内では崩れた遺跡や迷路のような路地,薄暗い教会といった環境を探索しながら,レバーや聖像を使った環境パズルを解いて先へ進む。
 各チャプターの終盤には固有のボスが待ち構えており,倒した後にその「血」を吸収して物語が進展する仕組みだ。武器はピストル系の基本武器のほか,ショットガンやクロスボウなど,血を弾に変えるユニークなものが登場する。

消耗と温存の絶え間ない判断


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 血=HPかつ弾薬という仕組みは,ゲームプレイのあらゆる瞬間に「今ここで撃つべきか」という問いを投げかけてくる。射撃を温存すれば体力は保てるが,敵を処理できなければ別のリスクが生まれる。

 この綱渡りのような判断が連続する設計は,単純な撃ち合いゲームとは一線を画す緊張感を生んでいる。耐久制ナイフの活用や位置取りの工夫も自然と意識させられ,リソース管理がゲームの中心に据えられていることがよくわかる。

スペイン・カトリック文化を歪めたビジュアル


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 舞台となるトルメントーサ島は,スペインのカトリック文化とフォークロアを丸ごと歪めたようなビジュアルで統一されている。動き出す巨大な聖人像,宗教行列を模した敵,祭壇や聖具が廃墟に溶け込む光景は,他のホラーゲームではなかなか目にしない独自の気配を持つ。

 そこに歯車機械(Clockpunk)風の意匠が組み合わさり,「BioShockとスペインの聖週間の祭りが混ざったような」空間が作り上げられている。ジャンプスケアではなく,圧迫感と不穏さで恐怖を積み上げる演出方針が,この美術設計とよく噛み合っている。

重いテーマをゲームに直結させた設計


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 信仰・犠牲・偶像崇拝といった重いテーマを扱いながら,演技や台詞回しはあえて大げさ寄りのメロドラマ調で,相棒のメディオディアが皮肉とブラックユーモアで空気を和らげる場面も多い。この「シリアスとB級が同居する」トーンはホラーとしての緊張感を殺さず,むしろ独特の個性として機能している。

 さらに注目したいのは,「血を撃って自分を傷つける」というゲームプレイそのものが,犠牲や信仰というテーマと直接つながっている点だ。ゲームの仕組みと物語の問いかけが同じ方向を向いており,ガブリエルの葛藤をプレイヤーも体感できる構造になっている。



 「Crisol: Theater of Idols」は,血をめぐるリスク管理と,スペイン・カトリック文化を素材にした異質なホラー世界観を,ひとつのゲーム体験としてまとめ上げた作品だ。

 アイデアの尖り方は本物で,弾薬という概念を丸ごと体力に置き換えた設計は,このゲームならではの緊張を最後まで維持している。
 
 「撃つたびに自分が削れる」感覚と「歪んだ宗教美術のなかを歩き回る」体験。日本語にこそ対応していないものの,ホラーFPSの文法に慣れていて,リソースを丁寧に扱うゲームが好きなプレイヤーにとって,記憶に残りやすい一本になるはずだ。

  • 関連タイトル:

    Crisol: Theater of Idols

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