ガイナックスとProduction I.Gがタッグを組んで,2000年に制作されたOVAシリーズ「フリクリ」(全6話)。「新世紀エヴァンゲリオン」で副監督を務めた
鶴巻和哉氏がメガホンを握り,数々の実験的な試みを詰め込んだ映像で話題となった作品だが,その最新作が2本の劇場版
「フリクリ オルタナ」と劇場版
「フリクリ プログレ」として18年ぶりに登場する。
「そうだ アニメ,見よう」第64回のタイトルとなる2作品はオルタナが9月7日から公開中,プログレが9月28日から全国の劇場で上映される。制作は,
Production I.GとNUTとREVOROOT,監督はオルタナを
上村 泰氏,プログレを
荒井和人氏ほか5名が担当。鶴巻氏はスーパーバイザーとして参加している。
劇場版「フリクリ オルタナ」
モヤついた女子高生の
河本カナ(CV:美山加恋)は,クラスメイトの
ペッツ(CV:吉田有里)と
ヒジリー(CV:飯田里穂),そして
モッさん(CV:田村睦心)と過ごす日常を愛しているが,いつかはこの日々が終わってしまうという不安を抱えていた。そんなある日,嵐のごとく謎の女性
ハルハラ・ハル子(CV:新谷真弓)がカナの前に現れる。ハル子が起こす騒動に巻き込まれたカナは,額からなぜかお花を生やしてしまう。
それから始まる騒動の日々。煙を吐きながら街をぶっ潰すアイロン型のプラント。毎日が,毎日毎日続いていくと思っていたカナ。力を手に入れた彼女は,アイロンをぶっ飛ばせるのか?
前作の主人公は,コンプレックスを抱えた男子小学生だったが,オルタナのヒロイン・カナは,それとは正反対のやたらポジティブな女の子。友人達との関係は良好だが,そんな毎日が永遠に続くわけもなく,
漠然と将来に不安を抱いている。自分が大人になったらどうなるんだろう,その時,友達はどうなっているんだろう。
青少年の誰しもが抱える悩みや不安,そして彼らの持つ不思議なパワーがテーマとなっている「フリクリ」シリーズだが,今回もそこがメインとなって物語は進行する。監督の上村氏は自身の経験もふまえて,
「一番モヤモヤしているというか,自分を探しているけど見つからない時期」ということで高校生を主人公に選んだという。
作中では,カナを中心に,さまざまな思いを抱えて生きる女子高生達の等身大の姿が叙情豊かにゆったりと描かれ,自分の高校時代を思い起こす人も多いはず。もちろんそれだけでは終わらないのが「フリクリ」シリーズで,「小さいことで悩んでんじゃねー!」とばかりにハル子が彼女らの生活に乱入してくる。
青春期のモヤモヤと,それを吹き飛ばすハル子の荒唐無稽ぶりがパワフルな作画と演出で描かれ,
「ああ,やっぱりこれはフリクリだ」と再確認できた。前作のファンも,今回初めて「フリクリ」に触れるという人にもオススメの作品である。
劇場版「フリクリ プログレ」
そして,もう1本の新作となるのが劇場版「フリクリ プログレ」だ。物語は,なんてことない日常を過ごす中学生の少女
ヒドミ(CV:水瀬いのり)を中心に展開する。ヘッドフォンを着け,周囲を寄せ付けないように過ごすヒドミはある夜,派手な格好をした女性
ジンユ(CV:沢城みゆき)の車に轢かれてしまう。さらに,ヒドミをかばおうとしたクラスメイトの少年・
井出(CV:福山 潤)の額から巨大ロボットが出現し,彼女に襲い掛かってくる。
ジンユや教師の
ハルハ・ラハル(CV:林原めぐみ)と出会ったことで,ヒドミの「特別なことなんてない日常」が終わりを告げるのだった。
こちらのヒロイン・ヒドミは,友人はおろか親とさえ会話せず,自分の世界に閉じこもった少女。トレードマークともいえるネコミミ付きのヘッドフォンを常に着け,表情をほとんど変えることもない。そんな彼女が感情を取り戻していく過程が本作では描かれる。
そして,本作の
キーパーソンとなるのがハル子から2人に分離したジンユとラハルだ。分離した存在だという彼女達の目的は何なのか? ヒドミを付け狙うラハルの目的は? ここが物語の焦点となりそうだ。
18年ぶりに再始動した「フリクリ」シリーズ。主題歌&テーマソングは,前作と同様に
the pillowsが担当し,ポップでスタイリッシュな雰囲気は健在だ。作中でも絵画風のカットを挿入するなど,前作にも登場した実験的な演出が随所に見られ,当時を思い出し懐かしく感じたが,それ以上にパワーアップした“ハチャメチャぶり”に圧倒されっぱなしで,これは新作だと改めて気付かされた。生まれ変わった「フリクリ」をぜひ劇場で確かめてほしい。
| 劇場版「フリクリ オルタナ」キャスト |
| ハルハラ・ハル子:新谷真弓 |
河本カナ:美山加恋 |
| 辺田友美(ペッツ):吉田有里 |
矢島 聖(ヒジリ―);飯田里穂 |
| 本山 満(モッさん):田村睦心 |
須藤 完:小西克幸 |
| 佐々木 門:永塚拓馬 |
相田 弁:鈴木崚汰 |
| 河本静香:伊藤美紀 |
河本文太:真坂美帆 |
| デニス用賀:森 功至 |
木滝真希:松谷彼哉 |
| 神田束太:青山 穣 |
| 劇場版「フリクリ オルタナ」スタッフ |
| 監督:上村 泰 |
| 副監督:鈴木清崇 |
| 脚本:岩井秀人 |
| キャラクター原案:貞本義行 |
| キャラクターデザイン:高橋裕一 |
| メカデザイン:押山清高(スタジオドリアン) |
| 衣装デザイン:谷口宏美 |
| プロップデザイン:細越裕治/秋篠Denforword日和(Aki Production) |
| 美術監督:藤井綾香 |
| 色彩設計:中村千穂 |
| CGディレクター:さいとうつかさ |
| 撮影監督:頓所信二 |
| 編集:神宮司由美 |
| 音楽監督・音楽:R・O・N |
| 音響監督:なかのとおる |
| 主題歌:the pillows「Star overhead」 |
| スーパーバイザー:鶴巻和哉 |
| 総監督:本広克行 |
| アニメーション制作:Production I.G × NUT × REVOROOT |
| 配給:東宝映像事業部 |
| 製作:劇場版フリクリ製作委員会 |
| 劇場版「フリクリ プログレ」キャスト |
| ハルハ・ラハル:林原めぐみ |
ジンユ:沢城みゆき |
| 雲雀弄ヒドミ:水瀬いのり |
井出 交:福山 潤 |
| 森 吾郎:村中 知 |
マルコ野方:中澤まさとも |
| アイコ:黒沢ともよ |
雲雀弄ヒナエ:井上喜久子 |
| マスラオ:大倉孝二 |
アイパッチ:菅生隆之 |
| 屯吉:浦山 迅 |
花枝タミ:鈴木れい子 |
| 劇場版「フリクリ プログレ」スタッフ |
| 監督:荒井和人/海谷敏久/小川優樹/井端義秀/末澤 慧/博史池畠 |
| 脚本:岩井秀人 |
| キャラクター原案:貞本義行 |
| キャラクターデザイン:久保田誓 |
| サブキャラクターデザイン:米山 舞 |
| メカデザイン:押山清高(スタジオドリアン) |
| プロップデザイン:村山章子/久原陽子 |
| 美術監督:荒井和浩 |
| 色彩設計:有澤法子 |
| CGディレクター:高柳 陽 |
| 撮影監督:田中宏侍 |
| 編集:濱宇津妙子 |
| 音楽監督・音楽:R・O・N |
| 音響監督:なかのとおる |
| 主題歌:the pillows「Spiky Seeds」 |
| スーパーバイザー:鶴巻和哉 |
| 総監督:本広克行 |
| アニメーション制作:Production I.G |
| 配給:東宝映像事業部 |
| 製作:劇場版フリクリ製作委員会 |