ミュージック フロム ゲームワールド：Track 25

　個人的な告知で申し訳ないのですが，2週間後の2015年10月10日にネイキッドロフトさんで開催する，ゲーマデリックのトーク＆ライブイベント「ゲーマデリック、ドロロン星に帰る!?」で，司会を担当させていただくことになりました。お暇な方，ゲームミュージックが好きな方，何よりゲーマデリックが大好きな方は，ぜひぜひ遊びに来てください！　当日券も少しだけ出る予定です。

　私もゲーマデリックの皆さんとどんなトークを展開できるか楽しみ！　ということで，今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」，行ってみようでござる！

世代をつなぐゲーム音楽バンドの3rdアルバム

「TEKARU HECTOPASCAL / TEKARU」

タイトル	TEKARU HECTOPASCAL / TEKARU	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年9月2日
価格	1500円（税込）
発売元	noisycroak RECORDS
コピーライト	（C）2015 noisycroak Co.,Ltd.

　1980年代のゲームミュージックバンドブームを体験した私にとって，当時活躍していたバンドの再結成は嬉しいものですが，新世代のゲームミュージックファンを引っ張る存在として期待したいのが，ノイジークロークのスタッフで結成されたバンド，TEKARUです。
　今週の1枚めは，そのTEKARUがリリースした3rdアルバム「TEKARU HECTOPASCAL」を紹介します！

　1曲めはケン・ウッドマン＆ヒズ・ピカデリー・ブラスのカバー「Mexican Flyer」。近年では，映画「スウィングガールズ」のラストの音楽祭での演奏シーンを思い出す人も多いのではないかと思いますが，原曲の持つ力強いメロディを生かしつつ骨太なロックインストナンバーへと変貌させたTEKARUアレンジは，アルバムのオープニングを派手に飾ると共に，自分達のやりたいことを自由にやる，という意思表示が感じられます。

　「ゼビウス」から「スタートミュージック 〜 インゲームミュージック」をアレンジした2曲めは，お馴染みのメロディをAメロのバッキング的に使用し，そこからTEKARU流の自由さと広がりを持ったサウンドを聴かせる，もはやTEKARUのオリジナル曲と言ってもいいほどの仕上がり。中盤ではオリジナルに近い音も挿入し，往年のファンへもアピールしています。過去ではない，今を生きるゲームミュージックバンドとして，世代を超えたゲーム音楽ファンをつなぎたいという思いが曲に乗っているかのようです。

　「鬼討ツモノ（TEKARU feat. Kenji Nakajo）」（『討鬼伝』より）はかつて「真・三國無双」シリーズで作曲を担当した中條謙自氏がフィーチャリング参加した1曲で，リズムを激しく変化させながらギターとキーボードがバトルするようにリードパートが入れ替わる，ハードロックテイストのナンバー。
　そしてラストは，ピアノの伴奏を前奏に，ギター，ピアノ，シンセのリレーで奏でられる激情的なメロディが，疾走するリズムと相まって感動を呼び起こす「Eternity 〜 Immortality」（『消滅都市』より）が締めくくります。その圧倒的なメロディと演奏のパワーに，聴き終わったあとは思わず放心状態になってしまったほどです。

　多彩なジャンルのゲーム音楽をTEKARU流ロックインストナンバーにまとめ上げたアレンジの完成度と統一感は，さすが本業のミュージックコンポーザー集団といったところ。TEKARUがこのアルバムで魅せる本気の遊び心は，全ゲーム音楽ファンの心をガッチリと鷲掴みにする勢いとパワーにあふれています。2015年後半に絶対に聴いておきたいゲーム音楽アレンジアルバムとして，自信を持ってオススメしたい1枚です。

ノイジークローク公式サイト

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元気いっぱい，爽快気分で聴ける妖怪調教サウンド！

「KLAP!! 〜Kind Love And Punish〜 オリジナルサウンドトラック」

タイトル	KLAP!! 〜Kind Love And Punish〜 オリジナルサウンドトラック	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年8月19日
価格	2800円（税抜）
発売元	ティームエンタテインメント
コピーライト	（C）2015 IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY

　教師と言えば，いまだに主題歌を歌えるくらい「卒業 〜Graduation〜」にハマった私ですが，今週の2枚めは，教師を目指していたはずが，なぜか調教師になってしまい，幽魔が通う訓練学校の担任兼調教師となって，未熟な幽魔を一人前に育て上げるという乙女ゲーム「KLAP!! 〜Kind Love And Punish〜」のサントラを紹介します！

　カラッと爽快な気分になれる，ハートフルなポップミュージックが満載のこのサントラ。公式サイトでもBGMとして使われている2曲めの「KLAP!! 〜Kind Love And Punish〜」は，まさにその雰囲気を代表するような，一点の曇りもないキャッチーな仕上がりです。
　ほかにも「新しい毎日の始まり」や「ENJOY DATE！」など，落ち込んだ気分を一気に上昇させてくれるパワーのある楽曲が多く，劇伴でありながら主張の強いサウンドに心惹かれます。また「恋しい笑顔」のスウィングしまくるジャジーなリズムと，雰囲気のあるピアノプレイも魅力的です。

　オープニングの「SHOOTING STAR」は，荒々しさと色気を交えた男性ボーカルに効果的なハンドクラップをアレンジに加えたデジタルポップナンバー。エンディングテーマの「HAPPINESS」は安らぎを感じさせる温かいバラードナンバーです。この2曲は「薄桜鬼」シリーズやTVアニメ「テニスの王子様」などの関連曲を多数作曲している小野貴光氏の作曲です。
　ボーカルはゲームの登場キャラ，美作燈真と周防壮介の2人によるデュエットですが，サントラにはそれぞれのソロボーカルバージョンも収録。しかも，すべてフルバージョンで聴けるのも嬉しい点です。ゲームのファンは，ぜひ聴き比べてみてください。

「KLAP!! 〜Kind Love And Punish〜 オリジナルサウンドトラック」

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■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，モタビア星に単独移住して現在に至るゲーム＆ゲーム音楽好き。ほかの趣味は邦楽インディーロック追跡，突発自転車旅行，広島東洋カープの応援など。ゲーム音楽好きが高じて本連載のほかに「ゲームサイド」シリーズ誌でゲーム音楽コーナー「撃音！」「激音！」「劇音！」の連載，ニコニコ生放送公式CHのクラリスチャンネルでゲーム音楽番組「Fami on♪」のプロデュース＆パーソナリティを担当。さらにゲーム音楽レーベル・クラリスディスクではスーパーバイザーも担当。今年の目標はWii Uを購入すること（3年連続3回目）。